• 更新日 : 2024年5月28日

農地転用の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

農地を他の目的で利用する際には、農地転用するための事業計画書の作成が必要です。許可を得ないで農地転用をすると、工事の中止や原状回復命令がくだされたり、罰則が科せられたりするおそれがあります。そのような事態を避けるためにも、正しい手続きを経て転用しなければなりません。

本記事では、農地転用の事業所の書き方をテンプレートを基に解説します。テンプレートは以下から無料でダウンロード可能です。

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事業計画書_テンプレート

農地転用の事業計画書とは?

農地転用の事業計画書は、農地を新たな目的で利用する計画を詳細に記述した書類です。農地転用の事業計画書には、主に次の2つの目的があります。

  • 転用許可申請に使用する
  • 計画の見通しを立てる

転用許可申請に使用する

転用許可申請は、農地を別の目的で利用するために必要な手続きです。申請時には農地転用の事業計画書が利用されます。申請先は、農地のある市町村(農業委員会)です。

申請書には、転用計画の詳細や目的、利用する農地の場所や面積・影響評価・環境保全策・関係者との協議内容などが記載されます。事業計画書には、転用計画が法令に適合し、地域社会や環境に与える影響が最小限に抑えられていることを示さなければなりません。

農地の権利移動・借賃等調査』によると、令和3年度の農地転用面積は、前年比96.9%となりました。転用農地の用途別では、住宅用地が24.1%・公的施設用地が65.1%・商業やサービス用地が5.5%・その他業務用地が39.6%と、全体の74.3%を占めています。また、農地法第4・5条の許可・届出ではその他の業務用地や住宅用地が主体となっており、該当以外では植林が目立ちます。

転用主体別農地転用の動向では、農地法該当ではその他の法人・団体が53.9%、該当以外では農家が49.3%で最も多い結果となりました。

参考:令和3年農地の権利移動・借賃等調査結果の概要|e-Stat 政府統計の総合窓口

計画の見通しを立てる

農地転用の事業計画書は、計画の見通しを立てるためにも必要です。需要や市場の動向・競合状況・技術の進歩などを考慮したうえで、収益性や成長の可能性を予測します。また、地域住民の連携も欠かせません。地域住民の協力が得られず、事業の継続が困難になった例も過去には見られます。

このような事態を避けるためにも、リスク要因や不確実性も考慮し、専門家の知見も取り入れながら計画を立てるようにしましょう。

農地転用の事業計画書のひな形、テンプレート

農地転用の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

農地転用の事業計画書を作成するときは、地方公共団体や政府機関が提供しているガイドラインやフォーマットを活用します。

マネーフォーワードでは、農地転用の事業計画書のテンプレートをダウンロードできます。ぜひご活用ください。無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて、40種類以上の事業計画書をダウンロードしていただきますので、ぜひお気軽にご利用ください。

農地転用の事業計画書の書き方・記入例

農地転用の事業計画書には以下の事項が必要です。

  • 転用目的、当該土地を選定した理由
  • 土地の所在・面積
  • 事業内容、管理・運営の方法
  • 従業員
  • 借入の状況(法人の場合、代表者の借入)
  • 資金と調達方法
  • 事業の見通し(月平均)

それぞれの書き方・記入例について説明します。

転用目的、当該土地を選定した理由

転用目的と土地選定理由を記載する際は、農地をどのような目的で転用するのか・なぜ農地転用が必要かを、事業との関連性とともに具体的に説明します。さらに、選定した土地に関しては、他の候補地との比較や立地条件・周辺への影響なども詳細に記述しましょう。建築物を建設する場合は、立地条件・用途適合性・周辺農地への影響なども重視します。

申請地が第2種農地の場合は、周辺の土地で目的を達成できない理由についても記載しましょう。また、第1種農地や甲種農地以外の周辺の土地でも、目的が達成できない理由を詳細に述べる必要があります。

土地の所在・面積

土地の所在・面積は、事業計画書で明確に記載しましょう。所在地は具体的な地番や地理的な位置を、面積は農地転用の対象となる土地の広さを示します。

土地の所在地や面積を正確に記載することにより、転用する土地の場所や面積が把握できるようになります。

事業内容、管理・運営の方法

事業内容では、農地転用後の具体的な活用計画を記述します。施設の建設や駐車場に利用するなど、転用後の利用方法を明確にしましょう。

管理・運営の方法では、人員配置や設備の管理・運営方法などの方針を説明します。これにより、事業の効率的な運営と持続可能性を明らかにします。

農地転用後の事業では、「誰に」「どのように提供するか」を具体的かつ客観的に記載することが重要です。

従業員

従業員欄には、事業で配置する人数について記載します。増員の予定がない場合は現在の従業員の人数を、増員の予定がある場合は、採用人数を含めた人数を記載するとよいでしょう。

従業員は、業務を遂行する人のことをいいます。取締役・監査役などの「役員」は従業員に含まれないことに注意しましょう。

借入の状況(法人の場合、代表者の借入)

「借入の状況」では、事業資金の調達方法と返済計画を記載します。法人の借入はもちろん、住宅ローンをはじめとした個人的な借入についても報告します。借入の状況は、現在の状況を正直に記載しましょう。

融資の担当者は、借入金の金額・利率・返済期間・担保の有無などから、返済能力を評価します。借入がある場合は、借入を返済したうえで利益が得られる事業計画を立てなければなりません。

資金と調達方法

資金と調達方法に書かれた内容によって、担当者は農地転用事業計画を実行できる資金が準備できているのか確認します。

まず、農地転用に必要な資金額を具体的に記載しましょう。土地の登記や造成にかかる費用・行政書士への報酬などが資金額に該当します。項目が足りない場合は、必要に応じて追加して構いません。

農地転用に必要な資金を調達する方法も明確にします。自己資本や借入金の金額を記載し、借入金をどのように調達するのかも記載した方がよいでしょう。

一般的な調達方法には、銀行からの融資や農業関連の助成金および補助金、投資家からの融資などがあります。

事業の見通し(月平均)

事業の見通しでは、農地転用後の事業が進展する具体的な計画を記載しましょう。市場の需要や競合状況、技術的な進歩などを考慮し、事業の成長性や収益性を評価します。

また、リスクや不確実性も検討し、適切なリスク管理方法を明確にすることが重要です。さらに、事業の拡大戦略や市場進出計画など、将来的な展望も明確にするとよいでしょう。

農地転用の事業計画書作成のポイント

農地転用の事業敬作書作成時には、2つのポイントがあります。

  • 転用目的と用途を明記する
  • 適切な資金計画を作成する

転用目的と用途を明記する

農地転用の目的と用途を明記する際は、転用がなぜ必要かを明確にしましょう。たとえば、地域の経済活性化や地域貢献などの目的を挙げます。

次に、転用した土地の具体的な用途(駐車場やスーパーなど)を具体的に記載します。

地域社会や環境への影響を考慮し、計画の持続可能性や社会的な意義を明確にしたうえで、農地転用の必要性をアピールすることが重要です。

適切な資金計画を作成する

農地転用の資金計画は、収支の詳細な分析と資金調達方法の検討が必要です。事業に必要な費用や運営に欠かせない経費・借入金の返済計画などを具体的に計画します。

次に、適切な資金調達方法を検討しましょう。助成金や補助金・融資など、適切な資金調達手段をえらび、金利や返済条件を考慮して計画を立てます。

事業計画にはリスク管理も欠かせません。事業運営に伴うリスクを洗い出し、予期せぬ出費や市場変動に備えるための予備資金を設けます。

適切な事業計画書を作成して農地転用を成功させよう

適切な事業計画書を作成することは、農地転用を成功させるために重要です。

現在の農地を転用するには、事業計画書を作成し転用の許可を得る必要があります。本記事で解説したポイントを抑えながら作成するとよいでしょう。

事業計画書に定められた形式はありません。農地転用の事業計画書テンプレートは以下から無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。


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