• 作成日 : 2024年6月28日

合同会社設立時の電子定款について【簡単マニュアル】

合同会社を設立する際には定款を作成しなければなりませんが、これは紙である必要はありません。パソコンで作成する電子定款であっても認められます。この記事では電子定款を作成する流れや記載する項目、定款の提出と求められるシーンについてご説明します。

そもそも電子定款とは?

そもそも定款とは会社の基本的な情報やルールなどが定められた書類のことを指します。いわば「会社の憲法」のような存在であり、その下位に就業規則や職務規定などの「会社の法律」が存在します。通常定款は紙に印刷され、冊子にして保管されます。

電子定款とはパソコンなどで作成され、電子データの状態で保存されている定款のことです。紙の定款と比べて印刷や押印する手間がない、ペーパーレス化が実現できる、汚損や紛失する心配がない、印紙代が節約できるなど、さまざまなメリットがあります。

特に株式会社を設立する際には定款を公証人役場で認証してもらう必要があります。以前は紙の定款でしか認証手続きを受けられませんでしたが、2004年3月からは電子定款でも認証が受けられるようになりました。

合同会社と株式会社で電子定款に違いはある?

前述の通り株式会社を設立する際には公証人役場で定款の認証を受けなければなりませんが、合同会社の場合は手続きが不要です。認証手続きには3~5万円程度の手数料がかかりますが、合同会社を設立する場合はこの費用を抑えることができます。

また、合同会社には「株式」という概念がありません。株主や株式の取り扱いに関する規定を記載する必要がないため、その分定款の内容も簡素になります。

一方で、合同会社は社員(出資者)の全員が有限責任しか持たないため、定款には有限責任社員で構成される旨と責任の内容について記載する必要があります。

合同会社の定款を作成する際の流れ

ここからは定款作成も含めて合同会社を設立するまでの一連の流れを見ていきましょう。大きく以下のような流れを経て合同会社を設立することができます。

会社の概要を決める

まずは会社設立に必要な基本的な事柄を決めましょう。会社名、代表者、事業の目的、出資金や資本金の額、決算、社員が負うべき責任の内容など、決めるべきことは多岐にわたります。複数人が社員、つまり出資者となる場合は、話し合って一つ一つの事柄を決定していく必要があります。

このフェーズは定款に記載する項目を決めるという意味ではもちろん、今後会社を経営していくにあたっても非常に重要となります。ご自身あるいは社員となる人全員が納得できるまで検討・すり合わせを行いましょう。

法人用の実印作成

会社を設立する際には後述する登記手続きをしなければならず、代表者の実印が必要となります。また、会社を設立した後には契約を締結する、口座開設や融資など銀行と取引をする、領収書請求書などの書類を発行するなど、さまざまなシーンで押印が必要です。会社実印(代表者印)、銀行印、角印という三つの印鑑を用意しておきましょう。会社実印は法務局での登録が必要となります。

なお、電子定款には実印の代わりに電子署名を付与することになります。電子署名を付与する場合はマイナンバーカードの情報を使うのが一般的です。

定款の作成

会社概要が決まったら定款を作成します。基本的にはパソコンで作成し、紙の場合はプリントアウトして製本します。電子定款の場合はプリントアウトする必要はありませんが、電子署名が付与できるPDF変換ソフトやICカードリーダーが必要となります。これらがない場合は電子定款に対応した会社設立サービスを使うことで、手間やコストを抑えることが可能です。

定款に記載する項目は主に「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3点です。詳しくは後述します。

出資金の払い込み

会社を設立する際には会社に対して資本金を払い込む必要があります。この時点では法人はまだ設立されていないため、会社の代表社員の個人口座に出資金を払い込む形となります。出資者が複数いる場合は、全員があらかじめ決められた額を払い込んでいるかどうかを確認しましょう。

出資者からの払い込みがすべて確認できたら、払い込み証明書を作成して通帳のコピーとともにひとまとめにしてとじます。

法務局に申請

定款作成や資本金の払い込みなど、会社設立の準備が終わったら、いよいよ登記手続きを行います。本店を所管する法務局で手続きを行いますので、以下の書類を持参して提出しましょう。また、登記手続きの際には登録免許税の支払いが必要です。

  • 合同会社設立登記申請書
  • 定款
  • 印鑑届出書
  • 代表社員の就任承諾書
  • 代表社員の印鑑登録証明書
  • 業務を執行する社員の一致を証する書面
  • 出資の払い込み、給付を証する書面
  • 代理人が登記申請をするなら、その権限を証する書面
  • 資本金の額が法令にのっとって計上されたことを証する書面(出資財産が金銭のみなら不要)

司法書士に依頼すれば報酬はかかりますが登記手続きを代行してくれます。

合同会社のオンライン登記とは?

登記手続きは法務局に赴いて行うほか、オンラインでも可能です。法務省の登記・供託オンライン申請システムのホームページにアクセスして、申請用総合ソフトをダウンロードします。ダウンロードが完了したらソフトを起動させて操作手順に従って必要事項を入力していきます。

ソフトを経由して添付書面を添付し、電子署名を付与したら申請データを登記所に送信します。正常に送信できていればデータ到達、受付の通知が来ます。その後、登録免許税の納付の通知が来るため、手順に従って納付します。

必要な添付書類

合同会社の登記申請をオンラインで行う場合でも、定款、設立時代表社員・本店所在地および資本金を決定したことを証する書面、代表社員の就任承諾書、払い込みを証する書面などの書類が必要です、これらは電子データの状態で添付し、押印の代わりに電子署名を付与する必要があります。

合同会社の定款に記載する事項は?

定款にはさまざまな内容を記載しなければなりませんが、大きく「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」に分けられます。ここからはそれぞれどのような項目があるのかを見ていきましょう。

絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない項目のことで、具体的には以下のようなものを指します。

  • 事業の目的
  • 商号(会社名)
  • 本店の所在地(住所)
  • 社員の氏名または名称および住所
  • 全社員を有限責任社員とする旨
  • 社員の出資の目的および価額または評価の標準

これらはいわば会社の基本的な情報で、記載がないと定款が無効となります。また、印鑑登録証明書など他の書類との齟齬(そご)が発生しないよう注意しましょう。

相対的記載事項

相対的記載事項とは上記の絶対的事項以外の会社の重要なルールのことです。相対的記載事項の例としては以下のような内容が挙げられます。

  • 業務を執行する社員を置くとする規定
  • 利益の配当に関する事項
  • 社員の退社に関する規定
  • 会社の存続期間
  • 会社の解散事由とその際の残余財産の分配に関する規定

相対的記載事項は定款に記載することで、はじめて効力が発生します。どのような内容を盛り込むかは弁護士などに相談しながら検討されることをおすすめします。

任意的記載事項

任意的記載事項とはその名の通り絶対的記載事項、相対的記載事項に記載すべき内容以外で任意に取り決めておく規定のことを指します。これらの事項は定款以外、ば社内規定などに定めても有効となります。例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 事業年度
  • 公告の方法
  • 社員総会の開催条件
  • 社員の報酬に関する規定

任意であるため優先順位が低いとみなされがちですが、任意的記載事項に関しても会社の重要なルールとなります。一度定款に記載すると変更が難しいため、十分検討した上で決定・記載しましょう。

合同会社の定款の写しが必要になるケースは?

定款は法人設立時の登記申請手続き時以外にもさまざまなシーンで必要になるケースがあります。ここからは定款の提出が求められるケースについて見ていきましょう。

金融機関と取引を行う際

事業を行うためには法人用の口座を開設しなければなりません。また、開業資金や事業資金が自己資金だけでは賄えない場合、金融機関から融資を受けて調達する必要があります。その際には事業の内容や目的、運営実態などを確認するために、定款の提出を求められる場合があります。

なお、会社法では債権者や株主から定款の提出を求められた際には、それに応じる義務が生じると定められています。もちろん、銀行から融資を受けている場合もその対象となります。

法人設立届出書を提出する際

会社を設立した場合は、設立登記を行った2カ月以内に本店を所轄する税務署に対して法人設立届出書を提出する必要があります。これによって税務署は会社が設立された旨とその会社の概要を把握し、以降税金関連の書類が本店に送付されることになります。

税務署に法人設立届出書を提出する際には以下の書類を添付しなければなりません。

  • 定款、寄付行為、規則または規約の写し

許認可、助成金、補助金申請の際

都道府県や市区町村に対して事業に必要な許認可を申請する際、あるいは助成金や補助金を申請する際、申請書類のほかに定款の写しの提出が求められることがあります。場合によってはその写しが原本と相違がないか、受領時にチェックされることもあります。

許認可や助成金・補助金の申請手続きには他にもさまざまな提出書類が必要です。定款の写しの提出が必要かどうかも含めてしっかりと要件を確認しておき、不明点があれば担当者に尋ねましょう。

合同会社の定款のテンプレート-無料ダウンロード

合同会社の定款を作成する際は、テンプレートを活用するという方法もあります。以下より、定款の業種別テンプレートを無料でダウンロードいただけます。
自社に合わせてカスタマイズし活用ください。

また、マネーフォワード クラウド会社設立でも、合同会社の電子定款の作成が可能です。

合同会社を設立するなら電子定款がおすすめ

合同会社を設立する際には定款を必ず作成しなければなりません。「会社の憲法」ともいえる重要なルールが記載される書類なので、内容については十分検討し、他の社員ともしっかりと話し合ったうえで作成しましょう。

なお、紙の定款の場合は収入印紙を貼付しなければならず、4万円の印紙代が必要です。しかし、電子定款の場合はこれが不要になるため、会社の設立費用を抑えることができます。もし定款を作成するのであれば、電子定款も検討してみましょう。

マネーフォワードではフォームに必要事項を記入するだけで電子定款や合同会社設立に必要な書類が作成できるシステムをご用意しています。ぜひこちらを活用して会社設立の準備


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事