- 更新日 : 2023年12月5日
ゲストハウスの開業に必要な費用は?資金0円でも開業する方法
ゲストハウスは、プライベート性が高いホテルや旅館とは異なり、初対面の宿泊者同士がリビングなどを共有してコミュニケーションを取ることもできる宿泊施設です。お手頃な料金で気軽に利用できることから、年々注目度も高くなっており、ゲストハウス経営に参入する方も増えてきています。
今回は、個人でゲストハウスを開業するための必要な資金や売上、成功するためのポイントを解説します。
目次
ゲストハウスの開業にかかる資金・必要な費用は?
ゲストハウスの開業にかかる資金は、取得する物件の規模にもよりますが、小規模のゲストハウスで約300万円~1,000万円の初期費用が必要でしょう。また、中古物件を取得する場合はリフォームをする必要があります。
その他、ベッドやテーブルなどの家具や備品、空調機器や厨房機器などの設備代も物件関連費として必要です。ホームページやSNSを使った広告宣伝費用も忘れてはいけません。
【初期費用の目安】
- 物件取得費 …100万円~300万円(場所や規模による)
- リフォーム代 …100万円~300万円(中古の場合)
- 設備費 …100万円~200万円
- 什器、備品代 …10万円~50万円
- 広告宣伝費等 …10万円~30万円
- 許可の取得費 …約2万円
このように、ゲストハウスを開業する際は、ある程度の資金が必要だということが分かります。しかし、仮に現在の資金が0円であっても、次のテーマにある流れで進めれば開業できる可能性も出てくるでしょう。
また、ゲストハウス経営について「どのくらい儲かるのか?」気になるところですよね。ゲストハウス経営の収入は、物件の規模や宿泊料金、ベッドの数によって異なります。例えば、ベッド10台、一泊の料金が3,000円であるゲストハウスの1日の売上は最大3万円です。とはいえ、ゲストハウス経営は、必ず閑散期や繁忙期があるので1年中3万円の売上を維持するのは難しく、また、売上だけでなく経費や人件費などのコストも考えなければなりません。仮に、売上の50%をコストとして計算すると、1年間、毎日3万円の売上があった場合でも1日の儲けが最大1万5,000円、年収にすると年収は約550万円ということになります。
ゲストハウスを開業する方法・流れは?
ゲストハウスは旅館業法では簡易宿泊業に該当しますので、各種許認可申請が必要となりますが、まずは開業までの全体の流れを把握しましょう。ゲストハウスを開業する具体的な流れは以下の通りです。
- コンセプトを決める
どの業種にも言えることですが、初めにゲストハウスの「コンセプト」を決めましょう。
コンセプトとは、「どのようなお店にしたいのか?」という方向性です。例えば、「お店の雰囲気や内装をどのようにデザインするのか?」「ターゲットとなる客層」や「この店にしかないサービスをどのように提供するのか」など、目的と目標、方向性をしっかり決めておくことが非常に重要です。
- コンセプトを決める
- 事業計画を立てる
コンセプトを決めたら、次は事業計画を立てます。初期費用や運転資金がいくら必要なのかなど、ある程度の目安と予算の上限を決めましょう。
- 事業計画を立てる
- 資金を準備する
予算に基づいて、資金を準備しましょう。ゲストハウスはホテルや旅館に比べると開業費用は抑えられますが、それでもある程度の資金は必要です。例えば、自己資金だけでは賄えない場合、どこで融資を受けるのかを検討しておく必要があるでしょうまた、現在の仕事を辞めてゲストハウスのみの収入となる場合は、自分の生活費も含めて準備する必要があります。
- 資金を準備する
- 物件を決める
資金が準備できたら物件を探しましょう。実際は、物件にかかる費用によって必要な資金が異なりますから、資金準備と物件探しは同時並行で進めていくことが理想です。
物件探しのポイントは、利便性と集客性です。「周りにどのような観光スポットがあるのか?」「駅からのアクセスは?」「コンセプトと相違がないか?」「どのような宿泊施設が周りにあるのか?」「物件費用がいくらかかるのか?」など確認するポイントは数多くあります。収益を上げる大切な場所なので、念を入れて物件を探しましょう。
- 物件を決める
- 各種許認可申請をする
資金の準備と物件が決まったら、許認可の申請を行います。必要な許認可の申請は大きく「建築基準法に関する申請・旅館業法に関する申請・消防法に関する申請」の3つです。具体的な申請については後述します。
- 各種許認可申請をする
- 内装工事やリフォーム工事をする
各種申請の許可が下りると、最初に決めたコンセプトに沿って内装工事やリフォームをしましょう。
すでに申請が通っていますので1日でも早くオープンしたいところですが、焦らずにある程度の余裕を持ってスケジュールを立てておきましょう。
工事が完了するまでの間に、ホームページの作成や広告宣伝をしておくと効率的に準備が進められるでしょう。
- 内装工事やリフォーム工事をする
- 設備をそろえる
内装工事やリフォームが始まったタイミングで、ベッドや布団など必要な宿泊設備やアメニティなどの備品をそろえましょう。前もってリストアップしておくことで、より時間短縮で作業を進められます。
そろえなければならない設備はその他、キッチンやお風呂、トイレなどの水回りに関するアイテムやテーブルやソファ、受付周りの備品など、細かな部分まで多岐にわたります。
「コンセプトに沿っているか?」「お客様が使いやすい製品か?」などのポイントを踏まえて備品をそろえましょう。
可能であれば、他のゲストハウスを利用して参考にするのも良いでしょう。
- 設備をそろえる
- 開業する
工事を終えて、設備や備品をそろえたら、最後に消防署や保健所の立ち入り検査です。衛生面、防災面、安全面など基準をクリアすると、いよいよオープンです。
お客さんにまた利用したいと感じてもらえるような最高のサービスを提供できるように、しっかりと確認と入念なシミュレーションをしておきましょう。また、ホームページやSNSなどでの告知も準備してください。
ゲストハウス開業のための資金調達方法は?
次に、ゲストハウスを開業するための資金調達の方法について解説します。
ゲストハウスの開業は、ある程度まとまった額の資金が必要ですので、一般的に銀行などから融資を受けることになるでしょう。具体的にどのような資金調達方法があるのか一例を紹介します。
- 銀行からの融資
- 日本政策金融公庫からの融資
- クラウドファンディング
- 小規模事業者持続化補助金の利用
このうち、金融機関からの融資については、一般的に銀行よりも日本政策金融公庫の方が有利な条件で借入できます。日本政策金融公庫の「新規開業資金」の場合、融資限度額が「7,200万円」。担保や保証人に関しては相談の上、柔軟に対応してもらえますので、銀行と日本政策金融公庫とで迷っている方は、まずは日本政策金融公庫に相談してみるとよいでしょう。
その他、近年注目を集めている「クラウドファンディング」を利用するのも一つの手段です。SNSなどを使ってアピールしましょう。クラウドファンディングが上手くいくと、資金調達以外に「広告宣伝効果」や「顧客獲得」も期待できます。
また、融資とは異なりますが、商工会議所が窓口の「小規模事業者持続化補助金」も利用できます。この「小規模事業者持続化補助金」は、売上を得るためにかかる経費の一部を支援する補助金制度です。事業計画の作成など一定の条件がありますが、審査が通れば返済する必要はありませんので、ぜひ活用したいところです。なお、補助金の支給は後払いのため、返済の必要はないものの先に支払う必要がある点には注意してください。
このように、仮に自己資金が0円であっても各種融資制度を利用することで開業することは可能です。
ゲストハウスの開業に必要な資格は?
ゲストハウスの開業に必要な資格はありませんが、宿泊するのが外国人の方も想定されるので、英語関係の資格を取得しておくとスムーズに対応することができるでしょう。また、宿泊するお客さんを駅まで送迎する場合は、運転免許証が必要です。
ゲストハウスの開業に必要な許可・届出書は?
ここでは、ゲストハウスの開業に必要な許可や届出書について見ていきましょう。
先述したように、ゲストハウスの開業には各種許認可が必要です。具体的には以下の通りです。
- 消防法令適合通知書交付申請
消防署に対して申請します。消防法令に適合する施設に交付される通知書です。
- 消防法令適合通知書交付申請
- 旅館業営業許可(簡易宿所営業許可)申請
保健所に対して申請する許認可です。衛生基準などの要件が設けられています。
- 旅館業営業許可(簡易宿所営業許可)申請
- 建築検査済証
土木事務所などに申請をする100平米以上の物件で必要になる許認可です。
- 建築検査済証
- 用途変更申請
宿泊用ではない物件を取得した場合に、自治体が指定する検査機関などに申請します。
このうち、消防法令適合通知書交付申請と旅館業営業許可(簡易宿所営業許可)申請は取得物件の規模に関わらず必要な許認可です。また、先に消防法令適合通知書交付申請を済ませなければならない点には注意してください。認可までに時間がかかる場合があるので、余裕を持って申請の手続きを進めましょう。
ゲストハウスの開業で成功するためのポイントは?
ゲストハウスを開業後に、長期間経営を続けていくポイントは下記の通りです。
- 物件の場所選びと価格設定
- 告知とPR
- このゲストハウスにしかないサービス
まず、外せないポイントとして「ゲストハウスの場所選び」があります。「駅からのアクセスは?」「観光地やイベント会場からの距離は?」など、利用者目線で考えても宿泊場所はとても大切ですよね。しかし、利便性が高くなるほど、初期費用もランニングコストも高くなるので、競合店の価格と比べて無理のない価格設定をしましょう。
次に、積極的にSNSなどを使ってお店の告知とPRをしましょう。開業当初に重要なことは、お客様にゲストハウスの存在を知ってもらうことです。SNSは費用を抑えて告知をすることができるので、上手く活用したいところです。
そして、コンセプトに沿った「このゲストハウスにしかないサービス」を提供するように心掛けましょう。また、スタンプカードなどを作ってポイントが貯まると宿泊費が無料にするなど、店を覚えてもらい次回もリピーターとして利用してもらうような施策も有効でしょう。
トイレやお風呂などの水回りを清潔にしておくことはもちろん、従業員の接客態度や言葉遣いなども常にお客さんに見られていますので、従業員を雇う場合はしっかりと教育することも大切です。
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ゲストハウス経営を成功させるには準備が大切!
ゲストハウス経営を成功させるためには、入念な準備とコンセプトに沿った計画を立てることが大切です。想定外のことが起こってもすぐに修正できるよう定期的にコンセプトの見直しと点検をするようにしましょう。
開業することがゴールではありません。ゲストハウス経営を長期間継続させるために、お客さんから愛されるゲストハウスを作りましょう。
よくある質問
ゲストハウスの開業に必要な資金は?
立地や取得する物件の規模によって異なりますが、小規模のゲストハウスで約300万円~1,000万円の初期費用が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
ゲストハウスの開業方法は?
ゲストハウスは旅館業法で簡易宿泊業に該当します。資金の準備と物件を取得したら消防署や保健所などに各種許認可申請をする必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
ゲストハウス経営の年収は?
物件の規模やベッドの台数、宿泊料金によって異なりますが、小規模のゲストハウス経営で年収300万円~500万円ほどでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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