• 更新日 : 2024年6月19日

太陽光発電の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

太陽光発電は太陽光から直接電気を作る発電方法で、日本における導入量は着実に伸びています。太陽光発電事業を考えることは、エネルギー不足や世界的な脱炭素化の流れに沿っているものであり、事業計画書における動機にもつながります。

この記事では、太陽光発電事業を開始するにあたっての事業計画書の書き方をひな形に沿って解説します。

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太陽光発電向けの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例のダウンロード方法

事業計画書_テンプレート

太陽光発電の事業計画とは?

事業として太陽光発電による売電を行う場合、導入する発電設備は電気事業法上「自家用電気工作物」に該当し、国の定める技術基準に適合する発電設備を維持する義務等が発生します。出力50kW以上等を対象にした事業開始に際しては、次のような手続きが必要です。

・保安規程を策定し、国に届けること
保安規程規定は、電気事業法施行規則に定められた項目について具体的なルールを策定し、「保安規程届出書」により届け出ます。

・自家用電気工作物の工事・維持及び運用の電気主任技術者を選任し、届けること

次の①から④のいずれかの方法により選任又は承認を得る必要があります。

①電気主任技術者免状がある場合:「主任技術者選任又は解任届出書」により届出
②無資格者の場合:「主任技術者選任許可申請書」により国の許可が必要
③すでに電気主任技術者として選任している者の場合:「主任技術者兼任承認申請
書」により国の承認が必要
④保安管理業務を外部委託する場合:「保安管理業務外部委託承認申請書」により国の承認が必要

参考:太陽電池発電設備を設置する場合の手引き|経済産業省
「自家用電気工作物に係る手続のご案内」

これらの申請手続きは「保安ネット」を利用するとインターネット上でできます。申請にはGビズIDのアカウントが必要となるため、余裕を持って申請しましょう。

参考:保安ネットポータル|経済産業省

なお、出力50kW未満の小出力発電設備などについては下記をご参照ください。

参考:
太陽電池発電設備を設置する場合の手引き|経済産業省
再エネガイドブックweb版|資源エネルギー庁

FIT制度からFIP制度へ

太陽光発電のような再生可能エネルギーは、一定価格で一定期間にわたって電力会社が買い取ることを国が保証する制度があり、これをFIT制度と言います。

買取期間満了後は自由契約等に移行することとなっていましたが、再エネを主力電源とする観点から、発電事業者が売電した際に売電価格に対して一定のプレミアムを上乗せするFIP(Feed-in Premium)制度が2022年4月から導入されました。2024年段階においては、FIT制度からFIP制度への移行期と言えます。

なお、10kW以上のFIT/FIP認定を取得している場合には、将来において発電設備の廃棄費用を担保する「廃棄等費用積立制度」が適用されます。

参考:
再エネを日本の主力エネルギーに!|資源エネルギー庁
廃棄費用積立制度|資源エネルギー庁

太陽光発電の事業計画書のひな形、テンプレート

太陽光発電の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

太陽光発電の初期投資にはまとまった資金が必要です。自己資金だけでは難しい場合、日本政策金融公庫、金融機関などでの融資を考えることになります。

以下の事業計画書については、太陽光発電の事業計画書・創業計画書のテンプレート・作成例を例にとって説明しています。

無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて、70種類以上の事業計画書をダウンロードしていただけますので、ぜひお気軽にご利用ください。

太陽光発電の事業計画書の書き方・記入例

この例では、相続により土地を取得した人が、土地の有効活用のために農業だけでなく太陽光発電事業を始めるにあたって初期投資費用1,400万円の融資計画をしています。

なお、この記載例では事業場所として農地の転用を想定しています。地域によっては農地転用が許可されないところもありますので、予め自治体に問い合わせておきましょう。

創業の動機・目的

事業計画書において、動機や目的は事業の最も根幹となる部分です。事業の継続性や成功可能性を高めるために、できるだけ具体的に記載します。

特に太陽光発電の場合には、環境への配慮や再生可能エネルギーへの貢献、地域への利益還元、地球温暖化の防止などのキーワードを積極的に取り入れるとよいでしょう。まだ、技術面における具体策も重要な要素です。

職歴・事業実績

事業者の経歴や事業実績を具体的に記載します。環境やエネルギーに関する研究や興味、電気主任技術者の資格がある場合には積極的に記載しましょう。

取扱商品・サービス

記載例のように「電力の販売」などでよいでしょう。

取引先・取引関係

太陽光発電事業における売電先は、事業の収益性、安定性に大きく影響します。他の事業とは異なり、基本的に得意先は1社(電力会社)となるためよく比較検討する必要があります。売電できる事業者の買取価格などをよく調べましょう。

参考:売電できる事業者|資源エネルギー庁

従業員

従業員がいれば記載します。電気主任技術者などを外部委託する場合には外注先として記載するとよいでしょう。

借入の状況

事業主の具体的な借入金について記載します。個人的な借入金の返済も含め、事業の利益からトータルで継続的な返済が可能かどうかを明確にします。返済計画が計画通りに進むことは、事業の安定化にもつながります。

必要な資金と調達方法

太陽光発電事業を開始するには、設置場所の形状や造成の必要性、日照などの自然条件の事前調査が必要です。これにより発電設備の出力が変わり、発電量に応じて売上高も設置費用も大きくなります。想定する要件や規模に見合った設置費用は、見積等などでよく検討しましょう。

事業の見通し

事業開始直後数か月の月平均と軌道に乗った後の月平均をそれぞれ損益計算書の形で表します。ここでは初期費用については資金調達で計算したため、損益計算で必要なのは売電収入とランニングコストです。

売上高としては発電量に応じた売電収入を見積り、コストとしては借入金利息、設備メンテナンス費用、設備の減価償却費、固定資産税などが考えられます。これらの計算は複雑であるため、インターネット上の各設備メーカーによるシミュレーションが参考になるかもしれません。

事業見通しについては根拠となる数字も簡単に記入しますが、その計算の基となった資料や計算根拠は保管しておきましょう。

太陽光発電の事業計画書作成のポイント

太陽光発電の事業計画書では、金額的なものだけでなく、安定的に事業が運営できるかを踏み込んで調査しているかどうかが問われます。例えば、次の点などもよく調査しておきましょう。

・電力の「出力制御」があることも考えに入れておく
発電においては電源の特性に合わせた優先給電順位があり、需給バランスや送電線の容量による出力制御があります。発電量10kW以上で出力制御の対象となります。

・廃棄等費用積立制度
先述のとおり、原則として「源泉徴収的な外部積立」によるものとされていますので、意識しておくほうがよいでしょう。

再生可能エネルギー事業で地域の活性化を!

太陽光発電事業の実施には、環境に配慮し、かつ、地域との共生を図ることが求められます。太陽光発電事業者が守るべき法令は多岐にわたり、自治体への事前相談も必要です。

このような制約もありますが、太陽光発電は非常に有力視されている再生可能エネルギーであり、やや長期に渡るとはいえ初期投資の回収が現実的な事業と言えます。

太陽光を利用することで、クリーンで安定したエネルギーの供給が可能になるとともに、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出を削減することができます。事業者は、太陽光発電事業の拡大によって、経済的安定と環境保護の両立を目指すことができるでしょう。


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