• 作成日 : 2025年2月12日

中古アパート経営で利益を出すには?利回り計算や始め方を解説

中古アパートの経営は、新築に比べて初期費用が安く、利回りを出しやすい点がメリットです。また、節税効果が高いという利点もあります。一方で、空室のリスクが高く、修繕費も高くなりやすいのがデメリットです。

本記事では、中古アパート経営と新築アパート経営の違いや、利回りの計算方法、経営の始め方などを解説します。

中古アパート経営は利益を出しやすい?

中古アパート経営とは、中古のアパートを購入してから賃貸物件として部屋を貸し出し、家賃収入を得る不動産事業のことです。マンションの場合は1部屋を区分所有して賃貸経営する場合もありますが、アパートの場合は1棟を所有して、各部屋を貸し出します。

アパート経営の主な収入は、入居者からの家賃収入や入居時の礼金、更新時の更新料となります。一方、アパートのオーナーは建物の修繕・メンテナンスの費用や火災保険料、固定資産税などを負担しなければなりません。アパート経営による収入からこれら諸費用を差し引いた額が、アパート経営の利益となります。

アパート経営で利益が出るかどうかは、入居状況に左右されます。空室がある場合でも毎月の経費はかかるため、いかに空室をつくらずに運営するかが利益を出すポイントです。

中古アパート経営のメリット

中古アパート経営には、以下のようなメリットがあります。

  • 節税効果がある
  • 利回りが高くなりやすい
  • 新築に比べ少額から始められる

それぞれの内容をみていきましょう。

節税効果がある

中古アパート経営は、節税効果が期待できます。まず、アパートを購入する際に発生する初期費用は必要経費となり、収入から差し引くことで、所得税額を軽減できます。

また、減価償却でも中古アパート経営は節税効果が期待できます。アパートの購入費用は減価償却の対象となり、法定耐用年数の期間をかけて毎年経費計上する仕組みです。

法定耐用年数が長ければ、それだけ毎年計上できる金額は少なくなります。しかし、中古アパートの法定耐用年数は新築よりも短くなるため、1年間に計上できる減価償却費が大きくなり、節税効果が高くなるでしょう。

利回りが高くなりやすい

中古アパートは新築物件よりも安く購入できることが多いため、利回りが高くなりやすいことがメリットです。賃貸経営における利回りとは、物件の取得価格に対して1年間の家賃収入がどれくらいの割合かを示すものです。

中古アパートは新築に比べて初期費用が抑えられ、支出した費用の回収も早くなりやすくなります。入居状況が安定して経営が順調に進めば、高利回りで安定した経営が期待できるでしょう。

ただし高利回りである中古アパートは、その分リスクが高い可能性があるため、リスクの範囲も見極めた判断が必要です。

新築に比べ少額から始められる

一般的に中古アパートは同じ規模の新築アパートに比べて物件価格が安いため、初期費用を抑えられ、少額から賃貸経営を始められることがメリットです。手元に多く資金を残せるため、経営上のリスクに備えることもできます。

さらに、中古アパートは多くの場合すでに入居者がおり、オーナーチェンジで購入後すぐに家賃収入が入る可能性があるのもメリットです。

また、中古アパートは購入後の経営のイメージがしやすいのもメリットです。物件の状態や管理状況、入居率などを確認でき、修繕やリフォームの必要性などを把握し、アパート経営が成り立つのか、利益を出せるかの判断ができます。

中古アパート経営のデメリットやリスク

中古アパート経営には、デメリットもあります。空室リスクが高く、修繕費もかかるという点です。すでに居住している住民のトラブルにも注意しなければなりません。

中古アパート経営のデメリット・リスクについてみていきましょう。

空室リスクがある

中古アパートは、新築と比較すると空室リスクが高いことがデメリットです。築年数が古いほど人気が下がり、リスクが高まります。

経年劣化があるほか、間取りや設備も流行から外れることが多いでしょう。周囲の築浅アパートよりも優位になるためには、人気の設備・内装にリフォームしたり、家賃を安くしたりするなどの対策が必要です。

修繕費がかかる

中古アパートは老朽化が進んでいることがほとんどで、修繕費用がかかりやすいこともデメリットです。状態をよく確認しないで購入し、隠れた老朽化や不具合があった場合、大規模な修繕が必要になるかもしれません。

また、居住者を集めるため、最新のトレンドに合わせたリフォームも必要になるでしょう。

取得価格は安くても、結果的に高くついてしまう可能性はあります。

住民トラブルへの対応

中古アパートはすでに住民が入居しているのが一般的ですが、問題を起こす居住者が住んでいる場合、そのままトラブルを引き継いでしまうことになります。

これから新たに入居者を募集する場合は審査により住民を選ぶことができますが、すでに居住している住民についてはそのような対策ができません。アパートを取得する際に、どのような住民が住んでいるのか、できるだけ詳細に確認するとよいでしょう。

中古アパートと新築アパートの経営の違い

中古アパートと新築アパートは、経営のメリット・デメリットや向いている人が異なります。

ここでは両者の比較や、それぞれに向いている人を解説します。

中古アパートと新築アパートの比較

中古アパートと新築アパートのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
中古アパート
  • 物件価格が安く高利回りが期待できる
  • すでに入居者がいればすぐに家賃収入を得られる
  • 多額の修繕費が発生する可能性がある
  • 新築よりも融資を受けにくい
新築アパート
  • 中古よりも好条件で融資を受けられる可能性がある
  • 空室リスクが低い
  • 初期費用が高い
  • 需要が読みにくい

新築アパートは取得価格が高くなるものの、資産価値が評価されて融資を受けやすいというメリットがあります。

また、新築物件は人気が高く、空室リスクも軽減できるでしょう。ただし、需要が読みにくいため、立地によっては空室リスクが高くなる可能性があります。

中古アパートが向いている人

中古アパートが向いている人は、以下のとおりです。

  • 初期投資を抑えたい
  • 利回りの高い物件に投資したい
  • まとまった手元資金がある

新築よりも購入価格を抑えられる中古アパートは、初期投資を抑えたい人、利回りの高い物件に投資したい人に向いています。また、中古物件は高額な融資を受けにくいため、手元資金が多い人に向いているでしょう。

新築アパートが向いている人

新築アパートが向いているのは、以下のような人です。

  • 長期的に安定した収入が欲しい
  • 手元資金が少ない
  • 所有している土地を活用したい

新築であれば長く稼働できるため、長期的に安定収入を目指す人に向いています。また、新築物件は融資を受けやすく、金利などの条件も有利になりやすいため、手元資金が少なめという人にも向いているでしょう。

すでに土地を所有している場合は、新築アパートを建築して賃貸経営に活用するという選択肢があります。

中古アパート経営の利回りの計算方法

アパート経営では、収益性を確認するために利回りの確認が重要です。

ここでは、利回りの計算方法や、シミュレーションを紹介します。

利回りの計算方法

利回りとは、投資額に対してどれくらいのリターンがあるのかを示す指標です。利回りには、表面利回りと実質利回りの2種類があります。

表面利回りは、税金や管理費などの経費を含めず、物件購入価格と1年間の家賃収入をもとにして計算します。

計算式は、以下のとおりです。

「表面利回り=年間収入÷取得価格×100」

たとえば、5,000万円で取得したアパートの年間収入が500万円の場合「500万円÷5,000万円×100」となり、表面利回りは10%になります。

実質利回りは、諸経費を含めて計算します。

計算式は以下のとおりです。

「実質利回り=(年間収入-諸経費)÷取得価格×100」

中古アパート経営では、物件を取得するときも経営するときも諸経費がかかるため、実質利回りを目安にすることが適切です。

利回りのシミュレーション

ここでは、以下の条件で実質利回りをシミュレーションしてみましょう。

  • 取得価格:6,000万円
  • 家賃:1室5万円/月×10部屋(年間収入600万円)
  • 経費:収入の15%

部屋が満室であると想定した場合、実質利回りの計算式は以下のようになります。

{年間家賃収入600万円-諸経費90万円(600万円×15%)}÷取得価格6,000万円×100

計算すると、実質利回りは8.5%となります。

中古アパート経営にかかる費用

中古アパート経営でかかる費用は、取得時の初期費用と、賃貸経営を継続する上でかかるランニングコストです。

それぞれの費用について、解説します。

初期費用

中古アパート経営を始めるときは、主に以下の費用がかかります。

  • 物件取得費
  • 仲介手数料
  • 火災保険料
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • ローン手数料

アパートの購入でローンを利用する場合、物件価格の10〜30%程度の頭金を準備することが一般的です。仲介手数料は、「物件価格×3%+6万円」の計算式で計算します。

印紙税は、不動産売買契約書に課される税金で、売買価格に応じて金額が変わります。

登録免許税は、「固定資産税評価額×2%」で計算した金額です。

登記手続きを司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬も必要です。

ランニングコスト

アパート経営を開始したあとは、維持管理費用や修繕費用、水道・光熱費、税金などのランニングコストがかかります。ローンを利用した場合は毎月の返済額が加わり、これらのコストは家賃収入の有無にかかわらず発生し、支払いが必要です。

維持管理費は、アパート経営に関するさまざまな管理業務にかかる費用です。管理業務には、共用部の清掃や点検、家賃の回収、入居者からの問い合わせ対応などが挙げられます。管理会社へ委託も可能であり、管理費用の目安は家賃収入の5〜10%程度です。

アパート経営を始める前に、ランニングコストの種類を確認し、それぞれの項目がどの程度の金額になるか把握しておくとよいでしょう。

中古アパート経営の始め方

中古アパート経営を始める際は、手順を踏むことが大切です。物件を購入するまでのおよその手順は、以下のとおりです。

  1. 中古アパート購入の目的を明確にする
  2. 融資条件を確認する
  3. 不動産会社に相談する
  4. 物件を探す
  5. 物件を契約・購入する

中古アパート経営の始め方について、詳しく解説します。

1.中古アパート購入の目的を明確にする

中古アパート経営で物件を購入する際は、目的を明確にしましょう。アパート経営の目的は人によりさまざまで、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 副業で家賃収入を得たい
  • 老後の収入源にしたい
  • 本業の所得税を節税したい

目的に応じて、適した物件は変わります。たとえば、節税が目的であれば、法定耐用年数を超えた木造や築古物件が適しています。長期的な資産形成を目指すのであれば、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の物件がよいでしょう。

2.融資条件を確認する

融資を受ける場合は、融資条件の確認が大切です。「融資特約(ローン特約)」がついているか、必ず確認しておきましょう。

融資特約とは、ローンを利用することを前提とした不動産売買契約で融資審査に落ちた場合に、契約を解除できる特約です。買主を保護する重要な特約であり、売買契約締結時にすでに支払い済みのお金は、買主へ全額返金されます。

3.不動産会社に相談する

物件を探す前に、信頼できる不動産会社を見つけて相談することが大切です。自分でネットなどを検索して物件を探すと、表面的な情報だけで物件を選びやすく、目的に合う物件を見極められません。

取引実績が豊富で、アパート経営にも十分な知見のある不動産会社を選ぶことが、賃貸経営を成功させるコツです。目的を伝えて相談することで、適切な物件を見つけやすいでしょう。

4.物件を探す

不動産会社のサポートを受けながら、目的に合った物件を探します。気になる物件があれば現地に出向き、設備・内装の状態や管理状況、周辺環境などをチェックしましょう。

中古アパートの場合は、管理状況の確認が大切です。満室状態の場合は部屋の中まで確認するのは難しいため、管理会社が管理している場合はこれまでの管理記録・修繕履歴を確認しておくとよいでしょう。

5.物件を契約・購入する

物件を決めたら、契約・購入のステップへ進みます。購入の意思を伝えるため、物件概要や希望金額などが記載された「買付証明書」を不動産会社に提出しましょう。

ローンを組む場合、事前審査が通ってから不動産売買契約を結びます。不動産会社から重要事項説明を受け、手付金が必要な場合は支払いを行います。

ローンの本審査が通ったら物件の引き渡しを受け、賃貸経営を開始するという流れです。

中古アパート経営を成功させよう

中古アパート経営は初期費用を抑えて賃貸経営を開始でき、利回りも高く収益を上げやすいのがメリットです。入居者がいればすぐに家賃収入があり、募集広告を行う手間を省けます。

アパート経営は初期費用のほかにランニングコストもかかるため、どのような支出があるのか、あらかじめ確認しておくことが大切です。

購入の際は目的を明確にして、信頼できる不動産会社に相談するようにしましょう。


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