• 更新日 : 2023年10月23日

ワンルームマンション経営とは?7つの危険性・成功のポイント

ワンルームマンション経営とは?7つの危険性・成功のポイント

ワンルームマンション経営は、サラリーマンを中心に安定した投資方法として人気があります。しかしながら実際には、期待したような利益を得られずワンルームマンション経営を断念する方もいるのが現実です。ここでは、ワンルームマンション経営が危険と言われる理由や、成功のためのポイントを詳しく解説します。

ワンルームマンション経営とは

ワンルームマンション経営とは、マンションの一部屋を購入し、第三者に貸し出して家賃収入を得る投資方法です。マンション購入費を自分で用意できない場合は、銀行からお金を借りて購入することも可能です。

お金を借りて運用する場合は、家賃収入から銀行への返済や管理費用、保険料、修繕費などを差し引いた額が手元に残ります。ワンルームマンションを購入金額より高く売却できれば、差額分も利益となります。

マンション経営の初期費用や利回り、経費などを詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

ワンルームマンション経営が危険と言われる理由

ワンルームマンション経営を成功させるには、さまざまなリスクを事前に把握しておくことが大切です。ここでは、7つのリスクを解説します。

空室リスクがある

ワンルームマンション経営をおこなう場合、空室は常に考えておかなければならないリスクです。周辺環境や立地、部屋のスペック、ニーズなどをあまり考慮せずマンションを選んでしまうと、空室リスクが高まります。

入居者が決まらない場合、経費のすべてを自分で負担しなければなりません。入居者が決まるまで、数ヶ月におよぶ可能性もあります。家賃収入がない状態で、銀行への返済や管理費などの支払いができるかをきちんと計算しておきましょう。

家賃下落のリスクがある

多くのマンションは数年経つと価値が下落するため、同様に家賃も下落します。家賃下落のリスクは常につきものだといえるでしょう。

新築の場合、家賃は相場より高い傾向にあるため、新築を購入し貸し出す際は高い家賃収入を見込めます。しかし、ひとたび入居者が退去すれば、高確率で家賃は下がります。

ワンルームマンション購入時点で収支がトントンの場合、長期的に経営が悪化する可能性は高いでしょう。

資産価格が下落するリスクがある

購入したマンションの資産価値が、将来、想定より大幅に下がる可能性があります。数十年後のマンションの価値は、保証されている訳ではない点を理解しておきましょう。

ほかにも地震や台風などの災害により被害を受けたり、物件内で事故が起こったりすれば、資産価値は下がります。さまざまな要因による資産価値の下落リスクを理解しておく必要があります。

また、ワンルームマンション経営で売却益を狙っている場合は、売り時も大切です。タイミングを逃すと、売却しにくくなり、期待したような売却益を得られません。

節税効果が想定以上に小さい場合がある

節税目的で、ワンルームマンション経営に乗り出す方もいることでしょう。ワンルームマンション経営では、節税効果は想定以上に小さいのが現実です。

ワンルームマンション経営のような不動産投資で、高い節税効果を得られるのは次の条件を満たすケースです。

  • 所得税率が高い高所得者であること
  • 減価償却期間が短い物件(木造・中古物件)であること

減価償却とは、マンションのような固定資産を購入した際に、購入費用をある一定の期間に渡り分割して計上する会計処理のことです。どのくらいの期間で計上するかは、資産ごとに決まっています。ワンルームマンションの場合、RC造のため減価償却期間が長く、節税効果はあまり期待できないでしょう。

ほかにも交通費通信費などの経費を大きく計上すれば、節税効果が高くなる可能性もありますが、これは現実的ではありません。

とくにワンルームマンションは専有面積が小さいため、そもそも経費計上が認められる範囲はそれほどありません。あまりにも経費を大きく計上すると、税務調査が入る可能性もあるため注意が必要です。

修繕費用が想定以上にかかる場合がある

ワンルームマンション経営では、銀行への返済や管理費用などの固定費だけでなく、修繕費用も必要です。とくに中古物件の場合、新築物件に比べて修繕費用を要するタイミングは早くなります。十分な利益が出てない状態で、想定以上の修繕費用がかかることもありえます。

修繕がしっかりとなされていないと、入居者が決まらない空室リスクにつながるでしょう。ワンルームマンション経営をおこなう場合は、銀行への返済や管理費用だけでなく、修繕費用についても考えておく必要があります。

家賃保証(サブリース)の内容が想定と違う場合がある

空室リスクを回避するために、家賃保証(サブリース)を付ける方も多いのではないでしょうか。しかし、家賃保証の内容が想定と異なる場合があるため注意は必要です。

たとえば、保証期間が想定した期間より短かったり、保証金額が低かったりするケースもあります。家賃保証契約を結ぶ場合は、きちんと内容を確認することが大切です。

また、家賃保証の会社が倒産すると、「空室=家賃収入ゼロ」です。さまざまなリスクを考えると、家賃保証があるからといって安心できません。

利回りが下がってしまう場合がある

利回りが下がるリスクも事前に理解しておくことが大切です。ワンルームマンション経営は、利回りが大きいほど収益性が高くなります。

利回りは、マンションの老朽化や入居者の減少で低下します。利回りが下がると、赤字になる可能性が高くなるため注意しなければなりません。

ワンルームマンション経営の利回りには、表面利回りと実質利回りの2種類があります。次の章で詳しく解説しましょう。

ワンルームマンション経営を成功させるためのポイント

ワンルームマンション経営は、想像したよりもリスクがつきものです。しかし次の3点を押えておくことで、より成功へ近づきます。ぜひ、参考にしてください。

実質利回りを必ず計算する

ワンルームマンション経営を成功させるためには、実質利回りを計算することが大切です。利回りには、表面利回り実質利回りの2種類があります。表面利回りとは、年間の家賃収入を物件の購入価格で割った数値です。

表面利回り/年=年間家賃収入÷物件購入価格×100

 

たとえば購入価格が2,000万円、家賃が10万円、空室が全くないと仮定して計算すると、次のようになります。

表面利回り:6%/年=(10万円×12ヵ月)÷2,000万円×100

 
このように表面利回りには、経費が一切加味されていないため、大まかな目安を知りたいときに便利です。表面利回りに対して実質利回りは、運用に必要な経費も考慮して算出します。

実質利回りは、次の計算式で求められます。

実質利回り/年=(年間家賃収入−年間経費)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100

 
たとえば購入価格が2,000万円、家賃が10万円、年間経費が50万円、物件購入時の諸経費が120万円とすると、次のように求められます。

実質利回り:3.3%/年=(120万円−50万円)÷(2,000万円+120万円)×100

 
同じ物件、同じ家賃でも、表面利回りと実質利回りはこのように異なります。ワンルームマンションを経営する際は、より実情に合った実質利回りを計算して運用することが大切です。

参考までに、2023年5月30日に日本不動産研究所が公表した2023年4月現在のワンルームマンションの期待利回り(表面利回り)は、次のとおりです。おおよその相場感が掴めるのではないでしょうか。

期待利回り:ワンルームタイプ

地域東京札幌仙台横浜名古屋京都大阪神戸広島福岡
期待利回り3.85.05.14.54.64.84.44.85.24.7

(単位:%)

参考:日本不動産研究所 第48回 不動産投資家調査(2023年4月現在)

出口戦略を事前に考える

ワンルームマンション経営では、出口戦略を事前に考えておく必要があります。売却益によって、トータルでの利益が大きく左右されるからです。

想定したよりも安く手放すことになったり、そもそも売却できなくなったりしないように、慎重に売り時を判断しなければなりません。自分自身で判断できない場合は、専門家に相談するのもおすすめです。

節税目的だけで始めない

上述しましたが、不動産投資で所得税の節税効果を感じられるのは高所得者です。課税所得金額が多いほど所得税率も高く税負担が増えるため、節税目的でワンルームマンション経営を検討している方も多いでしょう。

不動産投資で重視すべきなのは、赤字経営による所得税の節税よりも、しっかり利益を出すことです。そのためには利回りを基準とした適切な物件選びが非常に重要なポイントだといえます。節税目的ではなく収益性を考えて始めるべきでしょう。

安定した家賃収入を得られるか、支払える金額内に経費を抑えられるかなどを厳しく算出し、利益を出す運用が大切です。

リスク管理がワンルームマンション経営を成功に導くコツ!

ワンルームマンション経営は空室リスクや家賃下落リスクなど、さまざまなリスクがつきものです。とくに空室が続く場合は、経費だけがかかり運用を続けていくことは困難です。ワンルームマンション経営を成功させるためには、きちんとしたリスク管理が欠かせません。リスク管理をおこないながら、実質利回りや出口戦略を考えて運用することが成功への近道です。


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