• 作成日 : 2024年3月22日

プライベートカンパニーとは?設立方法・年収の目安、デメリットを解説

プライベートカンパニーとは?設立方法・年収の目安、デメリットを解説

会社勤めなどの本業はあるけれど、不動産や株式投資などからの副収入もそこそこあるという人は、「プライベートカンパニー」の設立を検討してみてはいかがでしょう。

プライベートカンパニーの意味から、どのくらい収入がある人に向いているか、さらに設立方法、メリット・デメリットまで、この記事で詳しく解説します。

プライベートカンパニーとは?

そもそも、プライベートカンパニーという言葉に法的な定義はありません。この名称を初めて聞いたという人もいるでしょう。まずは基礎知識から入りましょう。

プライベートカンパニーの意味

「プライベートカンパニー」は日本で生まれた言葉で、直訳すれば「個人的会社」となります。広義では個人で設立する会社全般が含まれることになりますが、狭義においては自身の資産の管理や副収入の節税などを目的として設立する会社のことを指します。この記事が取り上げるのも狭義の意味でのプライベートカンパニーです。

ちなみに欧米では「private company」は、「非上場会社」もしくはofficial(公的)の対語としての「民間企業」の意味となります。

プライベートカンパニーの主な特徴

通常の会社は何らかの事業を行い、それによって利益を追求することを目的として設立されます。会社という法人格を持つことで、取引や融資における信用を得られるという側面もあります。

一方、プライベートカンパニーを作る主な目的は事業の拡大ではなく、個人の利益の最大化といえます。ここでいう「資産」とは、預貯金などではなく、投資のための株式や、所有する不動産から得る所得などを指します。

すなわち、プライベートカンパニーの一番の特徴は、「事業」を行うというより、法人格を持つことで得られる税的なメリットがその存在意義であるということです。

個人事業主との違い

個人事業主は、その名の通り「個人」の身分で事業を行っている人です。プライベートカンパニーは、たとえ一人で設立しても形態としては「法人」です。

個人事業主は屋号や納税地などを記入した開業届を管轄の税務署に提出すればすぐになれますが、プライベートカンパニーは法務局で登記手続きを経なければ設立できません。この登記申請のためには、例えば株式会社であれば定款を作成して公証人の認証を得たり、会社印を新たに作ったり、資本金を払い込んだりといったさまざまな準備と費用がかかります。

どちらも所得に関して税金がかかりますが、個人事業主の場合は「所得税」、法人だと「法人税」を納めます。また、個人事業主は一律1月1日から12月31日が事業年度になりますが、法人は事業年度を定款で都合のよい時期に決めることができます。

サラリーマンや主婦でも設立できる?

サラリーマン(給与所得者)であっても、専業主婦であったとしても、もちろん管理がしたい個人資産があることが前提ですが、手続きさえきちんと踏めばプライベートカンパニーの設立は問題なく行えます。

ただしサラリーマンの場合、勤務先が、従業員が個人で会社を設立することを認めていない場合もあるので予め確認しておきましょう。また、そもそも禁じられている副業を会社に内緒で行っている人は、さすがにその収入の資産管理のために会社を設立するのはやめておいた方がよさそうです。

プライベートカンパニー設立の手順

一口に会社といってもいくつかの形態があります。この章ではプライベートカンパニーに適した会社形態と、それぞれの設立方法を説明します。

プライベートカンパニーに適した会社形態は?

会社法における「会社」の種類は、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つとなっています。

株式会社は最も一般的な形態で、会社を所有するのは会社に出資している「株主」であり、株主が選任した取締役が会社を運営します。

合同会社は出資者=経営者となる形態です。

株式会社、合同会社とも出資者が会社に対して負う責任は有限です。

一方合名会社、合資会社は出資者全員もしくは一部が会社に対し無限責任を負うため、これらの会社形態による設立は昨今ではあまりみられません。

したがって、プライベートカンパニーにおいても、株式会社もしくは合同会社での設立がよさそうです。

株式会社は設立費用が合同会社より高く、手続きも面倒になるため、将来新たな事業拡大を考えているのでなければ合同会社の方がよさそうですが、念のため以下に株式会社と合同会社の設立手続きを簡単に紹介します。

株式会社の設立手続

一人で設立する場合、設立者が「発起人」となり、以下の手続きを行います。

  • 定款を作成し、公証人の認証を受ける
  • 資本金の払い込みを行う
  • 株式につき発行可能数や発行数、一株当たりの払い込み額を決める
  • 発行株式に応じた金額を払い込む
  • 法人の印鑑を作る
  • 定款の他、必要な書類を揃えて法務局で登記申請を行う

設立にかかる費用は最低でも22~3万円となります。

合同会社の設立手続

  • 定款の作成(認証不要)
  • 印鑑届書及び代表者の印鑑証明書を書面で登記所に持参又は送付する(オンライン申請の場合は不要)
  • 定款の他、必要な書類を揃えて法務局で登記申請を行う

設立費用は10万円程です。
設立時の登録免許税額が株式会社より安いこと、定款の認証が不要であることは大きいですね。

プライベートカンパニーの年収の目安や事業内容

既述の通り、プライベートカンパニーは個人の資産を管理し、税金対策を行うために設立する会社です。しかし、副収入がある人の全員がプライベートカンパニーを設立した方がよいとは限りません。

年収の目安、設立した方がよいケース

プライベートカンパニーの設立がお勧めなのは、第一に副収入の額が多い人です。具体的な副収入の年収の目安は800万円前後です。

というのも、この800万円前後における「所得税」と「法人税」において、「法人税」の税率が一定であるため、トータルで法人税の方が少なくなるケースがあるからです。所得税と法人税は、所得に対する税率の区分が違いますが、例えば課税所得が801万円の場合では次のようになります。

所得税 801万円 × 23% - 636,000円 = 1,206,300円

法人税 800万円 × 15% + 10,000円 × 23.2% = 1,202,320円

この場合は、僅かながら法人税の方が安くなります。

課税所得が901万円だと次のようになります。

所得税 901万円 × 33% - 1,536,000円 = 1,437,300円

法人税 800万円 × 15% + 1,010,000円 × 23.2% = 1,434,320円

この場合は、法人税の方が少し安くなります。一方、課税所得が700万円だと次のようになります。

所得税 700万円 × 23% - 636,000円 = 974,000円

法人税 700万円 × 15% = 1,050,000円 この場合は、所得税の方が安くなります。

所得が800万円を超えたから直ちに法人化するというより、法人住民税・地方法人税・法人事業税などの実効税率を踏まえ、会社を設立した方がよいかどうか専門家を交えて検討してみる目安の額だと考えてください。

プライベートカンパニーに多い事業内容

プライベートカンパニーが実際に行う事業内容として多いのは、やはり「管理業務」です。投機目的で買ったマンション、元々所有していた土地にアパートを建てる、あるいは駐車場にする、いずれにせよそれで賃貸料を得ていれば、立派に「不動産管理業務」を行っていることになります。

同様に収入が株式などの投資なら「資産管理業務」になります。

その他、狭義の意味合いとは少し離れますが、副業で行っている小規模の業務、例えば個人輸入業やインターネットで手作りの品を売る販売業を行っている会社がプライベートカンパニーと呼ばれることもあります。

プライベートカンパニーを設立するメリット

プライベートカンパニーを設立するメリットには、個人との税率の違い以外にも、以下のものがあります。

経費として計上できる幅が広がる

確定申告時の経費計上は、個人事業主であってももちろん行えますが、これが法人となると、さらに計上できる範囲が増えます。

例えば役員報酬です。個人であれば自身に報酬を支払うことはあり得ませんが、会社であれば役員(自分自身)と会社は別人格ですから、報酬を支払うことができ、その金額を経費に計上できるのです。ただし、受け取った役員報酬は給与所得に当たるので、年末調整または確定申告が必要となります。

家族を役員にして所得を分散できる

資産管理を法人化することで、自身のみならず家族をも役員にし、報酬を支払うことが可能になります。この場合役員となった家族も年末調整が必要になるという手間が増えます。しかし、先述のように年収は多くなればなるほど所得税率が上がるため、所得を分散させるとその分低い税率で納税でき、節税になるのです。

赤字の繰越期間が延びる

所得税の青色申告では、赤字の繰り越しが3年可能ですが、プライベートカンパニーにすると最長10年まで繰り越しできるようになります。

このメリットは、とりわけ株式投資目的でプライベートカンパニーを設立する人に大きいでしょう。株式投資は大きく利益を得ることも損失を被ることも多いため、利益に過去の損失を繰り越せば法人税を減らすことができるからです。

法人保険・共済を利用できる

個人事業主が加入する生命保険料で受けられる控除額には、最大12万円という上限がありますが、法人として加入すれば、掛金全額が控除の対象となる場合があります。また、プライベートカンパニーであれば法人保険が利用でき、保険料を経費として、要件によっては損金が計上できる場合もあります。

相続税の対策として活用できる

家族を役員とし報酬を支払うことは、生前贈与としても有効です。

また、株式会社でプライベートカンパニーを設立し、例えば不動産を法人資産にしておけば、その相続を会社の株式で行うことができるので、相続税の評価額を低く抑えられるなどのメリットもあります。

プライベートカンパニーを設立するデメリット

一方、プライベートカンパニーのデメリットとしては以下のようなものがあります。

会社設立のコストがかかる

会社設立にはコストがかかります。合同会社は株式会社よりは安価ですが、先に紹介したコストはあくまでも実費であり、司法書士などの専門家に設立を依頼すればさらに報酬額が上乗せされます。

個人情報を公開する必要がある

会社を設立する際には、法務局に代表者である自身の氏名、現住所などの個人情報を提出します。これらの情報は全て会社の登記簿(履歴事項証明書)に記載され、請求されれば全国で誰でも閲覧することができます。抵抗を覚える人もいるでしょうが、取引の安全を守るためには必要な制度なのだと理解しましょう。

決算手続きが煩雑になる

個人事業主であれば原則所得税の確定申告のみで済む決算時の手続きでしたが、法人化すると毎年会社法及び税法で義務付けられた計算書類(決算報告書)と法人税の確定申告を作成しなければなりません。

株式会社であれば事業年度終了後に定時株主総会を開き、総会議事録に決算書の承認を得た旨を記載する手続きも必要となり、さらに法人税の申告も必要になります。

会社としてのお金を自由に使えない

一般企業で経営者が会社のお金を勝手に私用で使うと大問題になりますが、プライベートカンパニーにおいても同様に考えてください。

会社の管理資産とされている金銭等を個人的に使いたい場合は、必ず然るべき事由(報酬など)により個人資産へ移すというひと手間が必要になります。

赤字でも法人税が課税される

個人事業主であれば、所得額が195万円以下であれば所得税率は5%で済みますが、法人だと年800万円以下の所得税率は一律15%となるため、収入による課税額が大幅に増えることになります。

また、法人は「法人住民税」を別途納めねばならず、こちらは赤字であったとしても毎年7万円かかります。こちらも収入額によっては痛手となりそうです。

プライベートカンパニーはメリット・デメリットを理解した上で検討を!

不動産や株式などの個人資産の管理をプライベートカンパニーで行うと、個人で行うより経費計上の幅が広がったり、所得を家族で分割できたりといった節税対策ができます。

しかし、設立や維持の手続き事務が増え、年収額によっては逆に納税額が増えてしまう場合もあるため、設立には専門家に相談するなどしてじっくりと検討するようにしましょう。


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