• 作成日 : 2025年2月12日

日本語学校設立の許認可とは?要件や費用、期間、必要書類を解説

日本語学校を設立するには、必要書類を作成して各地方の入国管理局への申請が必要です。また、日本語学校の設立にあたっては、講師や校舎、資産などについての要件があります。

本記事では、日本語学校設立にあたって必要な許認可や要件、費用、期間などについて解説します。日本語学校設立を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

日本語学校設立に必要な許認可とは?

日本語学校を設立する際は、必要書類を作成し、各地方の入国管理局へ申請する必要があります。後述しますが、必要書類の作成や情報収集、申請から開校までには、約1年間かかります。書類にミスがあったということがないようにすることが大切です。

各地方の入国管理局へ申請

各地方の入国管理局へ申請する書類の受付時期は、毎年4月期と10月期の年2回です。そのため、4月開校を予定されている場合は、前年3月末までに各地方入国管理局へ申請することになります。

申請タイミングを逃すと、次回まで待たなければなりません。受付時期にしっかりと申請できるように以下で紹介する内容をしっかりと把握して、準備しましょう。

日本語学校設立の許可に必要な要件

日本語学校設立の許可に必要な要件について解説します。必要な要件は、以下の3つです。

  • 講師(校長・主任教員・専属教員)
  • 校舎・施設
  • 資産・財務

日本語学校を設立するためには、それぞれの要件をクリアする必要があるため、内容について理解しておきましょう。

講師(校長・主任教員・専属教員)

要件の1つが、日本語学校を運営するうえで必要となる人員の確保です。必要な人員は、校長・主任教員・専属教員の3つです。

<校長>

校長は、いわゆる学校でいうところの校長先生と同じ職務を担います。日本語学校の校長には、日本語教育についての識見はもちろん、教育や学術、文化に関する業務に原則5年以上従事している経験が求められます。

校長の勤務形態は常勤・非常勤を問いません。各学校1名確保する必要があり、過去に小学校や中学校、高校などで校長を務めていた方や大学教授が担当するケースが多くなっています。

<主任教員>

主任教員は、通常は専任教員から選ばれます。主任教員として選ばれるには、以下のような経験が必要です。

  • カリキュラムの編成や日本語教育に関する知識と能力を持つ
  • 日本語の教員または研究所で3年以上の経験がある

教務主任は、常勤で1名確保する必要があります。

<専属教員>

専属教員とは、現場で教える先生のことです。最低一人は必要で、生徒数などにあわせて増やしていくことになります。

専属教員になるための条件は、以下のとおりです。

  • 大学で日本語教育を専攻している
  • 日本語教育科目を45単位以上修了している
  • 日本語教育能力検定試験の合格者 など

校舎・施設

日本語学校を設立するためには、校舎が必要です。一般的な学校と同じく、日本語学校の校舎にも規定があります。条件は、以下のとおりです。

  • 自己所有である
  • 敷地面積が115平方メートル以上である
  • 同時に授業を行う生徒1人あたり2.3平方メートル以上である
  • 教室や教員室、図書室、事務室、保健室など必要な施設を整える

仮に定員100名の場合、230平方メートルの敷地が必要です。なお、オフィスビルを1フロアだけ間借りする区分所有権でも認められます。

資産・財務

資産・財務についても要件が設定されています。日本語学校は申請から開校までに約1年かかります。さらに、開校後も経営が軌道に乗るまで約2~3年必要です。

そのため、黒字化するまでの期間の人件費や学生募集の広告費、学校運営費などをまかなえる資産も準備しなくてはなりません。

日本語学校設立の許可に必要な書類

日本語学校の設立申請に必要な書類について解説します。必要な書類は、以下のとおりです。

  • 教員採用条件や資格証明書などの書類
  • 学校設置者や役員、生徒指導職員などの関係書類
  • 授業配分表
  • 謄本・納税証明書

それぞれ詳しく見ていきましょう。

教員採用条件や資格証明書などの書類

日本語学校に勤める教員に関する書類が必要です。教員の履歴書や職務経歴書、就任承諾書、検定合格証書などが該当します。履歴書は手書きかつ、署名・押印があることが条件です。

学校設置者や役員、生徒指導職員などの関係書類

日本語学校設置者や役員、生徒指導職員の履歴書や就任承諾書も必要です。こちらも、手書きかつ、署名・押印があることが条件となります。

授業配分表

授業割り当てや教室の生徒数割り当てについての書類も必要です。収容する生徒の人数に応じて授業配分表を決める必要があります。

謄本・納税証明書

校舎や校地の謄本、会社が運営する場合は会社の謄本と納税証明書も必要です。必要な書類は多岐にわたるため、事前に必要書類の内容を確認して準備できるものからそろえておきましょう。

日本語学校設立にかかる費用

日本語学校設立にかかる費用について解説します。前述したように、日本語学校は申請から開校までに約1年、そして開校から運営が軌道に乗るまでに約2~3年かかるといわれています。そのため、少なくとも2~3年分の運転資金が必要です。

設立にかかる費用としては、2,000万~4,000万円くらいのお金を準備しておきましょう。なお、この金額には、校舎の土地代や建設費は含まれません。

日本語学校の申請から設立の流れ・期間

日本語学校の申請から設立の流れ・期間について解説します。前述したように、日本語学校を開校できるタイミングは年に2回(4月期、10月期)です。

<流れ>

  1. 必要書類の作成に向けた準備(申請の2ヶ月前~半年)
  2. 事前相談の予約(申請の2ヶ月前)
  3. 事前相談(申請の1ヶ月前)
  4. 文部科学省への申請(開校1年前まで)
  5. 実地調査(申請から1ヶ月後)
  6. 文部科学省による聞き取り調査(ヒアリング)(申請から2~4ヶ月後)
  7. 結果の通知(申請から7~8ヶ月後)
  8. 学生受け入れ準備と告示申請(申請から8ヶ月後)
  9. 在留資格の許可(申請から10ヶ月後)
  10. 入学希望者の受け入れ(申請から11ヶ月後)
  11. 開校(申請から1年後)

設立の流れについて

日本語学校設立の申請は各開校期の1年前の同月末日までに文部科学省へ行う必要があります。

なお、2024年4月からは申請締切の約2ヶ月前に事前相談予約が必要なため、注意しましょう(予約を逃すと申請できません)。事前相談の予約は、開校期の2ヶ月前から文部科学省のホームページで行えます。

事前相談を経て申請が済むと、出入国在留管理庁の審査官による実地調査です。その際に、提出済みの校舎図面と実際の間取りに相違がないかのチェックが行われます。

ヒアリング面接(合計約2時間)では、日本語学校を設立する意図や学校の理念、目標のほか、授業の実現可能性や、設置理念との整合性などをチェックされます。

その後認可の発表がされ、もし不交付だった場合は、約2週間の是正期間が与えられるため、その間に指摘項目の改善が必要です。

日本語学校設立において注意すること

日本語学校設立において注意することについて解説します。主な注意点は、以下の3つです。

  • 国からの補助金はない
  • カリキュラムの作成も重要
  • 学生募集は仲介業者選びがカギ

国からの補助金はない

日本語学校は、設立や運営に関して国からの補助金は一切ありません。一般的な私立学校では文部科学省などから交付金(補助金)が支給されるケースもあります。しかし、日本語学校は私塾に分類されるため、補助金がありません。

つまり、設立に必要な資金は運営者が自分で用意する必要があるということです。必要なお金に関してもしっかりと事前に把握したうえで、日本語学校設立の計画を立てましょう。

ただし、自治体のなかには日本語学校に補助金制度を用意しているところもあるため、あわせて確認してみてください。

カリキュラムの作成も重要

日本語学校を設立する場合には、カリキュラムの作成にも力を入れましょう。カリキュラムは、入国管理局への申請時に必要なほか、生徒募集や専属教員を採用するうえでも重要な要素となります。

多くの学校では、正しい日本語を教えることに加えて、日本の文化の理解を深めることや日本のビジネス慣習などに注力したカリキュラムを作成しています。

また、授業だけでなく学校行事を儲けることも重要です。入学式や卒業式、お花見や夏祭りなどの行事も日本文化を学ぶうえで有効な施策といえます。留学生にこの学校に通ってよかったと思ってもらえるカリキュラムを作成しましょう。

学生募集は仲介業者選びがカギ

日本語学校を軌道に乗せるためには、学生募集も重要です。一般的に日本語学校の生徒募集は、各国の仲介業者から紹介を受けることになります。

仲介業者は現地の学校関係者から留学希望者の情報を得ているため、信頼できる仲介業者を選定することが学校成功への近道です。可能であれば現地を訪れてみて、仲介業者の様子を確認してみてもよいでしょう。

日本語学校の設立に役立つひな形・テンプレート

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日本語学校設立にはそれなりの期間と費用がかかる

日本語学校の設立には、約1年間もの期間がかかります。また、開校できるタイミングも年に2回しかないため、事前相談の予約や事前相談、必要書類の提出や申請などを滞りなく行えるようにしっかりと準備しておきましょう。

また、日本語学校の設立に関して、国からの補助金はありません。そのため、開校後軌道に乗るまでの費用も用意しておくことが重要です。本記事で紹介した内容を参考に、日本語学校設立に向けて計画的に進めていきましょう。


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