• 作成日 : 2024年11月21日

事業承継を弁護士に依頼するメリットは?サポート内容や選び方を解説

弁護士は法律の専門家です。事業承継はさまざまな法律が関わり、法的な問題が発生するリスクもあるため、事業承継のサポートを弁護士に依頼するというのも一つの手段です。

この記事では事業承継を弁護士に相談するメリットやサポートの内容、的確に事業承継を支援してくれる弁護士・法律事務所の選び方についてご紹介します。

事業承継において弁護士に依頼できること

弁護士は法律の専門知識を持ち、依頼者の代理人として訴訟や法的手続き、交渉などの代行を独占業務として行うことが認められています。弁護士が事業承継において担う主な役割は以下のとおりです。

基本的なサポート内容

事業承継の方法(親族内承継、親族外承継、M&Aなど)に関するアドバイス、事業を現経営者から後継者に譲渡するまでの事業承継計画の策定、具体的に行うべき事柄や手続きのサポートなどを対応します。弁護士は会社法などに基づき、法的リスクを防ぐサポートが可能です。

金融機関に対する役割

事業承継で資金調達を行う際、後継者に個人保証を求められます。また、後継者が現経営者から債務を引き継ぐことがありますが、個人保証も引き継ぐのが一般的です。

弁護士に相談することで、個人保証を外した債務引き継ぎなど、後継者のリスクの軽減や、有利な資金調達ができるよう、金融機関と交渉することができます。

取引先に対する役割

後継者は、経営者が交代するタイミングで取引先との契約の内容について把握することが必要です。締結済みの契約書が見当たらない場合、現経営者と取引先の関係が親密で、契約書が交わされていないケースも発生します。

このような場合、弁護士に依頼することで契約書のリーガルチェックを受け、法的リスクを排除したうえで取引先と契約を締結できます。また、取引が有利に働くよう、取引先との交渉の同席や代行をしてくれるのも弁護士に依頼する利点といえるでしょう。

事業承継を弁護士に依頼するメリット

法律の専門家である弁護士に事業承継のサポートを依頼することで、以下のようなメリットが得られます。

円滑な事業承継には法的知識が不可欠

事業承継には会社法や税法、経営承継円滑化法、民法など、さまざまな法律が関わってきて、これらの法律にのっとって準備・手続きを進めていかなければなりません。また、事業承継のプロセスでは、親族や従業員、取引先などとの間にトラブルが発生するリスクも少なからずあります。

弁護士に事業承継のサポートを依頼することで、法律にのっとった事業承継を進めることができるようになり、トラブルのリスクを軽減することも可能です。また、万が一問題が発生した場合でも、新たに弁護士に依頼するよりもスムーズに解決できる可能性が見込まれます。

事業承継プランを策定してもらえる

事業承継は、多くの経営者や後継者にとって初めての経験となり、「何を、どのように、いつまでに」進めていいのか戸惑うこともあるでしょう。特に、財産の分与や相続、株式の移転は適切なタイミングで行わなければなりません。

事業承継のサポートが豊富な弁護士であれば、経営者や後継者、会社の事情に合わせて、スムーズにかつ有利に事業承継が進められるプランを提案します。

相続トラブルを防げる

特に事業承継を行ううえで、親族間のトラブルが発生する可能性があります。財産の取り分を巡り親族間でもめる、いわゆる「相続トラブル」が発生するリスクが考えられるでしょう。また、株主が複数人いて株式の経営権が分散している場合、承継後の経営に支障をきたす懸念があります。

こうしたトラブルも見越した法的な対策を考えたうえで、事業承継の準備をサポートしてくれるのも弁護士の強みです。

事業承継を成功させる弁護士選びのポイント

弁護士に事業承継について相談すればアドバイスをくれる可能性もありますが、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。相談内容に対して適切な回答が得られなかったり、対応が不十分だったりするケースもあります。ここでは、事業承継を成功させるための弁護士の選び方について解説していきましょう。

事業承継の実績が豊富

弁護士には、それぞれ得意分野や専門分野があり、例えば、刑事事件や民事事件、相続、離婚などが挙げられます。

事業承継のサポートを依頼する際は、会社法や民法などの関連法に詳しく、事業承継の実績が豊富な弁護士を選びましょう。ホームページには、事業承継のサポートに特化していることをアピールしている法律事務所もあります。また、ホームページでは、サービス内容と一緒に実績も確認しましょう。

自社業界に精通している

事業承継をサポートする際、その企業の状況や業界特有の事情を知っておく必要があります。業界によって進め方やとるべき手続きも変わってくるからです。

自社の状況を把握している顧問弁護士が事業承継のサポートも得意としているなら、そのまま依頼しても問題ありません。新規で弁護士を探して依頼する場合は、自社と同じ、あるいは近しい業種の企業をサポートした実績についてもチェックしましょう。

他分野の専門家と連携がとれている

事業承継はさまざまな知識やスキルが求められます。例えば、贈与税や相続税の申告手続きや節税であれば税理士、補助金や助成金の申請や遺言書の作成であれば司法書士、経営改善であれば経営コンサルタントなど、その分野の専門家に委ねるほうがよいという場合があります。

もちろん、自社で別々の専門家に依頼することも可能ですが、相談先を一本化することで、手間も軽減できるだけでなく、適切なサポートが受けやすくなるでしょう。弁護士が他の士業や専門家とのネットワークや連携状況なども確認することをおすすめします。

事業承継を弁護士に依頼した場合の費用相場

弁護士に事業承継のサポートを依頼した場合、「相談料」「着手金」「報酬金(成功報酬)」「実費」などの費用が発生します。

相談料とは、相談をする際にかかる費用のことであり、30分あたり5,000~10,000円程度必要です。なお、初回は無料としている、あるいは顧問先は無料で相談を受け付けている法律事務所もあります。

着手金とは弁護士に依頼した際に支払う費用であり、案件が成功・不成功に関係なく費用が必要です。なお、金額は経済的利益の2~8%程度で、30万円以上です。

報酬金(成功報酬)とは案件が成功した際に支払う料金で、事業承継が完了後に支払います。事業承継による経済的利益に応じて決まり、その法律事務所が定めた報酬額+経済的利益の4~16%程度が相場で、20万円以上です。

実費とは弁護士が業務を遂行するうえで必要となった経費のことです。裁判所に出廷する際や出張する際にかかった交通費や宿泊費、通信費、日当などがあります。

費用はその会社の規模や事業承継の方法、依頼内容によって大きく異なりますので、見積書の依頼をおすすめします。

事業承継は弁護士に相談するのも一つの手段

弁護士は法律の専門家であり、訴訟などの法的手続きの代行や交渉などを行ってくれます。事業承継にあたって法的リスクが心配な場合や、親族間のトラブル、金融機関との交渉、取引先との契約更新が必要な場合など、弁護士のサポートは有効です。

初回相談を無料としている法律事務所あるいは法テラスを利用すれば、気軽に相談できます。今回ご紹介した内容を参考に、信頼できる相談先を選びましょう。


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