• 更新日 : 2023年8月25日

経営の相談はいつ・誰にすればいい?相談のポイントも解説

会社経営には悩みがつきものです。特に中小企業の経営者は、営業やマーケティングの課題、人手不足などの人事の問題、金融機関からの借入や返済、資金繰りなど、悩みが尽きることはありません。そういう経営上の相談を、誰にどのようにすればいいのでしょうか。本記事では、特に中小企業の経営者を対象に、経営相談の具体的な方法をお伝えします。また、公的機関などの無料の相談窓口などについてもお伝えします。

経営の相談は誰にすればいい?

中小企業の経営者や、ほぼ全てのことを自分で意思決定しなければならないオーナーは、経営の相談相手が欲しいと思うことが多々あることでしょう。しかし、本音を包み隠さず話せる相手はなかなか見つからないものです。経営者が真に経営の相談をしたいときは、誰に相談すればいいのでしょうか。

友人・知人の経営者

経営者の相談相手としてまず挙げられるのが友人・知人の経営者です。各種の経験を積み重ねている経営者は相談相手として貴重な存在です。特に苦しい、厳しい局面を何度も乗り越えてきた経営者は、数々の修羅場を経験した人でなければ理解できない状況を理解してくれるので、適切で現実的なアドバイスを与えてくれる可能性が高いでしょう。同じ経営者という同志の友人や知人こそ、苦しいときに有益なアドバイスを与えてくれる優れたアドバイザーになります。

経営コンサルタント

身近に友人・知人の経営者がいない場合、経営コンサルタントに相談するのも一つの手でしょう。経営コンサルタントの多くは何らかの専門性を有しているので、悩みを抱えている分野に秀でた経営コンサルタントに相談するのが有効です。また、多くの経営コンサルタントが初回面談を無料で行っています。資金繰りや借入金返済などの深刻な課題についても、財務系のコンサルタントや事業再生系のコンサルタントが相談に応じてくれます。

公的機関

各種の公的機関も経営の相談窓口として利用できます。例えば東京都の場合、公益財団法人東京都中小企業振興公社が「ワンストップ総合相談窓口」を設けていて、対面、電話、メール、オンライン会議での相談が可能です。また、中小企業庁も「よろず支援拠点」を各地に設けており、対面や電話、FAXでの相談が可能です。公的機関による経営相談の多くは無料で利用でき、さらに必要に応じて専門家の派遣なども行ってくれます。なお、専門家の派遣については実費などの費用の負担が生じるケースもあるのでご注意ください。

経営の相談をする場合、どのタイミングですればよい?

ところで、実際に経営の相談をする場合、どのタイミングですれば良いでしょうか。常に多くの仕事を抱えている経営者の場合、経営の相談をする時間を見つけることが困難であったり、あるいは相談相手との時間の調整が難しかったりするケースが少なくないでしょう。普段の忙しさにかまけて経営相談をする時間や相手を見失ってしまう人も多いと思います。基本的には、以下のポイントを守ることが肝要です。

取り返しがつかない状態になる前に相談する

経営相談の基本は病気の場合と同じで、取り返しがつかない状態になる前に相談することです。例えば、資金繰りが厳しい状況においては、これからの手形が落ちないといった状態になる前に、余裕がある段階で相談をすべきでしょう。

平時でも気軽に相談する

取り返しがつかない状態になる前に相談することとともに、平時でも気軽に相談できるようにしておくことも重要です。社内外に相談相手を持ち、いつでも気軽に相談できる体制を構築しておくことは、経営者が精神衛生上良好になれるだけでなく、問題の早期発見と早期対応の実現につながります。経営の上手な経営者の多くが、周囲に良き相談相手を抱えているのは決して偶然ではありません。対面で物理的に相談できるようにしておくだけでなく、メールやチャットなどでも相談できるようにしておくと良いでしょう。

経営の相談先の選び方

経営の相談先はどのように選べば良いでしょうか。ポイントはいくつかありますが、重要なのは相談相手のクオリティーです。なぜなら、経営の相談先は数が重要なのではなく、抱えている経営上の課題に対して適切で的確なアドバイスを与えてもらえるからです。その意味で、経営の相談先を選ぶ際には、以下の点をチェックすることが重要です。

実績があるかどうか

経営の相談先を選ぶ第一のポイントは、相談先に実績があるかどうかです。特に、経営コンサルタントを相談先に選ぶ際には、これまでのトラックレコード(実績)を確認することが重要です。トラックレコードをウェブサイトなどで公開していない場合なども、口頭ベースで確認すると良いでしょう。

サポート体制が充実しているか

経営の相談先を選ぶ第二のポイントは、相談先のサポート体制が充実しているかどうかです。特に、事業再生やM&Aといった大がかりなプロジェクトを推進するケースにおいては、この点が極めて重要になります。相談先である経営コンサルタントの個人の能力をチェックするとともに、他のサポートを受けられるのかを確認する必要があります。他のサポートが受けられないと、プロジェクトの遂行そのものが不可能になる可能性もあるでしょう。

報酬は適正か

経営の相談先を選ぶ第三のポイントは、相談先の報酬(フィー)が適正かどうかです。経営コンサルタントの中には、コンサルティングの役務を提供する前に着手金を請求したり、コンサルティングの対価として成功報酬を請求したりする人もいます。相見積もりの依頼などもして、報酬の妥当性を検証しましょう。

経営相談する前に注意するポイントや整理しておくこと

いくつもの経営上の課題を抱えていると、経営相談をする際に、複数の相談を同時にしてしまいがちです。また、日頃なかなか言えないような愚痴などもこぼしてしまうこともあるでしょう。しかし、経営相談を受ける側にしてみれば相談内容をできるだけ簡潔にして、問題点や論点なども可能な限り明瞭にしておきたいものです。経営相談をする際のポイントを以下に挙げます。

直面している問題点を明らかにしておく

経営相談をする際の第一のポイントは、直面している問題点を明らかにしておくことです。ここでのポイントは、直面している問題点を残さずリストアップして、その上で問題解決の優先順位を決めることです。例えば、既存製品の売上が落ちて業績が悪化し、資金繰りが破綻しそうな場合、業績改善を第一の優先課題とするか、または資金繰り改善を第一の優先課題とするかを決める必要があります。資金繰り改善を第一の優先課題とする場合、経営相談の相手は財務や資金繰り管理に精通した専門家になるでしょう。

会社が置かれている現状を把握しておく

経営相談をする際の第二のポイントは、会社が置かれている現状を把握しておくことです。例えば、既存製品の売上が落ちて業績が悪化し、資金繰りが破綻しそうであるといった場合、まずは応急手当として資金繰りに余裕を持たせてから、売上が落ちている原因を正しく把握する必要があります。当該製品の市場シェアと推移、競合製品の状況、市場全体の推移、顧客の属性といったデータを把握し、経営相談する相手と共有できるようにしておくことも必要でしょう。また、経営相談をする前にSWOT分析などを実施しておくことも有効になります。

資金繰りの状態を把握しておく

経営相談をする際の第三のポイントは、資金繰りの状態を把握しておくことです。会社経営の問題の多くは、資金繰りの悪化であり、多くの企業は資金繰りがうまくいかなくなることで経営が破綻します。よって、経営相談をする上では、会社の資金繰りの状況を把握し、相談相手と共有する必要があります。資金繰りが厳しい会社の場合は、日繰りベースで資金繰りを把握し、ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)を確認する必要があります。

経営相談できる相手を持ち、健全な経営を実現しよう

以上、特に中小企業の経営者を対象に、経営相談の具体的な方法をお伝えしました。よく言われることですが、経営者は孤独です。常に経営の重圧にさらされ、資金繰りで悩まされ、人間関係で苦しむような経営者にとっては、いつでも気軽に相談できる相手を持つことは慰めであり、大きな心の支えとなります。経営相談できる相手を持ち、健全な経営を実現しましょう。


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