更新日 : 2020年5月8日 会社設立は誰に頼む?司法書士・行政書士・税理士に依頼できること 「会社設立」とインターネットで検索すると、たくさんのサイトが出てきます。司法書士だけではなく、行政書士や税理士事務所のホームページで会社設立をうたっているところも少なくありません。では、どの士業に設立登記を依頼すればいいのでしょうか。 目次登記は司法書士の独占業務行政書士の場合税理士の場合報酬相場結局どの士業に依頼すればいいの?おわりに 登記は司法書士の独占業務 あくまで登記の申請代理で報酬を得ることができるのは司法書士のみです。つまり、登記の専門家は司法書士だけである、と断言できます。ですが、他の士業でも「会社設立」の依頼を受けることが増えています。 行政書士の場合 例えば行政書士であれば、その名の通り行政に関することの申請の専門家です。会社設立をするときには必ず「定款の作成業務」が含まれます。行政書士はこの定款の作成業務について代理する権限があります。ですが、法務局に申請する書類の作成については代理権を認められていません。 そのため、会社設立をうたっている行政書士事務所の多くは、司法書士とタッグを組んでいるのです。「定款の作成業務」については行政書士、「登記の申請代理」については司法書士が行っていると考えていいでしょう。もしくは法務局には依頼者が自分で書類を持って行ってもらう、という業務の進め方をしているかもしれません。 会社設立を行政書士に依頼する際には、自分が法務局の窓口に行く必要があるのかを確認した方がいいかもしれません。 税理士の場合 また、税理士は税の専門家です。会社の会計や決算については自分で行うことは難しいので、税理士に依頼する方がほとんどです。設立登記をする前に税理士に相談に行く、という方も少なくありません。 最初の資金調達や節税対策について相談するなら税理士でしょう。会社設立時には決算期も決めなければなりませんので、その点も相談しやすいと思います。 けれど会社設立や登記については専門ではないので、あくまでも税理士は会社設立の窓口です。登記に関する業務はすべて司法書士が請け負っている場合が多いのです。つまり、どの士業が窓口になっていても、結局のところ司法書士が手続きをすることになるのです。 報酬相場 会社設立の相場は地域によっても変わると思われます。地方で大体5万円~10万円、東京や大阪などの大都市では10万円~15万円くらいでしょうか。登録免許税も含めて考えると25万円~35万円くらいと想定されます。 自由報酬制度であるため、事務所によって金額に差が出ます。もちろん「安ければいい」というわけでもありません。費用が安い場合は経験が浅かったり、設立登記までに時間を要したりすることもあります。逆に「高ければいい」というわけでもありません。その後のお付き合いも考え、一度会って話しやすい方に依頼をするのがおすすめです。 税理士の登記の報酬相場は、正直お答えすることが難しいです。なぜなら税理士は「登記の報酬」として、報酬を得ることがないからです。「設立登記無料!」とうたっている事務所は、その後の税の顧問契約が必須になっており、その顧問契約料の中から司法書士の報酬を支払っていると考えられます。設立無料、といっても顧問料がその分高いケースも考えられるため、税理士に依頼する場合にはそのあたりも検討が必要になってくるでしょう。行政書士に依頼する場合でも、結局は会社設立の手続き自体は司法書士が行うので、同様のことが言えます。 結局どの士業に依頼すればいいの? 繰り返しになりますが、どの士業に依頼しても登記の手続き自体は司法書士が行っています。そのため選ぶポイントを設立登記ではなく「設立したその後」で考えてみてはいかがでしょうか。例えば設立してすぐに許認可の申請が必要という場合、設立の時点から許認可が取得しやすい事業目的の書き方や、登記完了後の手続きのスムーズさを考えると、行政書士に依頼するのがいいのかもしれません。 設立してすぐに銀行からの資金調達がしたい、というのであれば設立前から事業計画書について相談できる税理士が窓口になるのもいいかもしれません。 司法書士に依頼すれば、間に入る士業がいないので、総合的な費用を抑えることができるかもしれませんし、設立後の契約書作成や企業法務、不動産についての相談も可能です。どの士業に依頼するのかは、自分がこれから行う事業の主軸から選んでみるのもひとつの方法です。 おわりに それぞれの士業の「職域」というものがあります。士業同士はその職域を守り、他士業と連携しながら、お客さまにとってのベストなサービスの提供を考えています。皆さまが設立時にベストな選択ができるよう、このコラムが役に立てば幸いです。※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。自分で会社設立の準備をはじめませんか? 「マネーフォワード 会社設立」を利用すれば、会社設立に必要な書類を無料で作成でき、会社を設立するまでのコストや時間も大幅に削減できます。 会社設立に必要な情報をフォームに沿って入力するだけで、簡単に書類作成が可能! 会社名や代表・事業目的などの情報を入力することで、会社設立に必要な書類を自動で作成できます。書類の作成、提出場所、必要な持ち物もわかるので、迷わず簡単に設立までの手続きが可能です。 会社設立後に必要な手続きもサポート 設立後は、年金事務所、税務署、都道府県税事務所に提出する書類を作成できるほか、法人銀行口座、クレジットカード、バックオフィスサービスなど、会社運営に必要なサービスがお得にご利用いただける特典もご用意しております。 「マネーフォワード 会社設立」で会社設立をもっとラクに 詳細を見てみる無料で試してみる 監修:大西千桜里(司法書士) 北海学園大学法学部卒業。卒業の年の司法書士試験に合格し、埼玉県の司法書士法人にて約1年半勤務。 その後、北海道札幌市にて司法書士大西千桜里事務所を開業。現在開業7年目を迎える。 会社法が好きなことから、開業時より商業登記を中心に受託。自身の父が亡くなったときに“争族”があったことから最近は争族対策にも力を入れている。 関連記事 個人事業開業or会社設立? 事業を始める際どちらが有利か? 法人設立で最低限必要な費用と、株式会社・合同会社の違い 株式会社の設立手続「会社設立の流れと必要な期間」 起業の方法・手続き完全ガイド 会社設立による7つの節税メリット 会社設立に必要な登記のポイントとは?新会社法における登記のポイントまとめ