• 更新日 : 2023年12月5日

病院経営が赤字になる理由とは?黒字化するためのポイントも解説!

病院経営が赤字になる理由とは?黒字化するためのポイントも解説!

日本全国に病院はたくさん存在していますが、ここ数年で増大した医療費とは裏腹に、経営が赤字になっている病院も数多く存在します。

その背景には昨今の新型コロナウイルスの影響が大きく関係していると考えられていますが、逆に黒字になっている病院も存在している事実があります。

「今後も病院を継続させたい」と思われるオーナーの方にとって、赤字は深刻な問題であり、戦略やマネジメント、コスト削減などについて深く考えなければならない状況に立たされているのかもしれません。

こちらでは今後の医療体制や経済情勢も踏まえて、病院を黒字にするためにはどのような施策が必要なのかご紹介していきます。

病院経営が赤字になる理由とは?

病院経営が赤字になってしまう理由とは、どのようなものなのでしょうか。
当然、黒字化できている病院も多く存在していますので、赤字になってしまう病院とは何が違うのか、詳しく見ていきましょう。

人件費・採用費の増加

医師や看護師は、保育士や介護職員と同じように、ここ数年で深刻な人材不足に陥っています。
その理由としては、激務であるにもかかわらず勤務に見合う報酬を受け取ることができていないという点にあるでしょう。

本来であれば命に関わる治療を行う医師や看護師は高い報酬を得たうえで、十分に休みを取れる環境でなければなりません。

しかし現状では、通常の会社員とあまり変わらない程度の報酬と会社員を下回る休暇取得しか叶えられていません。
このような状況であれば、当然「医師や看護師になってもあまりメリットがない」と感じてしまう方も少なくなく、仮に就職したとしてもすぐに辞めてしまう方もいるでしょう。

病院としては人が辞めるたびに新たな人材を確保しなければならず、求人サイトへの掲載費をはじめ、採用後にかかる必要経費により出費がかさんでしまいます。

コロナ禍の影響

新型コロナウイルス感染症は、病院だけではなくあらゆる業界に影響を及ぼしました。
一見、新型コロナウイルスの影響をまったく受けてないどころか、収入が潤うのではないかと思われる病院ですが、実は多大な影響を受け、新型コロナウイルスが原因で閉院しなければならなくなったケースも多く存在します。

新型コロナウイルスが流行り出し、その感染力の強さや重症者への治療などを踏まえると、「新型コロナウイルスに罹患した患者を受け入れない」という選択肢を取る病院も多くありました。
そういった体制は現在でも一部続いており、必然的に1日に診られる患者数が減り、病院自体を一時閉鎖したところもあります。

また、逆に新型コロナウイルスに罹患した患者も受け入れると選択した病院であっても、病床数が足りずにベッドや治療に必要な機器など各種備品を揃えるのに費用がかかったという病院もあるのではないでしょうか。

いずれにしても新型コロナウイルスがもたらした影響は非常に大きく、病院経営を揺るがす事象となったことには間違いありません。

病院経営を黒字化するためのポイントは?

病院はあらゆる原因により赤字化しているところが多いとご紹介しました。
しかし、病院を経営している方にとってはできるだけ長く経営できるよう「黒字化したい」という強い想いをお持ちではないでしょうか。

こちらでは病院経営を黒字化するには具体的にどのようなポイントを押さえれば良いのかをご紹介します。

業務を効率化してコストを抑える

病院ではさまざまな領域でコストがかかりますが、それらが本当に全て必要なものであるかを精査する必要があります。

病院でかかるコストの一例を具体的に挙げると、人件費、ランニングコスト、広告費、研究開発費、教育費、金利、減価償却費などです。
もちろんこれ以外にもコストがかかっているケースも多く見られますが、主にこれらのコストをかけて病院という組織が成り立っています。

いわば病院も一般企業と同じで、「経費の中身を確実に把握する」「無駄をなくす」という2点が非常に重要になってきます。

例えば、広告費に膨大に費用をかけたからといって、必ずしも患者が増えるわけではありませんし、むしろ先述した高齢者が多く来院すれば赤字の原因にもなってしまいます。
広告を多く出せば患者が多く来てくれるとも限らないため、ターゲットを絞った戦略的な広告かつ必要最低限の広告が黒字化を大いに助けるでしょう。

広告以外にも、最適化、効率化できていない業務があれば、それらを改めるだけでも大幅なコスト削減となります。

経営戦略を立て直す

経営戦略は病院に限らずどのような企業でも必要不可欠であり、この戦略が間違っていると本来黒字化できる状態であるにもかかわらず、赤字になってしまう場合があります。

開業した際に「どんな病院にしよう」「どんな人をターゲットにしよう」というコンセプトや指針はもちろん定めていたと思いますが、必ずしも定めた事項が実現できているとは限りません。

赤字になっている原因を探るとともに、そこから黒字化するためにはどんな行動を取れば良いのか、細かい部分まで分析をすることが必要です。

組織マネジメントを見直す

組織マネジメントとは人が集団で一つの企業で働く際に、円滑な経営を行うための手法のことを指します。
病院では医師をはじめ看護師、薬剤師、調理師、理学療法士などあらゆる分野の人材が集団となり「患者の回復」を目標に従事しています。

どの分野の仕事に関しても、病院のコンセプトや目標が明確ではない限り士気が高まらず、一体感がなくなってしまいます。

組織マネジメントがうまくできている病院は、リーダーとなる人材の育成が上手だったり、従業員が気持ちよく働ける環境が整っている場合が多いです。

今後の病院・クリニック経営に必要なことは?

病院やクリニックは規模や立地にかかわらず、一般企業と同様とても厳しい状態に追い込まれています。
安定した経営を継続したり、黒字化したりするためにはどのようなことが求められるのでしょうか。

現在の経営状況を正確に把握する

今後安定して経営を行うためには、現在の経済状況がどのようになっているのかを正確に把握する必要があります。

病院やクリニックの多くは経営者と医療従事者が同一人物であり、経営能力に長けているかと言われると、正直疑問が残ります。
つまり、一般企業のように経営分析をしっかりと行い、現在経営がどのような状況になっているのか、また今後どのような施策を行うべきなのかという点について理解しておく必要があります。

今まで経営分析を本格的に行なっていなかったのであれば、具体的にどのような方法で経営分析を行うべきかわからないのではないでしょうか。

そこでおすすめなのが「経営分析ツール」です。

やみくもに分析を行おうと思っても正確な情報が得られなかったり、分析結果から具体的な施策を導き出すことが難しかったりするかもしれません。
しかし、経営分析ツールを用いることによってあらゆる角度から現状を導き出し、問題点をフォーカスすることができます。

伝染病への対応力を強化する

新型コロナウイルスが流行したことによって、伝染病への脆弱さをひしひしと感じている病院も多いのではないでしょうか。

今後、新型コロナウイルス以外にも新たな伝染病が流行する可能性がありますし、もしかしたら今後、新型コロナウイルスよりも感染力も毒性も強いウイルスが日本に持ち込まれるかもしれません。

人間とウイルスは共存していかなければならないのにもかかわらず、伝染病への対策が十分に行われていなければ、一時的に病院を閉鎖しなければならないといった状況にも陥るでしょう。

新型コロナウイルスの流行により赤字化してしまった事例から考えると、伝染病への対応力を強化することにより、経営悪化を防ぐことができる可能性があります。

従業員が離職しない環境づくり

病院が赤字になる原因は、医師や看護師が離職してしまうという点も挙げられます。
つまり、従業員が離職しないような快適な環境をつくることによって、本来必要のない人件費がかさむことがなくなるため、必然的に赤字を防ぐことができます。

福利厚生を充実させたり、人間関係で問題が起こらないような仕組みをつくることで、従業員はもちろん、経営者も気持ちよく経営を進めることができるでしょう。

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こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。

現状を把握し赤字を防ぐための施策を試そう

現在、赤字経営となっている病院が非常に多く、その原因はコロナ禍や人件費の増加などさまざまです。
病院に限らず一般的な企業にも同様のことが言えますが、現在の経営状況を正確に把握することが赤字化からの脱出の第一歩と言えるのではないでしょうか。

特に病院に関しては経営者と医療従事者が同一人物であるため、経営能力もしくは経営に焦点を当てる時間が十分ではないというケースも見られます。

そのような場合、何も改善せずに経営を続けていても黒字化できないだけではなく、毎月、毎年赤字が積み重なってしまい、最終的には閉院しなければならないというような最悪のケースも考えられます。

規模や地域、専門としている科を問わず、どんなところにどれくらいのコストがかかっているのか、どうしたらコストを削減できるのかというようなところに重きを置いて分析することによって、現状を回復することができます。

経営にまで手が回らないというような場合には、経営分析ツールの活用や、信頼できる経営コンサルタントに依頼をしてプロの目線から経営状況改善を目指すと良いでしょう。

「経営コンサルタントに依頼すれば結局コストがかかるのでは?」と思われるかもしれませんが、長い目で見ると間違いのない経営戦略を立てることにより、安定的な収入を得ることができ、病院はもちろん従業員の生活も守ることができます。

経営分析ツールにしても、経営コンサルタントにしても、あなたが「正しい」と思うものを選ぶことが何よりも重要であり、成功には欠かせないことなのです。

黒字化となるよう全体像を捉えた経営戦略を取り入れて、安定的に長続きする病院を目指しましょう。

よくある質問

病院経営が赤字になる理由とは?

病院経営が赤字になる理由は主に、人件費、採用費の増加・コロナ禍の影響・高齢者の増加と医療費の増大の3つです。詳しくはこちらをご覧ください。

病院経営を黒字化するためのポイントは?

病院経営を黒字化するためには、業務を効率化してコストを抑えること・経営戦略を立て直すこと・組織マネジメントを見直すことの3点が重要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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