- 作成日 : 2023年1月20日
フィリピンで起業・会社設立する方法は?必要な資金や注意点も解説!
フィリピンでの起業・会社設立を検討している方もいることでしょう。外資企業に対する経済特区があり、2050年まで生産年齢人口がそれ以外の年齢層の人口を大きく上回ると予想され、さらに親日的とされるフィリピンは、日本人の起業には大きなメリットがある国です。
この記事では、フィリピンで起業・会社設立する方法、必要な資金、注意点を解説します。起業のメリットも詳しく解説しますので、フィリピンでの起業を考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
日本人がフィリピンで起業するメリットは?
はじめに、日本人がフィリピンで起業するメリットを解説します。
1. 経済特区の存在
フィリピンで起業するメリットとしてまず挙げられるのは、PEZA(Philippine Economic Zone Authority)と呼ばれる経済特区の存在です。PEZAでは外資系企業に対して、以下の優遇制度が設けられています。
- 外国資本100%での起業が認可される
- 4~8年間にわたって法人税(25%)が免除される
- 法人税の免除後、特別税が適用される
- 外国人労働者を雇用できる
- 社員研修など人材育成費用に対して税金が控除される
- 機械設備・スペアパーツ・原材料の輸入関税が免除される
- 外国人投資家やその家族に対して永住権が保証される
ただし、これらの優遇制度はPEZA区域外では適用されないため、起業するエリアは慎重に選びましょう。
2. 2050年まで続く人口ボーナス期
フィリピンで起業するメリットとして次に挙げられるのは、「人口ボーナス期」が2050年まで続くと予想されていることです。
「人口ボーナス期」とは、生産年齢(15~65歳)の人口がその他の年齢層の人口の2倍以上の期間のことです。豊富な労働力が経済活動を活発にするのとともに、教育や医療・年金などの社会福祉への負担が少ないため、資金を新しいビジネスに回すことが可能となります。
フィリピンは人口自体も、2014年に1億人を突破し、2025年には日本を超えるとされています。内需も活発になり、若い労働力も確保しやすくなることから、経済成長が継続することは確実とされています。
3. 親日の傾向が強い
フィリピンは親日の傾向が強いことも、日本人が起業する際のメリットといえるでしょう。2016年6月~2022年6月まで大統領を務めたロドリゴ・ドゥテルテ氏は親日家として知られ、戦後日本の経済協力を正しく評価し、「日本はビジネスにおける重要なパートナー」との発言もしています。
また、国民全体としてもアジア有数の親日国家として知られ、親日度調査において90%以上の人が「好き」「大好き」と回答したこともありました。
さらには、フィリピン人の多くは英語を話します。そのため、英語の知識があれば、ビジネスにおける意思疎通にも困ることは少ないでしょう。
フィリピンで起業・会社設立する方法は?
日本人が起業するのに数々のメリットがあるフィリピンですが、ここでは実際に会社設立をするための方法を解説します。
1. 進出形態を決定する
まず、どのような会社を設立するか、会社の形態を決めましょう。フィリピンに進出する形態は、以下の4通りです。
現地法人
フィリピンに本店を構える「現地法人」です。「株式会社」に相当し、日本企業がフィリピンに進出する際の代表的な形態です。
日本企業が現地法人を設立する場合の選択肢は、以下の2つに絞られます。
- 国内市場向け企業:フィリピンからの売上が60%未満の企業
- 輸出型企業:60%以上の売上がフィリピン国外からの企業
輸出型企業は外資規制の対象にならないため、ほとんどの業種で100%外国資本の会社を設立できます。その一方、国内市場向け企業は外資規制の対象となり、ネガティブリストに記載される業種は一定の割合でフィリピン資本を入れる必要があるため、経営の自由度が低下します。
参考:フィリピン規制業種・禁止業種「第12次外国投資ネガティブリスト」
支店
本店は日本に構え、フィリピンに「支店」を設立するものです。法的責任や債務などは日本に帰属するため、大きなリスクにはなりません。ただし、ネガティブリストに記載される業種は、先端技術を活用するなど特定の要件を満たさない限り、事業展開が許されません。現地法人と比べると、経営の自由度はやや低いといえます。
駐在員事務所
「駐在員事務所」では営業活動は禁止され、以下の活動のみが許可されます。
- 市場調査
- 日本本社製品のPR
- フィリピン国内の情報収集
GEO(海外雇用代行)
「GEO」は、すでにあるGEO会社の現地法人を利用して、自社の事業を行う人材の雇用を代行してもらう形態です。ほかの進出形態と比較して、初期投資やリスクを抑え、スピーディーな海外進出が可能となります。
2. 経済特区の利用を検討する
経済特区(PEZA)での優遇措置の利用をする場合には、起業エリアや資本金などを認可が取れるように設定する必要があります。会社設立手続きに入る前に、現地の専門家などに相談しておきましょう。
3. 会社名の決定
新しい会社の名称は、すでに類似あるいは同名の会社がフィリピンにある場合には使用できないこともあります。証券取引委員会(SEC)で早めに確認・予約をしましょう。確認・予約は、証券取引委員会(SEC)で会社設立申請前でもでき、予約は90日間有効です。
4. 会社住所の確保
会社設立の際に作成する定款には、フィリピン国内の会社住所を記載する必要があります。不動産物件は短期間で見つけることが難しい場合もありますので、早めに確保しておきましょう。
最初は本格的なオフィスではなく、レンタルオフィスや住所貸しサービスを利用するのでも問題ありません。物件が見つかったら、仮契約をしておきましょう。
5. 発起人・株式保有割合の決定
フィリピンでの現地法人設立に際しては、5人以上(最大15人)の発起人が必要で、全員が1株以上の株式を持つ必要があります。また、発起人の過半数はフィリピン在住者でなければなりません。会社設立後の取締役にも同様のルールがありますので、取締役になる人を発起人にするのがよいでしょう。
6. 定款などの必要書類を準備する
会社設立申請に必要な、定款などの必要書類を準備します。SECにて「エクスプレスレーンフォーム」という定型フォーマットを入手できます。定款には以下の情報の記載が必要です。
- 会社名
- 事業目的
- 会社住所
- 発起人の個人情報
- 取締役
- 資本金額
- 財務役
定款のほか、社名確認書や付属定款、送金証明書などの書類も必要です。
7. 法人口座を開設し、資本金を払い込む
「TITF口座」と呼ばれる、資本金の払い込みに特化した口座を開設します。口座が開設されたら、定款に記載した金額の資本金を払い込みます。
8. 会社設立の申請をする
証券取引委員会(SEC)で会社設立の申請をします。SECでは担当の弁護士に提出書類をチェックしてもらい、問題がなければ諸経費を払って手続きは終了です。申請から2週間程度で設立が承認され、会社登録証書が発行されます。
9. バランガイ・地方自治体から許可を受ける
フィリピンで活動する企業はバランガイ(町内会のような団体)と地方自治体の許可を受ける必要があります。それぞれ必要書類を提出して許可を申請します。
フィリピンの起業・会社設立に必要な資金は?
フィリピンでの起業・会社設立で必要になる資金のうち、最も大きいものは最低払込資本金です。
国内市場向け企業の場合は、最低払込資本金は以下の通りです。
- 先端技術を使用せず、50人以上の直接雇用もしない場合:20万ドル以上
- 先端技術を使用する、もしくは50人以上の直接雇用をする場合:10万ドル以上
輸出型企業の場合は、フィリピンの会社法では「5,000ペソ(約1万2,300円)」とされています。しかし、実際にはこの金額では会社設立は許可されず、最低でも「20万ペソ(約50万円)」は必要といわれています。
フィリピンで起業・会社設立するときの注意点は?
フィリピンで起業・会社設立の際には以下の点に注意しましょう。
会社乗っ取りのリスク
外資規制に該当する業種では、外国人(日本人)が所有できる株式比率が限られます。フィリピン人のパートナーを立てて合弁で会社設立するケースもありますが、その場合には会社を乗っ取られることもあるため、細心の注意を払いましょう。
インフラが脆弱
フィリピンはインフラが脆弱です。それにより発生する渋滞や遅延で、大きな経済損失が発生する可能性もあります。
注意点に留意してフィリピンでの起業を成功させよう
経済特区が存在し、2050年まで人口ボーナス期が継続、さらに親日的であるフィリピンは、日本人が起業するには大きなメリットのある国です。ただし、会社乗っ取りのリスクやインフラが脆弱などの注意点もあります。注意点には十分留意し、フィリピンでの起業を成功させましょう。
よくある質問
フィリピンで起業・会社設立する方法は?
まず進出形態を決め、定款作成の準備を行ったら、証券取引委員会(SEC)で会社設立の申請をします。詳しくはこちらをご覧ください。
フィリピンで起業・会社設立するときの注意点は?
会社乗っ取りのリスクがあること、インフラが脆弱なことなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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