• 作成日 : 2022年2月18日

会社設立時の出資者と出資方法、資本金の決め方

会社設立時の出資者と出資方法、資本金の決め方

会社設立を考える際に頭を悩ませるのは、「事業を始める人以外にも発起人が必要かどうか」「出資金をどうやって集めるか」「出資金額をどのように設定するか」といったことでしょう。出資者を募る方法や、現物出資が認められる範囲も確認しておきたいポイントです。今回は、会社設立時の出資金額の決め方や出資方法について解説します。

会社設立の流れ

会社設立の流れを簡単に確認しておきましょう。ここでは、株式会社の設立について解説します。

  1. 発起人を決定する
    会社設立の手続きを行う発起人を1名以上決めます。個人だけでなく、法人も発起人にはなることができます。
  2. 基本的なことを決める
    社名や事業内容、資本金額、決算期などを決めます。
  3. 定款を作成する
    「会社の憲法」ともいわれる定款は会社の基本となるものです。以下の項目の記載が必要となります。
    • 本店の所在地
    • 目的
    • 商号
    • 設立に際して出資する財産の価額、もしくはその最低額
    • 発起人の名前または名称および住所

  4. 定款の認証
    公証人に定款をチェックしてもらい、法的な問題がないことを証明してもらいます。これが「定款の認証」です。定款認証の手数料は5万円で、紙の定款にする場合は4万円の収入印紙も必要です。
  5. 会社の印鑑の作成
    決定した社名の印鑑を作成します。
  6. 出資金の払込
    発起人は、金融機関の発起人口座に出資金を払い込みます。
  7. 登記申請
    設立登記を行います。資本金の1,000分の7(15万円に満たない場合は15万円)の「登録免許税」がかかります。一般的に、登記申請日が会社設立日になります。

会社設立についての詳細は、こちらをご覧ください。

資本金(出資金)とは

「資本金」とは、株主が会社に出資するお金を指します。会社設立時の資金だけでなく、新規事業を始める際に株主から集めるお金も資本金です。

しかし、個人が会社を設立する際に出資者を募るのは非常に難しいため、会社を設立する人自身が株主となり、自己資金から資本金を支払うケースがほとんどです。

資本金はいくらにすべき?

2006年の会社法改正により、資本金1円から会社設立が可能になりました。実際のところ、資本金はいくらにすべきなのでしょうか。1円でも会社を設立できますが、それだけでは運転資金が足りません。足りない分は、代表者が負担することになります。

融資を受けたい場合も注意が必要です。例えば日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の場合、利用できる人の要件の一つに以下の項目があります。

自己資金の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、原則創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方

引用:新創業融資制度|日本政策金融公庫

資本金が100万円であれば、900万円の借入ができるということです。ある程度の借入を考えているなら、資本金が少ないと支障が出ます。

税金についても考慮する必要があります。法人が事業所のある地方自治体に支払う「法人住民税」の均等割部分は、資本金等の金額によって税額が決まります。

均等割の計算における資本金等の金額最低基準は「資本金1,000万円以下」です。1,000万円を超えると税額が上がるため、資本金を増やしすぎても税金面で不利になります。

資本金の決め方についての詳細は、以下の記事もご覧ください。

発起人と出資者とは

会社を設立する際にはお金が必要ですが、お金を出す人は「発起人」と「出資者」に分けられます。それぞれの違いを把握しておきましょう。

発起人
会社設立の手続きを行う人。1人以上で、法人も発起人になることができる。株式会社の場合、会社が成立した後は「株主」となる。発起人は出資者でもある。

出資者
株式会社でいうところの「株主」。出資するのみで、会社の設立手続きには関わらない。会社を「募集設立」する際に存在する。

図で表すと以下のようになります。

【発起人が設立】
発起人が会社設立した場合

【募集設立】
会社を募集設立した場合

出資方法とその注意点

会社設立時の出資方法には「現金」と「現物」があります。ここでは、それぞれの出資方法と注意点について解説します。特に、出資金の払込方法や払込時期、現金以外の出資方法についてはしっかり押さえておきましょう。

現金による資本金の払い込み

資本金を現金で準備する方法で、発起人の個人口座に振り込みます。「預け入れ」でなく、
「振込」であることに注意してください。通帳に「振込」の事実を残す必要があります。ただし、発起人が1名の場合は預け入れでも構いません。この時はまだ会社を設立していないため、法人口座は存在しません。

払込のタイミングは、設立する会社の定款認証日より後の日付である必要があります。定款認証日の前に資本金を払い込んだ場合は、登記書類を受理してもらえないことがあるので気を付けましょう。

出資者が他にいる場合は、資本金の比率もよく考えてください。出資金は借入金と違って返済の必要がないため、「多いほうがよい」と思いがちですが、出資者は将来株主になるため、発起人(事業を行う人)の出資が少ないと、結果的に出資者側の持株比率が高くなってしまいます。

「自分の会社は自分の意志で動かしたい」と考えるなら、出資の割合についても十分検討し、なるべく発起人の出資比率が高くなるようにしましょう。

資本金の払込については、以下の記事で詳しく解説しています。

現物出資

出資金は、現金ではなく現物で支払う方法もあります。これを「現物出資」と呼びます。現物出資できるものには、以下のようなものがあります。

これらは、資本金として計上することができます。例えば、現金での出資が500万円、現物出資が500万円の場合、資本金は1,000万円になります。「なるべく資本金を増やしたい」という場合に検討したい方法です。

以前は現物出資の際は裁判所に選任された調査役の価格証明が必要でしたが、新会社法では「現物出資の金額が500万円以下であれば価格証明は不要」となりました。

ただし現物出資を行う場合は、定款や発起人議事録に現物出資の内容を記載しておく必要があります。

出資などの手続きを把握して会社設立手続きに進もう

会社を設立する際にまず考えなければならないのが、出資金の集め方です。事業を始める人が発起人となり、発起人のみで出資金を出す方法もありますが、出資のみを行う「出資者」がいたほうが多くの資金を集められます。ただし、出資者は将来「株主」となります。出資者が多すぎると持株比率のバランスが悪くなり、発起人(事業者)が思うような経営ができなくなるおそれがあるため注意が必要です。 

出資金には「現金での出資」と「現物出資」があります。現物出資でもその金額分を資本金に含めることができるため、資本金を増やしたい場合は検討すべき手法といえます。その際は、裁判所に選任された調査役の価格証明が必要ない「500万円以下」に留めておくことが重要です。現物出資の事実を定款に記録しておく必要があることも覚えておきましょう。

よくある質問

会社設立時の出資の方法にはどのようなものがありますか?

「現金での出資」と「現物出資」があります。詳しくはこちらをご覧ください。

資本金はいくらからになりますか?

2006年の会社法改正で、資本金は1円以上となりました。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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