• 更新日 : 2023年11月30日

スナックを開業するには?経営の仕方のポイントを解説!

スナックを開業するには?経営の仕方のポイントを解説!

スナックはお酒を提供する飲食店で、一般的には、女性がカウンター越しに接客するお酒や会話を楽しむ場として知られています。スナックを開業して経営するには、オープンまでにどのような準備や手続きが必要になるのでしょうか。スナック経営の始め方や開業資金のための資金調達などを紹介します。

スナックを開業するために必要な準備

スナック開業のためにはどのような準備が必要になるのでしょうか。開業までに必要なステップを紹介します。

コンセプトの設定

コンセプトを設定するということは、どのようなお店にしていきたいかをはっきりとさせるということです。コンセプトの設定は、提供するサービスや接待、キャスト(スタッフ)の人数などにも関係します。まずはどういったお店にしたいかを考えていきましょう。次のような観点から考えるとコンセプトの設定がしやすいです。

  • 目的:スナックを開業する目的は何か、何を達成したいか
  • 誰に:年齢層など主にどのような人をターゲット層にするか
  • どこで:繁華街や飲食店街など、どのような場所で営業したいか
  • 何を:どのような接客をしていきたいか
  • どのように:どのような形態やシステムで営業したいか
  • いくらで:価格設定や料金体系はどうするか

資金の準備

スナック開業では多くの場合、まとまった資金が必要になります。まず、物件にかかる費用です。居抜き物件を利用するような場合でも、物件契約時の保証金や仲介手数料、内装工事費などが必要です。さらに、店舗に設置するテーブルやイス、レジ、棚、ソファなどの備品も準備しなくてはなりません。

具体的な初期費用は物件が決まるまではっきりとはわかりませんが、コンセプトがしっかりしていれば、ある程度の予想は立てられます。どのような場所で、どのような形で営業したいのかが明確になるためです。

開業資金が不足している場合は調達する必要があります。早い段階で必要額の予想を立てて、資金調達を進めていきましょう。資金調達の方法については後で詳しく紹介します。

物件の準備

資金計画と合わせて物件探しも進めていきます。スナック経営は、ビルのスペースを借りて経営するケースが一般的です。コンセプトに沿って、開業するエリアから物件を探していきます。立地は集客にも大きく影響しますので、慎重に検討していきましょう。

開業のための初期費用をできるだけ抑えたいなら、前のテナントの設備などが残された居抜き物件を選択するのも一つの手です。居抜き物件を契約する場合は、どのくらいの修繕が必要、前のテナントもスナックだった場合は立地条件の悪さを理由にした撤退ではなかったかといったこともチェックすることをおすすめします。

内装や設備の準備

スナックの内装や設備は、お店の雰囲気づくりやイメージを印象づけるのに重要な要素です。コンセプトと離れないように、工事業者などと打ち合わせをして納得できる空間づくりをしていきましょう。

なお、お店自体の規模は小さくても、内装にこだわりすぎると、工事に多額の費用がかかってしまうこともあります。しかし、妥協しすぎるとお店の雰囲気を崩しかねませんので、一部はレンタルを利用するなど工夫しながらお店づくりを進めていくと良いでしょう。

なお、スナックの開業で資格や許認可が必要になる場合は、開業に間に合うように手続きを進めていきます。資格や許認可については後ほど詳しく解説しますので、そちらをご覧ください。

仕入先の確保

スナックでは酒類を提供するのが一般的です。どの種類のお酒をそろえておくか、お酒やおしぼりなどをどこから仕入れるか、複数の業者を比較して仕入先を確保しておきます。お酒だけでなく、おつまみなどの提供をする場合も同様です。仕入先を確保しておくことで、安定したサービスを提供できるようになります。

キャストの雇用

ママが一人でスナックを経営することもありますが、接待を伴うようなスナックでは複数人のキャストを雇用することもあります。

キャストを雇う場合は、求人広告やSNSなどを使って募集し、開店に向けて採用を進めていきます。

スナックの給料は時給に指名料やドリンクオーダー料のバックが加算されるのが一般的であるため、キャスト1人あたりの人件費は他の飲食店と比べて高くなりがちです。お店の売り上げと人件費のバランスが取れるようシミュレーションした上で、必要なキャスト数を検討しましょう。

開業前の宣伝

すでに同じ業界で仕事をしている場合は、現在の人脈や顧客にアプローチする方法もあります。しかし、安定した経営には新規顧客の集客も欠かせません。

より多くの人にお店を知ってもらい、利用してもらえるように、開業前から集客に向けて宣伝活動をしていきましょう。集客するには、周辺のお店にチラシを置かせてもらったり、SNSで情報を発信したり、広告を利用したり、検索サイトに登録したりといった方法があります。

スナックによくあるシステム

ボトルキープやチャージ料金など、スナックでよく見られる料金体系やシステムを紹介します。

ボトルキープ

ボトルキープとは、お酒をボトルごと注文して、顧客が飲み切れなかったボトルをお店に保管するシステムです。

基本的には、焼酎やウイスキーなどのボトルのお酒が対象です。飲み切れるサイズのお酒やアルコール度数が低く保存が難しいお酒はボトルキープの対象にはなりません。

ボトルキープによるお店側のメリットは、お店でボトルを保管することによって、またお店を利用してもらえる可能性が高くなることです。顧客側も一度ボトルキープしてしまえば、1杯ずつ注文するよりもお得にお酒を飲めるメリットがあります。

チャージ料金

チャージ料金とは、座席料金のようなものです。1時間あたり2,000円、2時間あたり5,000円などと決められていることが多く、飲食代は料金に含まれないため、別途注文する必要があります。時間無制限の代わりに、金額が少し高めに設定されていることもあります。

セット料金

セット料金は、座席料金のほかに、水や氷、お酒、軽食などの料金がセットとなった料金システムのことです。お酒にはボトルキープの対象となる商品の他、お店の指定する銘柄も含まれていることもあり、基本的に顧客は飲み放題となります。

スナックでは一般的なシステムで、チャージ料金を導入していないスナックでは多くの場合、セット料金制が採用されています。

カラオケ料金

お酒を飲みながら歌も歌えるように、基本的にスナックにはカラオケの機械が置いてあります。顧客がカラオケを利用したい場合、別途カラオケ料金を支払う必要があります。1曲100円など曲数で料金が決められていたり、固定の金額を支払えば歌い放題で利用できたり、スナックによってさまざまです。セット料金にカラオケ代が含まれていることもあります。

バーとスナックの違い

バーとスナックは、カウンター越しに顧客にお酒を提供する点で似ています。法律上、バーとスナックに線引きはされていませんが、風営法が適用されるかどうかが大きな違いといえるでしょう。

スナックは、顧客への接待を主として、お酒を飲みながらキャストと顧客が会話を楽しむような形態が多く、その場合は風営法における接待に該当します。

バーは、スナックよりも提供するお酒の種類が豊富で、バーテンダーがこだわりのカクテルを提供するお酒をメインとしたお店が多く、基本的にスナックのような接待は行われません。

スナック開業に必要な手続き・資格・届出

スナックの開業形態によって、必要な資格や届出、営業許可、手続きは異なります。ここでは、スナック開業により必要になる可能性の高い営業許可や手続きを紹介します。

飲食店営業許可

飲食店営業許可は、食品衛生法で定められた営業許可制度です。食品を調理するなどして客に飲食をさせることを飲食店営業といいます。基本的にスナックは飲食店営業に該当することになるため、施設基準を満たした上で、保健所に営業許可を申請して許可を得なければなりません。

食品衛生責任者(資格)

飲食物を提供するような食品営業を行う事業者は、食品衛生責任者になれる資格を有する人を、1店舗につき1人以上設置する義務があります。食品衛生責任者とは、衛生管理を担う役割を持つ人のことです。

食品衛生責任者になれる資格は、都道府県などの指定する養成講習会を受講(調理師など特定の資格を持つ場合は講習会の受講は不要)することで取得できます。

防火管理者(資格)

スナックの規模によっては、防火管理者の資格と選任が必要になることがあります。スナック経営で防火管理者の選任が必要になるのは収容人数が30人以上になる場合です。延べ面積300平方メートル未満では乙種防火管理者か甲種防火管理者、延べ面積300平方メートル以上の場合は甲種防火管理者の選任が必須です。

防火管理者の資格は、都道府県などで行われる防火管理講習を受けることで取得できます。

防火対象物使用開始届

防火対象物とは、消防法で定められた火災予防行政の主な目的物になる建物などをいいます。中でも消防法令では不特定多数が出入りするような用途の建物を、特定防火対象物として指定しており、消防設備の設置基準に規定が設けられています。


スナックは特定防火対象物に該当する建物で、工事または開業の7日前までに管轄の消防署へ防火対象物使用開始届を提出しなくてはなりません。

深夜酒類提供飲食店営業開始届

お酒をメインに提供する飲食店で、深夜(午前0時~午前6時の間)に営業するお店が、開業の10日前までに管轄の警察署に提出する書類です。特定の用途地域では営業できない、一定の床面積が必要など、深夜酒類提供飲食店として営業する場合はさまざまな規定を守って営業しなければなりません。

なお、深夜酒類提供飲食店では接待を伴う営業は禁止されています。接待のあるスナックを開業する場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届ではなく、次に紹介する風俗営業許可が必要です。

風俗営業許可

風営法に定める接待とは、客の横で歓談したり、特定の客にお酌をしたりするような行為をいいます。接待を伴うスナックでは、風俗営業1号の営業許可が必要です。構造的要件などを満たした上で、警察署に営業許可を申請します。許可を得ずに営業した場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれらの両方が科されますので注意しましょう。

なお、風俗営業許可のみをもって深夜の営業はできません。深夜も営業したい場合は、深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書の記入も行います。なお、風俗営業許可を取得した上で、深夜酒類提供飲食店開始届出をした場合、深夜帯の接待行為はできません。

特定遊興飲食店営業許可

特定遊興飲食店営業許可は、主に酒類を提供するお店で、深夜帯に客に遊興させる場合に必要な営業許可です。

遊興させるとは、顧客に警察庁の定める遊興をさせることです。例えば、カラオケを設置しているスナックで、不特定の客にカラオケの利用をすすめ、歌に合わせて演出や合いの手などを行うことは、遊興にあたるとされています。

カラオケを設置しているスナックなどで深夜帯も営業をする場合は、特定遊興飲食店営業許可が必要になる可能性が高くなります。なお、特定遊興飲食店営業許可では、風営法で規制される接待を伴う営業はできません。

キャストを雇用する場合

キャストを雇用する場合、労働中の傷病を保障する労災保険関連の手続きや労働者の雇用を守る雇用保険関連の手続きが必要になります。アルバイト、パート、正社員といった勤務形態に関係なく、1人以上雇用する事業者は労働保険(労災保険・雇用保険)の加入義務が生じますので、こちらも忘れずに手続きをするようにしましょう。

スナックを開業および経営する上での資金調達方法

自己資金からスナック開業のための資金を捻出する方法のほかに、融資を受ける方法もあります。融資元の候補としてまず挙げられるのは日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫では、スナックは飲食店営業の区分にされ、融資の対象業種となっています。

信用保証協会による保証つきで民間の金融機関から借り入れる方法もありますが、風営法の関係により地域によっては融資を受けるのが難しい場合もあります。このように、スナックの形態によっては融資が困難なこともありますので、資金調達先を見つけてから、許認可などを取得すると良いでしょう。

融資を受けるのが難しい場合は、親族などからお金を借りたり、クラウドファンディングで不特定多数の個人から融資を募ったりする方法もあります。公的融資などでの資金調達が厳しい場合は検討してみましょう。

また、給付まで時間がかかるため開業資金には充てられませんが、補助金や助成金を申請する方法もあります。補助金や助成金は、設備導入やキャスト雇用にかかるコストを抑えるのに効果的です。

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必要な営業許可を得てスナック経営を始めよう

スナック経営は、その形態によって必要な営業許可が異なることがあります。営業許可を取得せずに営業すると罰則が適用されることもありますので、開業したいお店の形態に合った営業許可を取得して開業するようにしましょう。

営業許可以外にも、物件探しや資金調達、設備の導入、キャストの雇用など、開業までにやらなければならないことは多くあります。しっかりスケジュールを立ててスムーズに開業を迎えられるようにしましょう。


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