• 更新日 : 2024年10月10日

飲食店が創業融資を受けるには?必要な自己資金や審査のコツを解説

飲食店の創業融資を検討する際、借入先や審査のポイントを押さえておくことは大切です。事業者としての経営実績がなければ、金融機関からお金を借り入れるハードルが高くなるでしょう。

この記事では、飲食店が創業融資を受ける際に検討したい借入先や融資までの流れ、準備しておくべき自己資金額、審査のポイントなどを解説します。

飲食店が創業融資を受けるには?

創業融資とは、新たな事業をはじめる際に金融機関からお金を借り入れることです。

飲食店の開業には、まとまった資金が必要になります。とはいえ、必要な資金をすぐに用意できないこともあるでしょう。

開業に向けた資金調達の方法の1つが、創業融資です。

ただし、事業者としての経営実績がなければ、飲食店開業のために銀行からお金を借りることは難しい現状があります。そのため、飲食店が創業融資を受ける場合は、日本政策金融公庫へ申し込むことが一般的です。

ここでは、日本政策金融公庫の創業融資の概要と飲食店が利用するメリットについて解説します。

日本政策金融公庫の創業融資とは?

日本政策金融公庫とは、政府系金融機関のことです。

100%国が出資する公的な融資機関で、中小企業・小規模事業者などの創業や創業後の経営を支援する目的で設立されました。

日本政策金融公庫による2022(令和4)年度末の融資状況は、以下のとおりです。

  • 融資先は約120万社
  • 1先あたりの平均融資残高は約935万円
  • 無担保融資の割合は約98%

参考:日本政策金融公庫融資の状況令和4年度末

飲食店の創業融資としては、次のような融資制度を利用することが可能です。

  • 新規開業資金
  • 生活衛生新企業育成資金
  • 中小企業経営力強化資金

融資制度の取り扱い状況は、変わることがあります。最新情報は、日本政策金融公庫の公式サイトを確認してみましょう。

参考:日本政策金融公庫

飲食店が日本政策金融公庫の創業融資を受けるメリット

飲食店が日本政策金融公庫の創業融資を受けることには、次のようなメリットがあります。

  • 飲食店の新規開業者でも申請しやすい
  • 無担保・保証人なしでも受けられる融資がある
  • 余裕のある返済計画を立てやすい

日本政策金融公庫は、中小企業・小規模事業者などの創業や創業後の経営をサポートするために融資を行っています。新規開業者に対する門戸が広い借入先なので、飲食店の新規開業者でも申請しやすいでしょう。

一般的に、担保や保証人を用意できない状態での借入先は限られてしまいます。一方、日本政策金融公庫の融資制度は原則として無担保・保証人なしで利用できるので、申し込みのハードルが低めです。

融資制度の返済期間が長めに設定されているケースが多く、余裕のある返済計画を立てやすいこともメリットに挙げられます。毎月の返済負担を抑えやすいでしょう。

飲食店が創業融資を受けるために必要な自己資金

飲食店が創業融資を受けるためには、創業融資の1/3〜1/2程度の自己資金を確保しておいたほうがよいでしょう。

たとえば開業に約1,000万円必要な飲食店の場合、300万円程度の自己資金は用意しておきたいところです。

自己資金が少なければ、開業準備が不足しているとみなされ、融資を受けられない可能性があります。そのため、自己資金額は多ければ多いほど望ましいといえます。

自己資金なしの場合

自己資金なしで飲食店を開業したい場合は、以下のような方法を検討してみましょう。

  • キッチンカーや移動販売、店舗の間借りなどで初期費用を抑える
  • 企業や投資家に出資を依頼する
  • クラウドファンディングを活用する
  • 知り合いから開業資金を募る

まずは初期費用を見直し、必要な初期費用そのものを抑えるビジネスモデルを検討してみるとよいでしょう。キッチンカーや移動販売で店舗を構えず営業したり、既存の店舗の空きスペースや空き時間を借りて営業したりすることで、開業コストを抑えられます。

魅力的かつ成功が見込まれるビジネスモデルであれば、企業や投資家から出資してもらえる可能性があるでしょう。

SNSとうまく組み合わせて、クラウドファンディングで資金を募る方法も挙げられます。

血縁者や友人・知人など、知り合いから開業資金を支援してもらうこともひとつの手段です。ただし、お金のやり取りによって関係性が壊れてしまうリスクがあることは、しっかり理解しておくべきといえます。

飲食店が創業融資を受ける流れ

飲食店が創業融資を受けるまでの流れや、必要な期間について、事前に把握しておくとよいでしょう。

ここでは、多くの飲食店が借入先の候補とする、日本政策金融公庫の例を紹介します。

飲食店が日本政策金融公庫の融資制度を利用する場合、申請から結果が出るまでにかかる期間は、およそ2週間です。

創業融資を受けるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 電話や窓口面談で融資の相談をする
  2. 必要書類の準備をする
  3. インターネットで融資を申し込む
  4. 担当者と面談する
  5. 融資が決定する

飲食店が創業融資を受ける時に必要な書類

創業融資を受ける際は、指定された書類の提出が必要になります。

飲食店が創業融資を受ける際に必要となる主な書類は、次のとおりです。融資を受ける金融機関によって必要書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。

書類名概要
事業計画書

(創業計画書)

どのように事業を行うか具体的なプランを説明する書類
本人確認書類運転免許証やパスポートの写しなどの身分証明書
登記簿謄本

(法人の場合)

法人の基本情報が記載されている書類
飲食店営業許可証飲食店の開業に必要な許認可を得ていることを証明する書類
設備資金の見積書借入金で購入を予定している設備に関する見積書

飲食店の事業計画書(創業計画書)の書き方

事業計画書(創業計画書)は、融資を受ける際に必要となる代表的な書類です。融資を実現するためには、事業計画書(創業計画書)をきちんと作成しておくことが大切です。

創業融資の申請企業には、信用につながるような事業実績や財務データがまだありません。そのため金融機関は、提出された事業計画書(創業計画書)から、「創業動機が的確で、経営者としての能力がありそうか」「的確なビジネスプランか」などをチェックします。

説得力のある事業計画書(創業計画書)を提出してビジネスの将来性を示し、金融機関からの信用を得る必要があるでしょう。

飲食店の事業計画書(創業計画書)の書き方は、以下で詳しく解説しています。テンプレートや記入例もあるので、ぜひ参考にしてください。

創業融資の審査で主に確認されるポイント

創業融資の審査では、主にどのようなポイントが確認されるか把握し、対策しておくことは大切です。

創業融資の審査で確認されやすいポイントは、次のとおりです。

確認されるポイント対応
支払いの滞納がないか公共料金・家賃・税金などの支払いをすべて済ませておく
過去の信用情報はクリアになっているか消費者金融は利用しない

債務整理を行った際は、信用情報から登録が抹消されてから申請する

自己資金の基準を満たしているか貯金と支援金の合計が300万円以上あることが望ましい
事業計画書(創業計画書)は問題ないか矛盾がなく、的確な内容に仕上げる

審査のポイントを押さえておくことは大切である一方、必要以上に融資を受けることは控えるべきといえます。必要額を事前に精査し、適切な金額を借りるようにしましょう。

日本金融公庫以外の飲食店の借入先は?

「日本金融公庫以外の借入先も押さえておきたい」という方もいることでしょう。

ここでは、飲食店の創業融資における、日本金融公庫以外の候補を3つ紹介します。

地方銀行・信用金庫の信用保証付き融資

飲食業以外にも幅広い業界で使用されているのが、保証協会付きの融資です。

事業者が民間の金融機関から融資を受けやすくなるよう、公的機関である信用保証協会が保証人となってくれるため、創業時にも利用しやすいメリットがあります。

事業者は、金融機関への利息とは別に、信用保証協会に1%前後の保証料を支払う必要があります。

金融機関と信用保証協会の提携による融資のため、2ヶ月ほどの審査期間がかかる点には注意が必要です。

各都道府県の制度融資

制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証協会が提携して行う融資のことです。

借り入れ条件は、自治体によって異なります。

地方自治体が利息や保証料の一部またはすべてを助成してくれるため、低コストで資金調達しやすいメリットがあります。

一方、融資に関与する機関が多い分、申請期間が長く、必要書類の準備にも手間がかかりがちです。

ネット銀行の融資

ネット銀行を利用する手段もあります。なかには、個人事業主が融資を申請できるネット銀行もあります。

ネット銀行からは多額の融資は受けられないものの、最大500万円程度の資金調達が可能です。

オンラインで24時間いつでも申請できることも、ネット銀行の融資の魅力に挙げられます。

飲食店開業の際は事前準備を整えて創業融資を受けよう

飲食店の経営実績がない状態で、飲食店開業のために銀行から創業融資を受けるハードルは高めです。飲食店の新規開業者でも比較的申請しやすい、日本政策金融公庫の融資制度を検討してみるとよいでしょう。

融資を受けるためには、創業融資の1/3〜1/2程度の自己資金を確保しておくことが望ましいといえます。過去の信用情報や支払い状況をクリアにし、的確な事業計画書(創業計画書)を提出することも大切です。

必要な事前準備を整えて、創業融資の申請に臨みましょう。


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