• 更新日 : 2022年7月25日

定款に記載した目的以外の事業を営める?事業目的の正しい書き方

定款には「絶対的記載事項」と呼ばれ、必ず記載しなければならない事項があります。そのうちのひとつが、会社の「事業の目的」です。事業の目的ですから、例えば飲食店や販売、建設業など会社の業種を書けばいいと単純に考えてしまいがちですよね。しかし、ここで書かれた目的以外のことは、会社の事業としてできないことも考慮しなければなりません。そこで今回は、定款の事業目的の記載方法・ポイントについて解説していきます。

事業目的以外の事業を行えるのか?

会社は事業目的に記載されていない事業はできないことになっていますが、事業目的以外の事業を行った場合でも、これを罰する規定は法令上ありません。

ですので、定款に記載された事業目的以外の事業を行っても罰則はありませんが、取引先や金融機関から見た場合に、会社の信用を失う可能性も考えられるため注意が必要です。

事業目的の書き方・ポイント

1.誰にでも分かるようにはっきりと書く

まずは、事業目的として「その会社が何をするのか」を誰にでも分かるように書くことが重要です。定款に記載された事業目的は会社の登記事項証明書に記載され、誰でも閲覧することができます。

金融機関に口座を開設する際にも登記事項証明書は提出を求められますし、取引先から取引開始前に調べられないとも限りません。何をしているのかはっきりしない会社であれば、その後の事業活動に悪い影響をおよぼすことは明らかです。

事業目的の最初のひとつ目には、会社のメインとなる事業を分かりやすく記載しましょう。その事業が対外的にも主な事業だと認識されることになります。

2.記載数に上限はないため、将来の事業拡大まで視野に入れる

冒頭でお伝えしましたように、罰則はないものの原則として定款に記載されていない事業を行うことはできません。そのため設立後すぐには始められない事業でも、将来、事業が拡大していけば始める可能性がある事業は書いておくべきです。事業目的に記載できる数に上限はありませんし、事業目的に記載したからといって、必ずその事業をしなければならないわけではありません。実際、総合商社などは事業目的が数十個という会社もあります。

ただし、原則として「事業目的」には、その会社が行っている事業の内容が記載されている必要があります。

例えば、たくさん記載された事業目的の中で実際に行っているものがごく一部では、取引先や金融機関から何をしている会社か理解されず、あまりいい印象は持たれないでしょう。

したがって事業目的の記載数は、メインの事業と、それに付随して将来行う可能性のある事業が分かるくらいが適当です。筆者は、5~10件程度が妥当なところと考えています。

3.「附帯関連する一切の事業」の記載を入れる

このように、対外的に見た場合に、定款に記載した事業目的以外の事業を行っていると思われることを避けるために、事業目的を記載した最後の項目に「上記各号に附帯関連する一切の事業」と記載します。この一文の記載をおくことで、実務上、幅広い事業活動を行っている会社と解釈されるでしょう。

また、事業目的の決め方については以下の記事も参考にしてください。

>>司法書士が提案「事業目的の決め方のポイント」

4.許認可が必要な業種か確認する

事業によっては許認可が必要となる業種があります。許認可が得られない場合、その事業を行うことはできません。

許認可を申請する際は、定款にその事業が「事業の目的」に記載されていなければなりません。
そのため、まずは行う事業が許認可の必要な事業であるかを確認し、事業目的にどのように記載をすればいいのか、申請を行う役所などにあらかじめ確認しておきましょう。

この点を意識しておかなければ許認可が得られないばかりか、定款を変更しなければならない事態にもなりますので注意してください。許認可を必要とする主な事業としては飲食業、労働者派遣業、古物商、建設業、宅地建物取引業、運送業などがあります。

また、定款については下記の記事も参考にしてみてください。

>>会社を設立する上で必要な定款とは?作成の目的や記載事項について解説

まとめ

定款に記載される事業目的は、実態に即したものでなければなりません。会社設立の際には、事業計画をしっかり策定し、当初行う予定の事業だけではなく、将来行う可能性のある事業も含めたうえで、事業目的を記載するようにしておきましょう。

よくある質問

事業目的以外の事業を行えるのか?

定款に記載された事業目的以外の事業を行っても罰則はありませんが、会社の信用を失う可能性も考えられるため注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

事業目的の書き方・ポイントは?

誰にでも分かるようにはっきりと書く、将来の事業拡大まで視野に入れる、将来の事業拡大まで視野に入れるなどのポイントがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

事業目的の記載数のおすすめは?

5~10件程度が妥当でしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


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