• 更新日 : 2021年6月23日

会社設立時における印鑑証明書の発行方法や登記申請に必要な枚数を解説

会社設立に欠かせない手続きのひとつに、印鑑証明書の取得があります。今回は、印鑑登録や印鑑証明書の取得方法、会社設立時における印鑑証明書の提出先や必要枚数について解説します。これからご用意されるという方は、ぜひご一読いただければと思います。 

印鑑証明書とは?

印鑑証明書とは、書類に押印されたハンコ(実印)が本人のもので間違いないことを証明するもののことをいいます。重要な書類を作成するときに、必ず必要な証明書です。そして実印とは、個人が住民登録している自治体に登録申請し、受理されたハンコのことです。

この実印や印鑑証明書がなければ、ほかの誰かが本人に成りすまし、本人と同じ名字のハンコを使って、重要な契約をすることが簡単にできてしまいます。これを防ぐため、実印を登録するのです。重要な契約の際にはその実印を使うことで、安心して取引することができます。

具体的には、自動車の購入、不動産取引、公正証書の作成、相続の手続きといった、大きな金額が発生するような重要な手続きなどで実印が必要です。そして、この実印は印鑑証明書とセットで使うことで初めて、実印としての効力を発揮します。

会社を設立するときは、定款の認証などで発起人や取締役の実印が必要となり、印鑑証明書を添付することで発起人や取締役個人のハンコが本人のもので間違いないということを示さなければなりません。そのため、会社設立時においては印鑑証明書の取得が必要不可欠となります。

印鑑登録から印鑑証明書の発行までの流れと、所要日数・費用について

では、会社設立時における発起人および、代表者個人の印鑑証明書の取得方法について見ていきましょう。

印鑑登録をする 

印鑑を登録するには住民登録をしている自治体の窓口(各市区町村役場)に、実印にしたいハンコと本人の身分証明書(免許証・パスポート・マイナンバーカードなど顔写真付きのもの)を持参し登録申請をします。どこにでも売っているような安価なハンコでは簡単にマネされてしまう危険があるため避けるのが一般的ですが、登録そのものはどのようなハンコでも可能です。そして、ここで登録されたハンコが実印となります。

印鑑カードを受領する

印鑑登録は、実印となるハンコと本人の身分証明書を自治体の窓口に持ち込み登録申請をすれば、通常はその日のうちに登録完了します。登録手数料は自治体によって異なりますが、100円から数百円程度です。そして、「印鑑登録書(カード)」を受け取ります。

印鑑証明書の発行申請をする 

印鑑登録をすれば、住民登録をした役所や証明サービスコーナーで印鑑証明書を取得することができます。上記で述べた印鑑登録の際に発行される「印鑑登録証(カード)」を使い、数百円の手数料を払えば役所などに設置されている電子端末から印鑑証明書が発行されます。

なお、マイナンバーカードを利用して、全国のコンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機から印鑑証明書を発行することもできます。コンビニエンスストアで印鑑証明を発行する場合、印鑑登録証(カード)では発行できないので注意しましょう。

会社設立時における印鑑証明書の提出先と必要枚数

印鑑証明書を取得したら、次に公証役場と法務局の2カ所に提出します。

公証役場

公証役場では会社設立時の定款認証を行います。株式会社の場合、定款には発起人全員の実印を押印しなければなりません。そして、発起人全員の実印が本人のもので間違いないことを確認するために、印鑑証明書は発起人の人数分必要となります。

また、合同会社の場合は定款の作成は必要ですが、公証役場に提出する必要はありません。ただし、定款には合同会社の出資者(社員)全員の「社員の氏名及び住所」が絶対的記載事項となり、この氏名と住所は印鑑証明書どおりに記載しなければならないとされています。

法務局

法務局では会社の登記を行います。株式会社には取締役会を置くケースと置かないケースがあります。取締役会を置くケースでは代表取締役のみの印鑑証明書が1通、取締役会を置かないケースでは取締役全員分の印鑑証明書が1通ずつ必要となります。

また、合同会社の場合は出資者(社員)全員分を用意する必要はなく、代表社員のみの印鑑証明書を提出する必要があります。

必要枚数の具体例

印鑑証明書の必要枚数について具体的な例で見ていきましょう。

1.発起人と取締役が1人の会社の場合

・公証役場に発起人の印鑑証明書1通

・法務局に取締役の印鑑証明書が1通

合計2通が必要となります。

 

2.発起人2人に取締役3人と、複数いる会社の場合

・公証役場に発起人2人分の印鑑証明書2通

・法務局に取締役3人分の印鑑証明書3通

合計5通が必要となります。

 

3.取締役会が設置されている場合

・公証役場には発起人全員分の印鑑証明書

・法務局には代表取締役のみの印鑑証明書

が必要となります。

 

4.合同会社の場合

・法務局に代表社員の印鑑証明書1通

が必要となります。

合同会社は定款認証がないため、公証役場に印鑑証明書を提出する必要はありません。
ただし、定款に記載する出資者(社員)の氏名・住所は、印鑑証明書通りに記入する必要があります。そのため、会社設立書類を作成する目的で、出資者(社員)全員の印鑑証明書は集めておきましょう。

その他注意点

印鑑証明書の有効期限

会社設立時に必要となる印鑑証明書は、いつ取得したものであっても良いというわけではなく有効期限があります。商業登記規則第9条において、その有効期限は作成後3カ月以内のものでなければならないとされています。

発起人が海外在住の場合

印鑑証明書を取得するには、日本に住民票登録をしていなければなりません。従って、海外に居住されている場合、印鑑証明書を取得することができないことになります。

この場合、印鑑証明書に代わって、居住地の日本領事館に行き「サイン証明」を受けることとなります。本人が領事官に出向き、証明を受けたい書類にサインをすることで、領事館が「本人の自署に相違ない」旨の証明書を出してくれます。

そして会社設立の際には、この「サイン証明書」とともに、日本語での翻訳文を添付する必要があります。

発起人が日本法人の場合

会社などの法人が発起人になる場合、法人の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)と法人の印鑑証明書1通が必要となります。印鑑証明書は発効より3カ月以内のものでなければなりません。

まとめ 

印鑑登録や印鑑証明書の取得自体はそれほど難しくありません。しかし、必要な枚数や提出先などポイントがいくつかあります。会社設立時における印鑑証明書の取得方法や必要枚数、提出先について確認した上で、スムーズに会社設立を行いましょう。 

よくある質問

印鑑証明書とは?

印鑑証明書とは、書類に押印されたハンコ(実印)が本人のもので間違いないことを証明するものです。詳しくはこちらをご覧ください。

印鑑登録から印鑑証明書の発行までの流れは?

印鑑登録、印鑑カードの受領、印鑑証明書の発行申請が、印鑑証明書発行までの流れです。詳しくはこちらをご覧ください。

会社設立時における印鑑証明書の提出先は?

印鑑証明書を取得したら、次に公証役場と法務局の2カ所に提出します。詳しくはこちらをご覧ください。


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