- 更新日 : 2024年9月27日
カレー屋の開業方法 必要な資金や許可、資格も解説!
国民食となって久しいカレーですが、おうちカレーはもちろん、外食でも人気があります。都内では、老舗がひしめく神田以外にも新しいカレー激戦区が生まれています。そこでこの記事では、カレー屋を開業したい方に向けて、カレー屋の開業で必要な資金、許可、資格などについて詳しく解説していきます。
目次
カレー屋を開業するメリット・デメリット
カレー屋の開業に限ったことではありませんが、何かを始めるかどうかを決める際に大切なことは、メリットとデメリットをきちんと把握することです。ここでは、カレー屋の開業のメリットとデメリットを詳しくお伝えします。
カレー屋を選ぶメリットとは
まずは、カレー屋を開業することのメリットを見ていきましょう。
子どもから大人までみんなが好き
カレーは国民食だけあり、子どもから大人まで老若男女問わず、みんなが好きな食べ物です。嫌いな人はほとんどいないでしょう。
つまり、カレーは常に安定した需要があるのです。季節的には、夏場が特に人気がありますが、年間を通してよく食べられています。地元で人気が定着すれば、安定的な売上が期待できるでしょう。
難しい修業がいらない
飲食店の開業では、ラーメン屋やそば屋も人気がありますが、素人が趣味の延長で開業できるほど、甘くありません。人気ラーメン屋やそば屋で数年間、修業してようやく一人前として認められてから、開業することが一般的です。
しかし、カレー屋については、スパイスにこだわるなど趣味でカレー作りを始め、本格カレーを作るようになって開業に至るというケースも珍しくありません。
また、一口にカレーといっても、インド、スリランカ、ネパール、タイ、欧風、スープカレーなどのほか、最近ではカフェ風のカレーや地元の食材にこだわったカレーもあります。種類が非常に多彩のため、開業する地域に合った種類での開業も可能です。
回転率が非常に高い
牛丼店は回転率が高い飲食店の代表格ですが、その牛丼店でもカレーを提供しています。理由は、これまで述べてきたメリットに加えて、牛丼並みの回転率の高さにあります。
回転率が高ければ、それだけ仕込みも必要になりますが、カレーは一度に大量に作ることができる食べ物です。それに加えて、調理時間が短いというメリットもあります。顧客に提供するときも、ご飯やナンなどに温めたカレーを添えるだけで済みます。
店舗、キッチンカー、デリバリーと出店スタイルは多様
カレー屋は、店舗にこだわる必要はありません。最近では、キッチンカー(移動販売)からスタートする人も増えています。
もちろん、デリバリーで販売する方法もあります。店舗での出店は、それなりの資金が必要になりますが、将来の店舗経営を見据え、それ以外のスタイルで始めるのもよいでしょう。
カレー屋を選ぶデメリットとは
ここまでメリットについて述べてきましたが、反対にカレー屋を開業することにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
カレー屋は、ラーメン屋やそば屋など他の飲食店と比べても、開業について際立ったデメリットはありません。人気があるだけに、競合店も多いわけですが、カレーの種類が多彩なため、他店との違いを前面に出しやすい点は、むしろメリットになるでしょう。それは都内などのカレー激戦区での各店の繁盛ぶりが証明しています。
カレー屋を開業する方法
前述のようにカレー屋の出店スタイルには、店舗だけではなく、キッチンカーなどもあります。また、店舗で出店する場合も、自分のオリジナルではなく、フランチャイズ方式という選択肢も考えられます。それぞれの開業方法の特徴について、以下から詳しく見ていきましょう。
個人開業
自分自身のカレーにこだわるのであれば、個人での開業がまず選択肢となるでしょう。カレー作りが大好きでスパイスをブレンドすることから自修自得し、オリジナルカレーに到達したようなケースです。
販売促進の工夫は自分自身でする必要がありますが、今はインターネットの時代です。インスタ映えするカレーであれば、ネット上で人気を呼び、遠方から来てくれる人も出てくるでしょう。
フランチャイズ
現在、カレー屋をフランチャイズ方式でチェーン展開している企業は、人気カレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する株式会社壱番屋や、「ゴーゴーカレー」を運営する株式会社ゴーゴーカレーグループなど複数あります。
フランチャイズ方式を選ぶ人は、もともとそのお店のカレーのファンか、とにかく低いリスクで飲食店を始めたいという方が多いのではないでしょうか。
フランチャイズには、すでにそのカレー屋の味に多くのファンが存在しています。そのため、店舗を展開していない地域であれば、すぐにお客さんが来てくれるというメリットがあります。
また、本店のブランドで事業を拡大するのがフランチャイズの目的だけあって、店舗探しから、経営のノウハウまで責任を持って指導してくれるのが一般的です。
移動販売(キッチンカー)
カレー屋に限らず、ここ数年、街中でキッチンカーを見かけることが多くなりました。背景には、コロナ禍の影響で店舗による飲食店の「待ち」の経営が難しくなったことがあります。人のいる時間や場所を選ぶことができるのがキッチンカーの強みです。
さらに、店舗経営に比べて初期投資だけでなく、ランニングコストが低いというメリットもあります。
カレー屋の開業資金の目安
実際にカレー屋を開業する場合、どの程度の資金が必要になるのでしょうか。初期費用とランニングコストについて見ていきましょう。
初期費用
初期費用として必要なのは、物件契約費、内外装工事費、設備投資費、広告宣伝費などです。物件契約費は、出店場所で大きく変わります。全体としては、概算で350万~800万円ほどかかるのが一般的です。
ただし、キッチンカーで開業する場合は、物件契約費、内外装工事費が不要となります。キッチンカーを取得するのに200万円程度はかかりますが、全体として初期費用は店舗での開業の場合の3分の1までに抑えることができます。
フランチャイズの場合、運営するフランチャイザー(本部)によってかなり違いがあります。初期費用で加盟金・保証金含めて2,000万~3,000万円というところもあれば、100万~300万円という安価なフランチャイザーも少なくありません。
ランニングコスト
開業後は、店舗を運営していくためのランニングコストがかかります。主に、物件の賃貸料、人件費、原材料費、水道光熱費、広告宣伝費などです。
ランニングコストは、出店場所の賃貸料だけでなく、提供するカレーによっても原材料費が違ってきます。例えば、素材にこだわるスープカレーであれば、肉や野菜などの原材料費は高くなるでしょう。
いずれにしても、少なくとも月に100万円程度はかかることが一般的です。ただし、キッチンカーであれば、当然、賃貸料は不要となります。
また、フランチャイズでは、ロイヤリティがかかるのが一般的ですが、ロイヤリティが不要というフランチャイザーも少なくありません。
カレー屋は儲かるのか?
カレー屋は儲かるのでしょうか。こればかりは、他の自営業と同じで、一概にはいえないというのが正直なところです。ここでは、あくまでも一般論としてご紹介します。
カレー屋の平均年収
正確なデータはありませんが、一般的にカレー屋の平均年収は500万~600万円程度といわれています。平均ですので、500万円よりも少ないケースもあれば、1,000万円を超えるケースもあるでしょう。
実際のところ、現在、フランチャイザー事業を展開しているカレー本部では、もともと個人が1店舗から始めているところがほとんどです。そこから売上を伸ばし、店舗数を増やしてフランチャイズ事業を始めています。
カレー屋として成功する(失敗しない)ためのポイント
カレー屋に限らず、商売が軌道に乗るまでには開業後、半年程度はかかるものです。さらにその後、安定して売上を上げていくには、それなりの工夫が必要です。フランチャイズではなく、個人店舗で特に重要なことは、コンセプトが明確になっているかどうかでしょう。
どの系統のカレーを提供するのか、完全なオリジナルなのかなどをまず固めていく必要があります。その上で、顧客にとってインパクトがあり、やみつきになる味であることが求められます。視覚的にも鮮烈で訴求力があれば、SNSなどでの販促効果は大きくなるでしょう。
とはいえ、経営者である以上、原価管理はしっかりとしなければなりません。趣味からスタートした場合、素材にこだわりすぎて原価に対し、設定単価が低すぎることがあります。例えば、スープカレーの場合、原価が高いだけにメニュー単価が1,000円以下という店舗は皆無に近いでしょう。それでも繁盛店は、オリジナリティーでお客さんを引き付けているのです。
また、どの飲食店でも共通することですが、店舗が清潔であることは不可欠といえます。
カレー屋(飲食店)の開業に必要な資格・営業許可
飲食店を開業する場合、食品衛生関係の資格が必要になります。具体的にどのような資格が必要になるのかを確認しておきましょう。
食品衛生責任者
食品衛生法により、営業者は食品衛生責任者を選任しなければなりません(食品衛生法第51条)。食品衛生責任者は営業者の指示に従い衛生管理にあたらなければならず、営業者は食品衛生責任者の意見を尊重する義務があります。
食品衛生責任者になるには、次のような資格を取得している必要があります。
- 栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者と畜場法に規定する衛生管理責任者もしくは作業衛生責任者、船舶料理士、食品衛生管理者の有資格者
- 都道府県知事等が行う食品衛生責任者になるための講習会または都道府県知事等が適正と認める講習会の受講修了者
飲食店営業許可
食品衛生法により飲食店営業許可を受ける必要があります。許可を受けずに飲食店営業を行った場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられる可能性があります(食品衛生法第72条)。
許可を受けるには、都道府県知事が定めた製造施設、製造設備などの基準に適合しなければならず、製造場所の所在地を管轄する保健所で基準等の確認が必須です。
なお、キッチンカーで開業する場合は、移動先の出店場所の地域全てにおいて食品営業許可を受けなければなりません。
カレー屋の確定申告
カレー屋を開業する場合、所得税の納税については、自分で確定申告することになります。
カレー屋で確定申告が必要な場合とは?
確定申告とは、1年間で生じた所得の金額と、計算によって算出された所得税を確定させることをいいます。個人事業主は、1月1日から12月31日までの1年間の所得が48万円以上の場合は確定申告が必要です。
確定申告の方法
カレー屋を開業した場合、まずは個人事業主として、管轄の税務署に「開業届(個人事業主の開業・廃業等届出書)」を提出することになります。
その後、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付します。
申告手続きの流れの概要は、次の通りです。
- 申告書や付表、計算書等を準備する
確定申告書は、「A」と「B」の2種類がありましたが、2022年申告分から「A」は廃止され、「B」に統合されています。
- 申告書や付表、計算書等を準備する
- 申告書を作成する
計算した金額等を申告書の所定欄に記載します。
- 申告書を作成する
- 申告書を提出する
提出方法は、住所地等の所轄税務署の受付への持参、郵送のほか、e-Taxでも可能です。
- 申告書を提出する
- 納税あるいは還付を受ける
確定申告の方法についてはこちらご覧ください。
設備や確定申告についてしっかり理解した上で、カレー屋を開業しよう!
カレー屋で開業を考えている方の参考になるように、カレー屋の開業で必要な資金、許可、資格などについて解説しました。カレー屋を開業している人は、カレーが大好きでお店を始めたというカレー愛が強い人が大半でしょう。しかし、好きというだけではお店の経営は上手くいきません。提供するカレーだけではなく、経営ノウハウ、設備、そして必要な確定申告などについてもしっかり準備しておきましょう。
よくある質問
カレー屋を開業するメリット・デメリットは何ですか?
メリットは、難しい修業が不要なこと、回転率が高いことなどが挙げられます。他の飲食店の開業と比べると大きなデメリットはありません。詳しくはこちらをご覧ください。
カレー屋(飲食店)の開業に必要な資格を教えてください?
食品衛生責任者、飲食店営業許可があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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