• 更新日 : 2023年12月4日

雑貨屋の経営・開業は難しい?メリットや成功のコツを解説

雑貨屋の開業・経営は難しい?メリットや成功のコツを解説

日用品の中でも小物や生活用品、生鮮食品以外の一般食品などを販売する「雑貨屋」。比較的簡単に低コストで開業できることから、女性起業家などを中心に雑貨屋の開業を目指す人も少なくありません。しかし、雑貨屋の経営は一般的に難しいとされています。本記事では、雑貨屋の開業と経営の基礎知識やメリット、成功のコツなどを含めて解説します。

雑貨屋の経営は厳しい?

雑貨屋の経営は一般的に難しいとされています。その最大の理由は、比較的簡単に低コストで開業できることから、業界内の競争が激しいためです。また、一口に雑貨と言ても対象となる品目が多く、消費者ニーズにピンポイントに応える必要があることも雑貨屋の経営が難しい理由です。さらに、最近ではインターネットで雑貨を販売する事業者も増加しており、価格面での競争が激しさを増しています。このことからもわかるように、雑貨屋はビジネス的には典型的な多産多死のビジネスであると言っていいでしょう。

しかし、雑貨屋の中でも消費者ニーズを着実に掴み、安定した経営を行っている雑貨屋も存在します。また、インターネット販売と実店舗でのハイブリッド販売を展開し、売上を伸ばしている雑貨屋も少なくありません。雑貨屋の経営が難しいのは事実ですが、やり方次第で成功させることは十分に可能です。

雑貨屋を経営するメリット

雑貨屋を開業する人の中には、自身の雑貨好きが高じて雑貨屋を始めたという人も少なくないようです。自分で選んだり手作りしたりしたユニークで実用的な雑貨がお客さんに喜ばれるのは、まさに雑貨屋経営の醍醐味と言えるでしょう。こうした気持ちの面以外にも、一般的に雑貨屋の経営には以下のメリットがあります。

経営の自由度が高い

第一のメリットは経営の自由度が高いことです。雑貨屋の経営では、基本的に経営者が好きなものを好きなように販売できます。品揃えの変更や売れ行きが良くないアイテムのリプレースも、経営者の裁量で行うことができます。仕入先も工夫次第では自由に開拓でき、取引が固定化することもありません。コンセプトやテイストに縛られることなく、自分好みの店づくりが可能です。営業時間についても、自分が好きなように決められます。

利益率が高く、ランニングコストが安い

利益率が比較的高いのも雑貨屋を経営するメリットです。平均的な雑貨屋の仕入れの掛け率は60%程度とされていて、中には50%程度で仕入れている雑貨屋もあります。売れ筋商品の開拓に成功すれば相応の利益を得ることができます。

また、雑貨屋は比較的ランニングコストが安いのも魅力です。小規模店舗をオーナー経営者自らが経営すれば人件費も抑えられます。飲食店のように店舗にある程度の広さが求められることもなく、水道光熱費なども相応に安いです。

開業コストが安い

開業コストが安い点も大きなメリットです。店舗に広さは求められないので、10坪程度の小規模店舗での開業も可能です。また、飲食店のように厨房機器や什器備品などへの設備投資も必要なく、店舗の内外装工事などの減価償却費も相応に安く抑えることができます。また、インターネットショップとして雑貨屋を開業すれば、実店舗よりも大幅にコストを抑えられます。開業コストが安いため、自己資金だけで開業することも可能です。

雑貨屋の経営スタイルは?

一口に雑貨屋を経営すると言っても、いくつかの経営スタイルがあります。一番オーソドックスなのは店舗を借りて雑貨屋を開業することですが、最近ではインターネットで雑貨屋を開業し、オンラインで営業するケースも増えています。どの経営スタイルがベストかは状況や条件にもよりますが、雑貨屋の経営スタイルとしては以下の5つが挙げられます。

店舗を借りて経営する

店舗を借りて雑貨屋を開業するのが、オーソドックスでもっとも一般的な経営スタイルです。雑貨屋の開業には特に制約や制限がなく、営業可能な物件であれば基本的にどこでも開業できます。店のコンセプトとターゲットにマッチする物件で開業できれば、比較的スピーディーに経営を軌道に乗せることも可能でしょう。一方、店舗を借りて雑貨屋を開業するには物件取得費や内外装費、仕入、人件費、宣伝広告費、当面の間の運転資金といった開業コストが最低でも500万円は必要です。

自宅で経営する

店舗を借りるのではなく、自宅で雑貨屋を開業し、経営するというスタイルもあります。実際に自宅の一部を改築して雑貨屋を開業する人も少なからず存在します。自宅で雑貨屋を開業することで、店舗を借りる時に必要となるコストを抑えられるので、その分費用を抑えられます。一方、自宅で雑貨屋を開業する人の多くが田舎で開業していて、開業した後の集客に苦戦するケースが少なくないようです。自宅で雑貨屋を開業する場合は、開業後の集客をどうするのか事前に対策を講じる必要があります。

フランチャイズで経営する

雑貨屋の開業には、フランチャイズに加盟するという方法もあります。雑貨屋のフランチャイザーの多くは、物件の取得や仕入れ、集客などの経営ノウハウを持ち、オペレーションなどで支援を行いながら経営成功の確率を高めてくれます。フランチャイズによる雑貨屋の経営は、特に初めて雑貨屋を開業する人にとってはメリットが多く魅力的です。しかし一方で、自前で雑貨屋を開業することと比べて経営自由度が低いことや、コストが必要になるといったデメリットもあります。

ネットショップで経営する

インターネットで雑貨屋を開業し、経営するという人も年々増えてきています。インターネットで雑貨屋を開業する方法としては、

  1. 自分でショッピングサイトを構築する
  2. 楽天市場などのネットモールに出店する
  3. Shopifyなどのネットショッププラットフォームを使って開業する

といった方法が挙げられます。構築費用や運営費用、使える機能や決済方法、集客などのマーケティング力などにそれぞれ違いがあるので、自分にとって最適な方法で開業を目指しましょう。

実店舗とネットショップのハイブリッド経営

最近は実店舗とネットショップのハイブリッドで雑貨屋を経営する人が増えているようです。特に実店舗のある人は、実店舗の商品をそのままネットショップで販売していることも少なくありません。ハイブリット経営は実店舗だけで売るよりも販売機会が広がり、ネットショップは営業時間の制約も受けません。実店舗だけで雑貨屋を経営している人は、ぜひネットショップの開業も検討してみましょう。

また、実店舗で雑貨屋を経営している人の中には、実店舗で販売している商品の写真をSNSに投稿し、集客につなげている人もいます。

雑貨屋の開業・経営の流れ

次に実際に雑貨屋を開業し、経営する流れを確認していきましょう。前述で雑貨屋の経営スタイルについて説明しましたが、どの経営スタイルで雑貨屋を開業するにせよ、そのプロセス自体はほとんど同じです。ここでは一例として、店舗を借りて雑貨屋を開業する一般的な流れを解説します。

事業計画の策定

雑貨屋開業の最初のステップは事業計画の策定です。事業計画とは、航空機のパイロットがフライト前に作成するフライトプランのようなものです。店のコンセプトやイメージ、取り扱う商品、ターゲット、出店予定地といった事業に関する基本的な情報をまとめます。具体的には、「どのようなコンセプトの店でどんな商品を、どこで、どのようなターゲットに対していくらで販売するか」を事業計画書に落とし込んでいきます。

雑貨屋の開業場所を決める

事業計画策定の次のステップは開業場所の選定です。事業計画書で示した出店予定エリアにおいて、事業計画にもっともマッチする物件を探索します。エリア内の不動産業者などから情報を収集すると同時に、競合に関する情報も入手して具体的な開業場所を選定しましょう。開業候補地が決まってきたら、物件取得費用や賃貸借契約などに関する情報を不動産業者に確認します。賃貸借契約締結のフェーズになったら、併せて店のデザインや内外装についての概要を固めておきましょう。

資金計画の策定

続いて資金計画の策定です。事業計画書や開業予定地の情報をベースに、開業にかかる実際の費用を算出します。一連の開業コストを算出すると同時に、開業後の月次ベースの資金繰り予定表も作成します。開業に伴い金融機関などから資金を調達する場合は、作成した資金計画と資金繰り予定表を、事業計画書とともに金融機関に提出してください。なお、資金計画と資金繰り予定表は、いずれも最新の情報をもとに常時アップデートするようにしましょう。

商品の仕入れ

開業予定日が決まったら、商品の仕入れを開始しましょう。店のコンセプトに合致した商品を、あらゆるルートを使って探索しましょう。最近では実店舗向けの雑貨問屋に加えて、ネット専業で卸売りをするネット問屋も複数存在します。また、オークションサイトのヤフオクやeBay、ハンドメイドマーケットのminneといったネットショップで雑貨を仕入れる人も増えているようです。商品の仕入れは雑貨屋経営の重要な仕事となるため、情報収集を常に怠らないようにしましょう。

開業

店舗の内外装工事が終わり、仕入れも完了したらいよいよ開業です。開業に際しては地元コミュニティを中心に集客に注力しましょう。チラシやフライヤー、ポスターなどに加えて、店のホームページ、ブログ、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディア、LineやFacebookメッセンジャーなどのコミュニケーションツール等々、使えるものはすべて使って店を宣伝し、集客しましょう。

なお、個人事業主として雑貨屋を開業する場合は、所管の税務署に開業届の提出が必要です。

雑貨屋の経営を成功させるには?

世に雑貨屋は数多くあるものの、すべての雑貨屋が成功しているわけではありません。中には消費者に見放され、市場からの撤退を余儀なくされている店舗も数多くあります。特にインターネットで開業している雑貨屋の多くが、売上の低迷に苦しんでいると言われています。最後に、雑貨屋の経営を成功させるコツや押さえておくべきポイントについてまとめました。

消費者のニーズを把握し、対応する

雑貨屋の経営を成功させるポイントのひとつは、消費者のニーズを把握し、それに対応することです。実に多くの雑貨屋がこの条件を満たしていないばかりか、消費者ニーズを無視し、独りよがりな経営を行っています。

消費者ニーズを把握するには、情報収集を常に怠らないことです。同じ商圏内にある競合店舗でのトレンドを掴む、インターネットのECプラットフォームにおける売れ筋商品をチェックする、ソーシャルメディアで話題になっている商品を検索するなど、やるべきことは限りなくあります。

マーケティングを徹底する

マーケティングを徹底することも重要なポイントです。雑貨屋の経営を成功に導くためには、ホームページやSNSを充実させるなど、集客のための努力を常に怠ってはいけません。

ホームページは無論のこと、ブログや地元コミュニティサイトなどのメディアも駆使して宣伝し、周知を行いましょう。また、FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、Pinterestなどのソーシャルメディアを使って情報発信を行い、SNSの拡散やユーザーとのコミュニケーションをとることも大切です。

店舗とネットのハイブリッドで販売する

店舗を借りて雑貨屋を開業した場合は、店舗に加えてネットでも商品を販売するようにしてください。今や実店舗で雑貨屋を経営している人の多くがネットでも販売するハイブリッド販売を行っています。ハイブリッド販売をすることでネットでの売上機会を獲得し、実際に売り上げ拡大の可能性が高まります。また、ネットで集客したお客を実店舗へ送客するといった効果も期待できるようになります。店舗とネットでそれぞれ送客できるようになると、売上も相応に増加します。

海外市場でも販売する

英語が苦でない人であれば、国内市場だけでなく海外市場での販売も検討してみましょう。今は多くの雑貨経営者がAmazonやeBay、Etsyといった海外ECプラットフォームを使って商品を販売しています。また、Shopifyのユーザーであれば、国内向けネットショップを海外販売に対応させることが可能です。多言語対応も可能で、20の言語と130種類以上の通貨に対応しています。特に今は円安のトレンドが世界的に続いており、外貨を獲得するメリットが大きいです。

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小売業の事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例

消費者ニーズをつかんで雑貨屋経営を成功させよう

以上、雑貨屋の開業と経営についての基礎知識を、経営のメリットや成功のコツなどを含めて解説しました。雑貨屋の開業は比較的低コストでできるものの、新規参入が多くて競争が激しいのが懸念点です。実際、多くの雑貨屋が経営難に陥り、撤退に追い込まれています。

そうした中、成功している雑貨屋は消費者ニーズを着実に掴み、それに答えています。「消費者は何を求め、何に価値を見出しているのか」を常に自らに問い続け、その答えを求める努力をし続けることが、雑貨屋経営に成功をもたらすのかもしれません。


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