• 更新日 : 2023年2月16日

パソコン教室の開業 – 必要な準備や手続き、費用も解説!

パソコン教室の開業 – 必要な準備や手続き、費用も解説!

パソコンの基本的な操作方法や各種のソフトウェア・アプリケーションの使い方を学べることはもちろん、最近は高度なプログラミングなども学べるパソコン教室。パソコンやソフトウェアを使うことが得意な人が起業するビジネスとして人気の業態のひとつです。

それでは、パソコン教室を開業するにあたり、具体的に何をすればよいのでしょうか。

本記事では、パソコン教室の開業を検討中の方に、パソコン教室開業についての基本的な情報をお伝えします。

パソコン教室を開業する方法

パソコン教室を開業する方法としては、個人教室として開業する方法と、フランチャイズに加盟して開業する方法の2つがあります。どちらにもメリットとデメリットがありますが、自分のパソコンやソフトウェアに関する知識や経験、事業計画と照らし合わせて、より良い方法を選択しましょう。

個人教室としての開業

個人教室として開業する最大のメリットは運営の自由度が高いことです。フランチャイズで開業すると、授業内容などについては本部が決定するなど、自分が好きな授業を行うことが原則できなくなります。自分が教えたいものが明確な場合は、個人教室として開業するほうがよいでしょう。

デメリットは、集客のハードルが高いことです。個人教室の場合、集客に苦戦して厳しい経営を余儀なくされることもあります。集客の経験がないという人には、ハードルになる可能性があるでしょう。

フランチャイズ

パソコンやソフトウェアの知識や経験が乏しい人におすすめなのが、フランチャイズ加盟による開業です。

パソコン教室運営の経験がない場合でも、フランチャイズ本部が商圏分析から教室の設営、パソコンや資材の手配、さらに生徒募集計画の策定まで行ってくれます。また、共通のブランドで展開するのでマーケティング的にも有利でしょう。

フランチャイズ加盟による開業のデメリットは、個人教室で開業するよりもコストがかかる点です。具体的には、フランチャイズ加盟金とロイヤリティ、そして教材費用が必要となります。また、フランチャイズ加盟の場合、自分で作った教育プログラムや教材などは原則利用できません。

パソコン教室の開業に必要な準備

パソコン教室の開業には、どのような準備が必要なのでしょうか。第一に必要なのは事業計画です。

一口にパソコン教室といっても、その内容は千差万別です。子供たちにプログラミングを教えるパソコン教室もあれば、お年寄りにパソコンの基本操作方法を教えるパソコン教室もあります。さらには、ビジネスパーソンを対象にクラウドアプリケーションの使い方を教えるパソコン教室もあります。

そのため、まずはどのようなパソコン教室を開業するのかを明確にしましょう。そのうえで、以下の準備を進めるとよいでしょう。

資格や許可は必要か?

パソコン教室の開業に特別な資格や許可は必要ありません。極端な場合、教室として使える場所と机とパソコンがあればすぐにでも開業できます。

一方で、オラクルのデータベースやAmazonのAWSといった比較的高度なスキルを教える場合は、オラクルマスターやAWS認定資格などを持っているほうが集客・マーケティング的に有利でしょう。また、ワードやエクセルなどの一般的なソフトウェアの使い方を教える場合も、MOS資格があるほうが有利です。

教室・教材

スクール形式のパソコン教室を開業する場合は、教室として使う場所が必要です。自宅に余ったスペースがあれば教室として使えますが、ない場合はどこかに場所を借りなければなりません。ビジネスパーソンを相手にする場合は、オフィス街での開業が有利になるでしょう。

また、教える内容に合わせて教材を準備する必要があります。他のパソコン教室から差別化するために、教材はオリジナルのものを準備するとよいでしょう。

集客方法

パソコン教室を開業するのに際し、集客をする必要があります。集客はパソコン教室を成功させるための必要条件であり、避けては通れません。パソコン教室のホームページはもちろん、Facebook、Twitter、InstagramなどのSNS、チラシのポスティング、タウンペーパー、折込広告などのオフラインメディアも含めて、使えるものはすべて使って宣伝しましょう。

また、初回の集客を促すために、無料体験授業や、在籍生徒による紹介プログラムなどを準備するとよいでしょう。

パソコン教室の授業方法

パソコン教室の授業方法にはどのようなものがあるでしょうか。
大きく「教室内での授業」「オンライン授業」「家庭やオフィスへの出張授業」の3つがあります。
以下にそれぞれ詳しくご説明します。

教室内での授業

文字通り教室内で講師が生徒に教える授業です。パソコン教室の授業方法としてはもっとも一般的です。講師が生徒にマンツーマンで教えるスタイルと、講師が複数の生徒に教えるスタイルがあります。また、特定の授業ではなく、受講者が好きなときに講師に教えてもらう形式もあります。

オンライン授業

コロナ禍の影響などもあり、最近増えてきているのがオンライン授業です。ZoomなどのWebツールを使って講師が生徒に教えます。教室内での授業と同様、講師が生徒にマンツーマンで教えるスタイルと、講師が複数の生徒に教えるスタイルがあります。

家庭やオフィスへの出張授業

講師が家庭やオフィスへ出張して行う授業もあります。最近は小中学生にプログラミングを教える家庭教師型のパソコン教室も少なくありません。また、企業のオフィスへ出張してサイバーセキュリティなどを教える授業などもニーズが増えています。

パソコン教室の開業資金・費用の目安

パソコン教室を開業する資金・費用については、どのようなパソコン教室をどの程度の規模で、どこに開業するかによって違ってきます。

例えば、自宅の空きスペースに机を5つほど並べて自分だけで教える場合、ある程度のスペックのパソコンをそろえても50万円から100万円程度で開業できるでしょう。どのような形態のパソコン教室を開業するにせよ、開業資金としては初期費用とランニングコストがそれぞれ必要になります。

初期費用

初期費用に含まれるのは、教室が賃貸の場合の物件取得費・敷金礼金、内外装工事費、従業員などの採用費用、机や椅子などの家具購入費用、ソフトウェアライセンス料、Wi-Fiなどの通信機器設置費用、パソコンやプロジェクターなどの購入費用、教材作成費用、広告宣伝費、経営主が受講したセミナー費用、ホームページ作成費用などです。

初期費用が大きいと後の教室運営の重石となるので、初期費用は可能な限り抑えましょう。また、フランチャイズ加盟により開業する場合、初期費用としてフランチャイズ加盟料が必要です。

ランニングコスト

ランニングコストに含まれるのは、教室の家賃、講師の人件費と福利厚生費、ソフトウェアのサブスクリプションフィー、パソコンのリース代(リースの場合)、通信費水道光熱費、宣伝広告費、レンタルサーバー代などです。

講師を雇うと講師の人件費と福利厚生費が毎月必要になるので、可能であれば開業当初は自分が講師を務めてランニングコストを抑えることをおすすめします。また、自宅を教室にすると家賃もかかりません。人件費と家賃を抑えることがパソコン教室で成功するためのポイントです。

パソコン教室の開業資金の調達方法

パソコン教室の開業には、飲食店などのように多額の設備投資が必要ありません。パソコン教室は、比較的ローコストで開業できる業種のひとつです。

しかし、それでもパソコン教室の開業には一定の資金が必要です。特に初めてパソコン教室を開業する場合、どこから資金を調達すればよいのでしょうか。

自己資金

パソコン教室の開業は比較的ローコストで開業できるので、多くの人が自己資金で開業しています。積み上げてきた貯金や、脱サラして得た退職金を投じてパソコン教室を開業する人もいます。また、日本政策金融公庫から資金を借入れる場合も、一定の額の自己資金を投入する必要があります。金融機関から融資を受けるにしても、自己資金が多いに越したことはありません。パソコン教室開業を予定している人は、ある程度の自己資金は必ず確保しておきましょう。

日本政策金融公庫からの借入

日本政策金融公庫は、開業のための資金を融資する「創業融資」に積極的で、パソコン教室の開業にも利用可能です。

特に「新創業融資制度」は、新たに事業を始める人または事業開始後税務申告を2期終えていない人が原則、無担保・無保証人で利用できる融資制度です。この制度はパソコン教室の開業にも利用できます。借入による資金調達を考えている人は、検討してみてはいかがでしょうか。

パソコン教室は儲かるのか?

ところで、パソコン教室は儲かるのでしょうか。この問いの答えは、パソコン教室の開業を検討している人にとってもっとも気になることのひとつでしょう。インターネット上には「パソコン教室はこんなに儲かる」「パソコン教室は実際にはそれほど儲からない」といった各種の意見が数多く流布しています。実際に個人経営のパソコン教室は、どれくらい儲かるのでしょうか。

パソコン教室の平均年収

パソコン教室の平均年収を示す公的なデータは存在しませんが、パソコン教室の売上は、

月謝×生徒数

で決まります。例えば、月4コマの授業で1万円の月謝として、50人の生徒が在籍していれば月の売上は50万円になります。

授業1コマを90分として、机が5つで1日のコマ数を3コマとすると、1日最大15コマ、月24日稼働するとして月最大360コマを確保できます。360コマをすべて埋めると生徒数は90人、売上は90万円になります。仮に稼働率を50%としても、売上としては45万円を見込める計算になります。

パソコン教室の損益分岐点

パソコン教室の損益分岐点を示す公的なデータも存在しませんが、損益分岐点もパソコン教室の形態によりさまざまです。

仮に机5つのパソコン教室を自宅の空きスペースで開業し、自分一人で講師を務めた場合、ランニングコストとしてかかるのはパソコンの減価償却費またはリース料、ソフトウェアのサブスクリプションフィー、通信費、水道光熱費、宣伝広告費、レンタルサーバー代くらいでしょう。

ランニングコストを相応に抑えることができれば、手元にキャッシュを残すことは十分に可能です。

パソコン教室として成功する(失敗しない)ためのポイント

パソコン教室を開業する人は成功を願って開業しているはずです。しかし、現実には成功をつかめず、失敗するケースが少なくありません。

一方で、一定の生徒数を確保し、事業として成功しているパソコン教室も存在します。あるパソコン教室は失敗し、あるパソコン教室は成功する。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

マーケットリサーチを十分に行う

成功するための第一のポイントは、マーケットリサーチを十分に行うことです。マーケットリサーチを十分に行わないと、自分のパソコン教室に対する需要が確認できません。例えば、小学生相手にプログラミングを教えようとした場合に、小学生の人口が少ないエリアで開業しても成功はおぼつかないでしょう。また、たとえ小学生の人口が相応にあったとしても、C++やJavaなどのハイレベルなプログラミング言語を教えるのは適切ではありません。

マーケットリサーチを十分に行い、ニーズの種類と存在を確認することが必要です。

ハイレベルな授業を提供する

第二のポイントは、ハイレベルな授業を提供することです。ここでいうハイレベルとは、単に教える内容がハイレベルであるというだけでなく、教え方についてもハイレベルにするという意味です。

例えば、小学生相手にプログラミングを教える場合、単にパソコンを活用するだけでなく、必要に応じてタブレット端末やARデバイスなどを活用し、生徒の学ぶ意欲を刺激するなどの工夫を凝らす必要があります。また、教材などについても、構成やデザインなどにおいて工夫を凝らしましょう。

ビジネスユーザーを囲い込む

第三のポイントは、ビジネスユーザーを囲い込むことです。最近のビジネストレンドのひとつとして、パブリッククラウドコンピューティングが挙げられますが、AWSやGoogleパブリッククラウドなどの普及に伴い、AWSの認定資格を取得する人が増えてきています。また、単にワードやエクセルの使い方を学ぶだけでなく、エクセルの関数や、エクセルをベースにしたプログラミングを学ぶビジネスパーソンも増えています。

ビジネスユーザーは学ぶモチベーションの高い人が多く、一度生徒として囲い込むと長期間リピーターになってくれる可能性があります。

パソコン教室の確定申告

パソコン教室を開業し、売上が上がることになった場合、確定申告をする必要はあるのでしょうか。特に個人事業としてパソコン教室を開業した場合はどうなのでしょうか。

個人事業としてパソコン教室を開業した場合は、パソコン教室の売上と不動産所得といった他の所得の合計から所得控除を引いても残額がある場合、確定申告が必要になります。

一方、パソコン教室の売上と不動産所得といった他の所得の合計が所得控除以下の場合、確定申告は必要ありません。ただし、他の所得が給与所得であり、かつ、パソコン教室の事業所得が20万円以上あれば、確定申告をしなければなりません。また、所管の税務署へ開業届を提出する必要があります。

確定申告をするには、確定申告書などに必要事項を記載し、税務署に提出する必要があります。税務署に直接持参する以外に、郵送や電子申告、さらには税務署の時間外収集箱へ投函などの方法で提出することも可能です。

なお、確定申告についての基本的な情報や、確定申告の具体的なやり方などについては、次の記事が詳しいのでぜひご覧ください。

開業資金や確定申告についてしっかり理解した上で、パソコン教室を開業しよう!

自分のパソコン教室がどのようなパソコン教室であるかを明確にすることが重要であるとお伝えしましたが、それとともにパソコン教室の開業資金や、確定申告についてしっかりと理解した上でパソコン教室を開業することが大切です。特に確定申告については基本を理解し、正しく申告・納税するように心がけましょう。

よくある質問

パソコン教室の開業方法は?

パソコン教室を開業する方法は、個人教室として開業する方法とフランチャイズに加盟して開業する方法の2つがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

パソコン教室の授業方法は?

パソコン教室の授業方法は「教室内での授業」「オンライン授業」「家庭やオフィスへの出張授業」の3つがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


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