- 更新日 : 2023年12月5日
ドローンビジネスで起業するには?フランチャイズで開業する方法も解説
ドローンビジネスの国内における市場規模が拡大しており、将来性の高い事業です。農薬散布や測量、インフラ点検などさまざまな分野で事業化されています。
本記事ではドローンビジネスの概要や起業する方法、分野の一例について解説します。起業のメリット・デメリット、フランチャイズで開業する方法などもご紹介しますので、ドローン事業の立ち上げを検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
ドローンビジネスとは?
ドローンを使用したビジネスはさまざまな分野で展開されており、年々経営での需要が高まっています。ここでは、主なドローン事業の種類と市場の動向についてご紹介します。
ドローンビジネスは主に3種類
ドローンビジネスは、労働人口の減少やインフラの老朽化といった課題を解決できる事業として注目されています。
現在もさまざまな分野で事業化されており、市場は主に以下の3種類に分けられます。
- サービス市場
- 周辺サービス市場
- 機体市場
サービス市場はドローンを利用した事業のことで、周辺サービス市場はドローンのバッテリーなどを例とする周辺機器やメンテナンスを行う事業です。機体市場はドローン本体の販売になります。このうち、サービス市場が最も大きい市場です。
ドローンビジネスの市場規模
これまでドローンは個人使用や空撮で利用されているものという印象があり、ビジネスの利用は農薬散布など限定的なものでした。 しかし、近年は測量や点検、物流などでも利用されるようになり、市場規模は拡大傾向にあります。稼ぐ要素は大きいといえるでしょう。
世界市場では軍需用が大半を占めていましたが、今後は商用・産業用の利用が増える見込みです。
国内市場ではサービス市場の拡大が想定され、それに牽引されて周辺サービスや機体の市場も拡大すると予想されています。
2020年度の国内におけるドローンビジネスの市場規模は1841億円と推測され、2025年にはその約3倍である6468億円に拡大する見込みです。
参考:インプレス総合研究所 ドローンビジネス調査報告書2021
ドローンビジネスで起業する方法・分野例
ドローンビジネスは農業や測量、点検などの分野で活用の効果が実証されており、今後も広く普及していくことが予想されています。実証実験を経て実用化・普及が進んでいる分野も少なくありません。
ドローンで起業する分野の特徴や、現段階における事業の位置付けをみていきましょう。
農薬散布など農業分野
農業では、以下の用途で幅広くドローンが利用されています。
- 農薬散布
- 肥料散布
- 播種(種まき)
- 受粉
- 農地内搬送
- 害獣対策
なかでも農薬散布は生産者の負担を軽減して生産性を高める方法として、広く実用化されています。また、ドローンからの空撮画像をもとに作物の生育状況を確認し、得られたデータをもとにピンポイントの農薬散布を実施するなど、より効率化に向けた利用も進められています。
さらに農薬散布の方法を応用し、肥料散布や播種の利用も広がっている状況です。
⺠間事業者による農作物の運搬についての実証実験も⾏われており、物流分野の技術や運⽤法の農業分野への応⽤が期待されています。
測量
土木・建築におけるドローンの活用分野は、主に測量です。測量とは、距離や角度、高さなどを機械で測り、図面に表す業務を指します。従来は、地上で人が測る、もしくは有人航空機で空撮をするといった方法で行われてきました。
しかし、これらの方法は広範囲の測量を行う際に手間がかかり、コストも大きくなります。ドローンを利用すればこれらの問題を解決でき、さらに高低差のある場所や河川付近などリスクのある場所も、人が立ち入らずに測量できるのがメリットです。
また、土木・建築では工事進捗管理・資材などの運搬にもドローンが用いられており、工事進捗管理はすでに実用化の段階にあります。
空撮
ドローンパイロットによる空撮は早くから実用化している分野です。商業空撮・報道空撮で普及しています。ヘリコプターでは難しかった高度・アングルでの撮影もドローンなら可能であり、映画やドラマの撮影でも利用されるケースが増えている状況です。
ドローンは報道の空撮でも活躍しています。災害現場の撮影やスポーツの中継にドローンが利用されることも多く、ドローン撮影の要員が配置されているマスメディアも少なくありません。
物流
物流の分野でのドローンは、拠点間の輸送や配送において実証実験の段階です。オンライン通販の増加に伴い、物流業界では人材不足や交通渋滞などの課題が増えています。
ドローン物流が実現すればこれらの課題を解決し、荷物をより迅速に運べるようになるでしょう。また、ドローン物流は離島や山間部などへの日用品・医薬品の物流網を維持し、災害時の物資輸送を行うなどの手段として期待されています。
ドローンによる物流は長距離の目視外飛行となるため、飛行時間や制御方法、墜落のリスク回避など解決すべき課題も多く、今後の取り組みが注目されています。
インフラ点検
近年はインフラの老朽化が進んでおり、点検分野でのドローン活用が期待されています。ソーラーパネルの点検や一般住宅の屋根修理など、民間の設備点検では実用化を経て普及段階に入っている状況です。
公共インフラでは、橋梁やダム送電網など複数のインフラで実証が行われている段階で、実用化に向けた実証実験が進められています。
エンターテインメント分野
大規模イベントやテーマパークなど、エンターテインメント分野でもドローンの商用化・実用化が進んでいます。
2021年に行われた東京オリンピック開会式でも、ドローンを使った演出が話題を呼びました。
ドローンのエンターテインメント利用では、照明をつけたドローンを舞台上に飛ばしたり、LEDをつけたドローンをプログラミングにより飛行させたりするなど、パフォーマンスのツールとして活用されています。
ドローンビジネスで起業するメリット
ドローンビジネスは今後も市場拡大が予想され、将来性が高いというメリットがあります。また、ドローンはコンパクトな機体のため管理しやすく、操縦しやすいのも利点です。
ここでは、ドローンの仕事で起業するメリットを解説します。
市場が拡大し将来性が高い
ドローンは新興技術で今後も市場が拡大していく傾向にあり、将来性があるのはメリットです。現状では農業や映像制作の分野で市場が形成されていますが、今後実用化が進む分野も多く、ビジネスチャンスは大きいといえるでしょう。
参入する市場のポイントは、ドローンの活用で効率性や新規性が高まるかどうかです。よりニーズの高い分野を目指すと、高いビジネスチャンスに恵まれるでしょう。
コンパクトな機体で操縦しやすい
ドローンはコンパクトな機体で操縦しやすいのもメリットです。小型で軽量のため持ち運びがしやすく、保管のスペースも取りません。手に入りやすい価格帯も多く、レンタルも可能です。資金が少ないときはビジネスで必要なときだけレンタルするという方法もできます。
ドローンはプログラミングによる自律飛行も可能であり、労力や人件費の削減に活用できる場面も少なくありません。
ドローンビジネスで起業するデメリット
ドローンビジネスは将来性があり、儲かる可能性もありますが、デメリットな側面もあります。利用には航空法により規制が設けられており、起業するには法律の知識が必要です。また、ドローンへの深い知識や操作技術も欠かせません。
ドローンビジネスの起業におけるデメリットについて、みてみましょう。
法規制についての知識が必要
ドローンビジネスの起業では、法規制についての知識が必要です。航空法においては、「空港等の周辺」「人口集中地区」「150m以上の高さ」など飛行に規制が設けられており、該当する場合は国土交通省に申請して許可を受けなければなりません。
また、事業を行う地域の自治体でも規制を設けている場合があるため、事前の確認が必要です。
操縦技術
ドローンビジネスで操縦技術は必須であり、特に映像制作では高い技術が求められます。
これまでドローンの資格は民間資格のみでしたが、2022年12月よりドローンの国家資格(操縦ライセンス制度)が開始されました。国家資格を保有していなくてもドローンの操縦は可能ですが、国家資格を持つことでドローン操縦士としてのスキルを証明できます。
国家資格ができても民間資格がなくなるわけではなく、ドローンの技能・知識を証明するものとして有効です。
主な民間資格は、以下のとおりです。
- ドローン検定
- JUIDAドローン資格
- DPA操縦士資格
ドローン検定は無人航空従事者試験とも呼ばれ、ドローン検定協会が運営し国土交通省から認定されています。1級から4級まで設定され、2級を受ける場合は3級の合格が、1級を受ける場合は2級の合格が必要です。そのため、1級を取得したい場合は最低でも3回の受験が必要になります。
JUIDAは一般社団法人日本UAS産業振興協議会のことで、日本の無人航空機を含む次世代移動システム産業の振興を目的として活動する団体です。JUIDAドローン資格は、JUIDA認定スクールで定められた科目を修了した人に与えられる資格です。科目修了時に、「無人航空機操縦技能証明証」を交付しています。
DPA操縦士資格は一般社団法人ドローン操縦士協会が認定するスクールのカリキュラムを修了し、手続き後に得られる資格です。産業利用を前提にした高い操縦技能を習得できるカリキュラムで、DPAライセンスにはドローン総合保険が自動付帯されています。
ドローン起業に必要な資金調達
ドローンの起業には開業資金が必要です。ドローンの機体購入や運搬のための車両などが主な費用です。さらに事務所の賃貸料、備品類を揃える費用が必要になります。
開業の初期費用は数百万円の規模で必要になり、自己資金で賄えない場合は金融機関などから融資を受けることになります。
開業まもない段階で融資を受けやすいのは、創業支援を行っている日本政策金融公庫や信用保証協会の保証付き融資です。
日本政策金融公庫は無担保・保証人なしで融資を受けることが可能であり、信用保証協会の保証付き融資は金融機関から融資を受けるのが難しい場合に役立ちます。
個人事業主が開業する際の資金調達については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
ドローンビジネスをフランチャイズで開業する方法
ドローンビジネスは、フランチャイズで開業することもできます。フランチャイズとは、本部に加盟してロイヤリティ(対価)を支払い、ブランド名や経営のノウハウを取得して事業を行うビジネスシステムのことです。
ドローンビジネスでもフランチャイズを展開する企業があり、地域や加盟店の状況に合わせた営業ツールや営業リストが提供され、事業をスタートできます。
事業を始める前には研修が行われます。ドローンの操縦や機材の操作、活用方法を学ぶ研修です。ドローンの認定資格も研修で取得可能で、操縦だけでなく経営や営業の実習など、加盟店の状況に合わせた研修を行うところもあります。
フランチャイズについては、以下の記事を参考にしてください。
ドローン開業向けの事業計画書テンプレート(無料)
こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。
メリット・デメリットを理解して、将来性のあるドローン事業で開業しよう!
ドローンの市場は拡大傾向にあり、将来性の高い事業です。ドローンを活用する分野は幅広く、今後、実証実験を経て実用化に至る事業も増えると予想されます。ビジネスチャンスは多く、起業のメリットは高いといえるでしょう。
ただし、ドローンビジネスの開業では法規制に対する知識は不可欠で、操縦技術も必要です。認定資格の取得も検討するとよいでしょう。
起業の方法については、以下の記事が参考になります。
よくある質問
ドローンビジネスとは?
小型のドローンを用いた事業で、サービスや周辺サービスなど3つの種類があります。詳しくはこちらをご覧ください。
ドローンで起業するメリットは?
市場が拡大しており、将来性がある点です。詳しくはこちらをご覧ください。
ドローンで起業するデメリットは?
さまざまな法規制や必要とされるスキルがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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