• 作成日 : 2024年6月27日

システム開発の事業計画書の書き方とは?テンプレートを基に記入例を解説

システム開発の事業計画書は、ひな形やテンプレートを利用することで簡単に作成できます。この記事では、おすすめのテンプレートの紹介と、各項目の書き方と作成のポイントを紹介します。

システム開発の事業計画書とは?

システム開発は、官公庁や民間のソフトウエア開発などを行う業種をいいます。年々右肩上がりに規模を伸ばしている業種で、2022年の市場規模は国内だけで6兆734億円に上るとされています。特に近年、需要が増加しているのが、クラウドサービスやDX(デジタルフォーメーション)にかかわる領域です。

システム開発の開業で事業計画書が必要になる場面は、経営者が事業の見通しを立てるときと日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受けるときが考えられます。

出典: 国内ITサービス市場予測を発表|IDC Corporate

事業の見通しを立てる

システム開発はほとんど仕入れの発生しない業種です。しかし、システム開発に携わる人員の人件費をはじめ、事務所家賃や専用アプリの購入費など、仕入れ以外の部分に経費がかかります。経営者が、システム開発かかる必要経費を洗い出して、事業の見通しを立てるためにも、事業計画書の作成は重要です。

金融機関からの融資を受ける

システム開発は、規模次第では、低コストでも開業できる業種です。しかし、完成までに時間がかかり、取引先からの入金まで時間がかかる仕事を受託する場合は、運転資金が不足する可能性があります。運転資金を含めた資金調達において、金融機関からの融資を受ける場合に事業計画書の提出が求められることがあります。

システム開発の事業計画書のひな形、テンプレート

システム開発の事業計画書の書き方とは?テンプレートを基に記入例を解説

マネーフォワード クラウド会社設立では、システム開発・エンジニア向けの事業計画書のひな形・テンプレートをダウンロードできます。システム開発業で事業計画書を作成の際は、ご活用ください。

システム開発の事業計画書の書き方・記入例

システム開発のひな形・テンプレートに必要な各項目と書き方について説明します。

創業の動機・目的

システム開発を開業する動機や目的を記載します。既存の分野で起業する場合はきっかけとなった経験、先端分野で起業する場合は先端分野への興味や知識などが参考になるのではないでしょうか。個人事業主から法人化する場合は、法人化の理由(開発するシステムの規模を拡大するためなど)も記載します。

職歴・事業実績

システム開発に許認可や必要な資格はないため、資格やスキルが十分でなくても開業自体はできます。しかし、実績や経験が受注につながることから、システム開発会社で経験を積んでから独立を目指すのが一般的です。職種や事業実績の項目には、システム開発に関わる職歴や実績をメインで記載します。

取扱商品・サービス

取扱商品やサービス、セールスポイント、競合・市場について記載する項目です。

取扱商品・サービスには、誰向けのシステムなのか、どのようなシステムなのかを記載します。例えば、業務系システム開発、WEBシステム開発、アプリケーション開発、などと記載します。

セールスポイントや戦略は、自社システム開発の強みや方向性を記載する項目です。他社と差別化できる技術、高度なスキルを保有する人材獲得の戦略、主な販売ターゲットなどを記載します。

競合・市場の欄は、自社のシステム開発業を取り巻くIT業界に関する項目です。IT業界全体の動向やニーズのある分野、トレンドなどを記載します。

取引先・取引関係

販売先、仕入れ先、外注先のシェアや掛取引の割合などに関する項目です。システム開発では、基本的に仕入れが発生しないため、販売先をメインに記載します。特定の会社や個人に販売しない場合は、「法人」や「個人」などと記載します。下請け業者に一部開発を委託している場合は、外注先の項目の記載が必要です。

従業員

従業員数や常勤役員数(法人の場合)を記載する項目です。従業員数は、事業計画書の下部で計算する必要経費のうち、人件費にも関係してきます。

借入の状況

経営者個人(法人の場合は代表者個人)の借入金の状況を記載する項目です。事業の借り入れだけでなく、個人的な住宅ローンも含め、借入先や借入金額、返済金額を記載します。

必要な資金と調達方法

システム開発は、システム要件の定義、システムの設計、プログラミング、テスト、引き渡し、サポートの流れで行います。システム開発の業務を行うには、パソコンやソフトウエアのほか、オフィスで業務を行う場合は事務所賃貸契約に係わる初期費用や内装工事費などが必要です。運転資金としては、人件費や事務所家賃などがかかります。

必要な資金を項目別に並べて、必要資金と、その資金の調達方法を個別に記載します。

事業の見通し(月平均)

月平均値として、売上高や経費の予測値を計算します。今後の見通しを明らかにするためにも、創業時点での予測値と1年後(または軌道に乗った後)の予測値を記載します。

客観的な数値となるように、予想される契約数の平均や人件費の割合など、必要な情報を集めておきましょう。

システム開発の事業計画書作成のポイント

システム開発業の事業計画書を作成する際に意識したいポイントを五つ取り上げます。

事業コンセプトを明確にする

コンセプトは、事業の基本的な方向性を示すものです。システム開発で差別化を図れる部分は、どの段階の開発を行えるか(プログラミングのみか、設計などの上流工程も行っているかなど)、どのようなシステムや領域に強みがあるかです。受注を取り付けるためにも、コンセプトを明確にしましょう。

市場分析を行う

IT業界の市場規模は拡大しており、システム開発の需要は高まっています。しかし、IT関連は技術革新や変化が目まぐるしい業界で、常に需要やトレンドが変化しているため、業界の動向を把握しておかないと取り残される可能性があります。事業計画書に落とし込む際には、最近の動向だけでなく、今後の予想も踏まえた市場分析が重要です。

人材・技術・資金を把握した計画を立てる

システム開発の売上高は、人員と開発期間、単価(人員のスキルなど)によって決まります。客観性のある事業計画書を作成するには、人材や自社の保有する技術、資金繰りを踏まえたうえで、現実的な範囲で試算して、収支計画や資産調達の計画に落とし込んでいくことが大切です。

経験やスキルをアピールする

システム開発業は、スキルや経験(または実績)が受注数や受注規模に影響します。特に、融資を目的に事業計画書を作成する場合は、しっかり売り上げを立てられることを証明するために、経営者個人のスキルや経験を十分にアピールできるようにしましょう。

確定した受注案件がある

開業時点で受注案件がない場合、今後安定して仕事があるかどうかが、融資における不安要素のひとつとされます。開業時に何らかの確定した案件があることは強みです。融資を受ける際にもプラスに働くため、確定案件がある場合は、事業計画書にもその旨を記載することをおすすめします。

ポイントを押さえてシステム開発の事業計画書を作成しよう

システム開発は、1案件あたりの開発費用が高額になる傾向にあるため、確定した受注案件がないと、今後の見通しを立てにくい面もあります。

しかし、今後の計画を立てる場合においても、融資を受ける場合においても、事業計画書は必要になるため、できるだけ客観的な視点で作成することが重要です。確定要素がない場合でも、自社の人材や技術、資金を洗い出し、できるだけ実際に近い試算で計画を立てるようにしましょう。


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