• 作成日 : 2022年11月20日

個人事業主・フリーランスの手取りはいくら?税金や保険料もシミュレーション!

個人事業主・フリーランスの手取りはいくら?税金や保険料もシミュレーション!

これからフリーランスとして独立を考えている人にとって、年収に対して手取りがどれくらいになるのかは大きな関心ごとの一つではないでしょうか。同じ年収500万円でも、会社員と個人事業主では経費の考え方や税金・社会保険料の計算の仕方も違うため、手取り額が同じとは限りません。

独立後の手取りを具体的にイメージしやすいように、この記事では個人事業主の年収ごとの手取りをシミュレーションした結果をお伝えします。

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個人事業主・フリーランスの手取り計算方法は?

会社員であれば税金や社会保険料が差し引かれて振り込まれた給与がそのまま手取り額となりますが、独立してフリーランスになるとそうはいきません。

個人事業主の場合、取引先やお客様からいただくお金が「売上」になります。そこから事業にかかる必要経費を差し引いた金額が個人事業主の「所得」です。さらに自分で確定申告をして所得税や住民税、社会保険料等を納める必要があり、それらを年収から差し引いた金額が手取り額となります。

計算式は以下の通りです。

個人事業主の手取り = 売上 - 経費 - 税金 - 社会保険料

 

個人事業主・フリーランスの手取りはいくら?

それでは年収ごとの手取りを、具体的にシミュレーションしていきましょう。

経費率は業種によって差が大きいため、ここでは「年収=所得(売上-経費)」とします。この記事におけるシミュレーションはあくまで概算ですので、世帯や個人の事情によって変わります。あくまで参考程度にご覧いただけると幸いです。

※シミュレーションの条件についての詳細はこの章の最後に記載しています。

年収300万円の場合のシミュレーション

青色申告の場合
(65万円控除あり)
白色申告の場合
(控除なし)
所得税
-7万1,700円
-10万4,800円
住民税
-15万3,400円
-21万2,300円
個人事業税
-5,000円
-5,000円
国民年金保険料
-19万9,080円
-19万9,080円
国民健康保険
-23万6,400円
-29万7,800円
手取り
233万4,420円
218万1,020円

年収300万円の手取り額について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

年収400万円の場合のシミュレーション

青色申告の場合
(65万円控除あり)
白色申告の場合
(控除なし)
所得税
-13万6,500円
-19万5,300円
住民税
-24万4,000円
-30万2,800円
個人事業税
-5万5,000円
-5万5,000円
国民年金保険料
-19万9,080円
-19万9,080円
国民健康保険料
-33万800円
-39万2,200円
手取り
303万4,620円
285万5,620円

年収400万円の手取り額について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

年収500万円の場合のシミュレーション

青色申告の場合
(65万円控除あり)
白色申告の場合
(控除なし)
所得税
-22万7,000円
-33万9,300円
住民税
-33万4,500円
-39万3,400円
個人事業税
-10万5,000円
-10万5,000円
国民年金保険料
-19万9,080円
-19万9,080円
国民健康保険料
-42万5,200円
-48万6,600円
手取り
370万9,220円
347万6,620円

年収600万円の場合のシミュレーション

青色申告の場合
(65万円控除あり)
白色申告の場合
(控除なし)
所得税
-40万2,700円
-52万300円
住民税
-42万5,100円
-48万3,900円
個人事業税
-15万5,000円
-15万5,000円
国民年金保険料
-19万9,080円
-19万9,080円
国民健康保険料
-51万9,600円
-58万1,000円
手取り
429万8,520円
406万720円

年収700万円の場合のシミュレーション

青色申告の場合
(65万円控除あり)
白色申告の場合
(控除なし)
所得税
-58万3,700円
-70万1,500円
住民税
-51万5,600円
-57万4,500円
個人事業税
-20万5,000円
-20万5,000円
国民年金保険料
-19万9,080円
-19万9,080円
国民健康保険料
-61万4,000円
-67万5,400円
手取り
488万2,620円
464万4,520円

年収800万円の場合のシミュレーション

青色申告の場合
(65万円控除あり)
白色申告の場合
(控除なし)
所得税
-76万4,900円
-88万2,700円
住民税
-60万6,200円
-66万5,100円
個人事業税
-25万5,000円
-25万5,000円
国民年金保険料
-19万9,080円
-19万9,080円
国民健康保険料
-70万8,400円
-76万9,800円
手取り
546万6,420円
522万8,320円

年収900万円の場合のシミュレーション

青色申告の場合
(65万円控除あり)
白色申告の場合
(控除なし)
所得税
-94万6,900円
-108万2,100円
住民税
-69万6,200円
-75万7,000円
個人事業税
-30万5,000円
-30万5,000円
国民年金保険料
-19万9,080円
-19万9,080円
国民健康保険料
-80万2,800円
-85万円
手取り
600万20円
586万820円

年収1,000万円以上の場合のシミュレーション

青色申告の場合
(65万円控除あり)
白色申告の場合
(控除なし)
所得税
-116万2,600円
-131万2,100円
住民税
-79万2,000円
-85万7,000円
個人事業税
-35万5,000円
-35万5,000円
国民年金保険料
-19万9,080円
-19万9,080円
国民健康保険料
-85万円
-85万円
手取り
664万320円
642万6,820円

なお、このシミュレーションは2022年10月時点の制度をもとに計算しています。所得税や住民税は世帯の状況によって所得控除額が変わるため、東京都世田谷区在住の20~39歳の独身(所得控除は基礎控除48万円のみ)に条件を統一しています。

また、住民税や個人事業税は前年度の所得で計算されますので、前年度と同水準の所得であることが前提です。個人事業税の税率は5%と仮定しています。消費税は業種によって経費率の差が大きいため、このシミュレーションには反映していません。課税事業者は別途、消費税を申告・納付する必要があります。

個人事業主・フリーランスが支払う税金の種類は?

個人事業主が支払う主な税金について確認していきましょう。

所得税

自分で所得を申告して納める「国税」です。シミュレーションでは独身を仮定していましたが、個別の条件(扶養家族がいる、生命保険に加入している、住宅ローン控除を受けている)により所得控除ができるため、状況によって税負担は軽減されます。

日本では「超過累進課税制度」により、所得から所得控除を引いた金額に応じて段階的に税率(5%~45%)が高くなる仕組みになっています。

計算式は以下の通りです。

所得税額=(売上 - 経費 - 青色申告特別控除 - 所得控除) × 税率 - 税額控除

 

住民税

地域の公共サービスを維持するために、その地域に住んでいる個人が納める「地方税」です。
均等割と所得割の2つがあり、所得割は前年の所得に対して課税されます。所得税と同じく個別の条件による所得控除がありますが、税率は所得にかかわらず一律です。

均等割(年額)
所得割
市町村
3,500円
6%
都道府県
1,500円
4%
5,000円
10%

計算式は以下の通りです。

住民税額 = (前年の売上 - 前年の経費 - 青色申告特別控除 - 所得控除) × 10% + 5000円

 

個人事業税

事業を営む個人が都道府県に納める「地方税」です。個人事業税に青色申告控除や所得控除は適用できませんが、かわりに事業主控除である290万円を所得から差し引くことができます。

一部非課税の業種がありますが、ほとんどの業種が課税対象になっており、税率はおおむね5%です(一部3%~4%の業種もあります)。

計算式は以下の通りです。

個人事業税 = (前年の売上 - 前年の経費 - 290万円) × 税率

 

消費税

商品やサービスの取引に課税される「国税」です。消費税を支払うのは消費者側ですが、納めるのは事業者側なので「間接税」といわれます。生産・流通の過程で消費税が二重三重に課せられることがないように、事業者が仕入れの際にすでに支払った消費税は控除されます。

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者は免除されていますが、売上1,000万円超の課税事業者は必ず消費税を申告・納付しなくてはなりません。

計算方法は以下の通りです。

消費税の納付額 = 売上にかかる消費税額 - 仕入れにかかる消費税額

 

個人事業主・フリーランスが支払う社会保険料は?

独立すると、それまで会社が半分負担してくれていた社会保険料をすべて自分で負担しなくてはなりません。また雇用保険や労災保険は雇用されている会社員が対象のため、個人事業主は原則として加入できなくなります。

国民年金保険料

会社員は厚生年金(第2号被保険者)に加入していますが、独立すると第1号被保険者となり国民年金保険料を自分で納めなくてはならなくなります。

厚生年金の保険料は収入に応じて段階的に決められていますが、会社が半分負担してくれます。国民年金の第1号被保険者は、収入にかかわらず2022年度においては一律で月額1万6,590円です。

また、会社員が扶養する妻は保険料を負担しなくとも第3号被保険者として国民年金に加入できますが、個人事業主が扶養する妻は第1号被保険者として同じ保険料を負担しなくてはなりません。

国民健康保険料

会社員は、会社と保険料の負担を折半して「健康保険(健康保険組合・協会けんぽ)」に加入できますが、個人事業主は原則として「国民健康保険」に加入しなくてはなりません。

保険料は市町村ごとに決められており、今回のシミュレーションでは東京世田谷区の保険料で計算しましたが、住んでいる地域によって負担額は若干増減します。
また、会社員の扶養家族は保険料の負担をすることなく「健康保険」に加入できますが、「国民健康保険」は人数の分だけ負担が大きくなります。

介護保険料

40~64歳の国民は介護保険の第2号被保険者として介護保険料を納めなくてはりません。保険料は市町村によって異なりますが、加入している健康保険や国民健康保険と併せて徴収される仕組みになっています。

個人事業主・フリーランスが手取りを増やす方法は?

税金や社会保険料を抑えて、リスクなく手取りを増やせる方法を紹介します。

青色申告で確定申告をする

所得税の確定申告の際に青色申告をすると、所得(売上-経費)から最大で65万円の特別控除を受けることが可能です。この65万円の控除は、所得税だけでなく住民税や社会保険料にも影響し負担を下げることができるため、所得によりますが手取りを20万円程度アップできます。

今回のシミュレーションでも青色申告・白色申告の2パターンを計算しているので、その差が大きいことを実感できたのではないでしょうか。

経費を正しく計上する

当たり前のことのようですが、経費を漏れなく計上することも大切なことです。経費の計上漏れがあると所得が実情よりも大きくなってしまい、税金や社会保険料の負担が増します。

もちろん事業に関係のない出費を計上してはいけませんが、細かい経費も一つ一つ丁寧に計上していけば、まさに「ちりも積もれば山」となるでしょう。

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よくある質問

個人事業主・フリーランスの手取り計算方法は?

「個人事業主の手取り = 売上 - 経費 - 税金 - 社会保険料」で計算します。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業主・フリーランスが手取りを増やす方法は?

経費の計上漏れを極力減らし、青色申告で確定申告をしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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