• 作成日 : 2024年8月29日

【2024年】新規事業の助成金・補助金の一覧!個人事業主向けも解説

コロナ禍において、さまざまな助成金により事業を継続できたという方は多いでしょう。2024年現在コロナ関係の助成金はほぼ終了しましたが、中小企業や個人事業主を対象とする助成金・補助金は他にも多数あります。今回は新規事業を立ち上げる際に利用できるものを含め、助成金・補助金の種類や申請時の注意点などを紹介します。

新規事業の助成金・補助金とは?

個人・法人のどちらであっても、新規事業や事業展開を進めるための資金は多いに越したことはありません。十分な資金を得るためには融資を受けるのが一般的ですが、融資はあくまでも借金、債務であり必ず返済しなければなりません。一方、助成金・補助金は原則返済不要なので、事業の立ち上げ、継続に受給したお金を計画的に組み込むことができます。

ところでここまで助成金・補助金と一括りにしてきましたが、実はこの2つにはいろいろな違いがあるのです。

助成金とは

助成金は、雇用に関わる環境を改善、安定させることを目的として、就業や労働において社会が有する課題解決に積極的に取り組む事業者に対し、国や地方自治体がそのための資金を給付する制度です。

事業のうち「労働環境」を対象としているため、管轄は厚生労働省、助成金の財源は雇用保険料です。

補助金とは

補助金は、事業の促進をサポートすることで、地域振興や生産性の向上につなげ、社会の活性化を図る目的で、やはり国や地方自治体が事業者に資金を給付する制度です。

事業のチャレンジ精神を、日本経済を支えるものとして応援するため、主に経済産業省が主体となり、税金を財源として補助を行います。

助成金・補助金は民間企業や団体が行うものもあります。個人の研究や社会貢献活動に対してのものが目立ちますが、事業資金の提供を行う団体もあるので、自身の業種を扱う助成金などがないかチェックしておきましょう。

助成金と補助金との違い

助成金と補助金の違いを一覧にまとめてみました。

もっとも地方自治体が独自に行う支援事業には、「助成」と「補助」の線引きが曖昧なものがあるため、以下の一覧に当てはまらない場合があります。「国の事業」としての違いとして参考にしてください。

助成金補助金
目的労働環境の課題実現経済の活性化
管轄厚生労働省経済産業省
受給条件要件の充足審査や面談により採択
受給額~数百万円~数億円
経緯に対する率の有無原則一定額補助率が決められている
公募期間(締め切り)ありない場合が多い
申請方法雇用関連の実務計画書提出事業に関する書類提出

新規事業に助成金・補助金を活用すべき理由

新規事業の立ち上げの際に助成金や補助金の活用を積極的に検討すべき理由は、以下のようなメリットがあるからです。

補助金・助成金は返済の必要がない

先ほども触れましたが、助成金・補助金は事業者に支給されるお金なので返済不要です。ケースによっては億単位の資金を調達できることもあり、最も大きいメリットといえます。

自己資金だけでは目指す規模の事業ができない、しかし金融機関からの融資は通ったとしても原則「事業用ローン」なので返済期間が最長7年間と短期間で不安だ、という事業者の悩みを解決してくれるありがたい制度なのです。

戦略的な事業計画が立案できる

新規事業を成功させるには、まず事業の目的や見通しなどの計画をしっかり立てることが大前提です。

助成金・補助金は事業者にとって、その事業計画の指針を与えてくれるものになり得るのです。

補助金には審査があり、助成金にもその事業が受給の要件を満たしていることを示す必要があるため、第三者を納得させられるだけの事業計画書を作ることになりますが、その過程で改めて自身の事業の戦略を冷静に見つめ直すよい機会が得られます。

特に補助金に関しては種類が多く、目的も地域貢献から海外進出への支援までさまざまなので、どの補助金にするか検討することは、自ずと自身の事業の方向性や社会への貢献などについて考えるきっかけになるでしょう。

事業の拡大につながる

助成金・補助金を受けることで資金が増えて、設備や人員に費用をかけられるようになった結果、事業の拡大につながるメリットは当然あります。

しかしそれ以外にも地方自治体が行う補助金を得る過程で、その地域とのつながりが密接になったり、同業異業問わずネットワークが広がったりした結果、新たな顧客や方向性を見つけられる可能性があります。

また公的助成金・補助金を得られたことは一つのステータスとして、当該事業の社会的信頼度を高めてくれるのにも役立つでしょう。

新規事業に活用できる助成金・補助金

2024年7月現在の主な公的な助成金・補助金制度を以下にご紹介します。

キャリアアップ助成金

派遣やパートなどの非正規雇用労働者を「キャリアアップ」させ、正社員雇用制度を積極的に取り入れたり、非正規でも利用できる福利厚生を増やしたりといった仕組みを実施した事業主に対する助成金です。

障がい者の正社員化、賃金改定などの処遇改善など、いくつかのコースがあり、労働者1人につき支給される金額はコースにより変わります。

トライアル雇用助成金

新たな雇用時に職業経験の不足などでなかなか就職できない求職者を、原則3か月間試行(トライアル)で雇い入れる事業主を助成します。

通常の労働者と同じ所定労働時間であること、ハローワークなどの紹介で雇用することが主な要件で、トライアル期間中1人につき4万円(母子・父子家庭は5万円)が支給されます。

雇用調整助成金

こちらは事業拡大ではなく、むしろ経済上の理由で事業の縮小を余儀なくされた事業主に対する助成金です。売上の減少を前提として、事業主が労働者に休業や出向などを一時的に実施し、雇用関係の維持に努めた場合に支給されます。

休業であれば、中小企業だと休業手当負担額の3分の2の金額が、最大3年間で150日分受給できます。

人材開発支援助成金

労働者に関する助成金ですが、上記助成金のように雇用を守る類のものではなく、労働者の人材育成への取り組みに対して事業主に支給する制度です。

事業主が行う、研修等職業訓練の実施、資格や技能取得の手助け、事業展開のために新たな分野で活躍できる人材育成などいくつかのコースがあり、支給額はコースにより変わります。

以上4つの助成金は、労働者を雇っている個人事業主も対象となります。

IT導入補助金

中小企業および個人事業主に対し、労働生産性の向上を目的として支給する補助金です。

対象は事業の課題を解決するITツールの導入、インボイス制度対応のさまざまなソフトまたはハードウエアの導入、サイバーセキュリティ対策への取り組みなどを行う事業主です。

なお、ITツールは当該補助金サイトに公開されている者に限られ、補助金申請は補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで行うことが必要です。補助率や補助額はどの型を選ぶかで変わります。

ものづくり補助金

事業者が新たな製品・サービスの開発や生産性向上のために導入する設備などの費用を補助する制度です。2024年度はこれまでの枠に加え、新たに「製品・サービス高付加価値化枠」など3枠が追加されました。

補助率は2分の1~3分の2で、上限額は最大8,000万円と大きいうえに、補助事業終了後、大幅な賃上げに取り組む事業者にはさらに最大2,000万円が上乗せされます。中小企業や個人事業者が対象です。

小規模事業者持続化補助金

2014年に始まった個人事業主を含む小規模事業者を対象とした補助金で、働き方改革やインボイス制度など、日々変更されていく事業者を取り巻く環境・制度に対応するための取り組みや販路開拓にかかる経費を補助します。

通常枠と特別枠の2種類があり、補助金額は最大で、それぞれ50万円、200万円です。

店内の改装やリーフレット・フライヤーの作成なども対象になり得ます。

事業再構築補助金

コロナ禍で影響を受けた事業者がポストコロナを迎え、新分野の展開や事業・業種の再生や転換などの「再構築」を行う際に使える補助金です。

複数の枠があり、そのうち「サプライチェーン強靱化枠」での補助上限額は最大5億円と非常に大きくなっています。

新型コロナウイルスの​影響で​売​上が​減少していれば、中小企業、中堅企業だけでなく個人事業主も申請できます。

事業承継・引継ぎ補助金

M&Aを含む事業承継を行う際に必要な費用を補助する制度です。経営者の高齢化や後継者不足の問題を、事業承継の確実な実現をサポートすることで解決を図り、日本経済の安定化を目指すための補助金です。

M&Aによる承継枠の補助金額が最も大きく、上乗せを含め最大800万円となっています。

対象となるのは中小企業、個人事業主です。

地域中小企業応援ファンド

中小企業基盤整備機構(中小機構)、都道府県および地域金融機関などが一体となって造成した基金の運用益を、スタートアップや販路開拓を図る事業者に助成する制度です。

その地の農林水産物や伝統技術などを活用し、地域の活性化につながる商品開発や販路の開拓を行う事業を応援します。

都道府県単位で行う基金なので、該当ファンドがない地域もあり得ることに注意が必要です。

中小企業、個人事業主が対象です。

新規事業の助成金・補助金を申請する際の注意点

メリットの多い助成金・補助金ですが、申請する前にいくつか注意点があります。

受給は「後払い」

助成金・補助金の受け取りが決定しても、すぐに支給があるわけではありません。助成金であれば対象となる事業やプランを実施した後、補助金は対象となる経費を支出した後の受給となります。

つまり実際の実施費用や経費は、いったん自分で支払わなければならないため、費用の捻出方法を考えておく必要があります。

受給されない、受給額が減らされる可能性

まず、補助金には審査があるため、採択されなければそもそも受け取れません。

補助金額は大きいですが、その分申請者も多く、採択のハードルは高いといえます。

また、採択されても当該補助金の枠に応じた事業を実施したことを示す報告書を期日中に提出しなければ受給できず、報告書の内容によっては、当初の支給予定額より減額される可能性があることを知っておきましょう。

助成金は原則要件さえ満たせば誰でも受給可能です。

ただし予算額は決められているため、当年度の予算額に達した場合、受給されない場合があることに注意が必要です。

支出の時期に注意

補助金は、事業者の策定した事業計画などにより、一定の事業期間が定められ、当該期間に支出した経費のみが対象となります。

補助金に採択された翌日からすぐに経費として計上できるわけではありません。経費の支出は計画的に行いましょう。

助成金・補助金を活用して新規事業や事業拡大に役立てよう

助成金・補助金は返済不要で事業の資金にあてられるありがたい制度ですが、種類が多く、さらにその中でも多くの枠があるため、自身の方向性に合ったものを見極めて申請することが大切です。

補助金の中には金額が大きいものも多くありますが、採択されたとしても、補助率があること、該当する事業をまずは自費で実施した後にようやく受給できることを頭に入れたうえで、実現可能なプランを立てとよいでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事