• 作成日 : 2022年9月16日

起業はなぜ失敗する?理由や成功するためのポイントを解説!

これから起業する人にとって、ビジネスの失敗や破産は何としても避けたいことであるのは間違いありません。本記事では、経営者が事業を成功させるために必要なポイントや、失敗しやすい人の特徴について事例を交えながら紹介します。パートナーや仲間との関係の築き方、目的の共有や資金調達に欠かせない事業計画づくりについても詳しく解説しているので、起業準備に役立ててください。

起業に失敗する理由とは?

起業に失敗する理由はさまざまであり、まったく同じ理由で失敗する起業家はいません。そんな中でも、失敗しやすいパターンというものは存在します。ここでは、資金管理や人間関係など、代表的な失敗の理由をいくつか紹介するので、こうしたパターンに陥ることがないようにあらかじめ理解を深めておきましょう。

業績の不振

事業を営む上では、家賃や光熱費、人件費、仕入れなどのさまざまな経費がかかります。

起業するタイミングでは多額の初期投資が必要となるため、準備段階ではその資金調達ばかりが気になってしまいがちです。しかし、会社というのは営業するだけでもそれなりの金額の運転資金が必要になります。事業が軌道に乗るまでの間は入ってくる資金も限られているため、当面の運転資金を確保できるような資金計画を立てることが重要です。

業績不振になると会社の雰囲気が重くなり、事業にも影響が出てしまいます。これを避けるためにも、運転資金には十分な余裕が必要なのです。

主要メンバー間の不仲

主要メンバー間での不仲は、友人同士で起業した場合に多いトラブルです。通常の友人同士では「お金」や「権力」を巡るトラブルが起きることは稀ですが、ビジネスとなるとお金や地位の話は避けて通れません。こうした衝突が人間関係を変え、組織がギクシャクする原因になってしまいます。

こうしたトラブルは、事業が軌道に乗り、収益化が進んだ段階で起きがちです。報酬分配をめぐる諍いや、信頼していた仲間の思わぬ裏切りといった形で表面化します。

資金管理不足(黒字倒産)

黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、損益計算書上では利益が出ているにもかかわらず、現金が不足して倒産してしまうことを表しています。よく陥りがちなケースとしては「売掛金の回収が間に合わない」というものがあります。商品やサービスが売れても、売掛金が入金されるまでに1~2ヶ月のタイムラグがあり、すぐに現金が手に入るわけではないからです。

黒字倒産を避けるためには、売掛金の回収サイクルと支払いスケジュールをしっかり管理し、支払い余力が残っているのか冷静に判断する必要があります。

起業に失敗する人の特徴は?

起業を志している人にとっては残念な話かもしれませんが、起業を失敗しやすい人のタイプも存在します。自分が該当するかもしれないという人は、苦手部分をカバーしてくれる協力者を探す、足りない能力を身につけられるよう努力するなど、対策方法を考えてみてください。

資金計画を立てられない人

起業では、初期投資以外にも会社を回していくための運転資金を十分に確保しておく必要があります。資金計画が不十分なまま起業すると、早い段階で資金不足による失敗を招きかねません。

起業までに必要な初期投資はもちろんのこと、起業後に必要な運転資金を正確に把握し、余裕をもって準備しておくことが大切です。運転資金は1年分準備しておくことが望ましいとされています。

また、黒字倒産を防ぐためにキャッシュフロー計算書などを活用するか、簡易的な確認方法でもよいので、現金が入るタイミングを把握するよう習慣づけるとよいでしょう。

起業が目的になっている人

起業を志す人の中には、「起業すること」「独立すること」自体が目的になってしまっている人もいます。実際に大事なのは「起業して何を成し遂げたいか」で、起業自体はその手段にすぎません。

起業自体が目的になっているケースでは、起業した後の方向性を見失いがちです。なぜなら、起業したことで目標が達成されてしまい、そこから何を目指したらよいか分からなくなってしまうからです。

起業すること自体に時間と労力を費やしてしまい、いざ起業してもそこから事業を成長させる余力が残っていない、もしくは長期的なビジョンがなく事業が短命に終わるというパターンもよく見られます。

経営者としての感覚・ビジネス感覚がない人

経営者には、会社員として雇われて働いているときとは全く違う感覚が求められます。会社員は会社の方針に従い、上司の許可を得ながら仕事を進めますが、経営者はすべて自分で決めなければなりません。どのように事業を回し、収益化につなげていくのか。そのためには何をすべきなのか。こうしたことを戦略的に考え、行動していく必要があります。当然ながら誰かが指示をしてくれることはありえません。また、間違った選択をしても誰も責任を取ってくれないという精神的なプレッシャーもあるでしょう。

それに加え、経営まわりの数字をつかむ能力も必要です。単純に売上目標の達成率やコストを見るだけでなく、キャッシュフロー(現金の出入り)を注視して収入と支出のバランスをとり、適切な投資判断をしていく必要もあります。

起業に失敗すると何が起きる?

起業に失敗すると、借金を背負うことになったり、一家離散したりするイメージが何となくあるかもしれません。こうしたステレオタイプなイメージは、必ずしもすべて正しいわけではありませんが、実際に起こってもおかしくないものもあります。起業する前に、起業に失敗したときのリスクを把握しておきましょう。

自己破産の可能性がある

資金繰りがうまくいかなくなると、資金ショートを起こし、自己破産に至る可能性があります。社長の個人名義で借金をしていたり、保証人になっていたりする場合は、会社が倒産して経営者も自己破産するというのは実際によくあることです。

起業したばかりの頃はまだ実績に乏しく、会社の信用力もありません。そこで経営者の個人名義で借金をするケースが往々にして見られます。そうすると会社が倒産しても個人名義の借金は残るので、返済できずに自己破産に至ってしまうことが多いのです。また、会社名義の借金であっても、経営者が連帯保証人になっている場合は社長の返済義務が残ってしまいます。

一方で、自己破産したからといって二度と起業できなくなるわけではありません。会社が倒産し自己破産しても何度も挑戦し続け、最終的に大きな成功をつかんだ経営者もいます。しかし、一度自己破産すると金融機関への信頼が大幅に落ちることは間違いありません。自己破産後の資金調達が極めて困難になることは覚えておいてください。

周囲の反応が気になる

起業に失敗したということが親戚や友人、近隣住民などに知られると、噂になることもあるでしょう。世間体が気になるタイプの人にとっては、もしかすると一番辛いデメリットといえるかもしれません。

特に、日頃から大きなことを言っていた人ほど周囲の反感を買ってしまっているものです。失敗すると、反感を買っていた分だけ惨めな思いも強くなることが想像できます。

失敗した時の周囲の受け止め方は、本人の人間性や日頃の振る舞いにも左右されます。失敗しても応援してもらえるような人間関係ができていれば、周囲の反応が気になるということもほとんどなくなるはずです。

再就職が難しくなる

起業に失敗すれば、当面の間は会社員やアルバイトといった形で再就職し、当面の生活費を稼ぐことになるでしょう。しかし、一度経営者という経験をしてしまうと、サラリーマンに求められる組織人的な働き方になじめず、苦痛に感じて辞めてしまうということは珍しくありません。また、起業からも扱いづらい人材と見られてしまい、なかなか就職先が決まらないこともあります。

特に40歳を過ぎている場合は、体力や適応力などを考えると採用側のハードルも高くなります。実際に起業する前に、もし起業がうまくいかなかった場合にどのように生計を立てるのかについて考えておく必要があるでしょう。

一般的な企業は起業経験者を敬遠する傾向がありますが、スタートアップやベンチャー企業はその限りではありません。自分の経験を企業で役立てたいという想いがあるならば、起業経験を買ってくれるような企業に応募するのも有効な一手です。

起業に成功するためのポイントは?

起業をする人なら誰でも、なるべく失敗を避けたいと思うはずです。起業には運の要素もあり、「これさえ守れば必ずうまくいく」という法則はありません。しかし、成功可能性を高めるために守るべきポイントというのは存在します。ここでは、失敗しないために必ず守りたい起業のポイントを3つ紹介します。ぜひ参考にしてください。

仲間やパートナーと起業する場合は、経営責任や目的を明確にしておく

誰かとビジネスを始める場合は、自分の苦手分野を補ってくれる人や、大きなビジョンを共有できる人(心の支えになる人)を選ぶのが基本的な考え方です。しかし、友人と起業する人の多くが、その友人が「ビジネスパートナーとしてふさわしいか」をよく考えないまま、友達関係の延長で起業してしまいます。

ビジネスで求められる関係と友人関係は、そもそもまったく性質の違うものです。ビジネスではシビアな判断や責任の明確化が必要となるため、心地よい友人関係のままでいることが難しいタイミングは必ず訪れるでしょう。その結果、友人間で意見が合わなくなり、最悪の場合ビジネスが空中分解してしまうことも珍しくありません。

親しい友人であるがゆえに、責任の明確化や判断基準の言語化など、事前に取り決めが必要なことを後回しにして、何となく雰囲気でビジネスを始めてしまうのが失敗の原因です。友人と起業する場合は、起業する前に経営責任や目的を明確化しておくことが欠かせません。

ビジネスは小規模・低リスクから始める

起業をしてから、ビジネスが事業計画通りに進むことはほとんどありません。大抵は売上げやコスト、資金繰りのブレ、予想もしなかったトラブルなどが発生します。よって、最初からトラブルの発生を見越して余裕のある計画を組むか、発生しうるリスク自体を下げる努力が大切です。

リスクを最大までとった状態で起業すると、何か起きたときに軌道修正する間もなくビジネスが行き詰まってしまいます。逆に、リスクを下げて起業すれば時間的・精神的な余裕が生まれ、何らかの打開策が出てくる可能性も高くなります。

起業するとなるとまとまった資金調達をして豪華なオフィスを借りたり、立派な備品を揃えたりしたくなりますが、本当に必要なもの以外にはお金をかけない姿勢が重要です。

また、ビジネスが上手くいかなくても当面の収入が確保できるように、会社を辞めずに副業として起業するのもリスクを下げるのに効果的です。副業であれば上手くいかなくても軌道修正ややり直しが簡単にできるため、最近では副業で起業する人は増加傾向にあります。

事業計画を立て、資金管理はしっかり行う

事業計画を立てる目的はいくつもありますが、その中で特に重要なのが「自分の頭の中を整理し、目標や事業内容を具体化する」ということです。

起業前には事業内容を色々と想像する時間があると思います。「こんなことができたらいいな」「このアイデアは革新的かもしれない」と、次々にインスピレーションがわいてくることもあるでしょう。しかし、事業全体を通して見ると整合性が取れない事業内容になっている場合もあります。

事業計画を作るということは、頭の中の内容を文章にするということです。計画を文章に落とし込むことで、検討が甘い部分や説得力が足りない部分、計画が破たんしている部分などがはっきりします。事業計画づくりは、一貫したストーリーのある事業を組み立てることや、事業化に向けた行動を明確にするために役立つのです。

事業計画を立てるもうひとつ重要な目的は、金融機関から融資を受けたり、出資者を集めたりするなど、関係者の協力を得るためです。金融機関や出資者から資金調達するには、客観的に事業の実現性が高く、無理なく返済できる計画であることが求められます。

自分ひとりで起業する人はほとんどいません。ひとりのつもりでも、何かしらの形で協力者を集める必要が出てくるでしょう。経営に必要な資金や人材を集めるためには、関係者が安心して協力できるしっかりとした計画を立てることが欠かせません。

また、計画を立てたら終わりではありません。なるべく計画通りに事業を進められるように資金管理は確実に行ってください。資金管理ができていないと、黒字なのに倒産する「黒字倒産」に至る可能性もあるので注意が必要です。

成功事例・失敗事例から起業の方法を学びましょう

失敗したいと思って起業する人はいません。起業する人の誰もが失敗はしたくないと思うことでしょう。この記事では、起業で失敗する人の特徴や失敗したら実際に起こること、そしてその対策を解説してきました。これらを守れば必ず失敗しないわけではありませんが、失敗の可能性はかなり下げられるはずです。先輩起業家の成功事例や失敗事例も参考にして、失敗のない起業を目指しましょう。

よくある質問

起業に失敗する理由は?

業績不振、主要メンバー間の不仲、資金管理不足(黒字倒産)などが考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。

起業に失敗する人の特徴は?

資金計画を立てられない人、起業自体が目的になっている人、経営者としての感覚がない人などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

起業に失敗すると何が起きる?

借入金から自己破産に至る、再就職が難しくなるといったことが考えられます。世間体が気になる人もいるでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


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