• 更新日 : 2023年11月30日

サンドイッチ屋として独立開業する方法は?キッチンカーのメリットや必要資金も解説

サンドイッチ屋として独立開業する方法は?キッチンカーのメリットや必要資金も解説

18世紀後半にイギリスの第四代サンドイッチ伯爵にちなんで名付けられたとされる「サンドイッチ」。日本へは明治時代に伝わり、第二次世界大戦後のパン食文化の広がりとともに一般化しました。ところで、そんなサンドイッチを製造販売する「サンドイッチ屋」の開業を目指す人が少なくないようです。本記事は、サンドイッチ屋開業の方法について解説します。

サンドイッチ屋はテイクアウトがおすすめ

ひと口にサンドイッチ屋といっても、開業の仕方はさまざまです。サンドイッチ専門レストランとして開業する、サンドイッチのデリバリー専門店として開業する、ショッピングモールなどのイートインスペースのテナントとして開業するなど、どれにしてもメリットとデメリットがあります。

そうした中、主に開業時のイニシャルコストと開業後のランニングコストを低減でき、結果的にコストパフォーマンスが高いのは、テイクアウト専門店としてサンドイッチ屋を開業できるといえます。

イニシャルコストが安い

テイクアウト専門店としてサンドイッチ屋を開業する第一のメリットはイニシャルコストの安さです。例えばサンドイッチ専門レストランとしてサンドイッチ屋を開業する場合、物件の取得費、内外装工事費用、設備費、家具類の購入費用など、相応のイニシャルコストが必要になります。

一方、テイクアウト専門のサンドイッチ屋であれば、レストランほどの規模の店舗は必要なく、必要最小限のスペースで開業できます。そのためイニシャルコストを最低限に抑えることが可能になります。

ランニングコストが安い

テイクアウト専門店としてサンドイッチ屋を開業する第二のメリットはランニングコストの安さです。例えばサンドイッチ専門レストランとしてサンドイッチ屋を開業する場合、店舗の家賃やスタッフの人件費といった相応の固定費を負担する必要があります。

一方、テイクアウト専門のサンドイッチ屋であれば、そうした固定費の負担を必要最低限に抑えることが可能になります。特に人件費については接客スタッフが必要ないので、大きな差が生まれるでしょう。

サンドイッチ屋をキッチンカーで開業するメリットは?

ところで、テイクアウト専門のサンドイッチ屋を開業する場合、キッチンカーで開業するのもおすすめです。東京都福祉保健局の「食品衛生関係事業報告」によると、東京都内で営業許可を受けている「飲食店営業の自動車数」は2019年度で3,381台、翌2020年度には3,794台へと413台(12%)も増加しています。これ以降もコロナの影響で巣ごもり需要が拡大し、「飲食店営業の自動車数」つまりキッチンカーの台数がさらに増加しているかもしれません。

商圏が固定化しない

テイクアウト専門のサンドイッチ屋をキッチンカーで開業する第一のメリットは商圏が固定化しないことです。例えば、店舗を借りてテイクアウト専門のサンドイッチ屋を開業した場合、基本的には商圏(来店が見込める集客範囲)が固定化します。商圏に需要が相応に存在する場合は問題ないですが、そうでない場合、事業維持に必要な売上を確保できない可能性が生じます。

一方、キッチンカーであれば、仮にある商圏で需要がない場合は、需要がある商圏へ移動することができます。

比較的ローコストでオペレーティングできる

テイクアウト専門のサンドイッチ屋をキッチンカーで開業する第二のメリットは比較的ローコストでオペレーティングでき、さらなる商品開発などができます。店舗を借りてテイクアウト専門のサンドイッチ屋を開業した場合、家賃などの固定費の負担が必要になります。特に立地が良い物件を借りた場合、それなりの家賃負担が必要になります。

一方、キッチンカーであれば家賃負担が必要ありません。また、スタッフも自分一人とアルバイト程度にしておけば、人件費も必要最低限に抑えることが可能になります。

サンドイッチ屋をキッチンカーで開業するデメリットは?

一方、テイクアウト専門のサンドイッチ屋をキッチンカーで開業するデメリットもあります。キッチンカーでサンドイッチ屋を開業する場合、販売する地域を所管する保健所で営業許可を取る必要がありますが、仮に販売する地域を変更して別の都道府県へ移動した場合、移動先を所管する保健所で新たに営業許可を取る必要があることが一例です。それ以外にも、キッチンカーでサンドイッチの販売については、一般的に以下のデメリットがあります。

出店場所の確保が難しい

テイクアウト専門のサンドイッチ屋をキッチンカーで開業する最大のデメリットは出店場所の確保が難しいことです。特に大勢の人が集まる良質な出店場所の確保が難しいといえます。キッチンカーの出店場所としては、オフィス街、テーマパークやアウトレットなどの大型施設、各種のイベント会場などがありますが、いずれにおいても良質な出店場所は常に奪い合いとなり、確保することが困難です。特に初めてキッチンカーで開業する場合、これが大きな課題となります。

天候によって売上が影響を受けやすい

また、天候によって売上が影響を受けやすいのもキッチンカーで開業するデメリットです。店舗型のテイクアウト専門サンドイッチ屋であれば、デパ地下や大型駅のコンコース内など、場所によっては天候による影響をそれほど受けない店もあります。

一方、キッチンカーの営業場所は基本的に屋外なので、そういうわけにはいきません。雨や風による影響を大きく受けますし、台風などが来た場合、営業そのものができなくなることすらあります。このほかテイクアウトのデメリットとして、店内での飲食に比べて調理後から実際に食べるまでの時間が長くなるため、衛生管理にも一層の注意しなければならないことが挙げられます。

サンドイッチ屋を独立開業する方法・流れは?

では、実際にサンドイッチ屋を開業する方法や流れはどうなっているでしょうか。ここでは、キッチンカーでサンドイッチ屋を開業するのではなく、店舗を借りてテイクアウト専門のサンドイッチ屋を独立開業する方法・流れについて説明します。

店のコンセプトを作る

サンドイッチ屋を開業する最初のステップは店のコンセプト作りです。店のコンセプトとは、どのようなサンドイッチを、誰に対して、どのような方法で、どこで、いくらで製造販売するかについての具体像を表したものです。しっかりしたコンセプトは家の設計図のようなものです。

しっかりしたコンセプトなしに独立開業することは、設計図なしに家を建設するに等しいといえます。最近はフルーツサンドイッチがはやっているようですが、そうしたトレンドも踏まえて自分のコンセプトを明確にしてください。

出店場所を決める

サンドイッチ屋を開業する次のステップは出店場所を決めることです。出店場所を決める際は、店のコンセプトのターゲットを明確にし、そのターゲットがもっとも存在しているエリアを明確にする必要があります。例えば、フルーツサンドイッチを看板商品とするのであれば、10代から30代の女性が多く存在する繁華街や商店街などを出店エリアにするといったイメージです。その出店エリアの中で、テイクアウト専門で開業できる店舗を探していきます。

飲食店営業許可を取得する

後述しますが、テイクアウトのサンドイッチ屋を開業するには、開業を予定している場所を所管する保健所から飲食店営業許可を取得する必要があります。そして、飲食店営業許可を取得するには「食品衛生責任者」を選任する必要があります。「食品衛生責任者」になれる資格は都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講すると取得できます。

また、スタッフを含めて収容人数30人以上の飲食店の開業に必要な「防火管理者」の資格取得と選任は、原則としてテイクアウトのサンドイッチ屋の開業には必要ありません。

開業し、集客する

店舗の内外装工事が完了し、飲食店営業許可が取得できたらいよいよ開業です。開業に際しては、あらゆる手段を使って集客する必要があります。ウェブサイト、ブログ、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディア、YouTubeなどの動画サイトといったオンラインメディアに加えて、チラシやフライヤーなどのオフラインメディアもフルに活用してください。

サンドイッチ屋の集客では特に口コミが重要ですので、お試しサンプルの提供や割引クーポンなども提供しましょう。

サンドイッチ屋の開業に必要な資格・許可は?

上述の通り、サンドイッチ屋の開業には飲食店営業許可の取得が必要です。飲食店営業許可を取得するには「食品衛生責任者」を選任し、飲食店営業許可申請書と添付書類などを保健所に提出しなければなりません。

飲食店営業許可を受けるためには、「設備・構造の要件」を満たす必要があります。要件を満たしているかを確認するには、保健所に事前に相談すると良いでしょう。なお、飲食店営業許可の取得には申請から数週間程度かかるので、スケジュールに余裕を持たせて申請しましょう。

サンドイッチ屋の開業に必要な資金は?

サンドイッチ屋の開業に必要な資金はいくらくらいでしょうか。開業する場所や店舗の大きさ、内外装工事の内容などにより違ってきますが、テイクアウト専門のサンドイッチ屋を開業する場合、店舗の物件取得費(保証金、礼金、前払家賃、仲介手数料など)、内外装工事費、設備費などの初期費用と、開業後の運転資金が必要になります。

例えば東京23区内の商店街に7坪程度の店舗を借りて開業する場合、初期費用で200万円から500万円程度、運転資金として300万円程度は必要になります。なお、運転資金には家賃、材料仕入費用、水道光熱費、人件費、広告宣伝費などが含まれます。

サンドイッチ屋の開業を成功させるには?

食糧やエネルギー価格の世界的な高騰やインフレーションの進行などの影響を受け、近年におけるサンドイッチ屋の経営環境は必ずしも易しいものではありません。それでも、数あるサンドイッチ屋の中には固定客をしっかりと確保し、安定した経営を行っているところもあります。成功しているサンドイッチ屋に共通する点は何でしょうか。厳しい経営環境の中でサンドイッチ屋の開業を成功させるには、どういった条件を満たす必要があるのでしょうか。

顧客のニーズを把握する

サンドイッチ屋の開業を成功させるための条件の一つは顧客のニーズを把握することです。顧客のニーズを把握し、それに応じた商品を提供する。当たり前のような話ですが、それができていないサンドイッチ屋が少なくありません。

顧客のニーズを把握するには、売上を分析して売れ筋の商品を確認したり、近隣の競合店の商品ラインナップをチェックしたりするなどの日々の努力が必要です。なお、競合店にはサンドイッチ屋のほかに、サンドイッチを売っているパン屋やコンビニエンスストアなども含まれます。

マーケティングを行う

サンドイッチ屋の開業を成功させるためのもう一つの条件はマーケティングを行うことです。マーケティングの中でも特に集客のための努力をする必要があります。開業直後の場合、新たにできたサンドイッチ屋の存在は知られていないので、知ってもらうための努力をする必要があります。特にSNSは費用はかからない割に、その拡散力の強さや即時性、双方向性など優れた集客ツールといえます。

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顧客のニーズをしっかりと掴み、開業を成功させよう

以上、サンドイッチ屋開業の方法について、サンドイッチ屋の開業を成功させるポイントなども含めて解説しました。サンドイッチ屋の開業を目指す人の多くは、自らもサンドイッチが好きだという人が多いと思いますが、上述した通り、サンドイッチ屋の開業を成功させるポイントの一つが顧客のニーズを把握し、それに対応することです。「自分が好きなものを売る」のではなく、「顧客が食べたいものを売る」を基本にして、サンドイッチ屋の開業を成功させてください。

よくある質問

サンドイッチ屋を独立開業する方法・流れは?

サンドイッチ屋の独立開業する方法・流れは、①店のコンセプトを作る、②出店場所を決める、③飲食店営業許可を取得する、④開業し、集客する、です。なお、店舗ではなく、キッチンカーで開業する方法もあります。詳しくはこちらをご覧ください。

サンドイッチ屋の開業に必要な資格・許可は?

サンドイッチ屋の開業には「食品衛生責任者」の選任、そして所管の保健所から飲食店営業許可の取得が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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