• 更新日 : 2023年10月20日

駄菓子屋を経営するには?開業方法や資金、成功のコツを解説

駄菓子屋を経営するには?開業方法や資金、成功のコツを解説

経済産業省によると、1991年に6万9,048か所あった駄菓子屋などが該当する「菓子小売業」は、2016年には1万5,746か所に激減しているそうです。近年影を薄くしつつある駄菓子屋ですが、ビジネスとしてはどのように見れば良いでしょうか。本記事では駄菓子屋経営のメリットやデメリット、経営のコツなどを交えて解説します。

駄菓子屋経営の現状は?

上述した通り、1991年に6万9,048か所あった駄菓子屋などが該当する「菓子小売業」は、2016年には1万5,746か所に激減しています。かつては学校帰りの子どもたちの集いの場であった駄菓子屋ですが、近年は少子化の影響やコンビニエンスストアの台頭などにより、存在感を失いつつあります。

また、かつて流行したアーケードゲームなどを目当てに駄菓子屋に集まってきていた子どもたちが、家庭用ゲーム機の普及により駄菓子屋ではなく、自宅や友人宅に集まってゲームを楽しむ生活スタイルへと変化したことなども駄菓子屋の減少に関係しているでしょう。少子化のトレンドが固定化しつつある日本では、駄菓子屋は典型的な斜陽産業であると言って良いかもしれません。

駄菓子屋を経営するメリット

斜陽化が著しい駄菓子屋ですが、駄菓子屋の件数がゼロになったわけではありません。駄菓子屋に対するニーズは一定数存在し、ゴーイングコンサーンをしっかりと確保している駄菓子屋も未だに存在しています。まずは駄菓子屋を経営するメリットを見ていきましょう。

開業しやすい

駄菓子屋を経営する第一のメリットは開業のしやすさです。駄菓子屋の開業には許認可などは必要なく、個人事業として開業する場合は所管の税務署へ開業届を提出するだけで開業できます。また、開業に際しては特別な資格なども必要なく、言わば身一つで開業することが可能です。仕入や在庫管理なども一般的な小売店と比較して簡単なので、経営も非常にシンプルです。特に初めて商売を行う人にとっては、比較的参入しやすいと言えるでしょう。

低コストで開業できる

低コストで開業できるのも駄菓子屋を経営するメリットです。駄菓子屋の開業には、飲食店のように大掛かりな内外装工事や設備投資などは必要ありません。また、比較的小スペースで開業できるので、物件取得費用も相応に抑えることが可能です。オーナー自らが経営にあたれば、従業員の人件費や採用コストを負担する必要もありません。さらに、駄菓子屋は一般的な小売業と比べて仕入れコストが低く、開業のための仕入れコストも抑えることができます。

ランニングコストが低い

開業後のランニングコストが低いのも駄菓子屋を経営するメリットです。一般的な小売店や飲食店などに比べて家賃が安く、水道光熱費なども安く抑えることが可能です。また、広告宣伝費なども安く、インターネットやソーシャルメディアなどを使えばローコストでの広告宣伝が可能です。

駄菓子屋を経営するデメリット

一方、駄菓子屋を経営するデメリットは何でしょうか。駄菓子屋を経営する最大のデメリットは「経営が難しい」ことでしょう。前述のとおり多くの駄菓子屋の経営が立ち行かず、市場からの撤退を余儀なくされています。なぜ、駄菓子屋の経営は難しいか、デメリットと併せて見ていきましょう。

子どもたちの消費スタイルが変化している。

駄菓子屋の経営が難しい理由のひとつが子どもたちの消費スタイルの変化です。かつて学校帰りに小銭を手に駄菓子屋に集まっていた子どもたちは、今ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットで駄菓子を購入しています。小中学校に近いコンビニエンスストアなどでは駄菓子専用の売り場スペースが用意され、駄菓子屋離れに拍車をかけています。

売上・利益率が低い

売上や利益率が低いのもデメリットです。一般的な駄菓子屋の利益率は10~20%程度と言われ、客単価も数百円程度とされています。仮に一日の売上高が1万円だったとしても、2,000円しか粗利がとれません。そこから地代家賃や人件費などの費用を支払えば、手元に残るお金はわずかしかありません。また、仕入れた在庫が消費期限切れなどになると廃棄する必要が生じ、その分が丸々損になります。駄菓子屋単体で利益を上げるのは、相当に難しいと言わざるを得ません。

駄菓子屋の経営スタイルは?

駄菓子屋を開業するにあたり、経営スタイルがいくつか挙げられます。ここでは、駄菓子屋の経営として一般的な方法を3つ紹介します。

自宅を改装して経営する

まずは自宅を改装して経営するスタイルです。自宅を改装して駄菓子屋を開業すれば、店舗を借りて開業する際に必要な物件取得費用や毎月の家賃を負担する必要がありません。一般的な駄菓子屋経営における家賃の比重は大きく、多くの駄菓子屋が家賃の支払いを負担に感じています。自宅を店舗として活用できれば、固定費が下がることで収支の均衡を図り、ひいては黒字を確保できる可能性も高まります。

オンラインショップで経営する

実店舗ではなく、オンラインショップで駄菓子屋を経営するという方法もあります。オンラインショップで駄菓子屋を経営する最大のメリットは販売エリアや営業時間に囚われずに販売できることです。オンラインショップでは、駄菓子をまとめてバルクで販売していことが少なくありません。オンラインショップは子どもだけでなく大人も客層として取り込めるため、まとめ買いやリピート買いをしてくれる可能性もあります。

移動販売で経営する

トラックなどを使った移動販売で駄菓子を販売するという方法も一つの経営スタイルです。仕入れた駄菓子をそのまま販売するのであれば、営業を行う地域の保健所から「食品移動自動車」の営業許可を取得すれば営業可能です。実店舗で駄菓子屋を経営するよりも商圏を広くすることが可能で、良質な出店場所を確保できればリピーターを獲得できる可能性もあります。

駄菓子屋の開業・経営にかかる費用

駄菓子屋の経営にかかる費用は、飲食店などと比べると安いといわれています。ここでは駄菓子屋の経営にかかる費用を、初期費用とランニングコストに分けて見ていきましょう。

開業時の初期費用

開業時に必要な初期費用としては、店舗の取得費用、内外装工事費、什器備品などの購入費、仕入れ費用などが挙げられます。オンラインショップで駄菓子屋を開業する場合は、オンラインショップの構築費用が、ショッピングモールなどに出店する場合は出店費用が、ネットショッププラットフォームを使って開業する際は初期費用がそれぞれ必要になります。また、移動販売で駄菓子屋を開業する場合は、トラックの購入費用やリース料などが必要になります。

ランニングコスト

駄菓子屋のランニングコストとしては、商品の仕入れ費用、店舗の家賃、水道光熱費、通信費、人件費、広告宣伝費などが挙げられます。一般的な駄菓子屋の粗利率は20%程度であると上述しましたが、駄菓子屋の経営で黒字を確保するにはランニングコストを相応に低く抑える必要があります。店舗の家賃や人件費を支払ってまで利益を確保するのは相当難しいのが実情でしょう。それゆえ、自宅を改装して駄菓子屋を経営するか、オンラインショップで駄菓子屋を経営する方がコスト的に有利になるでしょう。

駄菓子屋の経営で成功するコツ

縮小の一途を辿る駄菓子屋において、経営を成功し続けるのは至難の業です。駄菓子屋の中には、趣味や副業として経営しているケースもありますが、駄菓子屋を「本業」として経営し、成功させているケースももちろんあります。ここでは、駄菓子屋経営を成功に導くためのコツを解説します。

ランニングコストを可能な限り下げる

駄菓子屋の経営で成功するコツの第一は、ランニングコストを可能な限り下げることです。一般的な駄菓子屋の粗利益率は20%程度であると何度も記しましたが、その乏しい利益の中から店舗家賃や人件費を負担することは基本的に相当困難です。自宅に余剰スペースがある場合は自宅で、ない場合はオンラインショップで駄菓子屋を開業し、従業員なども雇わずに、自分ひとりか家族だけでオペレーションできるようにするのが理想的です。

大人をターゲットにする

ターゲット層を広げることも売り上げにつながるポイントです。実店舗の駄菓子屋で小中学生をターゲットにしている場合、客単価はせいぜい数百円といったところが関の山でしょう。

一方、ターゲットを大人まで広げて客単価を大きく上げることで、売上の増加が期待できます。特にオンラインショップの駄菓子屋の場合、詰め合わせやバルク販売といった販売方法を採ることも可能です。

オンライン販売を行う

オンライン販売を行うのも駄菓子屋経営の一つの手段です。実店舗で駄菓子を販売するとともに、オンラインでも販売する「ハイブリッド販売」を行うことで販売エリアやターゲットを拡大させることができます。ハイブリッド販売により実店舗の客をオンラインへ送客し、逆にオンラインの客を実店舗へ送客するというシナジー効果も期待できるでしょう。また、オンライン販売は営業時間などが限定されないという大きなメリットもあります。

海外にも販売する

可能であれば日本国内市場に加えて、海外への販売も有効です。現在、日本の駄菓子やスナックなどを箱に詰め合わせて海外に販売する「日本産食品サブスクリプションサービス」がブームになりつつあります。特にアメリカの消費者などによる日本産食品への評価は高く、日本の一般的な駄菓子なども多いに受け入れられています。最近ではAmazonなどにも日本から出品できるので、そうしたプラットフォームを上手に使って海外での販売を広げていくと良いでしょう。

準備をしっかりとして駄菓子屋経営を成功させよう

本記事では駄菓子屋経営のメリットやデメリット、経営のコツなどを交えて解説しました。少子化の進行や消費パターンの変化などの影響を受け、今日駄菓子屋の経営は極めて難しくなってきています。しかし、困難な経営環境の中でも駄菓子屋の経営を成功させ、事業を拡大しているケースは存在します。これから駄菓子屋の開業を目指す人は、市場調査やシミュレーションなどを密に行い、準備をしっかりとして駄菓子屋の経営を成功させてください。


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