• 更新日 : 2023年9月8日

経営組織とは?経営組織論の種類・バーナードの3要素も紹介

経営組織とは?経営組織論の種類・バーナードの3要素も紹介

何らかの事業を遂行するために組織を立ち上げる場合、どのような組織をどのようなリソースや要素で構成すべきなのか。最も合目的的で効率的、そしてモチベーションにあふれた組織をどうすれば作れるのか。およそ経営を担う人であれば昔から悩んできたテーマが経営組織論です。本記事では経営組織論の基本をお伝えします。

経営組織とは?

経営組織(Management Organization)とは、何らかの事業を遂行し、特定の目的を実現するために構成された組織のことです。通常は2人以上の構成員によって構成され、共通の目標を持ち、それぞれの構成員が協業しながら各種の活動を展開するチームです。

経営組織は、一般的に営利を目的とした営利組織と、必ずしも営利を目的としない非営利組織とに二分されます。営利組織の代表例としては株式会社や合同会社が、非営利組織の代表例としてはNPO法人、財団法人、医療法人などが挙げられます。また、第三の経営組織として非政府組織(Non-government Organization)を挙げるケースもあります。

経営組織論とは?

経営組織をどう作るのか、合目的的で効率的かつ機能的な組織をどうすれば作れるのかといった、経営組織の在り方や作り方などの基本を論じているのが経営組織論(Management Organization Theory)です。世に経営組織が数多くあるように、経営組織論も多数存在します。本節では、数ある経営組織論の中から、経営の現場やアカデミズムの領域で特に多用されている代表的な経営組織論をご紹介します。

人間関係論

人間関係論(Human Relations Theory)は、1920年代にオーストラリア出身の心理学者エルトン・メイヨーらが考案した経営組織論です。ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた有名な実験結果をもとに理論が構成されています。

人間関係論では、職場における従業員同士のコミュニケーションの重要性が主張されており、賃金や労働時間などの待遇に加えて従業員のモチベーションや従業員同士の協業により生じるダイナミクス、労働に関する従業員満足度などが生産性向上につながると主張しています。

また、人間関係論は、工場などのように指揮命令系統が比較的シンプルな組織において応用可能とされている一方で、より複雑な高付加価値創出型組織には応用しづらいといった意見もあります。

意思決定理論

意思決定理論(Decision-making Theory)は、アメリカの経済学者ハーバート・サイモンが提唱した経営組織論で、経営組織を「意思決定を行う」ための組織と定義する理論です。経営組織においては、例えばピラミッド型の指揮命令系統で構成される組織を例にすると、組織の最低層に属する従業員においても、また組織の最上層に属する経営陣においても、何らかの意思決定を持続的に行っているという命題を前提にしています。

サイモンは、経営組織は意思決定が行われる各ポイントやフェーズに合わせて最適化されるべきであり、またそれぞれのフェーズにおいて意思決定を行うために必要な情報が効率的に集まるようにデザインされるべきだと主張しています。

コンティンジェンシー理論

コンティンジェンシー理論(Contingency Theory)は、最適な組織を構成し、経営組織をリードし、最適な意思決定を行うことはできないという命題を前提にしている経営組織論です。コンティンジェンシー理論によると、経営組織の行く末は、外部および内部の状況や環境に依存(コンティンジェント)しており、あらかじめ最適な組織をデザインすることはできないとしています。それゆえコンティンジェンシー理論では、外部および内部の状況や環境の変化に応じてリーダーシップを柔軟に変化させるべきだという立場を採ります。

コンティンジェンシー理論は、組織の在り方や組織のデザインなどに関する理論というよりも、組織を適切に導くリーダーシップの在り方を説いた理論であるといえるでしょう。どのような組織をデザインするにせよ、適用可能な理論です。

モチベーション理論

モチベーション理論(Motivation Theory)は、従業員の労働意欲(モチベーション)を向上させるドライバーを確定させ、それらドライバーを最適に機能させるために組織をデザインするという経営組織論です。モチベーション理論では、モチベーションのドライバーをリワード(報酬)、トラスト(信頼)、認識、キャリアデベロップメント、パーパス、労働環境、コミュニケーションなどに設定し、それぞれが最も機能するべく組織をデザインします。

モチベーション理論は、コンティンジェンシー理論と同様に、組織の在り方や組織のデザインなどに関する理論というよりも、従業員のモチベーションとモラル向上を図るためのフレームワークというべきものです。どのような組織をデザインするにせよ、適用可能な理論です。

古典的組織論

古典的組織論(Classical Organization Theory)は、経営組織論創世記に登場した、文字通りクラシックな経営組織論です。古典組織論では、理論のフォーカスを従業員に置くのではなく、組織に置くのが特徴です。そして、以下の要素を含んでいます。

  • 分業化
  • 部門化
  • 協働化
  • 機能的なプロセス
  • シンプルな組織構造
  • 指揮命令系統

古典組織論では、理論のフォーカスを農場や工場といった比較的なシンプルな組織構造を持つ組織に置いており、複雑な組織構造を持つ組織などには適用できないという意見もあります。また、組織をあまりにシンプルにかつメカニカルに捉え過ぎているという批判もあります。古典組織論は、経営組織をデザインする上での原始的理論として活用し、コンティンジェンシー理論やモチベーション理論などと組み合わせるのが現実的でしょう。

新古典的組織論

新古典的組織論(Neo Classical Organizational Theory)は、組織をあまりにシンプルにかつメカニカルに捉え過ぎているという古典的組織論に対する批判に対応した、古典的組織論の新バージョンです。古典的組織論が組織の物理学的・機械的要素にフォーカスを置いている一方、新古典的組織論は、組織よりも組織で働く従業員の行動学的側面や心理学的側面にもフォーカスし、組織全体を従業員も含んだ一個の有機体として扱っています。新古典的組織論のこのアプローチは、「組織行動論」または「人的関係的アプローチ」などともいわれています。

新古典的組織論では、従業員一人ひとりのニーズやチームワーク、モチベーションなどにもフォーカスします。経営組織論としては、より現代のニーズに合っているといえるでしょう。

バーナードの組織の3要素(3つの目的)とは?

経営組織論を語る上で、アメリカの経営学者チェスター・バーナードは外せません。バーナードは1938年に著書「経営者の機能」(The Function of the Executive)を出版し、「組織論」(Organizational Theory)を発表しました。バーナードの組織論は世界中の経営学と経営の現場に衝撃を与え、その影響は現代も続いています。バーナードによると、健全な組織の成立には以下の3つの要素を満たす必要があります。

共通の目標

1つ目の要素は「共通の目標」です。経営組織は通常、何らかの目標を掲げています。バーナードは、企業が明確な目標を掲げ、経営陣から従業員まですべての社員がそれを共有し、共感することで組織が一体化すると主張します。また、実際に目標を達成することで従業員のモラルとモチベーションが向上し、さらなる目標設定に向けてのトリガーとして機能します。シンプルで明確な目標なくして強力な組織を作り上げることは不可能です。

貢献と協働の意欲

2つ目の要素は「貢献と協働の意欲」です。「貢献と協働の意欲」とは、社員による「会社に貢献したい」という思いと「チームと一緒に仕事がしたい」という思いです。「貢献と協働の意欲」を社員に持たせるために、バーナードはインセンティブの重要性を強調しています。ここでいうインセンティブとは、「現金などの物質的インセンティブ」「栄誉」「権限」「適切な労働環境」などが挙げられ、特に経済的なインセンティブよりも「説得」の重要性を訴えています。

コミュニケーション

3つ目の要素は「コミュニケーション」です。バーナードは、社内のすべてのコミュニケーションツールは共通の目標をベースにしたものであるべきで、すべての社員がアクセスできるものであるべきとしています。また、「情報伝達系統」(Lines of communication)は可能な限り短く、かつ直接的(Direct)であるべきとしています。バーナードが組織論を発表した1938年は、電話というインフラすら十分に普及していなかった時代ですが、その時代にすでにコミュニケーションの重要性を訴えていたのは慧眼とすべきでしょう。

ドラッカーの組織論とは?

バーナードと比肩する経営学者の一人として、オーストリア出身のピーター・ドラッカーが挙げられるでしょう。著書『マネジメント』があまりにも有名な、日本の経営者にも信奉者が多いことで知られるドラッカーですが、ドラッカーは経営組織についてどのような考えを持っていたのでしょうか。

中央集権型組織は解体される

ドラッカーは、早くから中央集権型組織が解体される時代が来ることを予見していました。軍隊式の「コマンド・アンド・コントロール」の経営組織への応用に否定的だったことで知られるドラッカーは、1970年代に主流だったメーカーなどの大企業が「モノを大量に生産し過ぎ」、「不要な従業員を無駄に抱えている」と指摘していました。また、当時からアウトソーシングを活用するメリットを唱え、実際に企業に活用するよう提言しています。

顧客がすべて

ドラッカーによると、企業を存続させるものは企業の組織構造や製品ではなく、顧客です。顧客が企業の製品やサービスを購入してくれるからこそ企業は存続できる。顧客にとって企業の組織構造がどうなっていようと直接関係ないのです。ドラッカーがこのコンセプトを発表したのは1954年ですが、世界的な高度経済成長の時代でモノを作れば作るだけ売れた時代に、現在でいう「顧客第一主義」を提唱していたドラッカーの先見の明に驚かされるばかりです。

組織は成功体験にとらわれる

ドラッカーは、多くの経営組織は成功体験にとらわれるあまり、本来捨てるべき事業を捨てられずに持ち続けていると主張しています。ドラッカーは「成長戦略の最初のステップはどこでどのように成長するかを決めることではない。何をやめるかを決めることが最初のステップだ。企業は成長するために成長が終わった、時代遅れで非生産的な事業を処分するためのシステマチックな経営ポリシーを持つべきだ」と主張し、事業のスクラップアンドビルドを組織的に行うことをアドバイスしています。

経営組織論を知り、自社に最適な組織を作ろう

以上、経営組織論の基本として、バーナードの組織の3要素や、ドラッカーの経営組織についての考えなどを含めて解説しました。人間一人ひとりが違うように、経営組織もそれぞれ違います。どのような組織にも適用できる金科玉条的な「ひな形」は存在せず、組織はそれぞれ自分たちの判断で組織構造を作り上げています。自分たちが活用できそうな経営組織論を知り、自社に最適な組織を作っていってください。


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