• 作成日 : 2024年6月27日

生花・フラワーショップの事業計画書の書き方とは?ひな形を基に解説

生花・フラワーショップの事業計画書の作成方法を当記事で解説します。記入例のあるテンプレートやひな形のダウンロードページも紹介していますので、こちらも参考にしつつ書き方のイメージをつかんでいただければと思います。

生花・フラワーショップの事業計画書とは?

生花・フラワーショップは、いわゆる「花屋」のことです。小学生など子どもに人気のあるお店の一つでもあるので、昔花屋になることを夢見ていた方もいるのではないでしょうか。

お店を開業すること自体難しいものではありませんが、事業として成功させるには事業計画書を作成して「事業の全体像を明らかにすること」や「利益が継続的に出せること」を外部の方に示せる状態にしておくことが重要といえます。

事業の見通しを立てるためのツール

フラワーショップに限らず、事業計画書は「事業の見通しを立てるためのツール」として機能します。

何を始めるのか、具体的な戦略内容、売上高・利益の予測など、これから事業がどうなっていく予定なのかをここに整理していきます。

構想を形にしていくことで新たに課題が見つかることもありますし、より具体性のある見通しを立てられるようになります。

金融機関からの融資を受けるためのツール

事業の見通しが立てられることによって、「金融機関からの融資を受けるためのツール」としても事業計画書は機能します。

計画内容をまとめることで、外部の方も自店しようとしていることや今後の見通しについて理解できるようになります。その結果、融資を受けるために重要な「返済能力の有無」についての審査が可能となり、融資を申し込むスタートラインに立つことができるのです。

事業計画書の提示を求められるのが一般的ですので、資金調達が必要な場合はこれを用意しておきましょう。

生花・フラワーショップの事業計画書のひな形、テンプレート

生花・フラワーショップの事業計画書の書き方とは?ひな形を基に解説

フラワーショップの開店を想定した事業計画書のテンプレートがこちらのページからダウンロードできます。作成方法に悩んでいる方、これから作成に取りかかる方などはぜひ一度内容をチェックしてください。

生花・フラワーショップの事業計画書の書き方・記入例

事業計画書のフォーマットが用意されている場合はそこに記載されている項目を埋めていきましょう。基本的には自由な様式で構いませんが、次に掲げる項目については触れておくとよいでしょう。

  • 創業の動機・目的
  • 職歴・事業実績
  • 取扱商品・サービス
  • 取引先・取引関係
  • 従業員
  • 借り入れの状況
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し(月平均)

ここからはフラワーショップ向けに各項目の書き方を紹介していきます。

創業の動機・目的

「子どもの頃から花屋になるのが夢だった」。このような動機を記載するのも問題ありませんが、あまり審査に影響することではありません。「フラワーショップを立ち上げたい」という気持ちも大事ですが、次のような信頼につながる背景を絡めることを意識しましょう。

“大手の花屋に就職し、いくつかの店舗で勤めてきた。フラワー装飾技能士の資格も取得。そして、仕入先となる関係各所との信頼関係も構築ができてきた。良い物件の確保、仕入先の開拓が進んだため、立ち上げを行う。お花の魅力をより多くの方に感じてもらうこと、そしてお花をプレゼントする・されるという文化をもっと身近にすることを大きな目標として花屋を経営する。”

職歴・事業実績

簡単に「職歴」や「事業実績」も記載します。

ただし事業に関係のない資格や職歴をたくさん記載したところで計画書としての視認性を下げるだけですので、必要な情報を簡潔に記載することを意識しましょう。

取扱商品・サービス

商品の単価、主な販売ターゲット、戦略やアピールポイントなどをわかりやすい形でまとめます。

フラワーショップの営業においては、単価が低いものが多いこと、仕入先の確保、ロス率が高いこと、花需要の減少などが主な課題として挙げられます。そのためこれらがネックとならないように戦略を練ることが大事といえるでしょう。

例として「プリザーブドフラワー」を販売することや、「フラワーアレンジメント」のサービスを提供することなども施策として挙げられます。

通販に対応したりSNSに注力したりすること、その他独自のサービス展開を考えてアピールしましょう。

取引先・取引関係

フラワーショップを運営していくには仕入先の確保が必須です。

仲卸業者を通さなければ単価は下げられますが、ケース単位で仕入れる必要があり立ち上げすぐだとロス率が高くなってしまいます。市場と取り引きをするには保証金の支払いが必要になるケースもあるなど契約のハードルが高く、仕入れルートの開拓も簡単ではありません。

以上を踏まえると、仕入先の確保とその選定はフラワーショップとして一つの重要な経営課題ともいえます。特定の仕入先を確保できているなら事業計画書に取引先名や支払条件を記載しておきましょう。

従業員

役員の人数(法人の場合)、従業員数、従業員のうち家族従業員やパート従業員の数を記載します。

従業員は必須ではありませんので1人で運営をするときは「0人」でも構いません。その分人件費を浮かすことができるでしょう。ただし1人だと体調などが原因で臨時休業してしまうリスクもあるためこの点も考慮する必要があります。

借り入れの状況

法人なら代表者の借入状況、個人事業主ならその方自身の借入状況を正しく記します。

法人であっても規模が小さいと代表者個人の借り入れが融資の審査に響くことがあります。借入残高や返済額についても伝えるべきですので、この点で不利になりそうな場合は審査の前にある程度返済しておくようにしましょう。

必要な資金と調達方法

融資を受ける際の審査でよく見られる項目が「必要な資金」と「調達方法」です。

店舗の改装を行うのであれば内装工事費の見積りを取り、その額を記載しましょう。その他道具や備品も購入するための費用も明記します。

開業後はしばらく安定した利益が出せないものと予想されます。そこで数カ月分のランニングコストを運転資金として備えておくべきです。

なお融資を受ける場合であっても自己資金は必要です。必要な資金全体の3割以上は用意しておきたいところです。

事業の見通し(月平均)

これからの売上高、原価率、経費の予測を立て、利益がいくら出るのかを示しましょう。次のように計算式も併せて記載しておくと金額にも信憑性が出てきます。

“売上高:平均客単価1,600円×30人×26日=124.8万円”
“人件費:役員報酬25万円、パート7万円×2人”
支払利息:400万円×年1.5%÷12ヵ月=0.5万円”

始めてみないとわからないことも、市場調査を経て業界平均値を使うなどすればある程度現実的な見通しを立てることができるでしょう。

生花・フラワーショップの事業計画書成功のポイント

フラワーショップの事業計画書を策定するときは以下に示すポイントを押さえておくとよいでしょう。

コンセプト・ターゲットを明確にする

フラワーショップは歴史ある業種で、若干の市場拡大や縮小があっても廃れることはないと考えられています。

ただし店舗単位で見ると開業・廃業は繰り返し全国で起こっており、当然のことながら一生安泰というわけでもありません。新たな顧客を獲得してリピートしてもらうにはまずどのターゲットを主に狙うのかを明確にしましょう。そしてそのターゲットに興味を持ってもらえるようなコンセプトを考えることが大事です。

立地調査を行い商圏や競合を把握する

フラワーショップとして長く活動するには初めの立地調査がとても大きな意味を持ちます。周辺環境を調べ、出店エリアにどのような競合店があるのか、どのような施設があるのか、顧客層に合わせた立地は適しているのか、駐車場を確保できるのかなどを把握しておきましょう。

客観的な売上予測をする

売上予測は事業の見通しを立てる上で特に重要なポイントです。営業日数や平均客数、平均客単価などから計算式を用いて「なぜその金額になったのか」が客観的に理解できるように示しましょう。

過去の経験や業界平均、似た規模感で営業している花屋のデータなども参照するとより実現可能性の高い予測ができます。客数については立地なども考慮した値とすることが重要です。

品質管理を徹底する

生花に関しては品質の管理が非常に難しいといえます。在庫を長く抱えることはできませんので、いかにロスなく販売していくか、いかに長く良い状態を維持するかを考える必要があります。

自然管理に委ねるのも限界がありますので、専用の冷蔵庫を使って温度管理をすることも視野に入れましょう。

地域コミュニティーとの協力

通販に関しては全国が商圏となりますが、地域コミュニティーとの協力体制を構築することができれば、店舗での販売を盤石なものとすることができます。

例えば近隣の企業・組織との接点を持つことで、特定のシーズンにまとまった売り上げを出すことも可能です。つながりが多いほど安定した収入が得られるようになりますので、地域コミュニティーとの接点も積極的に持つことを意識しましょう。

仕入れルートの確保

フラワーショップでは、仕入先の確保とルートの選定が収益に大きく関わってきますので注視しておきましょう。

例えば「仲卸仕入」だと、小さい単位での取り引きができますので開業間もない販売力の弱い事業者でも在庫ロスを低減することができます。しかし手数料が上乗せされますのでその分コストがかかってしまいます。

一方「市場仕入」だと、安く大量に仕入れることができます。販売力のある店舗ならこちらの方が手数料を取られない分コストを抑えられます。もちろん、売り切れてしまってロスが出てしまうリスクは考慮しないといけません。

仕入方法にも注目して事業計画を立てよう

もちろん、販売方法や商品展開に工夫を凝らすことも必要です。一つひとつよくある課題をクリアし、その点をアピールしつつ、他店との差別化策などを積極的に反映した事業計画書を作成していきましょう。

花屋経営のコツ、開業の流れに関してはこちらの記事でも解説しておりますのでご一読ください。

税理士コメント

花屋の開業にあたっては、「立地条件」、「差別化された商品」、「事業計画策定」に留意すべきでしょう。
立地条件を基盤として、付加価値を見出し、顧客ニーズに合った商品を、コンセプトや戦略が盛り込まれた事業計画に沿って販売するということです。
これらの三要素に対し、経営者としてどこまで食い下がれるかということでもあります。


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