• 更新日 : 2023年10月23日

経営悪化とは?6つのサインと解雇検討時の注意点

経営悪化とは?6つのサインと解雇検討時の注意点

経営悪化や経営不振とは、売上や利益が減少し会社の経営状態が悪くなることです。コロナ禍において経営悪化する会社もありました。

経営悪化が続くと、従業員が相次いで退職したり、事業継続が困難になったりするでしょう。本記事では、会社の立て直しを図るために、経営悪化のサイン6つや解雇検討時の注意点を紹介します。

経営悪化とは?経営悪化のサイン6つ

経営悪化とは、会社の業績が振るわず経営状態が悪くなることです。経営悪化のことを経営不振に陥ると表現することもあります。

経営悪化の状態が続くと、倒産につながりかねません。経営悪化のサインは、主に以下の6つです。

  • 売上減少
  • 売上原価・販管費の増加
  • 過少資本
  • 在庫過多
  • 信用低下
  • 長期的な業績悪化

ここから、経営悪化のサインについて詳しく解説します。

売上減少

売上減少は、経営悪化のサインのひとつです。売上が減少して経営が悪化することで、倒産に至ることもあります。

中小企業庁が発表した「倒産の状況」に関する資料によると、2022年に企業が倒産した理由のうちおよそ7割が「販売不振」で占められていました。

売上が減少する主な要因は、企業が提供する商品やサービスの質が低下することです。買い手が期待するような質を提供できないと、顧客離れ・売上減少につながります。

また、競合が新たに出現することも、売上減少の要因です。自社が提供する商品・サービスよりも競合他社の方が質や価格などの条件が良ければ、既存の顧客が流出して売上が減少するでしょう。

そのほかにも、価格競争の激化や景気の影響で客単価が下がることによって、売上が減少することもあります。

参考:中小企業庁 倒産の状況

売上原価・販管費の増加

利益減少につながるため、売上原価や販管費の増加も経営悪化のサインです。

売上に変化がないまま売上原価が増加すると、売上総利益(粗利)が減少します。売上原価の主な増加要因は、仕入コストの高騰や製造部門の人件費の増加などです。とくに海外からの仕入れに頼っている場合、円安や国際情勢により突如として売上原価が増加することはあるでしょう。

また、売上は減少していなくても、販管費が増加すると営業利益が減少することはあります。販管費の増加要因は、広告費や光熱費、管理部門の人件費増加などです。

売上原価や販管費の増加要因に含まれているため、人件費が会社の利益減少や経営悪化につながることがわかります。そこで、自社の人件費の適切性を労働生産性などの指標を使って判断することが大切です。

労働生産性は以下の式で求められます。

労働生産性 = 付加価値額 ÷ 従業員数

 

労働生産性は従業員1人あたりの付加価値額を表す指標ですが、労働生産性が今までより下がっている場合、人件費が利益減少の直接の原因になっている可能性があるでしょう。

過少資本

過少資本の状態も、経営悪化を示すサインのひとつです。過少資本とは、利益に対する資本が少ないことを指します。

たとえば、節税対策にこだわりすぎたことで、資本に対して利益が過度に少なくなり過少資本に陥ると、経営が悪化します。なぜなら、営業活動を通じて入ってくるキャッシュが従来より減少することで、思わぬ支出があるときに対応できなくなる可能性があるためです。

資本の過少を判断する指標として、自己資本比率があります。自己資本比率の式は、以下のとおりです。

自己資本比率(%) = 自己資本 ÷ 総資本(他人資本 + 自己資本)× 100

 

自己資本比率が高いほど、財務の健全性も高いとされています。自己資本比率が20%を下回っている場合は、過少資本の可能性を疑った方がよいでしょう。

在庫過多

在庫過多が、経営悪化のサインになることもあるでしょう。一般的に、在庫過多とは、必要以上の在庫を抱えることを指します。

在庫過多に陥ると、維持コストが発生して利益低下につながることが経営悪化のサインとなる理由です。また、在庫を売却できないと現金が入らないため、キャッシュフローの悪化につながります。キャッシュフローが悪化すると、そのうち諸経費や仕入代金などの支払いが困難になるでしょう。

さらに、在庫過多の状態が長引くと、品質が低下して商品価値が低下します。その結果、販売価格を下げざるを得ないため、売上も低下するでしょう。

信用低下

信用低下も、経営悪化につながるため見逃してはなりません。信用が低下するとうまく資金調達できなくなり、資金繰りが悪化します。

在庫過多などの事情により手元に入ってくる現金が減っているときに、銀行の融資や制度融資(自治体や金融機関などが提携した融資)を利用できなければ、最悪「黒字倒産」にいたる可能性もあるでしょう。黒字倒産とは、帳簿上は黒字にもかかわらず、支払いに必要な現金が手元にないことで倒産してしまうことです。

金融機関からの信用が低下する主な要因として、業績の悪化・財務内容への懸念などが挙げられます。資金調達手段を狭めないためにも、業績や財務内容が悪化したら早めに改善策をとりましょう。

長期的な業績悪化

長期的な業績悪化が続いている場合も、経営悪化のサインです。コア事業が構造不況産業である、老朽化した設備を使い続けているなどの理由で業績悪化が続いている場合、会社が利益を出せなくなり、最終的には倒産しかねません。

中小企業庁が発表した「倒産の状況」に関する資料でも、2022年に企業が倒産した理由として、「既往のしわよせ」(主に長期的な業績悪化のこと)が「販売不振」でついで2番目でした。

参考:中小企業庁 倒産の状況

経営悪化で従業員を解雇をする際に知っておくべきこと

経営悪化の状態が続くと、経営者としてやむをえず従業員解雇の決断を下すこともあります。ただし、原則として以下4つの要件を満たしていなければ経営悪化でも解雇はできません。

  • 人員削減の必要性があるか
  • 解雇回避の努力をしているか
  • 人選に合理性はあるか
  • 解雇手続に妥当性はあるか

各要件の概要を紹介します。

人員削減の必要性があるか

経営悪化で従業員を解雇する場合、人員削減の必要性があることを客観的に説明できなくてはなりません。「客観的に説明」とは、指標や数値を用いて具体的に説明することです。

たとえば、会社が経営危機に陥っている場合に、人員削減の必要性があると判断されます。一方、単に生産性を向上させることを目的とする場合は、必要性があるとは判断されにくいでしょう。

解雇回避の努力をしているか

あらかじめ解雇を回避しようと努力していることも、必要なポイントです。「解雇を回避しようと努力する」例として、事前に希望退職者を募集したり、対象者の配置転換や出向を検討したりしていることが挙げられます。

ただし、経営悪化が深刻で緊急性が高く、「回避しようと努力する」までの十分な時間を確保できない場合は、希望退職者の募集などがなくても解雇できる可能性があるでしょう。

人選に合理性はあるか

解雇する人選に合理性があることも必要です。解雇は、評価者の主観によるものではなく、客観的かつ公正な人選に基づいていなければなりません。

合理性がある人選基準の具体例は、成績・勤務態度・勤続年数・年齢・家族構成などです。過去に、基準を設定せずにおこなわれた解雇が、裁判所で無効とされた判例もいくつかあります。

解雇手続に妥当性はあるか

解雇手続きに妥当性があることも、要件として挙げられます。解雇の対象者だけでなく、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者に対して、納得を得られるような説明をしなければなりません。

なお、近年は従来の日本型雇用の慣行が崩れつつあるため、4つの「要件」ではなく、あくまで4つの「要素」と捉えるべきとの考えもあります。要素として捉える場合、4つを厳密に確認するのではなく、総合的に考慮する点がポイントです。

経営悪化のサインを見逃さない

経営悪化とは、会社の業績が振るわず経営状態が悪くなることを指します。売上減少や売上原価・販管費の増加、在庫過多などが経営悪化のサインです。

経営が悪化することで、倒産に至る可能性もあります。ただし、経営悪化だけを理由にした従業員の解雇は、簡単にできない点に注意が必要です。

経営悪化のサインを見逃さずに、早めの改善を心がけましょう。


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