• 作成日 : 2024年10月4日

行政書士が行う許認可申請業務とは?許認可の種類や報酬額の相場を解説

行政書士とは、行政機関へ提出する書類や法的書類の作成を行うことを業としている職業です。なかでも、許認可申請業務などは行政書士しか行えない独占業務で、行政書士の業務の中心的な存在となっています。

本記事では、行政書士が行う許認可申請業務の概要や許認可の種類、報酬額の相場について解説します。

行政書士が行う許認可申請業務とは?

行政書士は、行政機関へ提出する書類や法的書類の作成を行うことを業としている職業です。その中には、行政書士しか行えない独占業務が多く存在し、行政書士の業務の中心的な存在となっています。

行政書士の独占業務には、以下の3つが挙げられます。

  • 官公署に提出する書類の作成
  • 権利義務に関する書類の作成
  • 事実証明に関する書類の作成

許認可申請業務とは、官公庁へ各種許認可申請を行う業務のことです。許認可には、5つの種類(届出・登録・認可・許可・免許)があり、業種によって種類や申請先が異なります。

飲食店や建設業、運送業を開業する際には許可の取得が必要ですが、宅地建物取引業をはじめるには免許の取得が必要です。

許可と認可の違い

許可とは、本来禁止されていることを特別に認めることです。たとえば、旅館や飲食店などの営業、運送業、建設業などが該当します。

一方で認可とは、第三者の行為を行政庁が補充して、その法律上の効力を完成させることです。たとえば、私立学校や警備業などが該当します。それぞれの相違点は、次のとおりです。

  • 認可:必要な要件が整っていれば基本的に認められる
  • 許可:要件が備わっていても、行政庁の判断で不許可になるケースがある

行政書士が行う主な許認可申請業務

次に挙げた、行政書士が行う主な許認可申請業務について解説します。

  • 会社設立関連
  • 建設・工事関連
  • 飲食・営業関連
  • 不動産関連
  • 自動車関係
  • その他の各種書類

会社設立関連

会社設立において、行政書士は、主に定款の作成や許認可申請の手続を担当します。会社設立時に行政書士に依頼できる業務の範囲は、次のとおりです。

  • 定款の作成
  • 許認可申請の手続
  • 会社設立時の相談

自治体や保健所などに提出する書類や契約書類の作成・提出などが行政書士の主な業務です。会社設立においてできることは限られており、たとえば会社設立の登記申請ができるのは、司法書士のみですので、注意しましょう。

建設・工事関連

一定規模以上の建設業を営む場合は、都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要です。建設業許可の対象となる業種は29種類あり、行政書士は建設業許可の要否や許可条件を満たしているか否かの判断をし、必要な書類の作成および代理申請を行います。

そのほか、経営状況分析申請、入札参加資格審査申請、経営事項審査申請など関連する各種申請も行います。

飲食・営業関連

飲食店や遊技店を開店するためには、営業を開始する前に保健所や警察署等に必要書類を提出し、基準を満たした施設かどうかの確認を受ける必要があります。その際、店舗の形態によって、次の許可申請手続などが必要です。

  • 飲食店営業許可
  • 風俗営業許可
  • 性風俗関連特殊営業届出
  • 接待業務受託営業届出
  • 深夜における酒類提供飲食店営業届出

不動産関連

不動産業界において行政書士が担当するのは、建設業・宅建業を開業する際の必要書類の確認、および作成、開業許可申請の代行です。

また、新築住宅を建設する際は、建築確認申請書を検査機関などに提出し、建設計画が建築基準法に則っているかどうかを確認してもらうことが必要です。確認申請書の作成および申請も行政書士が行えます。

自動車関係

行政書士は、車庫証明手続に必要な「保管場所証明申請手続」や「保管場所届出手続」に関する書類の作成・アドバイスを担当します。

通常、証明書の取得までには、平日に警察署へ2回以上行く必要がありますが、仕事で忙しく時間のない人に代わって、行政書士がそれらの業務を行います。

その他の各種書類

許認可の書類の種類は多く、上記で解説した代表的なものの他にも、次に挙げるようなものがあります。これらの業種でも、許認可や届出が必要です。

  • 旅行業
  • 旅館業
  • 産業廃棄物処理業
  • 酒類販売
  • 古物商
  • 美容院
  • 薬局
  • 風俗営業 など

また、許認可は「一度取って終わり」というわけではありません。有効期限があるものも多く、その場合は一定期間ごとに更新申請などが必要です。それらの更新業務も行政書士が担当できます。

行政書士の許認可申請の報酬額の相場

行政書士が業務を行ったときに受ける報酬額は、行政書士それぞれが自由に定められるようになっています。そのため、一概にいくらという報酬額はありません。

ただし、日本行政書士会連合会では、行政書士の報酬額について5年に1度全国的な報酬額統計調査を実施しています。今回は、そちらの平均報酬額を紹介します。2020年度の平均報酬の一例は、次の表のとおりです。

業務内容平均報酬額
建設業許可申請(法人・新規)知事137,618円
建設業許可申請(個人・新規)知事120,458円
宅地建物取引業者免許申請(新規)知事112,535円
宅地建物取引士資格登録申請25,452円
自動車登録申請(継続)5,735円
深夜酒類提供飲食店営業開始届出87,628円
飲食店営業許可申請47,251円
古物商許可申請53,585円
薬局開設許可申請165,000円
障害児通所支援事業指定申請216,647円
在留資格認定証明書交付申請(就労資格)113,881円
永住許可申請131,527円
NPO法人設立認証申請168,020円

なお、取得の難易度が高いもの、専門性が高いもの、手間・時間がかかるものであるほど報酬が高額になる傾向にあります。

参考:日本行政書士会連合会 令和2年度報酬額統計調査の結果

事業者が行政書士に相談すべきタイミング

事業者が行政書士に相談すべきタイミングは、個人と法人の場合で異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

個人のケースで考えられる相談タイミングとしては、次のような場合が考えられます。

  • 遺言・相続
  • 成年後見
  • 自動車登録関連
  • 交通事故に関する手続、土地・建物等の賃貸借や金銭の消費貸借等の契約書類の作成
  • 外国人登録、永住許可、在留資格の取得、国際結婚 など

一方、法人のケースで考えられる相談タイミングには、次のような場合が考えられます。

  • 株式会社やNPO法人、学校法人、医療法人、宗教法人、組合等、法人の設立手続とその代理および事業運営の支援など
  • 許認可申請
  • 知的財産権の保護 など

これらのケースでは、行政書士に相談するとよいでしょう。依頼することで、次のようなメリットが得られます。

  • 申請の手間の削減
  • 不備にともなう差し戻しのリスク回避
  • 申請漏れのリスク回避

行政書士に依頼することで、さまざまなメリットが得られるため、書類作成や申請業務で不安がある場合は気軽に相談してみましょう。


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