• 更新日 : 2022年8月8日

会社設立時は一人社長でも社会保険加入が必須!手続きの流れ・必要書類を解説!

会社設立時は一人社長でも社会保険加入が必須!手続きの流れ・必要書類を解説!

会社の役割は、価値のある商品やサービスを取引先に提供し、儲けを出すことで社長自らの生活向上を図るだけではありません。社長自身はもちろん、従業員の生活基盤を守ることも重要な役割です。雇用保険や労災保険などの社会保険への加入も会社の重要な役割のひとつと言えるでしょう。

そこでこの記事では、社会保険の加入方法についての手続きや必要書類について、健康保険の被扶養者届など具体的な例を挙げながら、加入する場合や、加入しない場合にどうなるのかについて解説します。また、助成金の受給資格などについても触れていきます。

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会社設立時は一人社長でも社会保険の加入義務がある

起業したばかりの会社の事業主の方の中には、自分のビジネスのことで頭がいっぱいになり、なかなか社会保険までは気が回らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、会社を起業したばかりで従業員を雇っていない場合、「社会保険の加入義務はない」と勘違いされている方もいるかもしれません。

実は、健康保険法第3条と厚生年金保険法第9条において、「適用事業所に使用される者」は「被保険者」であるとされており、この「使用される者」には法人の代表者も含まれると解釈されています*。つまり、社長ひとりだけの会社であっても社会保険に加入する義務があるのです。

*上記の条文上に、代表者が含まれるという表現はありませんが、過去の判例で「事業所に使用される者とは、その法人の代表者を含むと理解すべき」とされたものがあります。

会社設立時に社会保険に加入する方法は?

社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、労働保険(労災保険と雇用保険)などの総称です。ここで「など」としたのは、例えば介護保険などこれら以外の保険も含まれるからです。会社設立時に、まず考える社会保険として、健康保険、厚生年金保険、労働保険の加入方法について考えてみましょう。

健康保険・厚生年金保険の加入手続き・必要書類

会社を設立し、登記が完了したら、健康保険と厚生年金保険はまとめて手続きをすることになっています。健康保険、厚生年金保険では、会社という単位で適用事業所となります。

法律により厚生年金保険、健康保険の加入が義務づけられている事業所とは次の事業所です。

  • 事業主のみの場合を含む常時従業員を使用する法人事業所
  • 常時5人以上の従業員がいる事業所、工場、商店等の個人事業所

したがって一人社長であっても、法人は国籍や性別、賃金の額等に関係なく、すべて健康保険、厚生年金保険の被保険者となります(原則70歳以上の人は健康保険のみの加入となります)。

健康保険・厚生年金保険新規適用届

健康保険、厚生年金保険を適用すべき事業を開設した場合は、その事実発生より5日以内に、事業主が「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を年金事務所に届けなければなりません。この届は、事業所が新たに、健康保険及び厚生年金適用の事業所になることを届け出るものです。

この届提出にあたっては、次の添付書類が必要となります。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

その事業所の健康保険及び厚生年金保険に新たに加入すべき者が生じた場合は、その事実発生より5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を同様に届け出ます。この届により、その会社の社長を含め従業員が健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。なお、一定の要件に該当する場合には、添付書類が求められます。

健康保険被扶養者(異動)届

被保険者の家族を社会保険の被扶養者にするときには、その事実発生から5日以内に、「健康保険被扶養者(異動)届 」を被保険者が事業主を経由して届け出ます。

被扶養者の範囲は、次のうち日本国内に住所を有している者となります。(外国に留学している学生などの特例があります。)

  • 配偶者
  • 子、孫および兄弟姉妹
  • 父母、祖父母など直系尊属
  • 上記以外の三親等以内の親族(同居要件要)

健康保険についてさらに詳しく知りたい方は、社会保険における健康保険とはもご確認ください。

雇用保険の加入手続き・必要書類

会社を設立しても従業員がいない場合には、労働保険(労災保険及び雇用保険)には加入しません。なぜなら、労働保険は「労働者のための」保険であり、経営者には適用されないためです。労働保険は、原則としてアルバイトも含み従業員を一人でも雇用した場合は適用事業となります。まずは、雇用保険から見ていきましょう。

雇用保険とは、労働者の雇用安定や就職の促進のために、失業者や教育訓練を受けられる人に対し、失業等給付を支給する制度です。また、失業の予防や雇用状態の是正や労働者の能力向上などの事業も行っています。

順番は前後しますが、雇用保険関係の届を提出する前に、先の労災保険の項目で説明する「保険関係成立届」を労働基準監督署に提出する必要があります。雇用保険に係る届の提出には、この「保険関係成立届」受理印の押された控えが必要となります。

雇用保険適用事務所設置届

会社設立後、常用の労働者を雇用すると、「雇用保険適用事業所」となり、雇用する労働者を雇用保険に加入させる義務が生じます。その際、提出が義務づけられている書類が「雇用保険適用事務所設置届」です。

以下の条件を満たした従業員がいる場合、パートやアルバイトに関係なく、雇用保険に加入する必要があります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込があること

引用:Q&A~事業主の皆様へ|厚生労働省

この届は、労働者を雇用した日の翌日から10日以内に公共職業安定所に提出することとされており、その事務所が雇用保険の適用事務所であることを届けるものになります。

雇用保険被保険者資格取得届

会社で従業員を雇用し、雇用保険に加入すべき従業員がいる場合には、「雇用保険被保険者資格取得届」を、資格取得日の翌月の10日までに公共職業安定所に提出します。保険加入時以外にも従業員の異動時に届の提出が必要となります。

労災保険の加入手続き・必要書類

労災保険は、正式名称を「労働者災害補償保険」といい、雇用している従業員が業務上や通勤途上にケガをしたり、病気になったりや死亡したりした場合に、その従業員や残された家族を守るために保険給付を行うものです。上記で、一人社長であれば労働保険に加入する必要はないと述べましたが、業種により業務災害が心配される場合には、労災保険に特別加入することもできます。

一人親方とは、建設業等で人を雇用せずに自分と家族などだけで事業を行う事業主等を言います。労災保険の特別加入は、実際に業務に従事し、業務災害に遭うリスクがある一人親方等が対象となります。

保険関係成立届

労働保険(雇用保険及び労災保険)の適用事業に該当することとなった場合、まず最初に「労働保険の保険関係成立届」を労働基準監督署または公共職業安定所に提出します。
この届は、保険関係が成立した日の翌日から10日以内に提出します。

労働保険概算保険料申告書

上記、保険関係成立届を提出した場合は、提出年度分の労働保険料を概算保険料として申告納付することになり、その申告書にあたるものが「労働保険概算保険料申告書」です。提出先は、保険関係成立届と同じです。この申告書は保険関係が成立した日の翌日から50日以内に提出し、労働保険の概算保険料を納付します。

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会社設立時に社会保険に加入しないとどうなる?

上で述べた通り、法人であれば社会保険への加入が義務となります。加入する義務があるにもかかわらず、その状況を放置し加入要請や警告文書を無視し続けると最終的には多額の保険料を請求され会社経営に大打撃を受けることになりかねません。。社会保険に未加入の場合、どのようなことが起きるでしょうか?

年金事務所から加入要請がくる

年金事務所などでは、国税庁の情報によって給与の支払実態から加入状況がわかるため、社会保険未加入の事業所への指導が強化されています。社会保険未適用の事業所には、年金事務所による電話などによる加入指導がなされています。この時点で、加入要件に該当する事業所は速やかに届出るべきでしょう。

警告文書が届く

加入要請に応じない未適用事業所には、さらに警告文書や訪問指導により社会保険への加入が求められます。

立入検査実施後、強制加入となる

最終的には、職員による立ち入り検査が実施され、被保険者の資格の有無を確認し、職員の認定によって強制的に社会保険に加入することとなります。立入検査では、健康保険、厚生年金保険、労働保険のすべてについて領収書などの提示を求められたり、賃金台帳や労働者名簿などの確認を求められたりします。

この場合、事業主は立入検査に対し「受忍義務(立ち入りを拒否したり、妨げたりしてはならないという義務)」があるため、職員の質問には必ず対応しなければなりません。過去に遡って加入する(保険料を納める)ことになりますが、最大で2年間遡ることもあります。そうなる前に、加入要請が通知された段階で加入手続きをしましょう。この段階なら過去の分まで請求されることはありません。

未加入のままでは助成金の受給もできない

事業主に対し、雇用関係の助成金は数多くあります。雇用調整助成金や産業雇用安定助成金、労働移動支援助成金などがあり、それぞれの支給要件にあてはまれば、従業員のための費用が支援されます。助成金は基本的に返済不要です。
しかし、受給要件は雇用保険適用事業所であることなので、雇用保険に未加入のままだと助成金は受けられません。このように、社会保険に加入しないことによるデメリットは事業主にも従業員にもあります。

会社設立後は必ず社会保険に加入しましょう

会社として社会保険の加入は義務であり、保険料の負担は大きいかもしれません。しかし、社会保険に加入することで社会的な信用を得られ、従業員の雇用が維持しやすくなるというメリットもあります。また、社会保険に加入していることで、雇用調整助成金など各種助成金を受けることも可能となります。
会社を運営していく以上、社会の一員として、自分を含め従業員や扶養家族の生活の安定を意識するべきです。そういった意味でも必ず、社会保険への加入を行いましょう。

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よくある質問

一人社長も社会保険の加入義務はある?

事業主のみの場合を含む常時従業員を使用する法人の事業所は、社会保険の適用事業所となりますので、一人社長であっても、国籍や性別、賃金の額等に関係なく、すべて健康保険、厚生年金保険の被保険者となります。詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険加入のための必要書類とは?

例えば、健康保険や年金保険については、健康保険・厚生年金保険新規適用届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、健康保険被扶養者(異動)届などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

法人で社会保険に加入しないとどうなる?

加入要請や加入指導により、社会保険への加入を進められますが、それでも加入しない場合には、立入調査が入り、強制的に加入することとなります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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