• 作成日 : 2024年8月30日

翻訳サービスの事業計画書の書き方・無料テンプレート【簡単解説】

事業計画書は、サービス内容やビジョン、ビジネス戦略など、具体的なビジネスモデルを示す書類です。安定した経営を続けるため、作成のポイントを理解した上で実現可能な内容を記載しましょう。また、金融機関からの融資を受ける際にも欠かせません。本記事では、翻訳サービスの事業計画書について、テンプレートを活用した書き方や、作成のコツなどを解説します。

翻訳サービスの事業計画書はなぜ必要?

翻訳サービスは、資格がなくてもはじめられる事業ですが、他社との差別化を図るためには、高度な語学力や専門知識が求められます。事業の安定経営を続けるには、自社の強みや優位性を客観的に分析し、明確なビジョンを定めるための事業計画書の作成が欠かせません。たとえば「多言語対応」や「医療・法律の翻訳を専門とする」など、独自性のあるビジネスモデル設計が、経営を成功させる重要な鍵となります。

さらに、投資家や金融機関からの資金調達の際、信頼性を高めるためにも事業計画書が必要です。サービス内容やターゲット市場を具体的に設定することで、競合他社との差別化ポイントを明確にし、事業の優位性を強調することが求められます。

翻訳サービスの事業計画書のひな形、テンプレート

翻訳サービスの事業計画書

マネーフォワード クラウドは、翻訳サービス向けの事業計画書のひな形、テンプレートをご用意しております。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードして、ご活用ください。

翻訳サービスの事業計画書の書き方・記入例

事業計画書は、ビジネスの全体像を分かりやすく伝えるための書類です。サービスの特性や市場のニーズを的確に反映し、実現可能な内容で記載することが求められます。注意点や成功のコツを押さえながら、具体的な計画を立てることが、事業の成功につながるでしょう。

創業の動機・目的

「創業の動機・目的」は、翻訳サービスを立ち上げる理由と目標を明確に示す重要な項目です。「なぜ翻訳サービスを選んだのか」「どのような市場ニーズに応えようとしているのか」など、情熱やビジョンを具体的に記載してください。

また、競合との差別化を図るため、翻訳サービスを通じて解決したい具体的な課題を強調しましょう。たとえば「日本企業の海外展開をサポートするため」「多言語対応が求められる市場における需要に応えるため」など、社会的意義のある動機を述べると説得力が一層高まります。

経営者の想いは、事業のコンセプトや指針に直結するため、事業計画書の中でも特に重要です。

職歴・事業実績

「職歴・事業実績」は、これまでの翻訳業務や関連分野での経験を記載する項目です。翻訳業界での経験や成功事例を強調することで信頼性が高まるため、関連するスキルは詳細に記載してください。

また、業界特有の専門知識や取得資格を具体的に記載すると、他社との差別化にもつながるでしょう。

翻訳者のスキルを証明する資格として、実用英語技能検定(英検)やTOEIC、一般社団法人日本翻訳協会が主催する「JTA公認翻訳専門職資格試験」などが挙げられます。

記載時は「社内翻訳スタッフとして18年従事」「JTA公認翻訳専門職を取得」など、従事した年数や資格名を記載すると明快です。

取扱商品・サービス

「取扱商品・サービス」は、提供する翻訳サービスの詳細を記載する項目です。翻訳サービスは日本国内だけでなく、海外業者との競争も避けられないため、競合・市場調査を十分に行った上で、サービス内容やメインターゲットを具体的に設定してください。

たとえば、他分野にわたる幅広い翻訳サービスや、特定の業界に特化した専門的な翻訳サービスなどは、競合との差別化を図れます。

「他分野にわたる翻訳サービスを提供」「各分野につき英語、中国語、韓国語、ドイツ語のスペシャリストを配置」など、サービス内容と提供環境を具体的に示すと、強みが伝わるでしょう。

取引先・取引関係

「取引先・取引関係」は、顧客や取引先を具体的に記載する項目です。

翻訳サービスは「映像翻訳」「出版翻訳」「産業翻訳」のようにさまざまな種類があるため、取引先は制作会社や出版社、金融・医療業界など、多岐にわたります。たとえば「〇〇出版社」「〇〇株式会社」のように、具体的な企業名を挙げることで、信頼性や独自性を高められるでしょう。

また、顧客の幅広いニーズに対応するために、フリーランスの翻訳家と取引関係を築くことも有効です。自社で対応できない案件は外注できる体制を整えることで、事業の柔軟性と安定性を示せます。

従業員

「従業員」は、開業にあたり雇用する予定の従業員数を記載する項目です。

翻訳サービスは、専門知識が高度な分野ほど単価が高くなる傾向があり、従業員のスキルが収益に直結します。必要なスキルを持つ人材を確保する方法や、具体的な採用計画を「取扱商品・サービス」や「事業の見通し」に合わせて示しておくと、より具体的な事業計画書が作成できるでしょう。

借入の状況

「借入の状況」は、現在の借入状況を記載する項目です。金融機関から新たな融資を受ける場合、借入先や返済計画などを具体的に説明することで信頼性が向上し、計画の現実性を示すことができるでしょう。

記載するべき借入金は、以下の一例が挙げられます。

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 教育ローン
  • 事業ローン
  • カードローン

翻訳サービスを開業するために新たに融資を受ける際には「借入の状況」も重要な判断要素となるため、ミスや漏れがないよう記載してください。

必要な資金と調達方法

「必要な資金と調達方法」は、事業の立ち上げ・運営に必要な資金と、必要資金の調達方法を明確に記載します。

翻訳サービスでは、翻訳ソフトウェアの導入費用や人件費などが必要です。必要な金額に対して自己資金で足りない場合は、どのようにして調達するのか、具体的な方法を示してください。

設備資金や運転資金として、以下のような例が挙げられます。

  • 設備資金:事務所賃借料・翻訳ツールの購入費・備品費など
  • 運転資金:人件費・広告宣伝費など

必要資金は、自己資金や金融機関からの借入で準備することが一般的です。

事業の見通し(月平均)

「事業の見通し」は、事業の収支見通しを月単位で記載する項目です。売上高や経費、顧客数など市場調査に基づいた根拠のある数値を設定し、収益を算出してください。

翻訳サービスの月間売上高は「1文字当たりの平均単価×1日あたりの平均翻訳文字数×月間営業日数」計算式を用いて算出できます。

翻訳サービスは、機械や資源を使用せず、人の労働によって収益を生み出す「労働集約型ビジネス」であるため、サービス自体の原価はかかりません。しかし、請負件数が増えるほどに稼働時間が増えるため、スタッフの増員がない限り、売上見込みの急激な増加は難しいでしょう。

事業の成長には、請負単価の上昇が収益向上の鍵となります。想定される売上金額や必要経費を基に収益予測を立て、事業の安定性や成長性を示してください。

翻訳サービスの事業計画書作成の注意点

翻訳サービスは、ターゲットや顧客、出資者など、取引先が国内に限らないため、国際的な視点をもった事業計画書の作成が求められます。事業計画書は、国を問わず、読み手にしっかりと意図が伝わるよう工夫しましょう。翻訳サービスの事業計画書を作成する際に押さえるべき注意点について解説します。

翻訳する場合は、日本語をただ機械的に翻訳するのは避ける

翻訳サービスでは、出資者や説明相手が外国人の場合、事業計画書を外国語に翻訳することがあります。事業計画書を外国語に翻訳する場合は、日本語の言い回しをそのまま訳すと意味が伝わらないことがあるため、適切な表現に置き換えることが必要です。単なる直訳ではなく、文脈や文化を考慮し、ターゲットである読者にとって理解しやすいような翻訳をしてください。

AIによる自動翻訳が進化しているとはいえ、微妙なニュアンスや文化的な違いを反映した翻訳を行うためには、人の手による翻訳が不可欠です。事業計画書の翻訳において、自社の行う翻訳サービスの質を証明することにもつながるため、文化的な背景やニュアンスを理解した上で、正確で自然な表現を心がけましょう。

外国人の方が事業計画書を作成する場合は、適宜日本の実情に詳しい人のサポートを受ける

外国人が日本に向けて事業計画書を作成する際は、日本のビジネスや市場の特徴を理解している専門家のサポートが不可欠です。たとえば、翻訳サービスを日本国内で展開する場合、日本語だけでなく、日本の文化や法律に詳しい人材の意見を取り入れることで、より精度の高い事業計画書を作成できます。

さらに、日本のビジネス慣習や取引の進め方についての理解も重要です。日本では信頼関係の構築がビジネスの成功に不可欠とされることもあります。専門家からのサポートを受けることで、文化的な誤解を避け、より現実的で実行可能な計画を作成できるでしょう。


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