- 作成日 : 2024年10月10日
シェアオフィスで法人登記できる?費用や手続き、選び方を解説
シェアオフィスは法人登記が可能です。ただし、オフィスによっては住所の利用を許可していないところもあるため、事前に確認をしておきましょう。シェアオフィスの法人登記ではコストを抑えて起業でき、信用度が上がるなどのメリットがあります。
本記事では、シェアオフィスで法人登記するメリットやデメリット、向いている事業者などを解説します。
目次
シェアオフィスで法人登記はできる?
シェアオフィスとは、ひとつの場所を複数の企業や個人でシェアする形態のオフィスのことです。会社設立の際は法人登記が必要ですが、シェアオフィスの住所も本店所在地として法人登記することは可能です。
ただし、シェアオフィスの運営会社の許可が必要になるため、登記前に必ず確認をしておきましょう。
ここでは、シェアオフィスとレンタルオフィス、コワーキングスペースとの違いを解説します。
レンタルオフィスとの違い
レンタルオフィスとは、個室および業務に必要な設備が用意されているオフィスのことです。賃貸契約ではなく、プラン契約でレンタルします。
設備費は利用料金に含まれることが多く、賃貸オフィスより低いコストでオフィスを構えることが可能です。個室のため重要な書類も保管でき、通信回線では固定電話の設置もできます。
一方、シェアオフィスは専有スペースや固定席の確保はできますが、個室ではありません。
レンタルオフィスとシェアオフィスは料金設定も異なります。レンタルオフィスは1室ごとの料金設定で、基本的に月額の契約です。
一方、シェアオフィスは1名ごとのプランが設定され、月額制や従量課金制など、いくつかのプランから選べます。
コワーキングスペースとの違い
シェアオフィスは、コワーキングスペースとも異なります。コワーキングスペースとは、さまざまな人が共有するスペースのことです。図書館やカフェのようなオープンスペースを共有し、主に利用者同士の交流を目的としています。
一方、シェアオフィスは主に事業を目的に利用され、個室ではないものの個別のワークスペースが設けられています。
シェアオフィスに比べ、コワーキングスペースは料金が安い傾向にあります。また、シェアオフィスが一定期間の契約になるのに対して、コワーキングスペースは一時的な利用も可能です。
シェアオフィスで法人登記をするメリット
シェアオフィスで法人登記をすることは、会社にとってさまざまなメリットがあります。
コストを抑えてビジネスを開始できる
シェアオフィスは、賃貸物件を借りるよりもコストを抑えて起業できる点がメリットです。会社設立でオフィスを賃貸すると、高額な初期費用がかかります。シェアオフィスであれば、低料金で事業を開始できます。
また、シェアオフィスの施設には椅子やデスク、Wi-Fiなどの設備・機能も完備されているため、それらにかかるコストも削減できます。少ない資金ですぐにビジネスを始められるでしょう。
信用度アップやブランディングができる
シェアオフィスには、会社の信用度アップやブランディングができるというメリットもあります。都心の一等地にあるシェアオフィスを選べば、地域のブランド力で信用度を高められるでしょう。
名刺やホームページに記載した住所は、「一等地にオフィスを構えている会社」というイメージを与え、企業のブランディングにつながります。
自宅以外の住所を公示できる
個人事業主として自宅で仕事をしている人が法人登記する場合、そのまま自宅を所在地として登記すると、住所が公示されてしまいます。しかし、プライバシー保護の観点から自宅住所は公表したくないという人も多いでしょう。
シェアオフィスの住所で法人登記できれば、普段は自宅で仕事をしている場合も、自宅の住所を公表しないで済みます。個人情報を守れる点がメリットといえるでしょう。
シェアオフィスで法人登記をするデメリット
シェアオフィスで法人登記することには、デメリットもあります。
他の利用者と住所が同じになる
シェアオフィスは複数の企業が利用しており、それらの企業もシェアオフィスで法人登記していれば、登記先住所がかぶります。
取引先や顧客が住所をインターネットで検索した場合、複数の会社が検索結果として表示されるケースもあるでしょう。いくつもの会社が同じ住所であることに対して不信感を抱かれる可能性もあります。
シェアオフィスで法人登記をすることに法律上の問題はないため、問い合わせを受けたらシェアオフィスであることを説明するとよいでしょう。
シェアオフィス自体がなくなる可能性がある
シェアオフィスがずっと存続するとは限らず、経営がうまくいかずに運営会社が廃業する可能性もあります。廃業によりシェアオフィス自体がなくなれば、法人登記の住所を変更しなければなりません。
法人登記の住所を変更するには、移転登記の申請や各種変更届の提出などの手間がかかります。登録免許税などの費用も必要になるという点は把握しておきましょう。
シェアオフィスでの法人登記に向いている事業者
シェアオフィスでの法人登記に向いているのは、次のような事業者です。
- 広いスペースは必要ない
- 状況に応じてワークスペースを変えたい
詳しくみていきましょう。
広いスペースは必要ない
シェアオフィスは、広いスペースを必要としない業種に向いています。たとえば、システムエンジニアやWebデザイナーなどは、インターネット環境とデスクがあれば仕事ができます。
シェアオフィスによっては、来客に対応できるスペースや会議室を用意しているところもあり、そのような場所を選べば事業の拠点として十分に成り立つでしょう。
状況に応じてワークスペースを変えたい
シェアオフィスは、事業の成長に合わせて場所を変えたい方にも向いています。はじめは初期費用をかけずに小さいスペースでスタートし、状況をみながら本拠地を変えたい場合、シェアオフィスの利用が便利です。
別の場所に移るときも自社の設備を持たないため、引っ越しの手間やコストがかかりません。
初期費用を抑えた分の資金は事業に回すことで、経営をスムーズに進められます。
シェアオフィスで法人登記する費用や手続き
ここでは、シェアオフィスで法人登記する場合の手続きの流れや費用について解説します。
法人登記の手続き
シェアオフィスで法人登記をする際の流れは、次のとおりです。
会社設立にあたり、まず社名や事業目的、所在地などの基本情報を決定します。法人登記の申請をするときには会社の実印が必要になるため、社名を決めたら作成しておきましょう。
次に、会社を運営するためのルールである定款を作成し、認証(株式会社の場合)を受けます。
出資金(資本金)を払い込んだあと、登記申請書を法務局に申請し、登録免許税を支払えば法人登記は完了です。
法人登記の費用
株式会社を設立する場合、「資本金の額×0.7%」の登録免許税がかかります。15万円に満たない場合は15万円になります。
合同会社も「資本金の額×0.7%」ですが、最低金額は6万円です。
合名会社・合資会社は、1件につき6万円となります。
なお、シェアオフィスで法人登記を行う場合は、運営会社から追加料金を請求されるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
事業に適したシェアオフィスの選び方
シェアオフィスで法人登記をする場合、どのシェアオフィスにするか迷うこともあるでしょう。シェアオフィスを選ぶ際は、主に次の3つが判断基準になります。
- 立地
- サービス
- セキュリティ
事業の拠点となる立地は、通勤の利便性を考えて選びます。営業の外回りが多い場合は、できるだけ駅に近い方がよいでしょう。
シェアオフィスは場所によって設備やサービスが異なります。自社の業務に合う設備があるか、会議室や来客対応ができるスペースはあるかなどをチェックしましょう。
シェアオフィスは複数の企業や個人で場所を共有するため、セキュリティに配慮しているかのチェックも必要です。
セキュリティ対策は、不審者の侵入を防ぐ物理的セキュリティと、不正アクセスや情報漏洩を防ぐネットワークセキュリティに大きく分けられます。
物理的セキュリティには、次のような対策を行っているかをチェックしましょう。
- 防犯カメラの設置
- 入退室管理
- オートロック
- 受付で本人確認
- 鍵付きロッカーの完備
ネットワークセキュリティでは、利用者ごとに個別のSSIDと暗号化キーをセットで用意しているなど、十分な対策を行っているかを確認してください。
シェアオフィスで法人登記する際の注意点
シェアオフィスでは、必ず法人登記できるわけではないことに注意が必要です。まず、業種によってはシェアオフィスで法人登記できない場合があります。
たとえば、人材派遣業や不動産業など一部の業種では、許認可を取得する際、面積や事業所の独立性、他法人との間に間仕切りされているかなどの事務所要件があります。そのため、これらの業種で法人登記をするのは難しいでしょう。
また、シェアオフィスの運営会社によっては法人登記を許可していない場合もあります。ホームページへの住所記載や郵便物の受け渡しなどで住所利用はできていても法人登記はできないというケースもあるため、事前にチェックが必要です。
シェアオフィスは、銀行口座や融資の際に会社の実態が把握しにくいと判断されると、口座が作れない、融資を受けられないといったことになる可能性があることも把握しておきましょう。
十分に実態のある会社であることについて、資料などをもとに説明できるようにしておかなければなりません。
シェアオフィスは法人登記が可能
シェアオフィスでも法人登記は可能であり、登記により初期費用を抑えて起業できるなどのメリットがあります。一等地であれば、信用度アップやブランディングを図れるでしょう。
シェアオフィスを選ぶときは、立地や設備・サービス、セキュリティ対策などをチェックするようにしてください。また、法人登記を許可していないシェアオフィスもあるため、事前の確認が必要です。
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