- 更新日 : 2026年7月16日
仮想通貨投資で開業できる?必要な資格や税金対策・節税について解説
仮想通貨投資でも、事業として認められる規模の利益があれば開業は可能です。
Q:仮想通貨投資を個人事業主として開業するメリットは?
A:事業所得として申告できるため、青色申告特別控除や他の所得との損益通算、純損失の繰越控除などの恩恵を受けられ、節税に繋がります。
ビットコインなどの仮想通貨への投資額が増えると、税金対策として開業をした方がよいのではないかと不安を感じる人もいるでしょう。仮想通貨投資もビジネスといえるほどの規模があれば開業できます。この記事では、仮想通貨投資の開業方法や税金についての注意点を解説していきます。
※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
目次
仮想通貨投資で開業できる?
仮想通貨投資とは、ビットコインなどの暗号資産を購入して、購入時の価格よりも値上がりしたときに売却することで利益を得る投資手法です。結論からいうと、仮想通貨投資もすべてのケースではありませんが開業できる可能性があります。
まず、個人事業主の場合、仮想通貨投資による所得を事業所得として申告するためには、社会通念上事業と認められる実態が必要であり、年間収入300万円超かつ帳簿書類の保存があることは判断要素の一つとされています。法人設立による開業は年収の目安などはありませんが、個人事業主で開業する場合と異なり、登記などの手続きの手間やコストがかかる点に注意が必要です。
なお、自身が仮想通貨に投資するのではなく、仮想通貨交換業登録を行い、仮想通貨の取引を提供する事業者として開業する方法もあります。
仮想通貨投資の開業に必要な免許や資格は?
仮想通貨への投資のみをビジネスとする場合は、開業に必要な免許や資格はありません。しかし、先述のように、仮想通貨が取引できる場所を提供する取引所を運営する場合は、仮想通貨交換業者の登録が必要です。
仮想通貨投資で開業する方法、流れ
仮想通貨投資の開業はどのような流れで行うのでしょうか。個人事業主で開業する場合と法人で開業する場合の2パターンを紹介します。
個人事業主で開業する流れ
後述しますが、個人事業主の仮想通貨投資による所得は、原則として個人事業主の所得区分である事業所得に該当しません。個人事業主で開業し事業所得として申告するためには、取引規模だけでなく、反復継続性や営利性などを総合的に勘案して事業として行われている実態が求められます。
そのため、個人事業主での開業はすでに仮想通貨投資をやっていてある程度の収入がある人が対象になるでしょう。開業は以下の手順で行います。
- 仮想通貨投資の収入が300万円を超える
- 仮想通貨投資にかかわる帳簿書類を作成・保存しておく
- 税務署に個人事業の開業届を提出する
- 必要に応じて青色申告承認申請書を税務署に提出する
- 地方自治体に事業開始等申告書を提出する
法人で開業する流れ
法人は、法人税の計算で個人の所得のように所得区分が設けられているわけではないため、個人事業主のような仮想通貨投資の収入基準はありません。仮想通貨投資の年収300万円以下でも法人設立による開業ができます。
ただし、法人設立には登記のための初期費用がかかるほか、赤字でも法人住民税が発生することから、コスト面でのデメリットが生じる可能性があります。税金対策のためなら、仮想通貨投資である程度利益を出せるようになってから法人で開業するのが好ましいでしょう。
法人による開業は以下のような流れで行います。
仮想通貨取引での利益にかかる税金は?
仮想通貨取引の所得(収入から必要経費を控除した金額、法人の場合は益金から損金を控除した金額)にはどのような税金がかかるのでしょうか。個人事業主の場合と法人の場合に分けて解説します。
個人事業主の場合
個人の仮想通貨投資による所得は原則「雑所得」ですが、仮想通貨投資による取引内容や規模などを踏まえ、事業として行われている実態がある場合に「事業所得」として申告が可能です。具体的には年間収入が300万円を超え帳簿を作成・保存している場合などが挙げられます。(※会社員等の副業の場合は認められないこともあります)。
事業所得として申告すると、以下のような節税メリットがあります。
- 青色申告特別控除の適用 (※令和9年分以後の所得税からは、e-Taxの利用で65万円、さらに65万円控除の要件を満たしたうえで、一定の優良な電子帳簿保存の要件を満たす場合には、青色申告特別控除額が最大75万円となる予定です。)
- 赤字の活用 他の所得との損益通算や、翌年以降への純損失の繰越控除が可能です。
現状、これらの所得は合算されて総合課税の対象となり、所得税(超過累進税率)と住民税(約10%)がかかります。
出典:No.2260 所得税の税率(所得税の速算表より)|国税庁
なお、令和8年度税制改正大綱では、暗号資産取引業(仮称)を行う業者を通じた特定の暗号資産の譲渡等による所得について、総合課税から申告分離課税(税率20.315%)へ移行する方針が示されました。
この措置は、金融商品取引法の改正法が施行された日の属する年の翌年1月1日以後に行う譲渡等について適用される予定です。今後の動向にご注意ください。
出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年 12 月 26 日閣議決定)(抄)|国税庁
法人の場合
法人を設立する場合、次のような税金がかかります。
- 法人税(原則23.2%、資本金1億円以下の中小法人については年800万円以下の部分に軽減税率15%(一定の場合は19%)が適用)
- 法人住民税(資本金や従業員数に応じた均等割+法人税割)
- 地方法人税(法人税の10.3%)
- 法人事業税(課税標準×所得額などで定められた法人事業税率)
- 特別法人事業税(法人事業税×特別法人事業税率)
上記のうち、仮想通貨投資の利益が赤字であっても発生するのが法人住民税です。均等割という仕組みで資本金と従業員数によって税額が固定されているため、利益がなくても支払いが生じます。
なお、法人については個人の所得税のように超過累進税率のような仕組みはありません。ある程度税率が固定されていることから、仮想通貨投資による利益が大きければ大きいほど、法人設立の方が税金面でのメリットは大きくなります。
仮想通貨の税金対策、節税方法や注意点
仮想通貨投資で開業したときの税金対策や注意点をいくつか紹介します。
利益確定の金額を抑える(個人の場合)
法人の場合、保有する暗号資産(活発な市場があるものに限る)は原則として時価で評価(期末時の価格で評価)することとされています。そのため、利益を確定させず持ち続ける方法は法人では効果がありません。
しかし、個人では有効です。個人(個人事業主)は、期末時に時価評価する必要がなく、利益確定時(譲渡の約定時など)に収益に計上すればよいためです。
たとえば、利益を確定させることにより、一段階高い所得税率が適用されるといった場面で使えます。ただし、利益の確定を調整する方法は、本来の投資の目的に合わず、売却のタイミングを逃すことでかえって投資に損失が生じる恐れもありますので注意が必要です。
ふるさと納税や各種控除を利用する(個人の場合)
事業の設備投資の税額控除がメインの法人と比べて、個人は利用しやすい税額控除(所得税額から直接控除するもの)や所得控除(課税所得の計算上合計所得金額から控除するもの)がいくつもあります。利用できる税額控除や所得控除は漏れなく利用して申告するのが個人の税金対策のポイントです。
代表的なものに、2,000円を超える地方自治体への寄附金額を所得控除できる「ふるさと納税」(※通常の寄附と異なり寄附の用途が指定できたり返礼品をもらえたりする)、住宅ローンを利用した一定の住居の取得で税額控除が適用される「住宅ローン控除」などがあります。
仮想通貨同士の損益を相殺する(個人の場合)
仮想通貨同士であれば、雑所得に該当する場合であっても損益通算ができます。例えば、ビットコインの利益50万円、イーサリアムの利益▲30万円であったとき、相殺して仮想通貨取引全体の利益20万円と計上できます。誤って利益ばかりを合算すると税金面で損をすることになりますので、複数通貨の取引や複数の取引所でのやり取りがあるときは、忘れずに損益と損失の相殺をしましょう。
また、令和8年度税制改正大綱では、申告分離課税への移行にあわせて、対象となる暗号資産取引の損失について3年間の繰越控除が新設される方針も示されています。
現行制度では雑所得の損失は翌年以降に繰り越すことができませんが、改正が実現した場合は損失をより長期にわたって活用できるようになります。本措置は、金融商品取引法の改正法が施行された日の属する年の翌年1月1日以後に適用される予定です。
出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年 12 月 26 日閣議決定)(抄)|国税庁
給与所得を調整する(法人の場合)
法人の場合、役員に支払われる報酬(この場合、仮想通貨投資の開業のため法人設立をした人の報酬)は、給与所得に区分されます。給与所得は概算で給与所得控除が認められるのが特徴です。
まずは、役員報酬を給与所得控除の最低限度額の55万円を超える金額に設定して、そこから法人税や所得税とのバランスをみて調整するとよいでしょう。
なお、役員報酬を低く設定しすぎると内部留保が多くなり法人税額が増える一方で、役員報酬を高くし過ぎると個人の所得が増えて所得税額が多くなる特徴があります。複数パターンでシミュレーションをして、法人税額と所得税額を合算した額が小さくなるように調整するのがベストです。
ただし、役員報酬は損金算入に制限があります。頻繁に変更すると損金算入が認められなくなることに注意しましょう。
繰越控除や繰戻し還付を活用する
法人の場合、赤字は10年間の繰越控除が、個人の場合(※青色申告者に限る)は3年間の繰越控除が認められています。 なお、この個人の繰越控除は事業所得の純損失が対象であり、現行制度では暗号資産取引が雑所得に区分される場合、損失を翌年以降に繰り越すことはできません。
過去に赤字が発生して繰越控除できる額が残っている場合は本年度の所得金額と相殺できますので、漏れなく利用することをおすすめします。
令和8年度税制改正大綱では、申告分離課税への移行とあわせて暗号資産取引の損失に対する3年間の繰越控除の新設が示されています。
改正が実現した場合、現行の雑所得では認められなかった損失の繰越控除が暗号資産取引に適用されるようになります。なお、適用時期については、金融商品取引法の改正法が施行された日の属する年の翌年1月1日以後からとされています。
出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年 12 月 26 日閣議決定)(抄)|国税庁
【調査データ】仮想通貨投資で開業、青色申告のハードルはどこにある?
仮想通貨投資で継続的に利益を得られるようになり、個人事業主として開業する場合、青色申告を行うと大きな節税効果が見込めます。マネーフォワード クラウドが調査した開業手続きと青色申告の実態を見ていきましょう。
開業届と同時に青色申告承認申請書を提出したかを尋ねたところ、最も多いのは「開業届と同時に提出した」で66.0%。一方で「白色申告にするため、提出しなかった」はわずか2.3%にとどまりました。事業を始める大多数の人が、節税効果の高い青色申告を意識して手続きを進めている様子がうかがえます。
ただ、開業の手続き全体で最もハードルが高いと感じた点を聞くと、トップは「青色申告などの関連書類の理解(必要性や違いの判断)」で21.4%、次いで「記入内容の判断(職業欄の書き方、開業日の設定、屋号など)」が20.2%という結果に。入力作業そのものよりも、青色申告の仕組みの理解や書類の書き方の判断に悩む人が多いようです。仮想通貨投資で開業し、青色申告による節税の恩恵を受けるには、事前の情報収集や便利な作成ツールの活用がカギになりそうですね。
出典:マネーフォワード クラウド、青色申告承認申請書の提出状況【開業届に関する調査データ】(回答者:812名、集計期間:2026年1月実施)
仮想通貨投資の開業は個人と法人で異なる
仮想通貨投資の開業はできますが、個人事業主の開業と法人の設立では、税金面などで違いがあります。どちらを選択した方がよいかは仮想通貨投資の規模やほかの所得の関係もありますので、今回紹介した内容を参考に開業を検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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