- 更新日 : 2022年10月11日
許認可とは?許可・認可との違いや許認可が必要な業種を解説
脱サラをして自分で事業を始めたいと思っている方は少なくありません。中には、個人事業ではなく、会社など法人の立ち上げを考えている方もいるのではないでしょうか。思い立ってすぐに起業できるビジネスもあれば、行政官庁の許認可が必要なものもあります。そこで今回は、会社設立の手続きを始める前に許認可が必要な業種を見ていきましょう。
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目次
許認可とは
起業する場合、法律で特に規制がないビジネスであれば、自由に始めることができます。しかし、一定の業種については行政機関の許認可を受けることが前提条件となっています。市民と行政機関との関係をルール化する法律を総称して行政法と言いますが、学問分野としては難解な法律として知られています。
その1つである行政手続法では、行政手続きの申請に対する処分について定めています(法第2条)。ここで言う処分とは、「行政庁の処分その他公権力の行使」と定義されており、申請に対して行政機関が諾否の応答をする「行政行為(行政処分)」と言われています。
行政行為は、食品衛生法であれば飲食店の営業許可など、個々の法律によって具体的な種類は異なります。許可、認可、免許などの許認可は、行政行為のうち法律的行政行為に該当します。
許認可が必要な事業は、その法律で定める審査基準の要件を満たしていなければ、申請は認められません。許認可を受けずに行った場合、刑事罰の対象になるものもあります。
許認可の5つの種類と違い
法律的行政行為である許認可には、さまざまな種類があります。ここでは届出、許可、認可、登録、免許について取り上げます。
届出
実は、届出は行政行為ではありません。許可、認可など行政行為を求めるための行為を申請と言いますが、届出は応答を求めるものではなく、市民が決められた事項を行政機関に通知する行為です。
基本的に、単に所定の届出の通知をすれば手続きとしては完結します。ビジネスでは、開業届出書や設立届出書などの届出をすれば事業をスタートできます。
許可
本来、市民が持っている自由を、公共の安全や秩序の維持など公益上の理由から法令によって一旦禁止し、個別の申請によって禁止を解除する行政行為です。
飲食店や質屋の営業許可などが該当します。
認可
市民間で締結された契約を行政機関が「そうしていいよ」と補充することで法律上の効力を与える行政行為です。
警備業、自動車運転代行業などが該当します。
登録
申請によって行政機関が一定の事項を公簿に記載する行政行為です。登録によって公の証拠力のほか、法律効果が生じます。
旅行業やペットショップなどは登録制となっています。
免許
免許は、行政法では前述の許可の1つに該当します。自動車の免許なども本来、市民には運転する自由はあるのですが、公共の安全などの理由から一旦禁止とし、一定の要件を満たした場合に禁止を解除するものです。
許認可が必要な業態と窓口一覧
主な許認可事業に以下のようなものがあります。
手続区分 | 業態 | 申請先 |
---|---|---|
登録 | 旅行業 | 都道府県または国土交通省 |
登録 | 貸金業 | 都道府県または財務局 |
登録 | 倉庫業 | 運輸局 |
許可 | 飲食店 | 保健所 |
許可 | 建設業 | 都道府県 |
許可 | 運送業 | 運輸局 |
許可 | 介護事業 | 都道府県または市町村 |
認可 | 警備業 | 警察署 |
認可 | 自動車運転代行業 | 警察署 |
免許 | 不動産業 | 都道府県 |
免許 | 酒類の販売等 | 税務署 |
飲食業
飲食業は許可制であり、事業をスタートするには保健所の営業許可が必要となります。
建設業
建設業は、軽微な建設工事だけを請け負う場合を除いて、土木工事、建築工事、左官工事などの業種ごとに建設業許可を受ける必要があります。
同一都道府県内だけで営業する場合は都道府県知事許可、複数の都道府県で事業を行う場合は国土交通大臣の許可になります。
宿泊業
いわゆる旅館業ですが、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業及び下宿営業の4種類があります。
事業を行うには、都道府県知事の許可を受ける必要があります。
不動産業
不動産業とは、自社の宅地・建物の売買、交換のほか、他人の宅地・建物の売買、交換、賃貸の代理・媒介を行う宅地建物取引業のことであり、免許制となっています。
同一都道府県内だけで営業する場合は都道府県知事の免許、複数の都道府県で事業を行う場合は国土交通大臣の免許が必要です。
人材紹介業
人材紹介業は、有料・無料を問わず、許可制となっています。
法律的には職業紹介事業と呼ばれており、有料職業紹介事業を行おうとする場合は、都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に申請しなければなりません。
美容業
美容室を開業するには、厚生労働大臣の指定を受けた美容師養成施設を卒業し、国家試験に合格して美容師免許を取得しなければなりません。
また、美容師である経営者本人以外に美容師を雇用する場合は、管理美容師資格も必要となります。
許認可の申請方法
許認可の申請は、それぞれの事業によって具体的な手続きが異なります。個人事業でスタートできるものもあれば、法人として設立登記が必要となるものもあります。法人の場合、一般的に、設立登記の完了後に行政庁での許認可申請を行います
なお、定款に記載した事業目的は、そのまま履歴事項全部証明書に記載されます。大まかな流れとしては、申請すると許認可庁の審査が行われ、許可・不許可が決まります。
例えば、これを警備業で見ていくと、警備業の許認可申請先は警察署で、公安委員会の認定を得る必要があります。
法人申請の場合、警備員指導教育責任者や役員全員のものが必要な書類など多々ありますが、「定款」「履歴事項全部証明書」などの書類が必要です。ここで警備に関する事業目的が入っていないと、たとえ他の要件を満たしていたとしても、認定を得ることはできません。
例えば「警備業法で定義される警備業」などの文言が定款の事業目的に入っていることが求められます。その他の事項については、警視庁(東京都)のWebサイトをご参照ください。
詳しい手続きや必要な書類に関しては、あらかじめ申請先のWebサイトや窓口で確認しておきましょう。
以下、旅行業、飲食業の場合の手続きについて見ていきましょう。
国務大臣または都道府県知事への申請手順
旅行業は、すべての国内海外の旅行業務を取り扱うことができる第1種旅行業のほか、一部取扱業務が限定されている第2種旅行業、第3種旅行業、地域限定旅行業、そして旅行業者代理業の5つの種別があります。
第1種旅行業は、観光庁長官に登録申請が必要です。それ以外の旅行業は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録申請することになります。
手続きの流れは、種別によって若干の相違はありますが、所定の登録行政庁に申請書類を提出します。その際、審査があり、ヒアリングが行われます。審査に通れば、登録通知書を受領し、申請手数料(第1種は登録免許税)を納付することになります。
第2種、第3種、地域限定旅行業であれば、営業保証金の供託などを経て、登録票・旅行業約款・料金表などの整備後、営業スタートという流れになります。
保健所への申請手順
飲食店の営業許可申請書類は、出店地を管轄する保健所に提出します。申請には、営業許可申請書だけでなく、営業設備の大要・配置図が必要となります。これは、調理場・製造場の詳細と客席の概要を表記した書類です。
また、店舗ごとに食品衛生責任者を選ばなくてはなりません。調理師などの食品衛生に関する有資格者、あるいは食品衛生責任者養成講習会を受講した者である必要があります。営業許可申請では、これらを証明する書類を提示します。
書類審査が通れば、保健所の担当者が店舗に出向いて施設検査を実施することになります。保健所によって細々した検査基準がありますが、これに通れば営業許可証が交付されます。
行政書士等の専門家も活用して賢く準備しよう
脱サラ等で起業する場合、事業によっては行政官庁の許認可が必要なケースがあります。
それぞれ根拠法令があり、許認可を受けるには所定の手続きを経なければなりません。
素人にはなかなか煩雑で難しい手続きもあるため、スムーズに許認可を得てビジネスを開始するには、行政書士等の専門家の手を借りることが賢明でしょう。
よくある質問
許認可とは何でしょうか?
申請に対して行政機関が諾否の応答をする行政行為(行政処分)です。詳しくはこちらをご覧ください。
許認可の種類はどんなものがありますか?
許可、認可、免許、登録などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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