- 作成日 : 2024年6月12日
ケーキ・スイーツ店の事業計画書の書き方とは?ひな形を基に成功のコツを解説
ケーキ・スイーツ店のケーキ・スイーツ店の開業を検討している方に向けて、当記事では事業計画書の書き方のポイントを解説しています。事業計画書のテンプレート/ひな形の内容も参照しつつ要点を紹介しておりますので、資金調達の際などに役立てていただければと思います。
目次
ケーキ・スイーツ店の事業計画書とは?
ケーキやスイーツ業界の市場は新型コロナウイルス流行の影響を受けて、市場規模はいったん縮小してしまいました。コロナ禍を過ぎてからは市場規模も回復傾向を示していますが、新たな社会・消費者のニーズを踏まえた取り組みを始められるかどうかが生き残りを左右する鍵となっています。
とはいえ、がむしゃらにチャレンジをすればよいということでもありません。しっかりと見通しを立てる必要がありますし、資金調達が必要になることもあるでしょう。
その取り組みに必要なツールが事業計画書です。
事業の見通しを立てるためのツール
個人経営や小さな法人としてケーキ・スイーツ店を長く経営していくのは簡単なことではありません。厳しい環境で勝ち抜くための戦略を考えて活動するなど、事業の見通しをあらかじめ立てておかないと、行き当たりばったりでは数年で閉業してしまう可能性が高くなります。
この「事業の見通し」を立てるためのツールとして事業計画書が役に立ちます。
初期費用にどれだけの費用をかけるのか、どのように商品を展開するのか、どのように顧客へアプローチをかけていくのか、毎月どれほどの費用・売り上げや利益が出る見込みなのか、といったことを可視化しておくことがとても大切です。
事業計画書として今後の事業をまとめることで「毎月この程度は売り上げを出さないとやっていけそうにない。そのためにはどうすべきだろうか」と、課題を見つけるきっかけにもなるでしょう。
金融機関からの融資を受けるためのツール
ケーキ・スイーツ店においても少なくない初期費用が発生します。
自宅開業なのか店舗物件を借りて開業をするのかによっても大きく費用は変わってきますが、どちらにしても内装工事や設備、調理機器の準備などに大きな費用を要します。さらには仕入れ費用、その他必要になるランニングコストの備えも事前に用意しておきたいところです。
なかなか自己資金だけで開業資金を用意するのは難しいため金融機関に融資を求めて交渉することもありますが、事業計画書はその際にも大きな役割を果たします。「事業者が約束通り返済をできるのか」という点を審査するための判断材料として、事業計画書が使われるのです。
ケーキ・スイーツ店の事業計画書のひな形、テンプレート
以下ではケーキ店やスイーツ店向けに事業計画書の書き方を解説していきますが、テンプレートも併せてチェックしていただければと思います。
こちらのURLからアクセスして、ダウンロードが可能です。
ケーキ・スイーツ店の事業計画書の書き方・記入例
ケーキ店、スイーツ店を開業するにあたって作成する事業計画書の内容を解説し、以下の項目についての記入例なども紹介していきます。
- 創業の動機・目的
- 職歴・事業実績
- 取扱商品・サービス
- 取引先・取引関係
- 従業員
- 借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し(月平均)
創業の動機・目的
導入として「創業の動機」や「事業の目的」を記載することも多いのです。こちらは審査に大きな影響を与える項目ではありませんが、書き方によってはそれ以降の計画内容に説得力を持たせられます。
その観点から重要なのはこれから始める事業内容とこれまでの経験や実績とのつながりです。
関連する職歴を持っているのならその内容も絡ませつつ、どのような経緯でケーキ・スイーツ店を立ち上げようと思ったのかを記載するとよいでしょう。
職歴・事業実績
「職歴・事業実績」の欄には、過去の職歴や保有資格などを記載していきます。こちらもやはり大事なのは新規事業との関連性です。
過去にスイーツ業界で従事していたのならその事実を端的に記載しつつ、さらに具体的な実績も明記しておきましょう。単に「〇〇に就職」とだけ記載するのではなく、どのような業務に携わってきたのか、とりわけ経営やマネジメント関連の経験があるのならアピールする形でその事実を記載するとよいのです。
取扱商品・サービス
セールスポイントや販売の戦略、市場分析の結果なども記載し、ご自身が始める事業がうまくいくと思わせるだけのアピールをしましょう。審査にも関わる重要な項目です。
例えば、近年だとどの業界も価格高騰が進んでいますが「比較的消費者が購入しやすい価格帯をメインに商品展開をしていく」など、他社との差別化を図る戦略を打ち立てるとよいです。ただし理想を掲げるだけでなく、それをどのように実現していくのかについても説明できていることが大事といえます。
また競合となる事業者・市場についても調査し、その分析結果についても記すことができればより説得力を高められます。
取引先・取引関係
どのような顧客を対象に販売を行うのか、そしてケーキ・スイーツ店として材料はどこから仕入れるのか、もし外注を活用するのならその取引先についても記載しましょう。
仕入れ先の確保は特に重要で、これが定まっていないと、想定している時期にスイーツ店としての運営を始められない危険性があると評価されるおそれがあります。
従業員
従業員を雇用する場合はその人数やパート従業員などの人数についても明記します。
スイーツ店だと個人経営をする場合もあるでしょう。その場合は法人ではありませんので役員の欄に人数は記載しません。
なお、従業員の人数が多いほど規模の大きな事業を展開していくことができますが、その分人件費の負担も大きくなってしまいます。立ち上げすぐに安定的な売り上げを出すことは難しいですし、雇用をする場合でも数人程度とスモールスタートを心がけましょう。
借入の状況
起業者自身の現在の借り入れ状況は、今後の資金調達に影響してきます。基本的には大きな借入残高が残っているほど不利になりますが、借金をしているというだけで資金調達が不可能になるわけではありません。
虚偽の情報を記載しないことには留意しつつ、借入先名や借り入れの内容、残高、返済額などを簡潔に記載していきましょう。
必要な資金と調達方法
融資を受けるなら、「必要な資金」と「調達方法」の内容がとても大事になってきます。
イメージだけで、感覚的に金額を記載するのではなく、見積もりまで行って根拠ある金額を記載するようにしましょう。スイーツ店であれば仕入れなども必要になりますし、内装工事や備品などの設備資金だけでなく運転資金についてもよく考えて記載をしましょう。
調達方法については自己資金割合に注意してください。金融機関から借り入れをするとき、自己資金が0円だと審査に通るのも困難です。日本政策金融公庫でも1割以上、一般的には3割以上の自己資金を用意しておくべきとされています。
事業の見通し(月平均)
月々の「売り上げ」や「仕入れ高」、「経費」についての見通しは特に重要な項目です。
創業当初にどれだけの売り上げを出せるのか、そして1年後(または軌道に乗ってから)はどのように成長できているのか、根拠とともに記載することが大事です。
例えば、唐突に「売上高は月100万円」とだけ記載するのではなく、次のように計算式も示せると内容に説得力が持たせられます。
“平日:平均客単価800円×35人×26日=72.8万円”
“休日:平均客単価1,000円×50人×4日=20万円”
その他、仕入れ高や経費の詳細も記載したうえで利益の計算結果も明記しておきましょう。
ケーキ・スイーツ店の事業計画書成功のポイント
ケーキ・スイーツ店において良質な事業計画書を作成するときのポイントは次の通りです。
- コンセプト・ターゲットを明確にすること
- 立地調査を行い商圏や競合を把握すること
- ブランドイメージを反映した店名(屋号)にすること
- 客観的な売り上げ予測をすること
- テイクアウトの活用など販売方法の工夫
- SNSの活用など集客方法の工夫
各ポイントについて以下で説明していきます。
コンセプト・ターゲットを明確にする
どの層を主な販売ターゲットとするのか、どのようなコンセプトで商品を展開していくのか、この点を事業計画書でわかりやすく整理しておくことがとても大切です。
例えば、近年は「健康志向(低糖質・グルテンフリー・低カロリーなど)」「SDGs(社会や地球環境に配慮した、無添加・無農薬、ヴィーガン材料の使用など)」などがトレンドとなっていますので、これらのキーワードを考慮した商品展開も考えてみるとよいかもしれません。
あるいは「物価の高騰」という異なる視点から、価格設定に着目して差別化を図るという手も考えられます。実際、物価高によって節約志向が高まりつつあります。
立地調査を行い商圏や競合を把握する
より良い商品・サービスの提供に力を入れるのも重要ですが、内部にだけ目を向けるのではなく、「競合他社がどのような取り組みを行っているのか」を把握し、その内容を踏まえた戦略を打ち立てることがとても大事です。
例えばコロナ禍以降だと「イベントや外食などに対する消費行動の拡大」が見込まれていますし、「外国人観光客による消費額の増加」も実際に起こっています。この流れに乗るにはどのような取り組みを行う必要があるのか、深く分析してニーズを捉えた戦略を打ち立てましょう。
ブランドイメージを反映した店名(屋号)にする
店名や屋号は直接営業に関わるものではありませんが、「ブランドイメージを反映した名称」とすることが重要です。
おしゃれさをウリにするならおしゃれな雰囲気の名称。和菓子・和スイーツをメインに取り扱うなら和風の名称にするなど、よく考えて定めるようにしましょう。
また「Web検索に向いた名称」にも意識してみましょう。興味を持った方が検索しやすい名称、検索するときに思い出しやすい名称、そして検索をかけたときに競合他社が出てこないよう他社と被る名称は避ける、などの工夫も必要です。
客観的な売り上げ予測をする
希望的観測ではなく、客観的な事実に基づいた売り上げ予測をしないといけません。根拠のない数字を基に事業計画書を作成しても、読み手は良い印象を持ってくれません。
仮に大きな利益が出るとの見込みを記載していても、その前提となる売り上げ予測に根拠が一切ないのでは信用ができないどころからマイナスの印象を持たれるリスクすらあります。
そこで、なぜその売上高になったのかが論理的に説明できるよう根拠を示すことが重要です。
また最近の事情も踏まえて売り上げ予測をしましょう。原材料費の高騰など大変なことも多いのですが、スイーツ需要自体は拡大しているとみられています。
テイクアウトの活用など販売方法の工夫
スイーツ業界でも、販路拡大を狙ってこれまでになかったサービス形態を展開する傾向が見られます。
テイクアウトの活用、アパレルメーカーとのコラボ、海外の人々に向けた商品開発、無人販売への対応など、新たな切り口を見いだす試みが売り上げ拡大のために重要といえます。
SNSの活用など集客方法の工夫
実店舗のみの活動だと限界があります。観光地の中心など、よほどの好立地でなければ成功させるのは難しいでしょう。
そこでWebサイトを使った広告宣伝、SNSの運用による消費者への積極的なアプローチなど、集客方法にも一工夫が必要です。多種多様な販売チャネルを持つことができればさまざまな層にリーチできますし、想定外の層から支持を受けられることもあります。
他店との差別化を意識した事業計画書を作ろう
ケーキ・スイーツに対する需要は高まりつつありますが、店舗が生き残れるかどうかは戦略次第です。販売方法や商品展開の工夫が必要で、「他店との差別化」も意識しておきたい重要な観点です。
そして資金調達などを行うためにも、その取り組み内容を分かりやすい形で事業計画書に取りまとめることがとても大切です。
開業方法に関して解説した記事もありますので、ぜひこちらのページも参考にしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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