• 更新日 : 2024年1月9日

株主総会で剰余金の配当が決議された場合の議事録の書き方は?ひな形を解説

株主総会で剰余金の配当が決議された場合の議事録の書き方は?ひな形を解説

株主総会で剰余金の配当が決議された場合は、正しく議事録を作成して、保管しておく必要があります。この記事では、剰余金配当が行われた場合における株主総会議事録のひな形・書き方について解説するので、ぜひ参考にしてください。

剰余金配当に関する株主総会の議事録とは?

剰余金配当に関する株主総会の議事録とは、株主総会で剰余金の配当が決まったときに作成する書類です。

株主総会は株式会社の意思決定機関であり、会社の株主が集まって経営方針の話し合いや議案についての相談、賛否の投票などを行います。株主総会で話し合った内容については、会社法の定めにより議事録の作成および本店・支店への備え置きをしなければなりません。

第三百十八条 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

2 株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。

3 株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。

引用:e-Gov法令検索「会社法」

また、会社法では株式会社に発生した剰余金について、株主総会の決議により「剰余金配当」として株主に配当することを認めています。剰余金の配当は回数を決められておらず、株主総会の決議があれば事業年度中に何度でも配当を行えます。

第四百五十三条 株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。

第四百五十四条 株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額

二 株主に対する配当財産の割当てに関する事項

三 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日

引用:e-Gov法令検索「会社法」

ただし、会社の純資産額が300万円を下回る場合は剰余金の配当はできません。配当する金銭の額についても、分配可能額を計算して超えないように注意する必要があります。

株式会社が剰余金の配当を決めるために株主総会を開いたとき、決定した内容の記録として作成する議事録が「剰余金配当に関する株主総会の議事録」です。

資本剰余金利益剰余金といった剰余金の処分は、剰余金配当に関する株主総会の議事録に記載された内容にもとづき、株主へと配当されます。

剰余金配当とは?

剰余金配当とは、株式会社が保有する剰余金を株主に分配することです。

そもそも剰余金は、貸借対照表の純資産の部において、株主資本の額から資本金を差し引いた金額のことです。剰余金には「資本剰余金」「利益剰余金」の2種類があり、より細かく分類すると下記のようにいくつかの種類があります。

資本剰余金資本準備金
・その他資本剰余金
利益剰余金・利益準備金
・その他利益剰余金
(任意積立金・繰越利益剰余金を含む)

剰余金のうち、剰余金配当として分配できる対象は「その他資本剰余金」「その他利益剰余金」の2つです。

株式会社が剰余金配当を行う際は、一般的に下記の手続きを取ります。

  1. 取締役会で株主総会招集の決議
  2. 株主に招集通知を発送
  3. 株主総会による剰余金配当の決議
  4. 配当の実施

まずは取締役会で株主総会の招集を決定し、株主に招集通知を発送します。取締役会非設置会社の場合、株主総会招集を決定する役割は取締役です。

次に、招集された株主総会において剰余金配当の決議を行い、決議の内容を「剰余金配当に関する株主総会の議事録」に記録します。

最後に、議事録の取り決めに従って配当を実施して、剰余金配当は完了です。

なお、1事業年度中につき1回限り行える「中間配当」を定款で定めている場合は、中間配当のみは例外的に取締役会決議で配当を決定できます。

剰余金配当に関する株主総会議事録のひな形、テンプレート

株式会社議事録を作成する際は、会社法施行規則で定められている議事録の記載事項を含める必要があります。株主総会議事録への記載漏れが起こらないよう、ひな形・テンプレートを利用することがおすすめです。

剰余金配当に関する株主総会議事録のテンプレートは、下記のページで公開しているので、ぜひ参考にしてください。

剰余金配当に関する株主総会議事録の書き方

剰余金配当に関する株主総会議事録には、開催日時や出席株主数といった記載事項のほかに、「報告事項」「決議事項」を書きます。

報告事項の書き方

報告事項は、株主総会の招集目的を記載する項目です。議長が株主総会で報告した内容を記載し、剰余金の配当についての決議であることを説明します。

報告事項の記載例

議長は、「当期の利益に剰余金が発生した」ことを理由として、下記の通り剰余金の配当を行いたいという旨の報告をした。

決議事項の書き方

決議事項は、株主総会の決議によって得られた結果を記載する項目です。報告事項の内容と配当の方法・効力発生日を含めて、決議の内容を簡潔に記載します。

決議事項の記載例

第30号議案 剰余金の処分の件

議長は、「当期の利益に剰余金が発生した」ことを理由として、下記の通り剰余金の配当を行いたいという旨の報告をした。議長が承認を求めたところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもち、議案は原案通りに可決された。

(1)当社普通株式1株につき金100円 総額2,000,000円

(2)剰余金の配当が効力を生じる日 2023年12月1日

以上をもって本日の議事を終了したので、議長は閉会を宣し、15時40分に解散した。

適切な手続きを経て剰余金配当を実施しよう!

剰余金を株主に配当する際には、正しい手続きで進める必要があります。株主総会議事録の作成は、その手続きの一環として実施しなければなりません。株主総会議事録はひな形・テンプレートを活用することで、正しい内容・形式で手軽に作成できます。ひな形・テンプレートを活用して、正しく株主総会議事録を作成しましょう。


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