• 更新日 : 2024年8月23日

アフィリエイターとして起業する方法は?法人化の基準やメリット・デメリットを解説

アフィリエイトはWeb広告によって収益を得るビジネスの一つで、少ない初期投資で始められることから参入障壁が低く、注目を浴びています。アフィリエイトの活動を行う人は「アフィリエイター」と呼ばれます。
この記事では「アフィリエイターとして起業するにはどうすればよいのか」「会社設立はできるのか」について解説します。

アフィリエイターとして起業する方法は?

アフィリエイターとして事業を立ち上げる場合は、基本的に以下の流れで進めていくことになります。

  1. Webサイトを立ち上げる
  2. ASPに登録する
  3. 広告を貼る商品を選ぶ
  4. 記事を書いてWebサイトに掲載する

ちなみに、ASPとは「アフィリエイト・サービス・プロバイダー」の略称であり、広告主とメディアを運営するアフィリエイターをつなぐ役割を担っています。

サイトに掲載する広告を選択する際に広告主の審査を受けることもありますが、審査に通ればサイトに広告を貼って、後は成果を待つだけです。

とはいえ、成果を出すためにはサイトのアクセス数を増やさなければなりません。そのため、アフィリエイターとして事業を続けるためには、単に広告をサイトに貼るだけでなく、ユーザーを獲得するための工夫や作業も必要です。

アフィリエイターとして起業するために必要な準備は?

アフィリエイターとしての活動を始める前に、以下のものを準備する必要があります。

  • パソコン
  • Webサイト
  • 通信環境
  • アフィリエイト専用の銀行口座

スマートフォンでもアフィリエイトを行うことはできますが、本格的に作業を行うするのであれば作業効率の高いパソコンを使用するのがおすすめです。パソコンを主に使用する職種とはいえ、エンジニアが使うようなハイスペックのパソコンを用意する必要はありません。

また、Webサイトの立ち上げにあたっては、レンタルサーバーの契約と独自ドメインの取得が必要です。厳密にいえば独自ドメインの取得は必須ではなく、無料で利用できるブログなどのプラットフォームを利用すれば、アフィリエイトを始められます。しかし、無料ブログだと、運営側の都合でサービスがなくなった場合、アフィリエイトの活動を続けられなるので、注意が必要です。

また、無料ブログの中にはアフィリエイトを規制しているものもあり、自由度は低いといえます。そのため事業として行うのであれば、レンタルサーバーの利用と独自ドメインの取得がおすすめです。

レンタルサーバーを提供するサービスは複数ありますが、月額数百円~1,000円前後が目安です。独自ドメインに関しても、年間数百円~数千円で利用できます。

アフィリエイトサイトはいつ法人化すべき?

アフィリエイト事業で法人化するタイミングは複数あり、税金の面からいうと課税所得が増えると所得税の税率が法人税の税率を上回るようになります。そのタイミングで法人化される方もいるようです。

個人事業主よりも法人の方が、社会的信用が高く、人材採用に有利となる傾向があるため、従業員を雇用したいというときに法人化される方もいらっしゃいます。

また、法人化すると厚生年金に加入することが義務づけられるので、自分自身や従業員が社会保険に加入することを目的に法人化するという考え方もあるのです。

個人事業主と法人の主な違い

個人事業主とは事業を営む個人のことを指します。法人とは個人と同じような権利や義務を持って事業を行う会社や団体のことです。個人事業主と法人では開業時の手続きや税金などさまざまな面で違いがあります。下表に簡単にまとめました。

個人事業主法人
開業手続き税務署に開業届を提出する法務局で商業登記を行う
手続きに必要な費用無料約20万~30万円程度
税金所得税法人税

法人化を検討すべきタイミング

法人化のタイミングは、よく考える必要があります。多くの従業員を雇用する場合や複数の役員で事業を進めたい場合など、組織として活動をする必要があるなら、そのタイミングで法人化してもよいでしょう。

ただし、アフィリエイターの場合は組織化の必要よりも、税負担を軽減が問題になりやすい傾向です。

個人には所得税が、法人には法人税が課されるのですが、それぞれ税率が異なり、税負担にも差があるからです。

個人事業主に課される所得税率は5%~45%と累進課税制度が採られており、所得が低いと税負担も小さくなり、所得が高いと税負担も大きくなります。

課税所得が200万円弱までなら税率は5%ですが、700万円近くになると23%、4,000万円以上になると45%に上がります。住民税も課税所得に対応して定まり、一律10%の税率が適用されます。

一方、法人に課される法人税は23.2%。住民税や事業税なども考慮した実効税率は30.62%~33.58%です(資本金の額などに応じて税率15%や19%が適用されることがある)。

一概に法人化すべきタイミングを示すことはできませんが、所得が高くなってきたら「いつ法人化するのが最適ですか?」と税理士に相談してみましょう。

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」、国税庁「No.5759 法人税の税率

アフィリエイトサイトが法人化するメリット

アフィリエイターが法人化するメリットとして税金面で有利になる、事業拡大がしやすくなるなどが挙げられます。詳しく見ていきましょう。

税金面で有利になる

前述のとおり、課税所得が一定の額を超えると所得税の税率よりも法人税の税率の方が低くなります。課税所得が多ければ法人化によって税負担を軽減できる可能性が高くなるでしょう。

節税につながる

法人の場合、役員報酬や退職金、出張手当、交際費など、個人事業主に比べてより多くの費目を経費として計上できるため、売上に対する利益を小さくすることができます。

事業拡大がしやすくなる

社会的信用が高くなって人材採用や資金調達の面でも有利になるというのも法人化の大きなメリットです。アフィリエイトによる売上が増えれば、従業員を雇って事業を拡大するという選択肢も視野に入るでしょう。雇用される側としては、個人よりも法人の方が安心して働けるため、優秀な人材を採用できる可能性が高まります。また、法人化にした方が融資を受けやすくなるのです。

社会保険が適用される

個人事業主は国民年金だけに加入しますが、年金の支給額はどうしても厚生年金と比較すると低くなってしまうのが実情です。法人化すれば経営者も従業員も国民年金だけでなく、厚生年金にも加入することになります。保険料の負担は増えますが、経営者が受取れる年金額がアップし、従業員にとっては福利厚生の向上につながるでしょう。

アフィリエイトサイトが法人化するデメリット

以上のように法人化することでさまざまなメリットが得られますが、逆に以下のようなデメリットも生じます。

法人設立・運営にコストがかかる

法人の設立時には法人登記を行わなければならず、約20万円~30万円のコストがかかります。資本金もある程度用意しておかなければなりません。

また、前述のとおり課税所得によっては所得税よりも法人税が安くなりますが、逆に課税所得が低い状態だと法人税が高くなってしまいます。

手続きの手間がかかる

個人事業主の場合は税務署に開業届を出せば開業可能です。しかし、法人の場合は先述のとおり、法人登記を行わなければなりません。そのためには定款の作成や資本金の払い込み、印鑑の作成といった手間がかかります。

設立後も税務署に法人設立届出書など、さまざまな書類を作成して提出する必要があります。司法書士などの専門家に書類の依頼もできますが、自分で検討する事項が多いので、定款の作成を丸投げすることはできないでしょう。依頼となると、報酬も発生します。

社会保険料の負担が増大する

社会保険に加入できるのが法人化のメリットですが、厚生年金の方が保険料は高くなってしまいますので、月々の負担も大きくなります。

また、フリーランスに外注する場合などは、保険料はそのフリーランスの人が自己負担しますが、従業員として雇用するとなると、法人側が保険料を折半しなければなりません。

利益を自由に使えなくなる

個人事業主の場合、得られた利益はその事業主のものとなります。売上をまるまる生活費や遊興費に充てるのも問題ありません。

しかし、法人の場合だと利益はその法人のものとなり、事業主は役員報酬を得ることになります。会社を経営しているからといって自社のお金を経営者が自由に使うことはできず、プライベートな支出は役員報酬から賄わなければなりません。

アフィリエイターが起業に成功するためのポイントは?

アフィリエイターとして成功するには、まずアフィリエイトの仕組みを理解しなければなりません。基礎知識がないとASPや広告主の意向に反する恐れがあり、アフィリエイトリンクを貼れなくなることがあります。

また、SEO対策やSNS運用も成功に直結する要素です。多くの記事を投稿してアフィリエイトリンクを貼っても、アクセスがなければ収益を見込めません。SEO対策は検索エンジンからの流入を増やすために必要であり、SNSも運用することでユーザーの流入を増やせます。

加えて、法人化する場合、市場動向を読むことも必要です。SEO対策を施した良質な記事ができたとしても、その分野に関心のあるユーザーの母数が少ないと、大きな収益は期待できません。そのため、「現在は何に対するニーズが高いのか」「トレンドは何か」といったことを読む力も求められます。

とはいえ、多くのユーザーが関心を持つ分野の全てが、アフィリエイトに適しているというわけではありません。母数が少なくても、一人のユーザーから生まれる利益が大きい分野であれば、アフィリエイトを成功させられるでしょう。

アフィリエイトサイトが法人化する際に必要な手続き

法人化の大まかな流れとして、「会社概要の策定→定款作成・登記→設立後の手続き」という3ステップを頭に入れておきましょう。さらに細かく以下のような手順を踏んで法人を設立することができます。

  1. 会社概要の決定
  2. 【任意】会社用の実印作成
  3. 定款の作成・認証
  4. 資本金の払い込み
  5. 登記申請書類の作成
  6. 会社設立登記

おおむね法人設立の一連の手続きが完了するまでに2週~3週間程度の期間です。法人設立までの流れについては、以下の記事でさらに詳しくご説明しています。

法人化する際の会社形態はどう判断すべき?

法人にはさまざまな形態がありますが、アフィリエイターが法人化するのであれば株式会社が合同会社のいずれかが一般的です。

両者のデメリット・デメリットを表にまとめました。

株式会社合同会社
メリット・社会的信用が高い

・資金調達が有利

・株式上場も目指せる

・設立・運営費用が安い

・意思決定がスピーディーにできる

・決算公告の手間がない

デメリット設立費用や手間がかかる
・法規制が多い・決算公告の義務がある
・認知度が低い

・株式上場ができない

以上のようなメリット・デメリットを念頭に置きながら、理想とするビジネスのやり方や現在の事業規模、将来の目標などを考慮してどの形態で法人を開設するかを判断しましょう。

 

よくある質問

アフィリエイターとして起業する方法は?

パソコンと通信環境を整備し、Webサイトの立ち上げとASPへの登録を行えば、アフィリエイターとしての活動を始められます。詳しくはこちらをご覧ください。

アフィリエイターとして株式会社を設立できる?

アフィリエイターでも、所定の手続を行うことで株式会社を設立できます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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