- 更新日 : 2024年9月27日
アイスクリーム屋を開業するには – 必要な資金や成功のヒント
子どもから大人まで幅広い年代に愛されるアイスクリーム。コンビニエンスストアやスーパーマーケットでも当たり前のように販売されており、低価格で手軽にいろいろな種類や味を楽しめることもあって、定番スイーツとして認知されています。その人気からアイスクリーム専門店も全国各地に数多く存在しています。しかし、アイスクリーム屋はそもそも儲かるのでしょうか。今回は、そんなアイスクリーム屋を開業するために必要な資金や方法、儲けについて解説します。
目次
アイスクリーム屋を開業する方法
アイスクリーム屋を開業するには、「個人開業」と「フランチャイズ」という方法があります。
個人開業
個人開業は、どことも提携を結ばずに個人として「独立開業」する方法です。レシピの開発や宣伝、資金調達などの開業準備に時間と労力が必要となりますが、特産物や農産物を取り入れた「ご当地アイス」を提供したり、オリジナル商品を開発したりと、他のアイスクリーム屋との差別化を図ることができるのが特徴です。
フランチャイズ
既存のアイスクリームチェーン店などに加盟店として登録する方法です。この方法では、一般的に加盟金(初期費用)と看板使用料であるロイヤリティ(継続費用)が必要となります。加盟するチェーン店にもよりますが、目安として加盟金は200~300万円程度、ロイヤリティは売上の5%程度が必要となるため、個人開業よりも多くの資金を要します。
しかし、レシピやノウハウをそのまま利用できるため、未経験者が開業する方法としては「フランチャイズ」のほうがスムーズかもしれません。
アイスクリーム屋の開業資金の目安
次に、アイスクリーム屋の開業資金について確認しましょう。
初期費用
どの業種にもいえることですが、初期費用が開業資金の多くを占めます。また、お店の規模や立地、営業スタイルなどによっても異なりますが、アイスクリーム屋にかかる主な初期費用と目安は、以下の通りです。
- 店舗取得費(敷金や礼金、保証金を含む)・・・100~200万円
- 内装工事費・・・50~100万円
- 設備費(冷凍庫、アイスクリーム製造機械など)・・・20~50万円
- 広告宣伝費・・・10~20万円
- 備品、その他雑費・・・10~20万円
- 加盟金(フランチャイズの場合)・・・200~300万円
一般的に他の業種と比較して少ない資金で開業することができますが、個人開業の場合でも最低200~300万円程度は必要となるでしょう。
ランニングコスト
開業後に必要になる主な1カ月の継続費用(ランニングコスト)と目安は、以下の通りです。
- 店舗家賃・・・20~30万円
- 人件費・・・20~30万円
- 材料費・・・10~20万円
- ロイヤリティ(フランチャイズの場合)・・・売上の5%程度
自分のみと従業員を雇用して営業する場合、また個人開業とフランチャイズでランニングコストが異なりますが、目安として毎月50万円程度のランニングコストが必要となりそうです。
アイスクリーム屋を開業する流れ・手続き
ある程度の開業資金の目安を把握したところで、次にアイスクリーム屋を開業する「流れ」や「手続き」について確認しましょう。アイスクリーム屋は「飲食業」に区分されますので、保健所で「飲食店営業許可」が必要です。開業の大まかな流れについては、下記の通りです。
- 事業計画書を作成する
- 資金計画、資金調達の準備をする
- 物件を探して契約する
- 内装工事、設備や備品の導入
- 保健所の許可を受ける
- 広告宣伝、従業員を募集(研修)する
- 開業(オープン)する
このうち、最も大切なのは「事業計画書」を作成することです。お店のコンセプトや事業の目的、資金計画において融資を受けるための必要となる書類ですから、力を入れて作成するようにしましょう。その他、開業したら管轄の税務署で「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
アイスクリーム屋の開業資金を調達する方法
アイスクリーム屋を開業するにあたり、自己資金のみで資金準備ができれば、他に資金調達をしなくて済みますが、自己資金のみで資金準備をすることは、日々の生活費も含めて考えると容易ではないでしょう。また、開業資金だけではなく、開業後の運転資金(できれば3カ月分)も、不測の事態に備えて確保しておきたいところです。そのため、可能であれば融資を受けることを検討しましょう。
日本政策金融公庫から借りる
まずは、国が運営している「日本政策金融公庫」の融資制度の利用を検討しましょう。審査基準が高い銀行よりも日本政策金融公庫のほうが、有利な条件で借入ができます。
日本政策金融公庫の「新規開業資金」の場合、融資限度額が「7,200万円」で、担保や保証人に関しては相談の上、柔軟に対応してもらえます。銀行と日本政策金融公庫で迷っている方は、まず日本政策金融公庫に相談してみるとよいでしょう。
銀行や信用金庫などの金融機関からの融資を受ける
次に、民間の金融機関である「銀行」や地域密着型の「信用金庫」を検討しましょう。もちろん融資の審査はありますが、ここ数年は「低金利」のため、返済負担もそこまで高くはありません。そもそも「借金することは悪い」ことと考えられがちですが、無借金経営の会社はほとんどありません。借金ができるということはそれだけ「信用がある」ことの裏付けであり、資金準備が不足している場合は、銀行からの融資も検討しましょう。
補助金の支援や融資もおすすめ
その他、融資とはやや異なりますが、各自治体の商工会議所が窓口である「小規模事業者持続化補助金」を利用するとよいでしょう。この「小規模事業者持続化補助金」は、売上を得るためにかかる経費の一部を支援する補助金制度で、事業計画の作成など一定の条件がありますが、審査が通れば返済する必要はないため、ぜひ活用したいところです。この補助金の他に、商工会議所が窓口の融資制度も確認しておきましょう。
自己資金
「自己資金」のみでの開業できれば、理想的といえます。開業後の経営において、返済コストがかからないのは、気持ちの部分でも余裕が持てますし、大きなアドバンテージになります。とはいえ、開業資金と運転資金を全額自己資金で準備するというのは、やはり容易ではありません。
「借金を返済するためにアイスクリーム屋を経営する」という事態にならないよう、ある程度の自己資金(できれば開業資金の30~50%程度)は、準備しておきたいところです。
アイスクリーム屋の開業に必要な設備
資金調達の準備がある程度決まったら、次はアイスクリーム屋に必要な設備を確認しましょう。
調理設備
まず、アイスクリーム屋に必要な調理設備は、「冷凍庫」と「アイスクリーム製造機械」です。最低でもこの2つがあればアイスクリーム屋として開業できます。その他、手洗い場はもちろんのこと、冷蔵庫やシンクなども必要です。
物件
次に物件については、居抜きとスケルトンで必要とする設備が異なりますが、共通してトイレや空調設備は必須です。また、必要に応じてテーブルや椅子などもそろえましょう。
レジ周りの各種端末
その他、レジ周りに関してレジスターはもちろんのこと、現金以外で取引をする場合は、スマホ決済やクレジットカード決済に必要となる電子端末などを導入しておきましょう。
アイスクリーム屋は儲かるのか?
アイスクリーム屋の大まかな開業資金や必要な設備、開業するまでの流れについて解説しましたが、やはり「どのくらい儲かるのか」は気になるかと思います。下記モデルケースを参考に確認してみましょう。
〈モデルケース〉
- 単価 ・・・500円
- 販売個数 ・・・100個(1日あたり)
- 営業日数 ・・・25日(1カ月)
- 材料費 ・・・売上の20%
- 人件費 ・・・20万円(1カ月)
- テナント料 ・・・20万円(1カ月)
アイスクリーム屋の平均年収
上記のモデルケースの場合、1日あたりの売上は「5万円」、1カ月だと「125万円」になります。材料費が売上の20%なので「25万円」。売上から経費(コスト)を差し引くと営業利益は「60万円」です。その他、ロイヤリティや水道光熱費などもかかります。
借入金があればさらに利益が減少しますが、年収で考えると「700万円」程度でしょう。あくまで1日100個販売した場合を想定していますが、平日と休日、天候などによって売上の差が出ますし、アイスクリームの特徴として、夏場はたくさん売れますが、冬はあまり見込めないため、季節によって非常に波が激しくなるといえます。
アイスクリーム屋として成功する(失敗しない)ためのポイント
アイスクリーム屋として成功するためのポイントは、やはりお店の「立地選び」がポイントとなるでしょう。たくさん人が集まる駅から近い場所や、ショッピングモール、郊外の場合だと通行量が多い幹線道路沿いなど、テナント料が高くなると想定されますが、「どれだけお客さんの目にとまるか」「お店を知ってもらえるか」を考えることが非常に大切です。
また、どうしても売上が減少してしまう寒い季節では、アイスクリームとは別に温かい飲み物やクレープなど、代替商品を販売すると売上アップにつながるでしょう。
アイスクリーム屋(飲食店)の開業に必要な資格・営業許可
アイスクリーム屋は、手続きなしで誰でも自由に開業することはできません。食品を取り扱うので「食品衛生責任者」と「飲食店営業許可」が必要となります。
食品衛生責任者
食品衛生責任者の資格は、飲食店の営業や食品製造において1名以上の配置が義務付けられています。資格取得方法は、毎月保健所が実施している食品衛生責任者養成講習会を受講することで取得できます。
飲食店営業許可
飲食店営業許可は、飲食店を営業するために必要な資格です。お店がある所轄保健所に対して申請書類を提出します。そして、担当者に現地調査をしてもらい、一定の基準を満たせば開業することができます。
アイスクリーム屋の確定申告
アイスクリーム屋の経営で一定の所得(儲け)が出ると、各種税金の申告が必要です。さまざまな税金がある中で、まずは所得税について確認をしておきましょう。
アイスクリーム屋で確定申告が必要な場合とは?
アイスクリーム屋の個人経営によって事業所得(儲け)がある場合に、確定申告が必要となります。
確定申告の方法
1月1日から12月31日までの1年間の所得を、翌年2月16日から3月15日までの期間に、自宅の住所地にある税務署へ確定申告書を提出します。
具体的な確定申告の方法については、以下の記事を参考にしてください。
設備や確定申告についてしっかり理解した上で、アイスクリーム屋を開業しよう!
アイスクリーム屋は他の業種と比べて、最低限の設備があれば少ない資金でも開業することができます。しかし、季節によって売上に波が出ることや立地選びによって必要な資金が大きく異なります。
開業前に事業計画書をしっかり作成して、余裕を持った無理のない経営を心掛けましょう。そのためにも、ある程度の自己資金を準備しておくことをおすすめします。また、儲けが出た場合の確定申告についても事前に確認をして理解した上で申告もれがないようにしましょう。
よくある質問
アイスクリーム屋の開業資金にはどのくらい必要ですか?
一般的に他の業種と比較して少ない資金で開業することができますが、個人開業とフランチャイズで必要な開業資金が異なります。個人開業の場合で最低200~300万円程度は必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
アイスクリーム屋を開業するために必要な手続き、資格はありますか?
アイスクリーム屋は、手続きなしで誰でも自由に開業することはできません。食品を取り扱うため食品衛生責任者と飲食店営業許可が必要となります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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