• 作成日 : 2025年2月12日

古物商開業に許認可は必要?古物商許可申請の流れや開業準備のまとめ

古物商の開業にあたり、古物商許可が必要な取引と必要ない取引があります。開業する際は、必要な取引が該当するかよく確認しておくことが大切です。今回は、古物商許可証が必要なケースや不要なケース、許可申請の流れ、古物商開業の流れについて解説します。

古物商許可が必要になる条件

古物商許可とは、古物営業を行う事業者が都道府県の公安委員会(※事業所を管轄する警察署を経由)で取得しなければならない許可を指します。ここでいう古物とは、政令に定められるものを除いた、一度使用された物品、または使用されない物品で使用のために取引されたもの、もしくはこれらの物品に幾分の手入れをしたもの、または使用されない物品で使用のために取引されたもの、もしくはこれらの物品に幾分の手入れをしたものです。古物営業のうち、以下の事業を営む場合は、古物商許可が必要です。

条件説明
古物を買って売る場合購入・売却の2つの条件を満たすこと
古物を修理して売る場合修理や補修をした古物を売ること
古物を買って部分的に売る場合購入した古物から使用できる部品を取り出して販売すること
古物を委託売買した場合販売依頼を受けて古物を販売し、手数料として報酬を受け取ること
古物をほかのものと交換した場合古物を引き取り(下取り)して、別の物品と交換すること

別の物品には商品券やポイントの発行も含まれる

古物を購入しレンタルする場合古物を買い取って、第三者にレンタルさせること

中古車のレンタルなどが該当します

古物を買い取り海外に輸出する場合国内で古物を買い取った後、海外で販売するために輸出すること

古物商許可が不要なケース

古物を取り扱う場合でも、古物商許可が不要なケースが存在します。例えば、古物を買い取って販売することに該当しない場合です。無償で譲り受けたものを売却するケースが該当します。また、自分が使用するために購入した中古品を売却する場合も古物商許可は必要ありません。一度売却したものを相手から買い戻す場合や、手数料をもらって回収した物品を売却する場合も、古物営業とは言い難いため、許可は不要です。

注意したいのは、輸入と輸出の取り扱いです。国内で買い取った古物を海外に販売する場合、つまり輸出する場合には古物商許可が必要になります。しかし、海外で購入した古物を日本国内で販売する場合、つまり輸入する場合には古物商許可は不要です。古物商許可の対象になるのは、あくまで日本国内に流通する古物に限られるためです。海外の古物については適用を受けません。

古物商許可を申請する流れ

古物商許可を申請する流れについて紹介します。

事前準備

古物商許可を申請する場合、営業所を用意しておかなければなりません。ネットショップでも許可を取得するには営業所が必要です。会社の本店所在地のほか、個人であれば自宅などを営業所に設定できます。営業所をどこにするか、ない場合は営業所になる場所を見つけておきましょう。

営業許可を申請して取得するまでには時間がかかります。申請の結果がわかるまで、基本的に1カ月以上要するため、営業直前ではなく早めに申請しましょう。

必要書類

古物許可の申請に必要な添付書類を用意します。個人事業主と法人では必要な書類の種類が異なります。必要書類は、以下の表の通りです。

個人事業主法人
  • 住民票の写し(本籍または国籍などが記載されたもの)
  • 略歴書
  • 誓約書
  • 身分証明書

※上記の書類については本人のものと営業所の管理者のものが必要です。

※該当する営業形態ではURLの使用権限があることを証明する書類も添付します。

  • 登記事項証明書
  • 定款
  • 略歴書
  • 住民票の写し(本籍または国籍などが記載されたもの)
  • 誓約書
  • 身分証明書

※略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書については、役員全員と営業所の管理者の者が必要です。

※該当する営業形態ではURLの使用権限があることを証明する書類も添付します。

手順

紹介した必要書類をそろえたら、古物商許可申請書とともに、都道府県の公安委員会(※事業所を管轄する警察署の生活安全課または生活安全部保安係の窓口を経由)に提出します。申請者と別の方が手続きをする場合は、委任状を用意して書類の提出を行います。

審査期間

古物商許可申請書類一式が受領されたあとは、審査期間に移行します。審査はおおむね1カ月から2カ月が目安です。ただし、地域によって許可が下りるまでの期間は異なります。

費用

古物商許可の申請には手数料がかかります。申請時の手数料は19,000円です。書換申請や再交付申請でも手数料がかかるため、詳細は管轄の警察署がある全国の都道府県警察のホームページで確認されることをおすすめします。

古物商で開業するまでの流れ

古物商で開業するまでの流れは、個人事業主と法人で少し異なります。

以下は、個人事業主が開業するステップです。

  1. 必要書類を準備して古物商許可を申請する
  2. 古物商許可証を受け取る
  3. 個人事業の開業届を税務署などに提出する

以下は、法人が開業するステップです。

  1. 定款を作成する(株式会社は認証が必要)
  2. 出資金を払い込む
  3. 会社の設立登記を行う
  4. 必要書類を準備して古物商許可を申請する
  5. 古物商許可証を受け取る

法人の場合、古物商許可申請にあたり、会社の登記事項証明書や定款の提出が求められます。いずれも会社を設立していないと準備できない書類です。そのため、法人については、古物商許可を申請する前に会社設立の手続きを済ませておく必要があります。

古物商の開業をスムーズに行うポイント

個人事業主でも法人の場合も、欠格事由に該当する場合は古物商許可を申請しても許可は下りません。まずは、以下の欠格事由に該当しないか確認しましょう。

  1. 破産手続開始を受け復権していない
  2. 禁錮以上の刑に処せられるなどして執行から5年経過していない
  3. 国家公安委員会規則に定める違法行為のおそれがある
  4. 暴力団による不当な行為の防止等に関する法律などの指示を受けて3年経過していない
  5. 住居が定まっていない
  6. 古物営業許可を取り消されて5年を経過していない
  7. 古物営業法第24条の規定に該当し許可証の返納から5年を経過していない
  8. 国家公安委員会規則により心身の故障で適正に業務を行えない
  9. 未成年者
  10. 管理者を選任するにあたり認められない相当の理由がある
  11. 上記1~8のいずれかに該当する法人の役員

個人事業主の場合

個人事業主が古物商許可を得て開業するケースにおいて、他に必要な手続きはありません。なお、個人の開業届は古物商許可の申請が必須ではないため、古物商許可証を得てから、税務署や都道府県に開業届を提出できます。スムーズな開業を実現するには、開業届よりも古物商許可の申請を優先しましょう。

なお、古物商許可は、許可から6カ月以内に営業開始しないときは、取り消される可能性があります。すぐに古物商取引を始めない場合は注意しましょう。

法人の場合

法人が古物商許可を得るには、先に法人設立の手続きが必要です。法人の設立は、具体的に以下の手順で進めていきます。

  1. 会社の基本事項を決める
  2. 役員個人の印鑑証明書や住民票などを取得しておく
  3. 会社の本店や営業所を決める(必要に応じて不動産契約)
  4. 会社の実印を作成する
  5. 定款を作成する
  6. 出資金を払い込む
  7. 定款を認証してもらう(株式会社のみ)
  8. 資本金払込証明書や取締役決定書などを作成する
  9. 法務局で法人の設立登記の申請を行う

法人の設立登記は1~2週間程度を目安に完了します。古物商の許可が下りるまでに時間がかかるため、登記確認後はすぐに許可申請をするようにしましょう。古物商許可をスムーズに取得するには、事前に管轄の都道府県公安委員会で相談しておくことをおすすめします。

中古品の営業では古物商許認可が必要

中古品を買い取って販売する場合や、中古品を修理して販売する場合などは、古物営業となるため、管轄の警察を通して都道府県公安委員会に古物商許可の申請が必要です。事業で中古品を扱う可能性がある場合は、古物商許可の対象となるか確認しましょう。なお、古物商許可の申請には時間がかかるため、許可までの期間を見越したスケジュールで開業までの手続きを済ませることが大切です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事