- 作成日 : 2025年3月27日
熊本市で利用できる創業支援は?特定創業支援等事業や助成金・補助金について解説
熊本市では、これから起業を目指す方や起業して間もない方を対象に、創業に必要な知識を習得するための特定創業支援等事業を実施しています。また、創業支援の一環として、自治体による助成金・補助金制度の充実にも力を入れています。
本記事では、熊本市の創業支援の詳細と融資制度を中心にご紹介します。
目次
熊本市の特定創業支援等事業とは
熊本市の特定創業支援等事業は、創業希望者や創業して間もない事業者が対象です。「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」などの分野で必要な知識の習得をサポートしています。
この事業は熊本市に限らず、全国的に導入が進められており、創業者が安定した経営基盤を築けるよう継続的な支援体制を整えています。日本の開業率は欧米と比べ半分と言われており、特に地方の自治体では平均を下回る傾向があるため、各市区町村が「特定創業支援等事業」として創業支援を推進しています。
熊本市は、2014年3月20日に国の第1回認定を受け、特定創業支援等事業を導入し、市内の起業家の支援に尽力してきました。具体的な支援内容の一つとして、熊本市が認定した機関によるセミナーや個別相談の提供があります。
特定創業支援等事業を受けた証明書の取得で受けられる優遇措置
特定創業支援等事業を受けた証明書を取得すると、創業者は創業に関する知識が習得できるだけでなく、さまざまな優遇措置を受けることが可能です。以下に主な優遇措置をまとめました。
登録免許税の軽減
会社設立時にかかる登録免許税が、資本金の0.7%から0.35%と半分に軽減されます。例えば、株式会社で最低税率の場合、15万円の税額が7万5,000円に減額されます(合名会社、合資会社は対象外)。
信用保証枠の拡大
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用する際、貸付利率の引き下げ対象となり、通常よりも低い利率で融資が受けられるため、返済時の負担が軽減されます。
創業関連保証特例
別途審査が必要ですが、無担保・第三者保証人なしで創業関連保証を受ける際、以下の特例が適用されます。
- 申込可能な期間
【通常(特例なし)】創業の2カ月前~
【特例あり】創業の6カ月前~
ただし、会社設立から5年を経過していない法人の代表者は、登録免許税の軽減措置および創業関連保証の特例措置の対象外となります。
熊本市で受けられる創業支援
熊本市で利用できる特定創業支援等事業に関して、各事業の特徴や対象者を以下にまとめました。掲載情報は今後変更される可能性があるため、利用を予定される方は申込前に公式サイト等で最新情報を確認しましょう。
孔明塾
【特徴】
熊本商工会議所主催の創業支援講座で、事業に必要なビジネスプラン作成をしっかり学べ、受講後もフォローアップが実施されるため、じっくり学びたい方におすすめです。全日程の受講と所定の要件を満たすことで、熊本市から特定創業支援等事業の証明書が取得できます。
【対象者】
熊本市内で開業して2年以内の創業者または創業予定者
【受講方法】
熊本商工会議所で実施
【定員】
15名(先着順)
【受講料】
5,500円(税込)
【問い合わせ先】
熊本商工会議所 経営金融課:096-354-6688
関連サイト:熊本商工会議所ホームページ
創業スクール
【特徴】
熊本県商工会連合会が開催する創業支援講座で、受講や出席などの要件を満たすと証明書が発行されます。会場での受講だけでなく、Zoomを活用したオンライン受講や別会場でのサテライト受講も実施され、熊本商工会議所から離れた地域にお住まいの方でも気軽に参加可能です。
【対象者】
創業を予定される方、または創業に関する知識を習得したい方
【受講方法】
- 会場受講
- オンライン受講(Zoom)
- サテライト受講(熊本市託麻商工会内)
【定員】
120名(会場受講40名、オンライン受講60名、サテライト会場受講20名)
【受講料】
無料
【問い合わせ先】
熊本商工会連合会:096-325-5161
関連サイト:熊本商工会連合会ホームページ
まちなか創業塾
【特徴】
株式会社フィールドワークスが開催する創業支援講座で、起業形態やデザイン、調査分析など、起業や経営に必要なカリキュラムが充実しているのが特徴です。講師は各分野で活躍する若手経営者が担当しています。受講会場や受講費用などの詳細は公表されていないため、参加希望の方は同社にお問い合わせください。
【問い合わせ先】
株式会社フィールドワークス:096-277-1569
関連サイト:株式会社フィールドワークス
創業支援室
【特徴】
くまもと森都心プラザビジネス支援施設「XOSS POINT.」が主催する創業支援講座で、創業を目指す方や創業して間もない方に向け、創業支援室が創業・経営に関する各種支援を実施します。日曜限定のスクールも行っているため、ご自身のスケジュールを調整しながら参加することも可能です。
【対象者】
創業を検討される方、または創業して日が浅い方 など
【受講方法】
会場受講(受講場所:ビジネス支援施設 XOSS POINT. くまもと森都心プラザ 2F)
【定員】
25名
【受講料】
9,000円(税込)
【問い合わせ先】
XOSS POINT.:096-355-7402
参考:XOSS POINT.
熊本市で創業する場合に利用できる融資制度
熊本市で創業を検討される方が利用可能な融資制度を3つご紹介します。
スタートアップ創出促進保証制度
スタートアップ創出促進保証制度は、熊本県内で新たに会社を設立する方や、設立後5年未満の会社を対象とした信用保証協会付き融資制度です。法人の場合、一定の要件を満たせば経営者保証が不要となり、個人資産を守りながら新たな事業に挑戦できます。保証限度額は3,500万円、資金使途は運転資金および設備資金に充てられ、保証料率は一律年1.1%です。担保や連帯保証人は不要ですが、創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要となります。
熊本県創業者支援資金融資保証制度
熊本県創業者支援金融資保証制度は、熊本県内で新たに事業を開始する方や、創業後間もない方を対象とした制度です。融資限度額は1,000万円で、金利は固定かつ低金利(年1.30~1.65%以内)であるのが特徴です。連帯保証人が必要な場合もありますが、担保は不要で利用でき、さらに融資以外に創業計画策定段階から専門家の派遣を受けることができる点が魅力です。
熊本市中小企業創業サポート資金融資保証制度
熊本市中小企業創業サポート資金融資保証制度は、熊本市内で事業を開始する方や、創業して間もない方を対象とした保証制度です。信用保証料率および融資利率ともに低く設定され、保証限度額は2,000万円です。利率は返済期間に応じて1.30~1.60%、保証料率は年0.25~年0.35%となっています。
熊本市で創業する場合に活用できる助成金・補助金
熊本市および熊本県では、創業支援の一環として、事業立ち上げに役立つ助成金や補助金が提供されています。熊本市で起業する際に利用可能な主な助成金・補助金は以下の通りです。
スタートアップ支援補助金
スタートアップ支援補助金は、熊本県内で新たなビジネスを起こす人材育成を目的とし、成長が見込まれる創業期の起業を支援する制度です。創業時期、事業分野、事業取り組みの範囲などの要件を満たすと利用可能で、補助率は1/2以内、補助限度額は100万円となっています。
新事業挑戦クラウドファンディング活用補助金
新事業挑戦クラウドファンディング活用補助金は、熊本市内で創業や新規事業に挑戦される方を対象に、クラウドファンディングにかかる費用を補助する制度です。補助率は1/2、補助上限額は30万円です。
熊本市「移住支援金」
移住支援金は、移住直前の10年間のうち、通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区内に在住又は東京圏から東京23区へ通勤していたなど一定の要件を満たす方を対象に、熊本市内への移住を支援するために支援金が支給される制度です。支援額は単身者で60万円、2人以上世帯では100万円となり、18歳未満の世帯員を帯同する場合は1人につき100万円が加算されます。
なお、移住支援金制度を利用するには、就業先などの各種要件を満たす必要があります。2025年度の実施は未定ですが、2024年度に実施された際の要件は公式ホームページで確認しましょう(※2025年2月時点)。
熊本市で創業するなら創業支援や補助金制度を活用しよう
熊本市では創業支援および創業時に利用できる補助金制度が充実しています。本記事でご紹介した創業支援は、事業に必要な資金の補助だけでなく、創業や経営に関する知識を習得するうえでも有効な制度です。
事業内容に合わせ各種支援や補助金制度を活用することで、よりスムーズな起業につながります。各種支援を利用する際は事業計画書の作成などが必要となるため、審査を通りやすくするためにも、専門家に相談してみるとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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