• 更新日 : 2024年4月22日

ビジネスプランの立て方 – 成功するための事業計画書も紹介!

ビジネスプランがなくとも起業すること自体は可能です。しかし、プランなしの起業は海図がないまま大海原に乗り出すようなもの。開業して5年で60%が倒産廃業するというデータもあるほどシビアな環境で、ビジネスプランは非常に大切です。

この記事では、金融機関に提出する事業計画書の土台になるビジネスプランの立て方を紹介します。

ビジネスプランとは?

ビジネスプランとは、ビジネス目標や目標を達成するための手段や方法を、時間経過順にまとめた計画のことです。

ビジネスプランの必要性

起業のために一番必要なのは情熱と行動力です。しかし、やみくもに気持ちだけで突っ走ると、市場分析をおざなりにしたためにライバルが多い市場に参入してしまって疲弊したり、販売ターゲットを明確にしなかったがために、本当に届けたい客層に商品やサービスが届かなかったりという事態にもなりかねません。

そのためにも、想定できる課題を洗い出し、そのビジネスモデルを磨き上げていく叩き台がビジネスプランです。

また、創業時にはどうしても自己資本だけでは開業資金が不足しがちです。出資をお願いする親族、知人に理解・協力してもらえるように、また金融機関に申し込む融資の場合も有利に働きます。

ビジネスプランとビジネスアイデアの関係性

卓越したビジネスアイデアがあってもそれだけではビジネスは成立しません。
例えば、せっかく多くの人に喜ばれる商品を作っても、原料の仕入価格が高いために利益が出ないことや、販売戦略を間違えて一番ニーズのあるお客様にサービスを知ってもらえないことなどがあります。

ビジネスアイデアはダイヤモンドの原石に過ぎず、ビジネスを成立させるためにはあらゆる角度から現実的なアイデアを検討し、改善していく必要があるのです。こうして磨き上げられたアイデアがダイヤモンドとなり、市場で戦えるビジネスプランに成長します。ビジネスアイデアからビジネスプランへ育てていくイメージです。

そのため、ビジネスアイデアを生み出すときには発想を柔軟にして、たくさんアイデアを出しましょう。

一方、ビジネスプランを組み立てるときは、発想視点と客観視点の両面からアイデアを検証し、課題や解決策を探ります。ビジネスアイデアの作り方については、こちらの記事をあわせて読んでいただくと理解が深まるはずです。

ビジネスプランの立て方

それでは、ビジネスプランの立て方を順番に説明します。
ビジネスプランを立てる際に大切なポイントは、自社や商品・サービスの他社との違いや強みを探ることです。これらの分析が、競合との差別化を図るうえでの重要な手がかりとなります。

市場分析

「一個人の力で市場分析なんてできない」と思われるかもしれません。しかし、おおまかなデータであれば一個人でも取得可能です。

例えば、地域密着型の店舗型ビジネスを始める場合でも、地方自治体が公開しているデータから、営業エリアにどんな人が住んでいるかを知ることができます。

さらに数年ごとに人口統計が行われるので、人口の推移まで把握できます。エリア内で年齢別、家族世帯、独身世帯の増減傾向が分かります。このデータからこの地域ではどんな商品・サービスに需要がありそうかという傾向が見えてきます。

また、BtoBのビジネスをネットで展開する場合も、特定の業界の業者数が分かります。例えば、個人店舗の美容室に向けたWebサイト制作を行う計画の場合でも、美容業界に関する複数の統計からある程度市場規模を掴むことができます。

市場規模が一定数見込めれば、「起業したものの、市場規模自体が小さくてビジネスが成り立たなかった!」という失敗を防ぐことができます。

競合分析

市場分析に続いて大事なのが競合の分析です。

自身の考えるビジネスアイデアと同じ、もしくは近しい事業やサービスを行っている競合をリサーチし、立ち位置や優位性をどう確立していくかを考えていくプロセスです。

そのために便利なのが「市場ポジションマップ」です。競合となり得る商品・サービスを列挙し、「商品やサービスの特徴・客層・店舗展開・市場の優位性」など、あらゆる角度から比較・分析したうえで、自身あるいは自社のポジショニングを考えていきます。

ヒアリング

競合分析・市場分析で導かれた業界のポジショニングはあくまで仮説であり、仮説に確証を得るために直接ユーザーの声を確かめるという方法があります。

例えば、トライアル用の商品・サービスを提供して、感想を聞くという手段も有効です。これを行うことで、実際に商品やサービスを利用したユーザーの感想をもとに、事業計画書で商品・サービスの評価をアピールすることができます。

また、調査の結果によっては、ユーザーが自身の仮説とは異なる部分にニーズを感じている可能性もあり、正式なリリースの前に商品やサービスのブラッシュアップができるというメリットがあります。

まだお試し版が提供できない場合は、ライバル商品に関するアンケートも有効です。ユーザーが競合サービス・商品のどこにメリットを感じているか、ということを知ることで、自身の商品・サービスの戦略を立てやすくなります。

取扱商品・セールスポイント

市場分析・競合分析・ヒアリングを通して得られた情報を参考に主力商品を決め、内容、価格を決定します。さらに「セールスポイント」では、自身の商品・サービス独自の価値をアピールします。

特徴づけられる価値は大きく3つあります。

  • 「機能が優れている」「機能が多い」などの【機能的価値】
  • 「アフターサービスが手厚い」などの【付加価値】
  • 「感動する」「喜びがある」などの【心理的価値】

他にも、以下のようなものなどが挙げられます。

  • 「注文からのスピードが速い」などの【時間的価値】
  • 「安い」「得する」などの【経済的価値】
  • 「誰もが憧れる」などの【ブランド価値】

ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を洗い出すことが独自の価値を見つけるヒントになり、また、経営資源が価値を提供できる根拠になり、セールスポイントに説得力が増します。

セールスポイントは他者に説明するためのものなので、主観的で抽象的な言葉だけではなく、相手に伝わる表現でセールスポイントをまとめましょう。

販売ターゲット・販売戦略

商品・サービスのセールスポイントをもとに、想定する販売ターゲットを考えます。

具体的には、サービスを提供したい顧客ターゲットを「年代」「地域」「性別」「職業」「年収」などのカテゴリ別に属性を決めます。さらに「ペルソナ設定」でターゲットを具体的な人物像にまで落とし込めば、よりピンポイントで顧客にPRすることができます。ターゲットが絞り込まれると、ムダのない販売戦略・戦術を行うことができます。

販売経路には「直接チャネル」と「間接チャネル」があります。直接チャネルは自社の実店舗やネットショップで直接消費者取引する販売方法、間接チャネルは卸売り業者や小売店に商品を卸して、消費者に売ってもらう販売方法です。自身の事業内容や、環境、強みなどをもとに、どちらか一方あるいは両軸でバランスをとりながら、販売の経路を考えましょう。

最後は広告戦略を立てましょう。宣伝方法には「広告宣伝・販売促進・広報PR」などがあります。ターゲットに合った宣伝方法を選んで商品・サービスをPRします。

潤沢な資金が手元にあったり、投資効果が得られず広告費がかけられない場合でも、SNSを中心にコツコツと発信を続けていくことで世にPRを行うことも可能です。事業内容や状況に応じた最適な方法を試してみるといいでしょう。

事業計画書とビジネスプランは同じ意味?

一般にビジネスプランと事業計画書を同じ意味として使っている情報も多く見られますが、ビジネスの現場で使われる「ビジネスプラン」と「事業計画書」とでは、微妙にニュアンスが違うものとして解釈されているケースがあります。

例えば、「ビジネスプランコンテスト」などで発表される「ビジネスプラン」は新しいアイデアを取り入れたビジネスモデルのプレゼンテーションという意味で使われています。

仕入価格や純利益、時系列に沿った事業の見通しなど、実際の数字を入れた計画まではビジネスプランの中に入っていません。逆に事業計画書は経営に関する日時や人、資金や売上など全てを金額に変換して表現します。

金融機関や補助金申請をする政府機関・地方自治体は事業計画書に書かれている金額をもとに融資や採択を決定します。「ビジネスプラン」により具体的な行動が加わり、さらに現実的な細かい数字にまで落とし込んだものが「事業計画書」であると分けて考えることができます。

ビジネスプランを実現するための事業計画書の書き方

完成したビジネスプランを事業計画書に落とし込む場合に気をつけたいポイントがあります。

事業計画書を提出する機関は、「融資」を受ける金融機関と、「補助金」をもらう政府機関や地方自治体の2種類です。「融資」を受ける場合と「補助金」をもらう場合では、事業計画書の内容を調整する必要があります。

エグゼクティブサマリー

まず「日本政策金融公庫」「保証協会」や銀行で融資を受ける場合は、借りたお金を返す必要があります。審査する側はお金を貸す相手が返済可能な人物や会社で、無理のない現実的なプランであるかをチェックします。

経営者の略歴や会社概要でも、経営者や自社がこのビジネスプランを実行する根拠がある経歴・実績があるかを審査されます。この審査にはビジネスの将来性に加え、自社や経営者の過去の実績や現在の財政状況の確認なども含まれます。

一方、政府機関や地方自治体が募集する「補助金」は返済義務がありません。その代わり、採択された補助金が計画通りに使われて、事業が飛躍したかどうかをチェックします。補助金は、国や自治体の意向に沿った新規事業や創業促進、雇用の創出などを大きな目的としているため、そのビジネスプランが社会課題や問題を解決できるものであり、世の中の役に立つかどうかが重要視されます。

ビジネスプランが実現することで、会社が発展し、雇用が促進されればさらに評価が高まります。補助金の場合、審査は申請者の過去や現在よりも、事業計画書に書かれたビジョンや未来が重要な評価基準となっています。

したがって補助金用の事業計画書には、問題を解決する売上や利益の拡大、従業員の雇用の拡大など、補助金によって発展する具体的な経営計画が必要となります。

事業計画書を書く際のポイントや注意点

融資担当者が事業計画書の中で注目するポイントは、「経営者としての資質」「財政状態」「収支の見通し」です。

「経営者としての資質」は「2.職歴・事業実績」でチェックされ、経営者がそのビジネスプランに取り組むのにふさわしいスキルやノウハウを持っているかが評価されます。

「6.借入の状況」「7.必要な資金と調達方法」で「財政状態」をチェックし、資産をどれくらい持っているかを確認し、投資に無理がないか精査します。

「収支の見通し」は事業計画書全体を通して、このビジネスプランが実現可能かどうか判断します。

「経営者としての資質」「財政状態」「収支の見通し」に注意しながら、融資担当者の立場になって、具体的かつ客観的に分かりやすい情報でまとめましょう。

成功するためのビジネスプランをもとにした事業計画書テンプレート【無料ダウンロード可】

成功するビジネスプランが立てられたと実感できたら、今度はさらに具体的な計画や数値に置き換えて事業計画書に落とし込んでみましょう。フォーマットは下記URLよりダウンロードしてお使いください。

事業計画書テンプレート【無料ダウンロード可】

 事業計画書

ビジネスプランを固めて、事業成功に一歩近づきましょう!

ビジネスプランを練ることは起業を成功させるための大切な準備です。経営を続ける限り、何度もビジネスプランを練る場面が出てくるでしょう。これを機会にしっかりビジネスプランの作り方を身につけ、ビジネスリテラシーを高めていきましょう。

よくある質問

ビジネスプランとは?

ビジネス目標や目標を達成するための手段や方法を、時間経過順にまとめた計画のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

ビジネスプランの立て方は?

「市場分析」「競合分析」「ヒアリング」「取扱商品・セールスポイント」「販売ターゲット・販売戦略」の順で行います。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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