更新日 : 2020年6月1日 創立費と開業費の範囲と償却による節税効果まとめ 起業をする場合、会社を立ちあげるためには一体いくらかかるものなのでしょうか。何も知らずに勢いだけで始めてしまったら、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。今回は、創立費と開業費と呼ばれる、開業までににかかる費用と知っておきたい節税対策について考えてみました。 目次開業するまでには「創立費」と「開業費」が必要創立費開業費資金はどのくらい必要?創立費と開業費の仕訳処理と償却についてまとめ 開業するまでには「創立費」と「開業費」が必要 開業するまでに必要になる費用には、大きく2つの種類があります。 創立費 1つは創立費です。株式会社を設立する場合、法律的に認めてもらうために登記などをする必要がありますが、その法律的に認めてもらうための作業に費やした費用が創立費にあたります。創立費には、諸々の費用が含まれますが、たとえば、以下のような費用が考えられます。 ・定款やその他必要な規則を作るための費用 ・株式申込証や目論見書などの印刷をするための費用 ・開業前に借りた創立事務所の賃貸料 ・設立事務に関わる使用人の給料 ・証券会社など金融機関の取扱手数料 ・設立登記の登録免許税 ・発起人への報酬 そのなかで、資本金とは別に、株式会社を設立するために最低限必要な費用として考えておくべきなのは、登記手数料などの約25万円でしょう。内訳は以下の4点です。 ・定款を書面で作成した場合に必要な印紙代(40,000円) ・定款の認証時に公証人に支払う手数料(50,000円) ・登記手続きに必要な定款の謄本手数料(約2,000円:250円/1ページ) ・登記手続きをするときに必要な登録免許税(最低15万円) 開業費 そしてもう1つは開業費です。これは、登記完了後から営業活動を始めるまでの期間に「特別に支出した」費用と定義されています。下記にあげるものは開業費にあたります。 ・開業のためのチラシ、広告などの制作費・広告宣伝費 ・名刺を作るための費用 なお、法人化せずに個人事業主として始める場合、創立費はかからず、開業費だけが必要になります。 個人事業主の「開業費」の扱いは? 個人事業主やフリーランスの場合、「特別に支出した費用」でなくても開業費にできるので、以下の項目も含めることができます。 ・土地、建物等の賃借料 ・電話、インターネットなどの通信費 ・事務用購入した消耗品の購入費 ・従業員の給料 ・電気・ガス・水道料などの公共料金 ・保険に関する費用 また、支出した時期に関して、開業前に支払った費用でも開業のために支出したことが説明できれば適用になります。かといって、3年前に購入した机を開業費として計上するのはいかがでしょうか。常識の範囲内か、税務署を納得させられるかどうかを基準に考えましょう。 資金はどのくらい必要? 株式会社を設立するときの資本金は1円以上ならば、いくらでも可能です。しかし、1円ではとても現実的な金額とは言えません。資本金の平均は300万円、起業資金の平均は500万円と言われています。つまり、登記費用で約25万、資本金で300万円、その他の資金で150~180万円程度用意をしておくのが一般的ということです。 また、資本金を決めるためのポイントとして、次のことを考慮しておくとよいでしょう。 まずは、初期費用として運転資金の3ヶ月分程度は用意する必要があります。また取引をするうえで、どれくらいの資金が動くのかを把握しておくことも大切です。そのためには、取引先や仕入先の企業規模を知っておくようにしましょう。 事業をスタートしたばかりのときは何かと運転資金が必要なので、自己資金だけでなく、創業融資を利用する人がほとんどです。その融資の額をあらかじめ確認しておきましょう。その他、消費税が免税となる期間を知っておかないと、納付時に資金が不足するという事態になりかねません。 小規模事業者の納税義務の免除については「個人事業主の「消費税」に関する見逃せない5つのポイント」を参考にしてください。 創立費と開業費の仕訳処理と償却について これら創立費と開業費などの繰延資産は、5年で均等償却(経費として計上)することもできますが、任意償却も認められています。また、毎年の償却額の下限が設けられていないほか、「5年経過後に未償却残高を必要経費として算入できない」とする規定も特にないため、まったく償却しない年や未償却残高を全額償却する年があってもよいとされています。 ですので、節税を考えたときに任意償却による償却を選択するのが得策となります。利益と相談しながら、償却期間や償却額を自由に設定できる、非常に有効な節税対策です。 任意での償却を選択すれば、たとえば、開業後6年間赤字続きで7年目に大きな黒字に転じたような場合、赤字の期間は償却費を計上せず、7年目に全額一括で償却するというようなことも可能です。 まとめ いかがでしたでしょうか。創立費と開業費の範囲を正しく把握し、もれなく経費計上することと、任意償却による計上タイミングと金額の調整で、会社設立後にうまく節税することが可能です。開業する際は是非参考にしてください。具体的に何が開業費になるか知りたい人は「起業を考えているなら!知っておきたい開業費の節税ポイント10選」を参考にしてください。※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。自分で会社設立の準備をはじめませんか? 「マネーフォワード 会社設立」を利用すれば、会社設立に必要な書類を無料で作成でき、会社を設立するまでのコストや時間も大幅に削減できます。 会社設立に必要な情報をフォームに沿って入力するだけで、簡単に書類作成が可能! 会社名や代表・事業目的などの情報を入力することで、会社設立に必要な書類を自動で作成できます。書類の作成、提出場所、必要な持ち物もわかるので、迷わず簡単に設立までの手続きが可能です。 会社設立後に必要な手続きもサポート 設立後は、年金事務所、税務署、都道府県税事務所に提出する書類を作成できるほか、法人銀行口座、クレジットカード、バックオフィスサービスなど、会社運営に必要なサービスがお得にご利用いただける特典もご用意しております。 「マネーフォワード 会社設立」で会社設立をもっとラクに 詳細を見てみる無料で試してみる 監修:藤森 恵子 (公認会計士 / 税理士) 税理士法人ビジネスナビゲーション (経済産業省認定 経営革新等支援機関) ビジネスナビゲーショングループでは創業期の会社向けのサービスパック“BN Smart Start-up”、同じく女性起業家向け“C’est Parti!(セ・パルティ!)”をリリース。 金融機関に精通する公認会計士が「創業融資」をしっかりサポート。 MFクラウド会計導入実績 500社以上 東日本NO.1 関連記事 会社設立時に押さえておきたい役員報酬の税務手続きのポイント 起業を考えているなら!知っておきたい開業費の節税ポイント10選 はじめての会社設立!節税できる創立費のポイント10選 消費税の免除を2年間受ける要件とは 起業後に発生する税金は何か?