• 更新日 : 2024年1月9日

株主総会の委任状とは?ひな形を基に書き方や代理人について解説

株主総会の委任状とは?ひな形を基に書き方や代理人について解説

株主総会を実施する場合は、株主に開催のお知らせとともに株主総会委任状を配付します。委任状があることで、株主総会に出席できない株主の意見を株主総会に反映させることが可能です。この記事では、株主総会委任状のひな形を基にした書き方について解説するので、ぜひ参考にしてください。

株主総会の委任状とは?

株主総会の委任状とは、株主が株主総会当日に出席できない場合でも、代理人をたてて議決権の行使を任せることができる書類のことです。

株主総会で代理人による議決権を行使する場合は、原則として委任状を会社に提出しなければなりません会社法第310条第1項)。代理人に正当な代理権があること証明するためには、事前に代理人としての証明書となる委任状を作成し、株主または代理人から委任状を会社に提出する必要があります。

株主総会の委任状の「代理人」とは

本来、株主総会での議決権は株主だけに与えられた権利です。株主から代理権を与えられた株主総会委任状の「代理人」は、株主の代わりに権利を行使できる立場にあります。

基本的に、株主が希望する代理人であれば無条件で代理権の授与ができ、誰でも代理人として指定することが可能です。しかし、会社法施行規則第63条第5号では、株主総会を円滑に進めるために、代理人の資格に関して合理的制限を設けることができるとしています。一般的には、代理人本人が株主であることを求めるケースが多いです。

株主総会の委任状を出さないとどうなる?

株主が委任状を出さない場合は、議決権の代理行使が認められません。委任状を出さなければ、株主本人として議決権の行使をする必要があります。委任状を出さずに株主総会を欠席した場合、議決権行使の機会を失うことになります。

ただし、委任状を出さずに株主総会を欠席する場合でも議決権の行使ができるケースもあります。電子投票制度(会社法第312条)や書面投票制度(会社法第311条)を導入している会社であれば、例外的に議決権の行使が可能です。

書面決議(みなし決議)、委任状を採用する際の手順

実際に株主総会の書面決議(みなし決議)、委任状を採用するには、どのような手順が必要なのでしょうか。以下では、書面決議(みなし決議)、委任状を採用する際の手順を詳しく解説します。書面決議(みなし決議)を行う際の参考にしてください。

書面決議(みなし決議)を行う際の手順

会社法第319条では、書面決議(みなし決議)を行う際、取締役または株主が、株主総会の目的となる事項を提案すると定めています。

取締役または株主は、議決権を持つ株主全員に対して提案書・同意書を発送します。なお、提案書・同意書はオンラインによる電磁的方法でも可能です。議案に対する書面または電磁的方法で署名・押印が完了した同意書を株主から回収してください。すべての株主から同意書を回収することで、議案は可決されたものとみなされ、無事決議の成立となります。

委任状を採用する際の手順

提案書・同意書は、断りなしに発送すると株主が困惑してしまう可能性があります。事前に、すべての株主に対して決議したい議案への意思や書面または電磁的方法の決議で済ませたい旨を伝えておくと安心です。

委任状は、会社側から株主総会招集通知と同封して発送するのが一般的です。株主総会に出席できない株主は、署名・押印した委任状を株主総会開催日までの期限内に返送することで議決権の代理行使が可能となります。なお、記名のみで問題ないか押印が必要かは、会社ごとに定款の規定によって異なります。

株主総会委任状のひな形、テンプレート

株主総会委任状の書き方に不安がある場合は、下記のページで公開しているテンプレートを参考にしてください。分かりやすい解説付きで、テンプレートは無料でダウンロード可能です。初めての方でも簡単に株主総会の委任状作成ができます。

株主総会委任状の書き方

株主総会委任状を有効に成立させるためには、適切な記載事項にしなければなりません。

まず、誰(株主)が誰(代理人)に委任するのかを明記します。代理人の氏名・住所は、株主総会当日に代理人が提示する証明書(議決権行使書など)と同じであることが必須です。

次に、委任する株主総会日、会社名、総会名(臨時総会なのか定時総会なのかも記載)を明記します。複数の委任事項がある場合は、委任する議案ごとに賛否を選択できるようにしておきましょう。

また、株主の氏名・住所は、委任者が提出する委任者の証明書(印鑑証明書など)と同じ氏名・住所であることが求められます。

株主総会委任状のよくある質問

株主総会の運営準備をトラブルなく無事成功させるためにも、株主総会委任状に関するすべての疑問点や不安を解消させておきましょう。以下では、株主総会委任状のよくある質問について解説します。

株主総会委任状はメール送信可能?

原則として、株主総会の委任状は書面での提出が必要です。しかし、会社の同意がある場合は、電子メールなどオンラインを利用した電磁的方法での提出も可能とされています。(会社法第310条第3項、会社法施行令第1条第1項第6号)

代理人欄を空欄にした場合どうなる?

代理人欄が空欄の委任状は「白紙委任状」と呼ばれ、会社側が代理人を自由に選任することが可能です。しかし、ケースバイケースで効力が否定される場合もあるため、委任状の有効性については、弁護士に相談して慎重に対応することが望ましいでしょう。

代理人に指名するのは誰がいい?

誰を代理人に指名するか悩む方は少なくありません。一般的に代理人は、会長や議長、職種によっては理事長を指名することが多いです。あらかじめ、株主総会委任状に「委任状に記入がない場合は、議長への委任とします」といった一文が記載されているケースもあります。

正しく株主総会委任状を作成・配付しよう!

株主総会委任状とは、総会当日に出席できない株主が議決権を行使できるようにするための書類です。株主の意見を会社の経営に反映させるために、株主総会委任状は重要な書類です。ひな形・テンプレートを活用して、適切な内容・形式の株主総会委任状を作成・配付しましょう。


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