森下千里の起業に密着!イチからわかる会社設立(1)

世の中でスタートアップが盛り上がる中、自分も起業を…と思い立っても、実際に会社を設立するためには様々なステップを踏まなければなりません。例え起業の本を読んでも細かい部分まではなかなかわからないもの。

そんな中、タレントとして活躍する森下千里さんが起業をするというお話が…。

森下さんが何もないところから実際に会社を設立するまでのプロセスに密着。ビジネスマンではない彼女の目線を通して、誰でもわかる起業のステップを明らかにしていきます。

森下千里さんが、これまで数多くの起業をサポートしてきたGSブレインズ税理士法人さんの事務所で、司法書士法人オネストさんの押田先生同席のもと、お話を聞くところから今回の起業物語はスタートします。

起業の方法 株式会社か?合同会社か?

森下:自分で起業したいと思った場合、まずどういうものが必要でどうしたら自分の会社が作れるのでしょうか?

木村:まず会社を作るにあたって決めなければいけないことがいくつかあります。

森下:すごい!ヒアリングシートがあるんですね。

木村:はい。株式会社用のものと合同会社用のものがあります。

森下:合同会社っていうのは初めて聞くんですけども。株式会社とは何が違うんですか?

押田:株式会社は、最低限、出資する人(株主)と取締役という経営を行う役員がいまして、株主が取締役を選任して経営をまかせるという形に法律上はなっています。ただ実際は中小企業の場合は一緒の事が多いです。

合同会社は、会社を組織する人、2~3人がそのまま会社の運営も全部やるということが前提で、どちらかというと人の結びつきを重視している会社形態です。出資比率に応じない仕組みを作りたいという場合は、合同会社を選ぶこともあります。

森下:人数が多くないと作れないということですか?

押田:1人でも作れます。

森下:となると、合同会社が存在する必要性というのは何ですか?

木村:作りやすいんです。作る為の費用が安いんですよ。

森下:なるほど!じゃあ私なんかは個人で始めるわけだから合同会社の方がいいんですか?

木村:合同会社でも全く問題ありません。ただ世間的な見た目としましては、合同会社と言うと小さいプライベートカンパニーのように見えてしまいます。

押田:あと合同会社ですと「合同会社ってなんですか?」と聞かれることが今でもあるようです。過去に「取引先にちょっと言われちゃったんですけど」というような人がいました。やっぱり認知度がまだそこまでではないようです。

森下:改めて株式会社と合同会社、簡単にいうと大きな違いはなんですか?

木村:皆さんが一番最初に考える大きな違いは「設立の費用」ですね。株式会社ですと、作る時に登録免許税や定款認証費用などが最低20万円ほどかかるんですが、合同会社ですと定款の認証もないので最低6万円で済みます。

森下:安いっ!ちょっとお得な感じがしますね!じゃあもう気軽な感じで合同会社でいいんじゃないですか?

押田:あと肩書の表示が「代表社員」という肩書になりますので分かりづらいということもあります。株式会社ですと「取締役」「代表取締役」と名刺に表示してもいいんですが、合同会社ですと「代表社員」になります。

森下:でもそれで今のところ不都合があるわけじゃないってことですね?

木村押田:全然ないですね。

森下:それで設立費用が安くてラッキーという感じですね!?

木村押田:そうですね。森下さんはどうされますか?

森下:迷う!いきなり迷っちゃう。安い方が良いですよね?

木村:はい。あとはこの後のビジネスの広がり方ですね。やはり株式会社という方が耳慣れているので誰もが安心するというのはあります。でも森下さんがやろうとしている仕事から考えますと株式会社じゃなくても良いかとは思います。

森下:確かにそうですね~!ちょっと考えてもいいですか?

木村:はい、もちろんです。

起業の方法 代表者の住所が公開されてしまう?

木村:ではヒアリングシートを見ていきますと一番上は代表者の名前と住所です。

森下:代表者の住所と言いますと?私の自宅の住所ですか?

木村:登記をする時に印鑑証明が必要なのですが、その印鑑証明に載っている住所ということになります。代表者の住所というのは登記簿に載りますので手数料を払って申請すれば誰でも見られます。ですので、特に芸能のお仕事されている方などはこの住所を自宅にするのを絶対に反対します。

森下:確かにそうですね!一般の方でも女性ですとそれは気になりますね。自宅の住所を公開したくない場合はどうすればいいんですか?

木村:“住所を変える”か“代表者でなくなる”かのどちらかです。

森下:家族を代表にして実家の住所にするんですか?

木村:はい。そうして自分は取締役で入ることになります。

森下:その場合、名刺に「代表取締役」と書いてもいいんですか?

木村:それはダメです。法令違反や損害賠償の責任を負うことになりかねません。

森下:じゃあ自宅を公開したくないけど「代表取締役」という肩書きを書きたい場合はどうすればいいんですか?

木村:代表者の住所はどうしても公開されてしまうので難しいですね。やはり親御さんに代表になっていただくという形などが良い方法ですね。

起業の方法 会社の設立日は?

木村:次は会社の設立日ですね?

森下設立日はいつでもいいんですか?

木村:土日祝日以外の法務局の開いている日ならいつでも大丈夫です。手続きに必要な日数がありますので今すぐは難しいですが、それ以外はいつでも大丈夫です。

森下:ちなみに設立日の下に理由という欄がありますけど理由がある人っているんですか?

木村:たまにいらっしゃいます。大安がいいとか、自分はゾロ目が好きなので3月3日にして欲しいとか。

森下:えー!設立日って何か意味あるんですか?

木村:大安ですと毎年変わってしまいますが、3月3日とかですと忘れなくて良いですよね。

森下:設立日を覚えていると何かいいことあるんですか?

押田:特にないんですけど…

森下:気持ち的な話?

木村:そうです。

森下:あ、それだけなんですね!

起業の方法 会社名はどうすれば?

木村:続いて、会社名ですね?

森下:今、悩んでいるんですよ。

木村:ちなみにアルファベットにする可能性はありますか?

森下:あります。なぜですか?

木村:アルファベットが1つの単語ではなく複数の単語の場合、その間がスペースなのかピリオドなのかハイフンなのかというところまで細かく考えておいて下さい。

森下:なるほど、分かりました。すでに同じ会社名があったらダメなんですか?

木村:同じ住所に同じ名前というのはダメですがそれ以外はほぼ大丈夫です。昔より緩くなっています。

押田:あとは登記とは別の問題で、商標登録されていたりとか、誰でも知っているような有名企業の名前を付けたりするのは避けてください。

森下:「ソニー」とか付けると問題ってことですよね?

押田:登記は出来ますけど、最悪の場合、訴えられますね。

森下:怖いですね…会社名については分かりました。あと、この本社の住所というのは公開されるんですか?

木村:これも登記簿に出ます。

森下:本社はシェアオフィスにするとか知り合いの会社のスペースを間借りすることも可能なんですか?

木村: はい、大丈夫です。

森下:分かりました。ちなみに会社でよく「なんとかInc」「なんとかLtd」って付いているじゃないですか。あれは何ですか?

押田:Ltd はLimited、IncはIncorporated、それぞれイギリスやアメリカなどで株式会社という意味ですね。

森下:そうなんですね!

木村:あと前株か後株かも考えてください。ちなみに後ろにつけた方が会社が大きくなるという都市伝説のようなものもあります。

森下:本当ですか?

木村:ソニー株式会社、パナソニック株式会社、サントリー株式会社、京セラ株式会社、ソフトバンク株式会社・・・

森下:すごい!じゃあ後株にしようかな~!

起業の方法 ここが重要!「事業の目的」はどうする?

木村:続いて「事業の目的」です。

森下:これも迷ってしまいますね。たくさんあるので…

木村:言葉にはこだわらなくていいので、こういうことしたいですという事をおっしゃっていただければ、司法書士の先生に適切な文言をはめてもらいます。

森下:なるべくいっぱい入れた方がいいんですか?

木村:あまりいっぱい入れすぎるとちょっと怪しい会社に見えることもあります。

森下:なるほど。

押田:やりたい事業が何かわからなくなるということもあります。取引先などは相手の会社の登記簿を見たりすることもありますので。

森下:自分の芸能活動の他にイベント企画などもあって、あと頼まれごとが多いのでそういうことが増えてきそうです。

木村:頼まれごと?なんか買ってきてとかそういうことですか?

森下:いや、違います(笑)商品開発をやってほしいとかお店をやってほしいといかそういうことです。確実に決まっているわけではないので「事業の目的」として書いておいた方が良いのかどうか…

木村:でも今おっしゃっていただいたぐらいでしたら、そんなには多くないので全部入れておいても問題ありません。

森下:例えば書き方なんですけど「商品を作ります」「売ります」は一緒にできるんですか?

木村:はい、「商品企画製作販売」とひとつにできます。

森下:何かのコンサルみたいことはどうすればいいんですか?

押田:単純に「コンサルティング」と入れている方もいますけど、私としては「~~~等のコンサルティング業」などと例示した方がいいと思います。

森下:分かりました。これって逆に言ったら「事業の目的」に書いてないものは急にやっちゃダメってことなんですか?

木村:そんなことはないです。最後に「上記に付随する」という魔法の一言がついていますので関連性があるものでしたら大丈夫です。

森下:全く関連性がない仕事の場合は? 例えば「不動産賃貸業」というのを入れていなかったとして、コンドミニアムみたいなものを作って貸すとかっていうのはダメなんですか?

木村:会社としてやることは出来るのですけれども、第三者が謄本を見て「いや会社の目的に入っていないじゃないか」とケチを付ける方がいないかというと可能性はゼロではないです。

森下:それケチつけられちゃったら止めなきゃいけないんですか?

木村:今変えますからと言えばいいだけの話です。

押田:過去に、書いていない事業で売り上げが上がってきてしまったため、金融機関から言われて事業目的の変更手続きをした会社さんはありましたね。

森下:今、当面やる可能性がないのなら、そんなにたくさん入れておかなくてもいいってことですか?やっていく内に新しい事業が出てきたら変えればいいんですか?

木村:今、絶対に入れておいた方がいいのは、やるにあたって許認可が必要なものですね。例えばホテルとか飲食業とか。

森下:なるほど。では一応、飲食業は入れておきたいですね。

木村:酒類販売とかは?

森下:お酒?ワインソムリエになってワイン売ってとかですか?確かになくはないですけど…。あと私トレーナーの免許を持っていてトレーニングを教えていきたいのですがそれは何になりますか?

木村:具体的に言うとヨガとかですか?

森下:ピラティスとジャイロキネシスです。

押田:明示するなら「ピラティスとジャイロキネシス等のトレーナー」と書くか、あまり絞らないようにするなら「各種トレーナー」と書くかですね。

森下:そうなんですね。

木村:このように可能性を追いかけていくとキリがありませんので、今ある程度固まっているものとかでいいと思います。あと将来これは確実にやりたいと思っているものに留めておいた方が。あとは目指している会社の謄本を取って参考にするという方法もあります。

森下:ありがとうございます。ちなみにあとで事業目的を増やすのは大変なんですか?

木村登記を変えると費用がかかります。印紙代で3万円。専門家に頼めば、その費用もかかります。

森下:じゃあ入れられるだけ入れておいた方がいいってことですね!私、チェック項目があってペッペッペッてチェックするのかと思っていたんですけど、違うんですね!

木村:大体みなさんこの事業目的の所で一番困りますね。今のところ決まっているのは今お聞きしたことぐらいですね?

森下:はい、そうです。

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今回見てきたのは、代表者の住所・名前、会社の住所・名前などから会社の事業目的まで。

代表者の住所が公開されてしまうことや、事業目的の追加には費用がかかること、さらに会社名は前株か後株か英語の場合はハイフンやスペースなど細かいところまで考える必要があることがわかりました。

事前に用意しているつもりでも実際にやってみると、あれもこれも決めなければと思うことばかり。特にみなさんが迷うという会社の「事業目的」。今後どういう会社にしていくかということにも関わる重要な項目ですから、事前にしっかりと考えておきたいものです。

次回は会社の資本金から法人口座の設立まで。さらなる会社設立のプロセスを追っていきます。