• 更新日 : 2023年9月27日

女性の起業・会社設立におすすめの業種は?助成金・補助金・融資制度も解説!

女性が働きやすい社会の課題はまだまだありますが、地域社会の子育て援助活動支援事業、女性、若者・シニア起業家支援資金、女性の起業を支援する女性起業家支援連絡会議などの制度や支援が増えたこともあり、女性が起業・会社設立を実行しやすい環境も徐々に整ってきています。また、実際に女性で起業を希望する人や起業家は以前よりも増えてきました。

これから起業や会社設立をしたい人はどのようなことを知っておくと良いのでしょうか。この記事では、女性の起業や会社設立に役立つ、女性におすすめ(人気)の業種、起業時の注意点、知っておきたい助成金や補助金、融資制度について紹介します。

女性の起業・会社設立におすすめの業種とは?

総務省「平成29年就業構造基本調査」によると、起業家(会社等の役員と自営業主)の起業分野において、男性より女性の起業が特に多かったのが、生活関連サービス、教育、小売業、飲食業、医療・福祉といった分野でした。特に女性の場合は、男性と比べて個人向けのサービスをメインにした起業が目立ちます。この結果を踏まえ、女性の起業・会社設立でおすすめの業種をいくつか紹介します。

参考:平成29年就業構造基本調査|総務省統計局
第2章 次世代の経営者の活躍(中小企業白書2019)|中小企業庁

生活関連サービス

女性の起業分野においてもっとも多いのが、生活関連サービスです。生活関連サービス業とは、洗濯・理容・美容・浴場業(洗濯業、ランドリー業、理容業、美容業、浴場業、エステティックサロン、マニキュア業、など)、その他の生活関連サービス業(旅行業、家事サービス業、衣服裁縫業、物品預り業、冠婚葬祭業、結婚相談業、ペット美容室、など)のことをいいます。

中でも女性に人気なのが、エステティックサロン、ネイルサロンといったサロン系です。サロンが人気なのは、施術できるスペースさえあれば自宅でも開業できるためです。「美容師免許」のような国家資格は必要ないため、スキルやセンス次第で顧客を増やすこともできます。自身の経験やスキルが活かせるようであれば、家事サービス業、生活関連のアドバイザーなどもおすすめです。

教育

教育分野も女性の起業が多い分野です。教育や学習支援系の業種では、公的教育機関のほか、学習塾、ピアノ教室やバイオリン教室などの音楽教室、書道教室、英会話などの外国語会話教室、ヨガ教室やダンス教室などのスポーツ・健康教室、料理教室、フラワーアレンジメント教室などがあります。

自宅を教室にしたり、スペースをレンタルしたりして教室を開くこともできますが、オンラインスクールがしやすい環境も整ってきましたので、オンラインスクールに特化したサイトで教室を開いたり、SNSなどで告知してオンラインミーティングサービスなどを使って教室を開いたりするのもおすすめです。オンラインであれば、自宅から多くの受講者に配信することもできます。

小売業

小売業とは、さまざまな商品を販売する業種で、洋服店、靴小売店、下着小売店、化粧道具小売店、洋菓子店、ケーキ店、パン屋、中古自動車店、自転車店、中古パソコン店、化粧品店、文具店、スポーツ用品店、花屋、ジュエリー店、雑貨屋などが含まれます。小売業も男性より女性の起業が多く、分野によっては、自分の趣味を仕事にできるのが特徴です。

店舗を持つのは資金的な面などでハードルが高いように思えますが、ネットショップやハンドメイド作品を販売できるようなサイトも増えていますので、ネット上でお店を作って販売するのもおすすめです。ネットショップなら、自宅で仕事をしたいと考えている女性のニーズにも対応できます。

飲食業

飲食業とは、専門料理店、うどん店、ダイニングバー、喫茶店、クレープ屋、移動販売(調理を含んだもの)、弁当屋といった、飲食を提供する業をいいます。飲食業も男性より女性の起業家が多い業種です。

料理の下積みをして開業するパターンもありますが、カフェや移動販売など、開業する分野次第では下積みがなくても始めやすいのがポイントです。例えば、人気の動物とふれあえるカフェのような飲食業と何かの組み合わせ、おしゃれな店の内装など、アイデア次第で人気店になれる可能性があります。特に、お茶やコーヒーにこだわりがある人、料理を作るのが好きな人などにおすすめの業種です。

オンラインフリーランス

企業と個人(フリーランスなど)を結ぶクラウドソーシングが広まったことで、個人が企業から仕事をもらいやすい環境が整ってきました。クラウドソーシングならオンライン上で完結できる仕事もあり、自宅にいながら仕事がしたい人のニーズにも対応しています。

クラウドソーシングで企業側からの依頼が多いのが、システム・アプリ開発、ロゴ作成、パンフレット作成、記事作成、キャッチコピー作成、写真撮影・加工、動画撮影・加工、テープ起こし、翻訳などです。これらの仕事では、キャリアアップやスキルアップを支援するサービスもありますので、スキルに自信がなくても始めやすい環境があります。就業経験が少ない人、スキルや実務経験に自信がない人にもおすすめです。

女性の起業・会社設立で気をつけることは?

女性の起業・会社設立において気をつけておきたいポイントをいくつか紹介します。

まずはスモールビジネスから始める

スモールビジネスとは、小規模なビジネスのことをいい、フリーランスを含めてスモールビジネスと表現することもあります。女性の場合、起業する人のほとんどは、従業員を雇わないひとり起業が多いです。主な理由として、女性の起業は生活関連サービス業など、個人向けのサービスを中心にしたものが多いためです。

スモールビジネスには、少額の資金でも始めやすい、業種によっては仕事の時間や仕事の場所をある程度コントロールしやすい、といったメリットがあります。起業・会社設立では、資金面でハードルが高く感じる人もいるかと思いますが、スモールビジネスなら資金面でのリスクも少なくスタートしやすいです。

固定費はできるだけ抑える

女性に限らず、起業する人なら必ずおさえておきたいのが固定費です。固定費とは、家賃や光熱費、広告費など、売上の増減に関わらず発生する費用を指します。

女性の起業で人気の生活関連サービス業や小売業などは、固定費の比率が高いものも多いです。固定費が多い場合は、顧客が増えないと経営が傾きやすいというデメリットがあります。固定費比率がもともと高い業種であればなおさら、できるだけ固定費をかけないようにする工夫が必要です。

例えば、事務所やスペースの賃貸による固定費がネックになりそうなら、必要に応じてレンタルできないか、自宅などの空いたスペースを活用できないか、オンライン上でサービスを提供できないか、適宜検討してみると良いでしょう。

起業前に、どのくらいの固定費がかかりそうか予想を立て、見込み売上でカバーできそうか、利益を確保できそうか、といったことも合わせて確認しておくと良いでしょう。

経営のノウハウや専門知識を身につける

2011年に実施された経済産業省委託(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社調査)「女性起業家に関するアンケート調査」によると、男性起業家と比べ、女性起業家は「経営に関する知識・ノウハウ不足」「事業に必要な専門知識・ノウハウ不足」を起業時の課題に挙げる人が多くいました。

参考:女性起業の現状と課題|中小企業庁

これは、出産や育児を経験する女性など、同じ年齢でも就業の経験が男性と比べて短い女性も多いためです。また、経営やノウハウに関して助言をしてくれる人に会う機会が少ないといった問題もあります。

近年では、地域プラットフォームに属した機関主催の女性向けプランを含めた創業スクール、女性の起業家を支援する相談窓口なども増えてきました。女性起業家が抱えやすい経営や専門知識のノウハウを身につけるためにも、起業前に地域で支援事業が行われていないか、相談する場所はないか、といったことを確認しておきましょう。

ワークライフバランスを考える

制度改革や社会の変化もあり、子育ての中の女性でも働きやすい環境は整備されてきていますが、まだまだ十分とは言えません。会社に勤める場合は、育児休業などの制度を利用できるものの、起業・会社設立するとなると自分自身で就業できない間の責任を抱えることになるため、ワークライフバランスについてもよく考えておく必要があります。

将来のライフスタイルの変化も考慮し、無理なく仕事ができそうか、フレキシブルに対応できそうか、といったことを検討した上で、無理のない起業・会社設立を計画しましょう。

ネットの古い情報に注意

国や地方自治体など公的機関は、資金面で女性の起業をサポートするために、さまざまな助成金・補助金・融資制度を設けています。どのような制度があるかについては、下記のサイトで情報を収集することができます。

関連するキーワードをもとに一般の検索サイトで検索した場合、古い情報が見つかることがあるので注意が必要です。例えば、「女性起業」と「助成金」という2つのキーワードで検索すると、「子育て女性起業支援助成金」に関する情報がいくつか見つかります。

「子育て女性起業支援助成金」は、雇用保険の被保険者であった女性を対象にした制度でしたが、平成20年に廃止されました。これらのインターネットの記事をもとに関係機関に問い合わせても、話が合いません。
インターネットで検索すると新しい情報を手に入れることができますが、インターネット上の記事が常に新しいものであるとは限らないことも知っておく必要があります。

女性の起業・会社設立に役立つ助成金・補助金・融資制度

ここでは女性の起業に役立つ助成金・補助金・融資制度の中から、代表的なものを紹介します。

女性、若者/シニア起業家支援資金

「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、日本政策金融公庫が行う事業で、低金利で融資を受けることができます。

利用できるのは「女性または35歳未満か55歳以上で、新たに事業を始めるか事業開始後おおむね7年以内」の場合とされており、女性起業家であれば年齢に関係なく利用できるのが特徴です。ただし、申し込めば必ずもらえるものではなく、審査を受けて通る必要があります。

日本政策金融公庫の当融資を利用するメリットは、公的融資であるため、民間の金融機関のように過去の実績は必須ではなく、実績がなくても融資を受けられる可能性があること。返済期間も最長20年と長いことから、使い勝手の良い融資制度です。資金面で起業・会社設立のハードルをクリアできそうにない場合は、積極的に活用を考えてみると良いでしょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金<一般型>は、商工会議所管轄地域で医師や一定の個人農業者などを除く、小規模事業を営んでいる事業者などを対象にした補助金制度です。小規模事業とは、宿泊・娯楽業を除く商業・サービス業については常時雇用の従業員5人以下、そのほかの業種では常時雇用の従業員20人以下の事業者を指します。

対象の小規模事業者のうち、販路開拓等、業務効率化、といった生産性向上の取り組みを行う事業者に補助金が支給されます。販路開拓のための広報費(チラシ作成やWeb広告など)、新商品の開発費、業務改善に関わる専門家へ支払う報酬などが、補助金の対象です。

創業資金の準備資金にはなりませんが、起業後の販路開拓や業務効率化の負担軽減で活用できます。

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

地域雇用開発助成金は、雇用機会が特に不足した地域において、事業所を設置し、その地域の求職者を雇い入れる場合に利用できる助成金です。事業所の設置・整備費用や労働者の増加人数にもよりますが、48万円から最大1,600円、1年ごとに最大3回の支給を受けられます。ひとり起業ではなく、起業時に雇用を考えている人におすすめの制度です。

まずは個人事業主として起業するのがおすすめ!

女性の場合、男性と比べて、生活関連サービス業や教育関連で起業・会社設立するケースが多いです。業種にもよりますが、資金面やコストで不安がある場合は、スモールビジネスでスタートすると良いでしょう。起業時の負担や経理面での負担などが少ない個人事業主(フリーランス)での起業もおすすめです。

女性起業を資金調達の面からサポートするために、さまざまな助成金・補助金・融資制度もありますので、積極的に活用したいものです。

なお、インターネット上のサイトには廃止された助成金・補助金・融資制度の情報が載っている場合があります。実際に制度を利用するときには、必ず「ミラサポ」や「J-Net21」といった公的なサイトで最新情報を確認するようにしましょう。

よくある質問

女性の起業で人気の業種は?

ビューティーサロンなどの生活関連サービス業、音楽教室や語学教室などの教育業、洋服店や雑貨屋などの小売業などが人気です。詳しくはこちらをご覧ください。

女性の起業で気をつけたいことは?

ビジネス規模、固定費を抑えた経営、経営ノウハウなどの知識の向上、ワークライフバランス、情報の取得に気をつけて起業の準備を進めるのがポイントです。詳しくはこちらをご覧ください。

女性の起業に役立つ助成金・補助金・融資制度は?

女性、若者/シニア起業家支援資金、小規模事業者持続化補助金、地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


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