• 更新日 : 2024年7月2日

中学生・高校生の子ども起業家がやるべきこととは?親のサポートなくして成功なし!

近年、30歳前後で独立や、会社設立をして活躍する若手社長が目立つようになりましたが、最近では更に若い中学生や高校生の起業家も増えています。

しかし、子どもといえば当然未成年者。それ故に、どんなに起業をしたくても、親の力を頼らなければならないケースが出てきます。

それでは、子ども起業家を目指す我が子を応援するために、親は一体何をしてあげればよいのでしょうか、見ていきましょう。

※「マネーフォワード クラウド会社設立」では、出資者および役員に未成年を含む会社の設立は対応しておりません。

中学生や高校生の子ども起業家が増加中!

親目線では、つい「子ども」と1つの言い方で括ってしまうもの。しかし実は年齢や各種条件によって、法律で厳密に定義されています。

たとえば、幼児は乳児期満了(満1歳)から学齢(小学校就学)までと児童福祉法で定められています。また、労働基準法によると、年少者とは18歳未満の者を指す言葉です。民法が改正され、2022年4月1日から成年年齢が18歳になりました。したがって、18歳未満の者が未成年者となります。

該当する区分によっては、起業をする上で一定の制限がかかる場合があるので、予め意識しておくことが大切です。

子どもが起業するメリット・デメリット

子どもが代表者となって起業する場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

子どもが起業するメリット

まず挙げられるのが、子どもならではの独創性の高さ。新しい商品やサービスをつくる際には、消費者に「この商品(サービス)でないとダメ!」と思わせるような差別化ポイントが必要になります。子どもの柔軟な思考力を活かせば、それを容易に見つけられる可能性が高いのです。

また、「子どもが社長」という珍しさから、宣伝効果が高まるというメリットもあります。子ども起業家の数が増えているとはいえ、現時点ではまだまだ希少価値の高い存在です。そのため新聞や雑誌・ネットなどで取り上げられやすく、広告宣伝費をかけずに企業PRを行うことができます。

子どもが起業するデメリット

起業家と言っても、まだ未成年者。特に小中学生だと義務教育も終わっていない段階なので、ビジネスの世界でも半人前と見られる可能性が高くなります。子どもというだけで信用してもらえなかったり、足元を見られて与信金額を低く抑えられたりすることもあるでしょう。

また、金銭面の不安定さも悩ましい問題の1つ。たとえビジネスのアイデアは素晴らしくても、資金調達やお金の管理に関する知識はやはり大人と比べてかなり劣るはずです。

子どもは、とにかく「自分の想いを形にする=起業」という考えになりがちですが、その夢を実現する道は何も起業だけではありません。学校を卒業した後、しかるべき企業に就職して、そこでやりたいことをとことんやれる可能性だって十分にあります。親としては、起業する以外にも様々な選択肢があると子どもに気付かせるきっかけを与えたいものですね。

子どもが起業する際に必要な手続き

子どもが起業するにあたっての手続きを、「法人設立」という視点から見ていきましょう。個人事業主になるのと、法人とでは起業に際しての手続きが異なります。

商号を決める

一言で言うと、商号とは会社名のことです。一方、個人事業主となる場合には登記がないので、商号はなくてもかまいません。

基本的に好きな商号を付けて構いませんが、決めるにあたっては幾つかのルールがあります。例えば、商号の先頭に特定の記号を付けることができません。また、会社法によれば、同一住所で同じ商号を使用することもNGです。

子どもが名付けたい社名が分かりやすく覚えられやすいものかどうか、きちんとルールに則っているかどうか、大人の目線からもチェックしてあげましょう。

商号について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

本店所在地を決める

起業する際には、本店所在地を設定する必要があります。子どもが親と住んでいる場所を本店所在地とする場合、特に問題はありません。しかし、本店所在地用に物件を借りる場合は要注意です。

未成年者が1人で賃貸契約を結ぶことはできません。親の同意を得て本人が契約するか、親が代理人となって契約することになります。万一、親の同意を得ずに未成年者が契約をした場合には、賃貸側も契約を取り消すことが可能です。子どもにはこのルールをしっかり教えておきましょう。

本店所在地について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

会社の銀行口座をつくる

子どもが銀行口座をつくる場合、銀行によっては必要書類を準備した上で、本人が親と一緒に銀行に行かないと原則として口座を開設できないケースがあるかもしれません。

しかし最近は、大手銀行でも個人口座なら、18歳未満の未成年者が本人確認書類を店頭に持参したり、口座開設のためのアプリを使ったりして預金口座が開設できるようになってきています。

しかしながら、子どもが会社を設立し、法人口座を開設するためには多くの書類を揃える必要があり、口座開設まではハードルが高いと言えます。

「法人設立届出書」を提出する

法人設立届出書とは、会社設立をしたことについて税務署に届出をするものですが、定款の写し等を添付する必要があります。この項目の最後のステップとなります。

一般に、法人設立届出書を提出するまでの主な流れとして、次の手続きがあります。

    • 定款の作成、認証
      定款とは、会社をつくる際に必ず作成するもので、公証役場で公証人の認証を受ける手続きが必要です。定款には、設立する会社の基本的な情報が記載されています。未成年者が定款を作成する場合には、親権者全員の同意書や親権者全員の印鑑証明書など添付すべき書類があります。したがって、定款の作成や認証については、親の同意なしではできません。
      ただし、会社形態によっては(たとえば合同会社)、定款の認証が不要な場合もあります。
    • 資本金の振り込み
      資本金の振り込みについては、発起人の個人口座でも問題ありません。定款に記載する資本金と同じ金額を振り込みます。

 

  • 法人登記
    登記にあたって、株式会社などにおいては、取締役が就任を承諾したことを証明する書面に実印を押して、その押印に使った印鑑登録証明書を添えて提出する必要があります。まず、未成年者が取締役に就任することを承諾するには、一般に親権者などの同意が必要となりますし、印鑑登録証明書を取得できる条件は「15歳以上」であることです。つまり、15歳未満の未成年者だけでは法人の登記はできません。
  • 「法人設立届出書」の提出
    定款の写しを添えて、税務署に「法人設立届出書」を提出します。
    上記の手続きが済み、マイナンバーカードを取得している場合には、国税庁の「法人設立ワンストップサービス」を利用すればオンラインで届出書を提出することができます。

法人設立届出書について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

「給与支払事務所等の開設」を届け出る

会社の登記が終わっても、役所の手続きはまだ終わっていません。従業員を雇う場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要です。

事務所を設立してから、1か月以内に税務署へ提出する必要があります。この書類にも会社の代表者の記載が必要であるため、法人設立届出書と同様、15歳未満の子ども1人では申請することができません。

法人設立届出書について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

「確定申告」に関する書類を提出する

個人事業主ではなく、会社設立をした場合には決算をして、法人税確定申告をしなければなりません。

任意ではありますが、青色申告の承認申請書の提出をする場合は、原則として事業年度開始の日の前日までに提出します。青色申告により、受けられる特典としては主として次のものがあります。

  • 欠損金の繰越控除
  • 欠損金の繰戻還付
  • 中小企業書等の少額減価償却資産の損金算入

上記のどれも節税につながる特典ですので、法人を設立したら青色申告をおすすめします。

また、設立した法人から代表者に役員報酬を支払っている場合には、その報酬については所得税の対象となります。年末調整によって源泉所得税の過不足を精算し税務署に支払調書を提出します。

青色申告承認申請書について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する

これも任意ですが、従業員が常時10人未満の会社であれば、源泉所得税を半年に一度まとめて納付できる「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出するのがおすすめです。

特例を受けた場合の支払い期限は次のとおりです。

  • 1月~6月に支給した給与から源泉徴収した所得税等・・・・・・7月10日
  • 7月~12月に支給した給与から源泉徴収をした所得税等・・・翌年1月20日

ただ、この書類にも会社の代表者の署名が必要なので、子どもが15歳未満の場合は注意してください。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

従業員を雇う場合に提出する書類

もしも従業員を雇うようになる場合、必要となる主な書類は以下のとおりです。

  • 雇用保険 適用事業所設置届・被保険者資格取得届
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届

これらは人を雇用する上で重要な書類ですので、親がサポートに入るだけでなく、社会保険労務士のような専門家に依頼した方がよいでしょう。

そうすれば子どもも、何でも1人で対応するのではなく、周りの人を上手に巻き込むことを学べます。そんな学びの機会をつくってあげるのも、親の務めではないでしょうか。

保険関係の書類について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

子どもでも起業のための資金調達はできる?

さて、子どもであっても起業のための資金調達はできるのでしょうか?親が出資することが一番早道ではありますが、親の資金に余裕があるとは限りません。また、金融機関などからの融資についてはハードルが高いですが、最近はクラウドファンディングなども使えます。

クラウドファンディングとは、不特定多数の人々からインターネットを通じて少しずつ資金を集める方法です。新しいアイデアが支援者の心を動かせば、その商品やサービスの宣伝をしながら、資金を得られるかもしれません。
クラウドファンディングを始める場合には、資金獲得の成立確率や、資金集めのプロジェクトを成立させるためにどの程度の支援が見込めるのかをなどの調査が必要です。

したがって、そのクラウドファンディングが成功するかどうかは、親や協力者のサポートがなければ難しいと言えます。まずは、起業する子どもの身の丈に合った資金調達の範囲内で起業をすることをおすすめします。

子どもの起業には親のサポートが必須!

法律では、未成年者は判断力が備わっていない者として、不利益を被らないように様々な形で保護されています。一方で、未成年者が起業したいと思った時に、民法や児童福祉法などがかえって足かせになっているケースも散見されます。

もしも色々な方法を説明した上で、それでも子どもが起業家の道を選ぶのであれば、法律面でも資金面でも親のバックアップは必要不可欠です。我が子が夢を実現できるように、家族みんなで「子ども起業家」を支えてあげましょう。

よくある質問

子どもが起業するメリットとは?

子どもの柔軟な思考力を活かせば、新たな商品や画期的なサービスを容易に見つけられる可能性があります。また、「子どもが社長」という珍しさから、宣伝効果が高まると言えます。詳しくはこちらをご覧ください。

子どもが起業するデメリットとは?

ビジネスの現場では、子どもというだけで信用してもらえなかったり、資金調達が難しかったりします。詳しくはこちらをご覧ください。

子どもが起業する際に親は必要?

未成年者が法人を設立するには親の同意を得なければならない部分が出てきます。たとえば、15歳未満は印鑑登録ができません。また、未成年者が取締役として行う行為には親権者の同意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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