- 更新日 : 2023年11月30日
個人経営のカフェを開業する方法は?成功するための秘訣も解説!
未経験でも、フランチャイズ加盟やコンサル、あるいはスクールなどをうまく活用することで個人経営のカフェや喫茶店を開業できます。個人でカフェを開業する場合、どのような資格や許可が必要で、どのような費用がかかるのでしょうか。
個人経営者が資金調達する方法や開業の流れ、カフェ開業で成功するためのポイントも合わせてご紹介します。
目次
未経験から個人経営のカフェ・喫茶店を開業する方法は?
未経験でカフェや喫茶店を個人で開業したい場合、次のような方法があります。
自分でゼロから開業する
個人経営のカフェや喫茶店の開業に経験は必須ではありません。経験ゼロの状態から、全て自分で下調べや勉強をして開業することも可能です。
ただし、カフェや喫茶店での経験がない場合、どのような器具を準備して、どのような仕入れ先から仕入れるかなど、何もかもが手探りとなってしまいます。カフェや喫茶店に実際に勤務してから開業の道筋をつけるケースも多いようです。
フランチャイズに加盟する
フランチャイズ本部(フランチャイザー)と契約を結んでフランチャイズに加盟して開業する方法もあります。
フランチャイズに加盟する場合、基本的に固定の額または売上の一定割合をロイヤリティとして毎月フランチャイズ本部に支払わなければなりません。
その代わり、フランチャイズ本部のブランドを利用できるほか、経営ノウハウやメニューの開発など、さまざまな支援を受けられます。本部からのサポートがあるため、カフェや喫茶店の経験がなくても始めやすいでしょう。
スクールに通う
クッキングスクールなどが主催するカフェスクールもあります。コーヒーの基礎知識やバリスタの技術、経営に関するカリキュラムまで組まれた内容であれば、未経験でもカフェの開業は難しくないでしょう。
講義やサポートの内容、費用、講義の時間帯(夜間に講義を実施しているかなど)などは、カフェスクールによって違います。カフェスクールで学んでから開業したい場合は、いろいろと比較した上で通うスクールを選択しましょう。
コンサルティングを受ける
不得意な部分などは、外部のコンサルなどを導入するのも方法の一つです。例えば、コンサルによるカフェメニュー開発のサポート、販売促進のサポートなどがあります。
大手コーヒー会社では、プロモーションやスタッフ教育などカフェ開業や経営のサポートを行っているところもありますので活用してみるのもよいでしょう。必要なサポートを外部から受けることで、未経験でも個人経営の独自性を残しつつ、経営力を補えます。
個人経営のカフェを開業するメリットは?
個人経営のカフェを開業するメリットは、自由度が高く、ほかの飲食店と比べて開業しやすいことにあります。
どのようなメニューを提供するかなどにもよりますが、カフェは小さなスペースでもスタートできます。居酒屋やレストランなどと比べると一般的に提供するメニューが少なく、ほかの飲食業のように大きな冷蔵庫や器具を用意しなくても始めやすいためです。
そのため、土地を買って建物を建てて営業するだけでなく、小さめの居ぬき物件も利用しやすいでしょう。形態としては、カウンター式で席数を少なくしてテイクアウトをメインにするといった方法もありますし、キッチンカーで移動式のカフェを経営する方法もあります。
このように、さまざまな規模、さまざまな形態で開業しやすいのがカフェ経営のメリットです。資金力に応じて自由に模索できるのは大きな利点です。
個人経営のカフェに必要な免許や資格は?
個人経営のカフェや喫茶店を開業するために必須なのが、食品衛生責任者の資格と飲食店営業許可です。そのほか、店舗の収容人数が30人以上になる場合は防火管理者の資格がいるなど、必要に応じて資格を取得しておきましょう。
食品衛生責任者
食品衛生法により、食品営業を行う場合は食品衛生責任者の設置義務があります。飲食物であるコーヒーや軽食などを提供するカフェも食品営業者として設置義務を満たさなければなりません。
食品衛生責任者になれるのは食品衛生責任者の資格を有している人です。調理師や製菓衛生士など一部の資格を取得している人は講習が免除されますが、通常は6時間ほどの養成講習会を受講して資格を取得します。カフェを1人で開業する場合は、経営者自身が食品衛生責任者の資格を取得しておかなくてはなりません。
飲食店営業許可申請
食品を扱ったり製造したりするような業種には営業許可、または営業届出が義務付けられています。カフェや喫茶店は、営業許可が必要な業種です。飲食店営業の許可を申請して、管轄の保健所から営業許可を受ける必要があります。
コップ式の自動販売機を設置する場合などは、飲食店営業許可だけでなく、調理の機能を有する自動販売機の営業許可も必要です。
なお、営業許可を得るには営業許可ごとに定められた施設の要件などを満たす必要がありますので、事前に要件を確認するほか、保健所にも相談しておきましょう。
個人経営のカフェを開業する方法・流れは?
状況によって多少前後することもありますが、個人経営のカフェの開業は、基本的には次のような流れで進めていきます。
1.コンセプトを決める
コンセプトとは、カフェ経営全体の軸となるものです。コンセプトは、この後に決めていく、カフェの内装やデザイン、メニューなどにも大きく関わってきますので、最初にしっかりと固めておきましょう。
コンセプトを定めることは、競合店との差別化にもつながります。カフェや喫茶店は全国の至るところにありますし、大手チェーン店などもあるため、成功するためには差別化は必須です。
コンセプトが定まらないまま開業すると、集客がうまくいかず失敗しやすくなってしまいます。どのような人に、どういったサービスを提供したいのかといったことを具体的に考えてみましょう。
5W2Hで描くコンセプトシートの作成もおすすめです。5W(いつ、どこで、何を、なぜ、誰に)、2H(いくらで、どのように)で考えると、コンセプトを具体的に定めやすくなります。
2.資金調達をする
店舗を建てたり、内装工事を依頼したり、開業までに必要な器具や備品を準備したり、カフェ開業にはまとまった資金が必要になります。
資金調達の具体的な方法については後述しますが、調達に時間がかかる可能性もあるため、早めに資金調達の準備を進めておきましょう。
3.物件を探す
実際にカフェを開業する物件を比較し決めていきます。土地を購入してカフェ用に新築する方法もありますが、初期費用を抑えたいなら既存の物件を活用するのがよいでしょう。
飲食店として使われていた居ぬき物件を取得する方法、テナントとして出店する方法、自宅を改装する方法、キッチンカーで移動販売する方法など、さまざまな方法があります。
物件を決める際は、コンセプトとズレないようにターゲット層を獲得できるような立地を選ぶことも大切です。
4.外装や内装を整える
物件が決まったら、お店のコンセプトに沿って内装や外装を決めていきます。
方法としては、デザイン会社や設計会社に依頼する方法、施工会社に依頼する方法、設計・施工会社に依頼する方法があります。方法によって、工期や費用感、デザインの質などが変わってきますので、複数社から見積りを取るなどしてよく比較検討した上で決定しましょう。
なお、内装工事や外装工事にはある程度のまとまった費用がかかります。物件の取得費や開業前の備品などの購入費、開業から数カ月ほどの回転資金なども見越して、あらかじめ内装工事や外装工事に使える予算を立てておくとスムーズに進められるでしょう。
工事に並行して、備品や必要な機器の購入、搬入の準備も進めます。
5.資格取得や許可を得る
カフェを開業するには、食品衛生責任者の設置と飲食店営業許可が必須です。開業前に資格の取得と許可を得ておきましょう。
なお、営業許可に関しては、申請があった後、施設が基準を満たしているかの検査が行われます。給排水などの工事はもちろん、調理台の搬入などを済ませ、開業できる状態にしてから確認してもらうようにしましょう。
施設基準を満たしていれば、後日、営業許可書が発行されます。申請から営業許可までの日数は自治体の保健所で異なりますので、事前に確認しておきましょう。
6.メニューを決める
コンセプトに沿って、提供するメニューを決めていきます。メニューが多いほど食品ロスが増える可能性が高まりますので、最初はメニューを絞って営業を開始するのもよいでしょう。
メニューを決めたら、開業後すぐに提供できるように材料や食材の仕入れも必要になります。早期に開業したいなら、開業までの工事や備品・器具の取得、営業許可の申請などと並行して進めておきましょう。
7.開業届などの手続きを済ませる
個人が事業を開始するときは、個人事業主の開業届の税務署への提出が必要です。開業届は、開業から1カ月以内が提出期限となっていますので、開業したら早めに出しましょう。
従業員を雇用する場合は、求人募集のほか、雇用保険適用事業所設置届などの手続きも進めておきます。
8.プレオープンや広告宣伝をする
カフェ開業の準備が整ったら、プレオープンで親しい人などを呼ぶのもおすすめです。本格的な開業の前に試運転をすることで、問題点が浮き彫りになることも少なくありません。プレオープンの課題を改善することで、よりよい開業ができるでしょう。
なお、開業しても思うように集客できなければ売上は立ちません。まずはお店の存在をより多くの人に知ってもらうために、ホームページを作成したり、SNSで告知したり、チラシを配ったりなどして、開業前から広告宣伝にも力を入れるようにましょう。
個人経営のカフェ開業にかかる費用は?
カフェの開業にかかる資金は、開業の形態や方法で大きく変わってきます。物件を借りて開業した場合、一般的に500万円程度は必要です。独立型で建物からつくる場合は、さらに費用がかかるでしょう。カフェの開業時には、具体的に次のような費用が必要になります。
- 物件取得の費用(家賃数カ月~1年分ほどの保証金などが必要)
- 内装費や外装費
- 調理設備などの設備導入費
- 備品の購入費や搬入費
- 広告宣伝費
- 運転資金(数カ月~1年程度)
物件の取得や内装・外装費用だけで数百万円ほどは必要になります。さらに、フランチャイズに加盟する場合は加盟金、カフェスクールに通う場合は教育費用、コンサルを利用する場合はコンサル料などが必要です。
個人経営のカフェ開業に必要な資金を調達する方法は?
個人経営のカフェを開業する場合、次のような資金調達の方法があります。
自己資金から調達する
自己資金とは、預貯金など開業に充てられる開業者個人の資金のことです。勤めていた会社から退職金が支給される場合は、退職金を開業資金に充てるケースも少なくありません。自己資金は開業する個人の資産のため返済の必要がなく、開業後の資金繰りへの影響を考えずに済みます。
融資を受ける
金融機関などから開業に必要な資金を借りることもできます。個人経営で開業する人も融資対象にしている機関としてよく知られているのが日本政策金融公庫です。新規で事業を開始する人などを対象にした「新規開業資金」などの事業も行っています。なお、借入金であるため、融資後は、返済期間内での返済が必要です。
助成金や補助金を活用する
中小事業者などを支援する補助金や助成金の制度もあります。受給するには要件があり、受給できるまでに時間がかかりますが、活用できれば創業や販売促進の手助けになるでしょう。支給された助成金や補助金は、基本的に返済の必要はありません。
個人経営のカフェを成功させる秘訣は?
個人経営カフェで成功するために押さえておきたいポイントを5つご紹介します。
開店エリアとターゲットがズレないようにする
人通りがよい立地であっても、ターゲット層とズレたエリアに出店すると集客がうまくいかない可能性があります。ターゲットに合わせて開店エリアを決めることも大切です。
その上で、交通量はどのくらいか、人口はどのくらいかなど、周辺の情報をもとに利用してくれる可能性が見込めるかどうかも見ておきましょう。
エリア周辺の同業者について分析しておく
同じエリアの同業他社と同じような売り方をしても、老舗やチェーン店と同等に渡り合っていくことは難しいのが現実です。コンセプトを決めるときにも関係する部分ですが、開業前に周辺の同業他社についてよく分析しておきましょう。
分析の仕方にもさまざまな方法があります。一例として、ポジショニングマップがあります。自社の立ち位置を把握するための分析方法です。このような分析手法などを組み合わせて、どのように売り出していくかの参考にするとよいでしょう。
コンセプトに沿ったメニューにする
メニューは、コンセプトに沿って作ったほうがお店の魅力が伝わりやすいです。看板メニューなどオリジナリティもプラスしながらメニューを決めていきます。メニューを決める際はコンセプトだけでなく、原価やネーミングなども合わせて考えるとよりよいメニューに仕上がるでしょう。
内装など雰囲気づくりにも気を配る
雰囲気が良さそうという理由でカフェを選択することもあるかと思います。内装のデザインなど雰囲気づくりにも気を配るとよいです。
少なくとも、清潔感や統一感は持たせるようにしましょう。その上で、コンセプトに合ったデザインを取り入れていきます。例えば、カフェでゆっくりしたい人をターゲットにする場合は居心地のよさや癒やしなどを意識してみるとよいでしょう。
オープン前の集客にも力を入れる
個人経営のカフェで成功するには、開業前から宣伝に力を入れることも大切です。お店の顔である看板の設置をはじめ、チラシの配布などを通して開店の告知をしておきましょう。
インターネットからの流入もあるため、グルメサイトへの掲載やSNSでの告知などもしておくことをおすすめします。
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個人経営のカフェ開業に失敗しないよう準備は入念に!
個人カフェの開業をするには、さまざまな準備が必要になります。食品衛生責任者になるための資格取得や飲食店営業許可など、開業に必須な資格・許可の申請が必要です。そのほかにも、出店するための物件の選定や開業するための調理器具・機械などの準備、店内のデザインをどうするかなど、さまざまな準備をしなければなりません。
また、カフェは競合も多いことから、コンセプトをしっかり決められないと成功から遠ざかってしまいます。準備は念入りに、下調べを行った上で進めるようにしましょう。
よくある質問
個人経営カフェの開業に必要な資格や許可は?
個人経営カフェの開業にあたっては、少なくとも、食品衛生責任者の資格と飲食店営業許可が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
個人経営カフェ成功のポイントは?
ターゲットに合った開店エリアの選択、同業他社の分析、コンセプトに沿ったメニュー作りや雰囲気づくり、オープン前の集客に注意を向けることなどが成功のポイントです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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